不当廉売関税に関する政令
平成21年3月31日 改正
第1条
【定義】
この政令において、「供給者」、「供給国」、「指定貨物」、「不当廉売差額」又は「要還付額」とは、それぞれ
関税定率法(以下「法」という。)
第8条第1項又は
第32項に規定する供給者、供給国、指定貨物、不当廉売差額又は要還付額をいう。
第2条
【正常価格】
1
法第8条第1項に規定する政令で定める価格は、次に掲げる価格とする。
①
当該輸入貨物の原産国における消費に向けられる当該輸入貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格
②
当該輸入貨物の供給国から本邦以外の国に輸出される当該輸入貨物と同種の貨物の輸出のための販売価格
③
当該輸入貨物の生産費に当該輸入貨物の原産国で生産された当該輸入貨物と同種の貨物に係る通常の利潤並びに管理費、販売経費及び一般的な経費の額を加えた価格
④
当該輸入貨物の供給国と比較可能な最も近い経済発展段階にある国における消費に向けられる当該輸入貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格、当該供給国と比較可能な最も近い経済発展段階にある国から輸出される当該同種の貨物の輸出のための販売価格又は当該輸入貨物の原産国と比較可能な最も近い経済発展段階にある国における当該同種の貨物の生産費に当該同種の貨物に係る通常の利潤並びに管理費、販売経費及び一般的な経費の額を加えた価格
2
法第8条第1項の規定を適用する場合において、
前項第2号又は
第3号に掲げる価格を用いることができる場合は、当該輸入貨物の供給国における消費に向けられる当該輸入貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格がない場合又は当該供給国の市場が特殊な状況にあるため若しくは当該供給国における当該輸入貨物と同種の貨物の販売量が少ないため当該供給国における消費に向けられる当該輸入貨物と同種の貨物の通常の商取引における価格を用いることが適当でないと認められる場合に限るものとし、
同項第4号に掲げる価格を用いることができる場合は、当該輸入貨物の供給国が世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の附属書I(注釈及び補足規定)の「
第6条について」の「1について」の2に規定する国である場合に限るものとする。
3
前項の規定にかかわらず、中華人民共和国(香港地域及びマカオ地域を除く。以下この項及び
第10条の2において同じ。)又はベトナムを原産地とする特定の種類の輸入貨物に
法第8条第1項の規定を適用する場合において、当該輸入貨物の生産者が、当該輸入貨物と同種の貨物を生産している当該輸入貨物の原産国の産業において当該同種の貨物の生産及び販売について市場経済の条件が浸透している事実(
第10条の2において「特定貨物の生産及び販売について市場経済の条件が浸透している事実」という。)があることを明確に示すことができない場合は、
第1項第4号に掲げる価格を用いることができる。
4
法第8条第1項に規定する正常価格は、当該輸入貨物の輸出のための販売価格との間の取引段階、取引数量その他価格の比較に影響を及ぼす条件の差異により生じた価格差につき必要な調整を行った後の価格とする。
第3条
【輸出のための販売価格の特例】
法第8条第1項の規定を適用する場合において、当該輸入貨物につき輸出のための販売価格がない場合又は当該輸入貨物の輸出者が当該輸入貨物の輸入者(本邦において当該輸入貨物を譲り受けた者を含む。)と連合しているために当該輸入貨物の輸出のための販売価格を用いることが適当でないと認められる場合における当該輸入貨物の輸出のための販売価格は、当該輸入貨物の輸出者及び輸入者と連合していない者に対して国内において最初に販売される当該輸入貨物の国内販売価格(その国内販売価格が当該輸入貨物を原材料として生産がされた上販売される貨物に係る価格であるときは、当該国内販売価格から当該生産により付加された価額を控除して得られる価格)に基づき算出される価格とする。
第4条
【本邦の産業】
1
法第8条第1項に規定する本邦の産業とは、当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における総生産高に占める生産高の割合が相当の割合以上である本邦の生産者をいうものとする。
2
前項の本邦の生産者には、次に掲げる関係を有する生産者及び当該輸入貨物を
法第8条第4項、
第21項(
同条第31項において準用する場合を含む。)又は
第26項の規定による求めがあった日(これらの規定による求めがない場合において
同条第5項、
第22項(
同条第31項において準用する場合を含む。)又は
第27項の調査を行うときは、当該調査を開始する日)の六月前の日以後に輸入(その輸入量が少量なものを除く。)した生産者は含まないものとする。ただし、次の各号に掲げる関係を有する生産者が、当該各号に掲げる関係による影響が次の各号に掲げる関係のいずれをも有しない他の生産者の行動と異なる行動をとらせるものでないことについての証拠を提出した場合、又は当該輸入貨物を輸入した生産者が、当該輸入貨物及びこれと同種の貨物に係る当該生産者の事業のうち主たる事業が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産であることについての証拠を提出した場合において、当該証拠によりその旨認められるときは、この限りでない。
①
当該輸入貨物の供給者又は輸入者を直接又は間接に支配している関係
②
当該輸入貨物の供給者又は輸入者により直接又は間接に支配されている関係
③
当該輸入貨物の供給者又は輸入者を直接又は間接に支配している第三者により直接又は間接に支配されている関係
④
当該輸入貨物の供給者又は輸入者と共同して同一の第三者を直接又は間接に支配している関係
第5条
【本邦の産業に利害関係を有する者】
1
法第8条第4項、
第21項及び
第26項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者とは、次に掲げる者をいうものとする。
①
当該輸入貨物と同種の貨物の本邦の生産者又はその団体(その直接又は間接の構成員の過半数が当該貨物の本邦の生産者である団体に限る。)(
第7条及び
第10条において「関係生産者等」という。)であって当該生産者又は当該団体の構成員の本邦における生産高の合計が当該貨物の本邦における総生産高の四分の一以上の割合を占めるもの
②
当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産に従事する者を直接又は間接の構成員とする労働組合(
第7条及び
第10条において「関係労働組合」という。)であってその構成員のうち当該生産に従事する者の合計が当該生産に従事する者の総数の四分の一以上の割合を占めるもの
2
前条第2項の規定により本邦の生産者には含まないとされる生産者は、
前項第1号に掲げる本邦の生産者には含まないものとし、
同条第2項の規定により本邦の生産者には含まないとされる生産者の当該輸入貨物と同種の貨物の生産に従事する者は、
前項第2号に掲げる構成員には含まないものとする。
第6条
【新規供給者とならない者】
法第8条第12項に規定する指定貨物の供給者と関係を有する者として政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
③
当該供給者を直接又は間接に支配している第三者により直接又は間接に支配されている者
④
当該供給者と共同して同一の第三者を直接又は間接に支配している者
第7条
【不当廉売関税を課すること等を求める手続】
1
法第8条第4項の規定により政府に対し不当廉売関税を課することを求めようとする者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、
同条第4項に規定する不当廉売された貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
④
第5条第1項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者に該当する事情
⑤
法第8条第4項に規定する不当廉売された貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実の概要
⑥
提出に係る書面に記載された事項の一部又は証拠の全部若しくは一部(以下この条において「証拠等」という。)を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
⑦
当該申請者の
法第8条第4項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況
2
法第8条第1項の規定により課される不当廉売関税について、
同条第12項の規定により政府に対し当該不当廉売関税を変更し、又は廃止することを求めようとする
同項に規定する新規供給者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、当該申請者に係る貨物に課される当該不当廉売関税の額が当該貨物の現実の不当廉売差額と異なることに関する事実についての十分な証拠及び
同条第5項又は
第22項の調査の対象となる期間内に本邦に輸入された指定貨物の供給者と関係を有しないことを誓約する書面を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
②
当該不当廉売関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴
④
当該申請者に係る貨物に課される当該不当廉売関税の額が当該貨物の現実の不当廉売差額と異なることに関する事実の概要
⑤
提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
3
法第8条第1項の規定により課される不当廉売関税について、
同条第21項の規定により政府に対し当該不当廉売関税を変更し、又は廃止することを求めようとする者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、
同条第20項第1号又は
第2号に掲げる事情の変更があることについての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
②
当該不当廉売関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴
③
当該不当廉売関税に係る指定貨物の供給者又は供給国
⑥
提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
⑦
当該申請者が
第5条第1項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者である場合には、当該申請者の
法第8条第21項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況
4
法第8条第1項の規定により課される不当廉売関税に係る
同項の規定により指定された期間について、
同条第26項の規定により政府に対しその延長を求めようとする者(以下この項において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面に、
同条第26項に規定する不当廉売された指定貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が当該指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることについての十分な証拠を添えて、これを財務大臣に提出しなければならない。
②
当該不当廉売関税に係る指定貨物の品名、銘柄、型式及び特徴
③
当該不当廉売関税に係る指定貨物の供給者又は供給国
④
第5条第1項に規定する本邦の産業に利害関係を有する者に該当する事情
⑤
法第8条第26項に規定する不当廉売された指定貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が当該指定された期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあることの概要
⑥
提出に係る証拠等を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由
⑦
当該申請者の
法第8条第26項の規定による求めに対する関係生産者等又は関係労働組合の支持の状況
6
財務大臣は、前各項の規定により提出された証拠等で秘密として取り扱うことを適当と認めるもの(以下この条において「秘密証拠等」という。)があるときは、当該証拠等を提出した者に対し、当該秘密証拠等についての秘密として取り扱うことを要しない要約を記載した書面の提出を求めるものとする。
7
前項の書面の提出を求められた者は、
同項に規定する秘密証拠等についての要約をすることができないと考えるときは、その旨及びその理由を記載した書面を財務大臣に提出しなければならない。
8
財務大臣は、
第6項の規定により秘密証拠等に係る書面の提出を求められた者が前二項の規定による書面の提出をしない場合又は当該提出を求められた者が前二項の規定により提出した書面の内容が適当でないと認める場合には、当該秘密証拠等を調べないものとすることができる。
9
財務大臣は、
第1項から
第5項までの規定により提出された証拠等のうち当該証拠等を提出した者から秘密として取り扱うことが求められたものについて、秘密として取り扱うことが適当でないと認める場合には、当該証拠等を提出した者に対し、速やかに、その旨及びその理由を通知するものとする。この場合において、財務大臣は、当該証拠等を提出した者が秘密として取り扱うことの求めを撤回せず、かつ、当該証拠等についての適当と認められる要約を記載した書面を提出しないときは、当該秘密として取り扱うことが求められた証拠等を調べないものとすることができる。
10
財務大臣は、
第1項から
第5項までの規定により提出された証拠等を前二項の規定により調べないものとしたときは、速やかに、その旨及びその理由を当該証拠等を提出した者に対し書面により通知しなければならない。
第8条
【調査の開始の通知等】
1
財務大臣は、
法第8条第5項、
第13項、
第22項(
同条第31項において準用する場合を含む。)又は
第27項の調査(
第14条、
第16条第1項(各号列記以外の部分に限る。)、
第17条及び
第19条を除き、以下単に「調査」という。)を開始することが決定されたときは、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人(当該調査に係る貨物の供給者又はその団体(その直接又は間接の構成員の過半数が当該調査に係る貨物の供給者である団体に限る。)及び当該調査に係る貨物の輸入者又はその団体(その直接又は間接の構成員の過半数が当該調査に係る貨物の輸入者である団体に限る。)並びに当該調査に係る申請者(
法第8条第4項、
第12項、
第21項(
同条第31項において準用する場合を含む。)又は
第26項の規定による求めをした者をいう。以下この条において同じ。)並びにこれらの者以外の者であって財務大臣が当該調査に特に利害関係を有すると認める者をいう。以下同じ。)と認められる者に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
2
財務大臣は、
前項の規定により直接の利害関係人に対し通知する場合には、申請者を除く直接の利害関係人に対し、
同項に規定する書面に
前条第1項から
第5項までの規定により提出された書面及び証拠(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる部分及び申請者により秘密の情報として提供された部分を除く。)の写しを併せて送付しなければならない。
3
財務大臣は、
法第8条第4項、
第12項、
第21項(
同条第31項において準用する場合を含む。)又は
第26項の規定による求めがあった場合において、調査を開始しないことが決定されたときは、速やかに、その旨及びその理由を申請者に対し書面により通知しなければならない。
第9条
【調査の期間の延長】
財務大臣は、
法第8条第6項ただし書(
同条第14項前段において準用する場合を含む。)又は
第23項ただし書(
同条第28項及び
第31項において準用する場合を含む。)の規定により調査の期間を延長することが決定されたときは、速やかに、その旨、延長される調査の期間及び延長の理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
第10条
【証拠の提出等】
1
調査が開始された場合において、利害関係者(直接の利害関係人並びに関係生産者等及び関係労働組合(その直接又は間接の構成員の過半数が当該輸入貨物と同種の貨物の本邦における生産に従事する者である労働組合に限る。)であって直接の利害関係人以外のものをいう。以下同じ。)は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限までに、
法第8条第5項若しくは
第13項に規定する事実、
同条第22項(
同条第31項において準用する場合を含む。)に規定する事情の変更又は
同条第27項に規定するおそれに関し、財務大臣に対し、証拠を提出し、又は証言をすることができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、証拠又は証言により証明しようとする事実並びに当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときはその旨及びその理由を記載した書面を提出しなければならない。
2
財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、利害関係者に対し、
法第8条第5項若しくは
第13項に規定する事実、
同条第22項(
同条第31項において準用する場合を含む。)に規定する事情の変更又は
同条第27項に規定するおそれに関し、証拠を提出し、又は証言をすることを求めることができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由を記載した書面を提出しなければならない。
3
財務大臣は、利害関係者から
第1項前段の規定による証言の求めがあった場合又は
前項前段の規定により利害関係者に証言を求める場合は、証言の聴取の日時及び場所その他証言の聴取のために必要な事項を当該利害関係者に対し書面により通知しなければならない。
4
財務大臣が
第2項前段の規定により利害関係者に対し証拠又は証言を求めた場合には、
第13条の2の決定(当該証拠又は証言を求める前に行われたものを除く。)及び
第15条の決定は、当該証拠又は証言が提出された後でなければしてはならない。ただし、当該利害関係者が相当な期間内に当該証拠又は証言を提供しない場合は、この限りでない。
第10条の2
【中華人民共和国又はベトナムを原産地とする特定の種類の輸入貨物の生産者による証拠の提出等】
1
中華人民共和国又はベトナムを原産地とする特定の種類の輸入貨物に対する調査が開始された場合においては、
前条の規定によるほか、当該輸入貨物の生産者(以下この条において単に「生産者」という。)は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限までに、特定貨物の生産及び販売について市場経済の条件が浸透している事実に関し、財務大臣に対し、証拠を提出し、又は証言をすることができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、証拠又は証言により証明しようとする事実並びに当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときはその旨及びその理由を記載した書面を提出しなければならない。
2
財務大臣は、
前項前段の調査の期間中必要があると認めるときは、生産者に対し、特定貨物の生産及び販売について市場経済の条件が浸透している事実に関し、証拠を提出し、又は証言をすることを求めることができる。この場合において、証拠を提出し、又は証言をしようとする者は、当該証拠又は証言を秘密として取り扱うことを求めるときは、その旨及びその理由を記載した書面を提出しなければならない。
3
財務大臣は、生産者から
第1項前段の規定による証言の求めがあった場合又は
前項前段の規定により生産者に証言を求める場合は、証言の聴取の日時及び場所その他証言の聴取のために必要な事項を当該生産者に対し書面により通知しなければならない。
第11条
【証拠等の閲覧】
1
調査が開始された場合において、財務大臣は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限まで、
第4条第2項ただし書の規定により提出された証拠、
第7条第1項から
第5項までの規定により提出された書面若しくは証拠、
第10条第1項前段若しくは
第2項前段若しくは
前条第1項前段若しくは
第2項前段の規定により提出された証拠若しくはこれらの規定によりされた証言を録取した書面若しくはその他の証拠(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる書面及び証拠並びに利害関係者により秘密の情報として提供された書面及び証拠並びに秘密の情報としてされた証言を録取した書面を除く。)又は
第7条第6項、
第7項若しくは
第9項後段(これらの規定を
第10条第5項及び
前条第4項において準用する場合を含む。)の規定により提出された書面(
次項において「証拠等」という。)を利害関係者に対して閲覧させなければならない。
2
前項の規定により証拠等の閲覧をしようとする者は、閲覧をしようとする証拠等の標目及び利害関係者に該当する事情を記載した書面を財務大臣に提出しなければならない。
第12条
【対質】
1
調査が開始された場合において、当該調査の対象となっている事項に関し意見が相反する利害関係者との対質を求めようとする利害関係者は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限までに、利害関係者に該当する事情、対質の相手方の氏名又は名称及び住所又は居所並びに対質により明らかにすべき事実を記載した書面を財務大臣に提出しなければならない。
2
財務大臣は、
前項の対質を求められた利害関係者の同意が得られた場合は、当該対質の機会を与えるものとし、あらかじめ、対質の当事者の氏名又は名称及び住所又は居所、対質により明らかにすべき事実並びに対質を行う日時及び場所その他対質を行うため必要な事項を当事者に対し書面により通知しなければならない。
3
前項の通知を受けた対質の当事者は、当該通知に示された対質により明らかにすべき事実に関して当該対質において表明する意見を記載した書面及び相手方の数と同数の当該書面の写しを、当該対質を行う日の十日前までに、財務大臣に提出しなければならない。この場合において、財務大臣は、速やかに、当該提出された書面の写しを対質の相手方に送付するものとする。
第12条の2
【意見の表明】
1
調査が開始された場合において、利害関係者、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限までに、当該調査に関し、財務大臣に対し、書面により意見を表明することができる。ただし、主要な消費者の団体が意見を表明することができるのは、当該貨物が小売に供されている場合に限る。
2
財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、利害関係者、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体に対し、当該調査に関し、書面による意見の表明を求めることができる。
第13条
【産業上の使用者及び消費者団体の情報提供】
1
調査が開始された場合において、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体は、
第8条第1項の規定により通知又は告示された
同項第7号に掲げる期限までに、当該調査の対象となっている事項に関する情報を財務大臣に対し書面により提供することができる。ただし、主要な消費者の団体が情報を提供することができるのは、当該貨物が小売に供されている場合に限る。
2
財務大臣は、調査の期間中必要があると認めるときは、当該調査に係る貨物の産業上の使用者又は当該貨物の主要な消費者の団体に対し、当該調査の対象となっている事項に関する情報を書面により提供することを求めることができる。
第13条の2
【仮の決定の通知等】
財務大臣は、
法第8条第5項の調査が開始された場合において、
同条第8項又は
第9項に規定する不当廉売された貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実を推定することについての決定がされたときは、その旨及び当該決定の基礎となった事実を直接の利害関係人に対し書面で通知するとともに、官報で告示するものとする。
第14条
【約束の申出等】
2
財務大臣は、
前項の規定による約束の申出につき
法第8条第8項前段(
同条第14項前段、
第24項及び
第28項において準用し、並びに
同条第24項の規定を
同条第31項において準用する場合を含む。
第5項において同じ。)の規定による受諾がされたときは、速やかに、その旨及び当該約束の内容(その性質上秘密として取り扱うことが適当であると認められる部分及び当該約束の申出をした輸出者により秘密の情報として提供された部分を除く。)並びに
同条第5項の調査を取りやめることが決定された場合にあってはその旨、その理由及び当該調査を取りやめる期日又は当該調査を継続することが決定された場合にあってはその旨を、直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
3
法第8条第7項の規定により
同条第5項の調査に係る貨物の輸出者からされた約束の申出につき
同条第8項前段の規定による受諾がされた後当該調査が完了した場合において、当該貨物の輸入につき、政府が、
同条第5項に規定する事実がある旨の認定をしたときは、
同条第8項前段の規定による受諾がされた約束は消滅しないものとし、当該事実がない旨の認定をしたときは、当該約束は消滅するものとする。ただし、当該事実がない旨の認定が主として当該約束があることを考慮してされたものであるときは、当該約束は消滅しないものとする。
4
財務大臣は、
前項の認定がされたときは、速やかに、
法第8条第8項前段の規定による受諾がされた約束が消滅しない旨又は消滅した旨及びその理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
5
財務大臣は、
第3項の規定により約束が消滅する場合のほか、
法第8条第8項前段の規定による受諾がされた約束が効力を失ったときは、速やかに、その旨及びその理由を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
第15条
【最終決定前の重要事実の開示】
財務大臣は、
法第8条第1項の規定により不当廉売関税を課し、又は
同項の規定により課される不当廉売関税を変更(
同項の規定により指定された期間の変更を含む。)し、若しくは廃止するかどうかの決定までに相当な期間をおいて、当該決定の基礎となる重要な事実を直接の利害関係人に対し書面により通知するものとする。
第16条
【不当廉売関税を課することの通知等】
1
財務大臣は、
法第8条第1項の規定により不当廉売関税を課すること、
同項の規定により課される不当廉売関税を変更(
同項の規定により指定された期間の変更を含む。)すること若しくは廃止すること若しくは
同条第9項の規定による措置をとることが決定されたとき又は
同条第1項の規定により指定された期間が満了したとき(
同条第27項の調査が行われている場合を除く。以下この項において同じ。)は、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
④
調査により判明した事実及びこれにより得られた結論(
法第8条第1項の規定により指定された期間が満了したときを除く。)
⑤
法第8条第1項の規定により不当廉売関税を課することに併せて
同条第2項の規定により不当廉売関税を課することが決定されたときは、その対象とされる貨物及びその決定の理由
2
財務大臣は、調査の結果、
法第8条第1項の規定による不当廉売関税を課さないこと又は
同項の規定により課される不当廉売関税を変更(
同項の規定により指定された期間の変更を含む。)しないこと若しくは廃止しないことが決定されたときは、速やかに、その旨及び次に掲げる事項を直接の利害関係人に対し書面により通知するとともに、官報で告示しなければならない。
③
当該調査により判明した事実及びこれにより得られた結論
3
前項の規定は、調査を取りやめることが決定された場合(
法第8条第8項後段の規定により調査を取りやめることが決定された場合を除く。)について準用する。この場合において、
前項中「当該調査により判明した事実及びこれにより得られた結論」とあるのは、「当該調査を取りやめるまでに判明した事実及び当該調査を取りやめる理由」と読み替えるものとする。
第17条
【暫定措置の期間】
1
法第8条第9項に規定する政令で定める期間は、四月以内の期間とする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は六月以内の期間とし、次の各号のいずれにも該当する場合は九月以内の期間とする。
①
不当廉売差額に満たない不当廉売関税を課することについて検討する旨が明らかにされる場合
②
法第8条第9項の規定による措置(以下「暫定措置」という。)がとられる貨物の輸出者(当該貨物に占める当該輸出者に係る貨物の割合が相当の割合以上である輸出者に限る。
次項において同じ。)が、あらかじめ暫定措置の期間として四月を超える期間を求めた場合
2
法第8条第5項の調査に係る輸入貨物の輸出者は、当該貨物に係る暫定措置の期間として四月を超える期間を求めようとする場合には、その旨及びその理由を記載した書面を、
同項の調査が開始された日から六十日を経過する日より前に、財務大臣に提出しなければならない。
第17条の2
【新規供給者に係る貨物に係る担保の提供等】
1
財務大臣は、
法第8条第13項の調査に係る新規供給者(
同条第12項に規定する新規供給者をいう。)が輸出し、又は生産する貨物について
同条第18項の規定により担保の提供を命ずることが決定されたときは、当該決定に係る新規供給者の氏名又は名称及び提供を命ずる担保の額を税関長に通知するものとし、税関長は、当該通知に基づき、当該貨物を当該調査に係る
同条第15項に規定する調査期間内に輸入しようとする者(以下この項において「輸入者」という。)に対し、当該決定に係る担保の提供を命ずるものとする。ただし、税関長が、当該輸入者の資力を勘案して担保の提供を命ずる必要がないと認めるときは、この限りでない。
2
税関長は、
法第8条第13項の調査が終了した場合において、
同条第1項の規定により課される不当廉売関税を
同条第15項の規定により廃止することが決定されたときは、速やかに、
前項の規定により提供された担保を解除する手続をしなければならない。
3
税関長は、
法第8条第1項の規定により課される不当廉売関税を
同条第16項の規定により変更することが決定された場合において、
第1項の規定により提供された担保の額が
同条第16項の規定により変更された不当廉売関税の額を超えるときは、速やかに、
第1項の規定により提供された担保の額のうち当該超える部分の額に相当する額の担保を解除する手続をしなければならない。
第18条
【調査に関する協議等】
財務大臣、
法第8条第1項に規定する本邦の産業を所管する大臣(以下この条において「産業所管大臣」という。)及び経済産業大臣は、調査を開始する必要があると認めるときは、相互にその旨を通知するものとする。この場合において、財務大臣、産業所管大臣及び経済産業大臣は、調査(調査の結果の取扱いを含む。)及び
法第8条第7項の規定による申出に係る約束に関し常に緊密な連絡(
第7条第1項から
第5項まで及び
第14条第1項の規定により提出された書面の写しの財務大臣による産業所管大臣及び経済産業大臣に対する送付を含む。)を保つとともに、これらに関する重要事項について協議の上定めるものとする。
第19条
【還付】
1
法第8条第32項の規定により指定貨物に係る不当廉売関税の還付を請求しようとする輸入者は、還付を受けようとする不当廉売関税の額及びその計算の基礎を記載した還付請求書に、要還付額があることについての十分な証拠を添えて、これを当該指定貨物の輸入地を所轄する税関長に提出しなければならない。この場合において、税関長は、当該提出された書面の写し及び当該証拠を財務大臣に送付するものとする。
3
財務大臣は、
法第8条第34項ただし書の規定により
同条第33項の調査の期間を延長することが決定されたときは、速やかに、その旨、延長される調査の期間及び延長の理由を
同条第32項の規定により請求をした輸入者に対し書面により通知しなければならない。
4
財務大臣は、
法第8条第33項の調査が終了したときは、その調査の結果を税関長に通知するものとし、税関長は、当該通知に基づき、遅滞なく、その請求に係る金額を限度として不当廉売関税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面によりその請求をした輸入者に通知する。
第20条
【関税・外国為替等審議会への諮問】
財務大臣は、調査の結果に基づき
法第8条第1項の規定により不当廉売関税を課すること、
同項の規定により課される不当廉売関税を変更(
同項の規定により指定された期間の変更を含む。)すること若しくは廃止すること又は暫定措置をとることが必要であると認められるときは、速やかに、関税・外国為替等審議会に諮問するものとする。
附則
この政令は、関税定率法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。