日本国及希臘国間修好通商航海条約
明治32年10月12日 制定
第5条
希臘国の生産或は製造に係る物品を日本国に輸入し又日本国の生産或は製造に係る物品を希臘国に輸入するにも総て別国の生産或は製造に係る同種の物品にして同様の目的を以て輸入するものに対し課する処の税に異なるか或は之より多額の税を課せらるることなかるへし両締盟国の一方の領土若は所属地より他の一方の領土若は所属地へ輸出するー切の物品へは別国へ輸出する同種物品に対し賦課し若は賦課すへき所に異なるか或は之より多額の税金又は雑費を賦課することなかるへし又両締盟国の一方の領土若は所属地へ別国の生産或は製造に係る同種の物品の輸入を禁止するに非されは他の一方の領土若は所属地の生産若は製造に係る物品を輸入することを禁止することなかるへし又両締盟国の一方の領土若は所属地に於て総て別国に向ひ同種の物品の輸出を禁止するに非されは他の一方の領土若は所属地へ物品を輸出することをも禁止せさるへし
第10条
両締盟国の一方の軍艦或は商船にして暴風又は其の他の危難に遭遇し避難の為め已むを得す他の一方の海港に進入するものは内国船舶の払ふへき税金の外何等の税金を払ふことなく其の港に於て更に艤装を為し一切の需要品を求め再ひ航行するを得へし但し商船の船長にして其の費用を支弁する為め其の積荷の一部を売却するを要する場合には該船長は其の寄港地の規則及税目を遵守すへきものとす両締盟国の一方の軍艦或は商船にして他の一方の沿岸に於て浅瀬に乗上け或は難破したるときは右難破若は乗上けたる船舶並に其の器具及其の他一切の附属品及該船舶より救上けたる貨物並に商品及右等の諸物件にして海中に投棄せられたるもの又は之を売却したるときは其の収得金並に該遭難船内に発見せられたる一切の書類は右船舶の持主或は其の代理人より要求するときは之に引渡すへし右持主或は代理人の現場に在らさるときは内国法律に定めたる期限内に当該総領事、領事、副領事或は代弁領事より請求あれは之を引渡すへし而して右領事官、持主或は代理人は内国船舶難破の場合に於て払ふへき所の物品保存費並に難破救助費及其の他の費用のみを払ふへきものとす難破船より救上けたる貨物及商品は消費の為に通関手続を為すものに非されは一切の関税を免除すへし但し消費の為に之を売捌く場合には普通の関税を納むへきものとす両締盟国の一方の臣民に属する船舶にして他の一方の版図内に於て浅瀬に乗上け或は難破したるとき其の持主、船長若は持主代理人不在の場合には当該総領事、領事、副領事若は代弁領事は其の自国臣民に必要の補助を与ふる為め職権上の助力を為すを許さるへきものとす此の規定は持主、船長若は他の代理人現に其の場に在るときと雖も右様の輔助を与ふるを請求する場合には亦適用すへきものとす