• 実用発電用原子炉に使用する燃料体の技術基準に関する規則
    • 第1条 [適用範囲]
    • 第2条 [定義]
    • 第3条 [特殊な加工による発電用原子炉に使用する燃料体]
    • 第4条 [金属ウラン燃料材]
    • 第5条 [二酸化ウラン燃料材]
    • 第6条 [ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料材]
    • 第7条 [マグネシウム合金燃料被覆材]
    • 第8条 [ジルコニウム合金燃料被覆材]
    • 第9条 [マグネシウム合金端栓]
    • 第10条 [ジルコニウム合金端栓]
    • 第11条 [黒鉛スリーブ]
    • 第12条 [その他の部品]
    • 第13条 [燃料要素]
    • 第14条 [燃料集合体]
    • 第15条 [フレキシブルディスクによる手続]
    • 第16条 [フレキシブルディスクの構造]
    • 第17条 [フレキシブルディスクの記録方式]
    • 第18条 [フレキシブルディスクに貼り付ける書面]

実用発電用原子炉に使用する燃料体の技術基準に関する規則

平成25年6月28日 制定
第1条
【適用範囲】
この規則は、実用発電用原子炉に使用する燃料体について適用する。
第2条
【定義】
この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律において使用する用語の例による。
この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
「燃料材」とは、熱を発生させるために成形された核燃料物質をいう。
「燃料被覆材」とは、原子核分裂生成物の飛散を防ぎ、かつ、冷却材による侵食を防ぐために燃料材を覆う金属管をいう。
「端栓」とは、燃料被覆材の両端を密封するために成形された金属部品をいう。
「燃料要素」とは、燃料材、燃料被覆材及び端栓からなる炉心の構成要素であって、構造上独立の最小単位であるものをいう。
「黒鉛スリーブ」とは、フィン付き燃料要素の荷重を支え、かつ、冷却材の流路を確保するためにマグネシウム合金燃料被覆材の外側に設けられる黒鉛製の円筒をいう。
第3条
【特殊な加工による発電用原子炉に使用する燃料体】
特別の理由により原子力規制委員会の認可を受けた場合は、この規則の規定によらないで燃料体の加工をすることができる。
前項の認可を受けようとする者は、その理由及び燃料体の加工の方法について記載した申請書に関係図面を添付して申請しなければならない。
参照条文
第4条
【金属ウラン燃料材】
金属ウラン燃料材は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
燃料材の軸は、著しく湾曲していないこと。
次の表の上欄に掲げる元素を含有する場合における当該元素の含有量の全重量に対する百分率の値は、それぞれ同表の下欄に掲げる値であること。
アルミニウム〇・〇八以上〇・一六以下
ほう素〇・〇〇〇〇一二以下
炭素〇・二〇以下
クロム〇・〇一一以下
〇・〇〇二〇以下
コバルト〇・〇〇〇五以下
〇・〇一〇以上〇・〇五〇以下
ふっ素〇・〇一〇以下
水素〇・〇〇〇五以下
マンガン〇・〇〇二五以下
ニッケル〇・〇一五以下
窒素〇・〇一五以下
酸素〇・〇五〇以下
けい素〇・〇一〇以下
トリウム〇・〇〇一〇以下
組織の状態は、正常であること。
結晶粒度は、実用上差し支えがないものであること。
割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
中空のものであってその両端に端プラグを溶接したものの溶接部は、次に適合すること。
ブローホール、アンダーカット等で有害なものがないこと。
中空部に封入されているヘリウムの漏えい量が著しく大きくないこと。
第5条
【二酸化ウラン燃料材】
二酸化ウラン燃料材は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
次の表の上欄に掲げる元素を含有する場合における当該元素の含有量のウランの含有量に対する百分率の値は、それぞれ同表の下欄に掲げる値であること。
炭素〇・〇一〇以下
ふっ素〇・〇〇一五以下
水素〇・〇〇〇二以下
窒素〇・〇〇七五以下
ウラン二三五の含有量のウランの含有量に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
ペレット型燃料材にあっては、ペレットが次に適合すること。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
密度の偏差は、著しく大きくないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
ガドリニウムを添加していないものにあっては、次に適合すること。
ウランの含有量の全重量に対する百分率の値は、八十七・七以上であること。
酸素の原子数のウランの原子数に対する比率の値は、一・九九以上二・〇二以下であること。
ガドリニウムを添加したものにあっては、次に適合すること。
ウランの含有量の全重量に対する百分率の値は、実用上差し支えがないものであること。
酸素の原子数のウランの原子数に対する比率の値は、実用上差し支えがないものであること。
ガドリニウムの含有量の全重量に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
ガドリニウムの均一度は、実用上差し支えがないものであること。
第6条
【ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料材】
ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料材は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各元素の含有量の全重量に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
酸素の原子数のウラン及びプルトニウムの原子数の合計に対する比率の値は、実用上差し支えがないものであること。
ウラン二三五、プルトニウム二三九及びプルトニウム二四一の含有量の合計のウラン及びプルトニウムの含有量の合計に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
プルトニウムの均一度は、実用上差し支えがないものであること。
ペレット型燃料材にあっては、ペレットが次に適合すること。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
密度の偏差は、著しく大きくないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
第7条
【マグネシウム合金燃料被覆材】
マグネシウム合金燃料被覆材は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
被覆材の軸は、著しく湾曲していないこと。
次の表の上欄に掲げる元素を含有する場合における当該元素の含有量の全重量に対する百分率の値は、それぞれ同表の下欄に掲げる値であること。
アルミニウム〇・六五以上〇・九〇以下
ベリリウム〇・〇〇二以上〇・〇三〇以下
カルシウム〇・〇〇八以下
〇・〇〇六以下
けい素〇・〇一〇以下
亜鉛〇・〇一五以下
組織の状態は、正常であること。
結晶粒度は、実用上差し支えがないものであること。
割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
フィン付きのものにあっては、フィンの形状が正常であり、かつ、フィンの並びが整一であること。
参照条文
第8条
【ジルコニウム合金燃料被覆材】
ジルコニウム合金燃料被覆材は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
被覆材の軸は、著しく湾曲していないこと。
各元素の含有量の全重量に対する百分率の値は、日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「四 品質」の表二及び表三に規定する値であること。
日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「附属書三 水素化物方位試験方法」又はこれと同等の方法によって水素化物方位試験を行ったとき、水素化物方向性係数が〇・四五を超えないこと。
日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「附属書四 超音波探傷試験方法」又はこれと同等の方法によって超音波探傷試験を行ったとき、対比試験片の人工傷からの欠陥信号と同等以上の欠陥信号がないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
表面の粗さの程度は、実用上差し支えがないものであること。
日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「附属書二 腐食試験方法」又はこれと同等の方法によって腐食試験を行ったとき、表面に著しい白色又は褐色の酸化物が付着せず、かつ、腐食質量増加が三日間で二十二ミリグラム毎平方デシメートル以下又は十四日間で三十八ミリグラム毎平方デシメートル以下であること。
再結晶焼きなましを行ったものにあっては、次に適合すること。
日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「附属書一 結晶粒度試験方法」又はこれと同等の方法によって結晶粒度試験を行ったとき、結晶粒度が結晶粒度番号七と同等又はそれより細かいこと。
日本工業規格Z二二四一「金属材料引張試験方法」又はこれと同等の方法によって引張試験を行ったとき、引張強さ、耐力及び伸びが日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「四 品質」の表四に規定する値であること。
応力除去焼きなましを行ったものにあっては、日本工業規格Z二二四一「金属材料引張試験方法」又はこれと同等の方法によって引張試験を行ったとき、引張強さ、耐力及び伸びが必要な値であること。
参照条文
第9条
【マグネシウム合金端栓】
第7条第2号第4号第5号及び第8号を除く。)の規定は、マグネシウム合金端栓に準用する。この場合において、同条第6号中「割れ」とあるのは「表面に割れ」と読み替えるものとする。
第10条
【ジルコニウム合金端栓】
再結晶焼きなましを行ったジルコニウム合金端栓は、日本工業規格Z二二四一「金属材料引張試験方法」又はこれと同等の方法によって次の表の上欄に掲げるいずれかの試験温度において引張試験を行ったとき、引張強さ、耐力及び伸びが同欄に掲げる試験温度の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値であるものでなければならない。
温度引張試験
引張強さ
ニュートン毎平方ミリメートル
耐力
ニュートン毎平方ミリメートル
伸び
パーセント
十度以上
三十五度以下
四百十五以上二百四十以上十四以上
三百十六度二百十五以上百五以上二十四以上
応力除去焼きなましを行ったジルコニウム合金端栓は、日本工業規格Z二二四一「金属材料引張試験方法」又はこれと同等の方法によって引張試験を行ったとき、引張強さ、耐力及び伸びが必要な値であること。
第8条第2号第4号第5号第8号第10号及び第11号を除く。)の規定は、ジルコニウム合金端栓に準用する。ただし、第8条第3号の日本工業規格H四七五一「ジルコニウム合金管」の「四 品質」の表三に掲げるニオブ及びカルシウムを除く。
第11条
【黒鉛スリーブ】
黒鉛スリーブは、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
各元素の含有量の全重量に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
試料の軸方向に荷重を加えて圧縮して破壊したとき、これに要した荷重は、使用中に黒鉛スリーブに加わる最大荷重より大きいこと。この場合において、試験は、同一の条件で製造されたものから採取された適当な数の試料について行うものとする。
第12条
【その他の部品】
燃料材、燃料被覆材、端栓及び黒鉛スリーブ以外の燃料体の部品は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
支持格子、上部支持板、下部支持板、ウォータロッド、制御棒案内シンブルにあっては、次に適合すること。
各元素の含有量の全重量に対する百分率の値の偏差は、著しく大きくないこと。
日本工業規格Z二二四一「金属材料引張試験方法」又はこれと同等の方法によって引張試験を行ったとき、引張強さ、耐力及び伸びが必要な値であること。
第13条
【燃料要素】
燃料要素は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
燃料要素の軸は、著しく湾曲していないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
日本工業規格Z四五〇四「放射線表面汚染の測定方法」における間接測定法(フィン付きのものにあっては、比例計数管法)又はこれと同等の方法によって測定したとき、表面に付着している核燃料物質の量が〇・〇〇〇〇四ベクレル毎平方ミリメートル(フィン付きのものにあっては、一燃料要素当たり〇・七ベクレル)を超えないこと。
ヘリウム漏えい試験を行ったとき、漏えい量が一億分の三百四メガパスカル立方ミリメートル毎秒(フィン付きのものにあっては、百万分の百五十二メガパスカル立方ミリメートル毎秒)を超えないこと。
溶接部にブローホール、アンダーカット等で有害なものがないこと。
フィン付きのものにあっては、フィンの形状が正常であり、かつ、フィンの並びが整一であること。
部品の欠如がないこと。
第14条
【燃料集合体】
燃料要素の集合体である燃料体は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
各部分の寸法の偏差は、著しく大きくないこと。
表面に割れ、傷等で有害なものがないこと。
表面に油脂、酸化物等で有害な付着物がないこと。
部品の欠如がないこと。
第15条
【フレキシブルディスクによる手続】
第3条第2項の申請書の申請については、当該申請書に記載すべきこととされている事項を記録したフレキシブルディスク及び別記様式のフレキシブルディスク提出票を提出することにより行うことができる。
参照条文
第16条
【フレキシブルディスクの構造】
前条のフレキシブルディスクは、次の各号のいずれかに該当するものでなければならない。
日本工業規格X六二二一に適合する九十ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジ
日本工業規格X六二二三に適合する九十ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジ
参照条文
第17条
【フレキシブルディスクの記録方式】
第15条の規定によるフレキシブルディスクへの記録は、次に掲げる方式に従ってしなければならない。
トラックフォーマットについては、前条第1号のフレキシブルディスクに記録する場合にあっては日本工業規格X六二二二に、同条第2号のフレキシブルディスクに記録する場合にあっては日本工業規格X六二二五に規定する方式
ボリューム及びファイル構成については、日本工業規格X〇六〇五に規定する方式
文字の符号化表現については、日本工業規格X〇二〇八附属書一に規定する方式
第15条の規定によるフレキシブルディスクへの記録は、日本工業規格X〇二〇一及びX〇二〇八に規定する図形文字並びに日本工業規格X〇二一一に規定する制御文字のうち「復帰」及び「改行」を用いてしなければならない。
第18条
【フレキシブルディスクに貼り付ける書面】
第15条のフレキシブルディスクには、日本工業規格X六二二一又はX六二二三に規定するラベル領域に、次に掲げる事項を記載した書面を貼り付けなければならない。
提出者の氏名又は名称
提出年月日
附則
この規則は、原子力規制委員会設置法附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(平成二十五年七月八日)から施行する。
この規則の施行の際現に発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令第二条第一項の規定によりされている認可は、第三条第一項の規定によりされた認可とみなす。
この規則の施行の際現に発電用核燃料物質に関する技術基準を定める省令第二条第二項の規定による認可についてされている申請は、第三条第二項の規定による認可についてされた申請とみなす。

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