ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律
平成12年12月6日 制定
第1条
【目的】
この法律は、ヒト又は動物の胚又は生殖細胞を操作する技術のうちクローン技術ほか一定の技術(以下「クローン技術等」という。)が、その用いられ方のいかんによっては特定の人と同一の遺伝子構造を有する人(以下「人クローン個体」という。)若しくは人と動物のいずれであるかが明らかでない個体(以下「交雑個体」という。)を作り出し、又はこれらに類する個体の人為による生成をもたらすおそれがあり、これにより人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序の維持(以下「人の尊厳の保持等」という。)に重大な影響を与える可能性があることにかんがみ、クローン技術等のうちクローン技術又は特定融合・集合技術により作成される胚を人又は動物の胎内に移植することを禁止するとともに、クローン技術等による胚の作成、譲受及び輸入を規制し、その他当該胚の適正な取扱いを確保するための措置を講ずることにより、人クローン個体及び交雑個体の生成の防止並びにこれらに類する個体の人為による生成の規制を図り、もって社会及び国民生活と調和のとれた科学技術の発展を期することを目的とする。
第2条
【定義】
1
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑦
胎児 人又は動物の胎内にある細胞群であって、そのまま胎内において発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成の開始以後のものをいい、胎盤その他のその附属物を含むものとする。
2
次の表の上欄に掲げる規定の適用については、同表の中欄に掲げる胚又は細胞は、当該規定中の同表の下欄に掲げる胚又は細胞に含まれるものとする。
上欄 | 中欄 | 下欄 | |
一 | 前項第8号 | ヒト胚分割胚 | ヒト受精胚 |
二 | 前項第9号 | ヒト胚核移植胚 | ヒト受精胚 |
三 | 前項第10号 | 一の細胞である人クローン胚又は人クローン胚の胚性細胞 | ヒトの体細胞 |
四 | 前項第12号イ及びロ | ヒト集合胚の胚性細胞 | 人クローン胚の胚性細胞 |
五 | 前項第13号ロ | ヒト動物交雑胚 | イに掲げる胚 |
六 | 前項第14号イ | ヒト性融合胚 | 人クローン胚 |
七 | 前項第14号ロ | ヒト性融合胚 | イに掲げる胚 |
八 | 前項第18号ロ | 動物胚 | イに掲げる胚 |
九 | 前項第18号ハ及びニ | 動物胚の胚性細胞 | イに掲げる胚の胚性細胞 |
十 | 前項第19号イ | 動物性融合胚 | 動物胚 |
十一 | 前項第19号ロ | 動物性融合胚 | イに掲げる胚 |
十二 | 前項第20号ハ | 動物性集合胚の胚性細胞 | 動物胚の胚性細胞 |
十三 | 前項第23号 | ヒト胚核移植胚又は人クローン胚 | ヒト受精胚 |
十四 | 前項第24号 | ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚又は動物性融合胚 | 動物胚 |
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参照条文
第4条
【指針】
1
文部科学大臣は、ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚、人クローン胚、ヒト集合胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、動物性融合胚又は動物性集合胚(以下「特定胚」という。)が、人又は動物の胎内に移植された場合に人クローン個体若しくは交雑個体又は人の尊厳の保持等に与える影響がこれらに準ずる個体となるおそれがあることにかんがみ、特定胚の作成、譲受又は輸入及びこれらの行為後の取扱い(以下「特定胚の取扱い」という。)の適正を確保するため、生命現象の解明に関する科学的知見を勘案し、特定胚の取扱いに関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。
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参照条文
第9条
【偶然の事由による特定胚の生成の届出】
第6条第1項の規定による届出をした者は、偶然の事由によりその届出に係る特定胚から別の特定胚が生じたときは、文部科学省令で定めるところにより、速やかに、次に掲げる事項を文部科学大臣に届け出なければならない。ただし、当該生じた特定胚を直ちに廃棄する場合は、この限りでない。