• 河川管理施設等構造令

河川管理施設等構造令

平成25年7月5日 改正
第1章
総則
第1条
【この政令の趣旨】
この政令は、河川管理施設又は河川法(以下「法」という。)第26条第1項の許可を受けて設置される工作物(以下「許可工作物」という。)のうち、ダム、堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる一般的技術的基準を定めるものとする。
第2条
【用語の定義】
この政令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
常時満水位 ダムの新築又は改築に関する計画において非洪水時にダムによつて貯留することとした流水の最高の水位でダムの非越流部の直上流部におけるものをいう。
サーチャージ水位 ダムの新築又は改築に関する計画において洪水時にダムによつて一時的に貯留することとした流水の最高の水位でダムの非越流部の直上流部におけるものをいう。
設計洪水位 ダムの新築又は改築に関する計画において、ダムの直上流の地点において二百年につき一回の割合で発生するものと予想される洪水の流量、当該地点において発生した最大の洪水の流量又は当該ダムに係る流域と水象若しくは気象が類似する流域のそれぞれにおいて発生した最大の洪水に係る水象若しくは気象の観測の結果に照らして当該地点に発生するおそれがあると認められる洪水の流量のうちいずれか大きい流量(フィルダムにあつては、当該流量の一・二倍の流量。以下「ダム設計洪水流量」という。)の流水がダムの洪水吐きを流下するものとした場合におけるダムの非越流部の直上流部における最高の水位(貯水池の貯留効果が大きいダムにあつては、当該水位から当該貯留効果を考慮して得られる値を減じた水位)をいう。
計画高水流量 河川整備基本方針に従つて、過去の主要な洪水及びこれらによる災害の発生の状況並びに流域及び災害の発生を防止すべき地域の気象、地形、地質、開発の状況等を総合的に考慮して、河川管理者が定めた高水流量をいう。
計画横断形 計画高水流量の流水を流下させ、背水、計画津波又は計画高潮位の高潮が河川外に流出することを防止し、高規格堤防設計水位以下の水位の流水の作用に対して耐えるようにし、河川を適正に利用させ、流水の正常な機能を維持し、及び河川環境の整備と保全をするために必要な河川の横断形で、河川整備基本方針に従つて、河川管理者が定めたものをいう。
流下断面 流水の流下に有効な河川の横断面をいう。
計画高水位 河川整備基本方針に従つて、計画高水流量及び計画横断形に基づいて、又は流水の貯留を考慮して、河川管理者が定めた高水位をいう。
計画津波 河川整備基本方針に従つて、過去の主要な津波及びこれらによる災害の発生状況並びに当該河川が流入する海域の水象等を総合的に考慮して、河川管理者が定めた津波をいう。
計画津波水位 河川整備基本方針に従つて、計画津波及び計画横断形に基づいて、河川管理者が定めた津波水位をいう。
津波区間 計画津波水位が計画高水位より高い河川の区間をいう。
計画高潮位 河川整備基本方針に従つて、過去の主要な高潮及びこれらによる災害の発生の状況、当該河川及び当該河川が流入する海域の水象及び気象並びに災害の発生を防止すべき地域の開発の状況等を総合的に考慮して、河川管理者が定めた高潮位をいう。
高潮区間 計画高潮位が計画高水位より高い河川の区間をいう。
高規格堤防設計水位 高規格堤防を設置すべきものとして河川整備基本方針に定められた河川の区間(第46条第2項において「高規格堤防設置区間」という。)の流域又は当該流域と水象若しくは気象が類似する流域のそれぞれにおいて発生した最大の洪水、津波及び高潮に係る水象又は気象の観測の結果に照らして当該区間の流域に発生するおそれがあると認められる洪水、津波及び高潮が生ずるものとした場合における当該区間の河道内の最高の水位をいう。
参照条文
第2章
ダム
第3条
【適用の範囲】
この章の規定は、次に掲げるダム以外のダムについて適用する。
土砂の流出を防止し、及び調節するため設けるダム
基礎地盤から堤頂までの高さが十五メートル未満のダム
第4条
【構造の原則】
ダムの堤体及び基礎地盤(これと堤体との接合部を含む。以下同じ。)は、必要な水密性を有し、及び予想される荷重に対し必要な強度を有するものとするものとする。
コンクリートダムの堤体は、予想される荷重によつて滑動し、又は転倒しない構造とするものとする。
フィルダムの堤体は、予想される荷重によつて滑り破壊又は浸透破壊が生じない構造とするものとする。
ダムの基礎地盤は、予想される荷重によつて滑動し、滑り破壊又は浸透破壊が生じないものとするものとする。
フィルダムの堤体には、放流設備その他の水路構造物を設けてはならない。
第5条
【堤体の非越流部の高さ】
ダムの堤体の非越流部の高さは、洪水吐きゲートの有無に応じ、コンクリートダムにあつては次の表の下欄に掲げる値のうち最も大きい値以上、フィルダムにあつては同欄に掲げる値のうち最も大きい値に一メートルを加えた値以上とするものとする。
区分堤体の非越流部の高さ(単位 メートル)
洪水吐きゲートを有するダムHn+hw+he+0.5(hw+he<1.5のときは、 Hn+2) 
Hs+hw+he÷2+0.5(hw+he÷2<1.5 のときは、 Hs+2) 
Hd+hw+0.5(hw<0.5 のときは、 Hd+1)
洪水吐きゲートを有しないダムHn+hw+he(hw+he<2のときは、 Hn+2) 
Hs+hw+he÷2(hw+he÷2<2 のときは、 Hs+2) 
Hd+hw(hw<1 のときは、 Hd+1)
備考
 この表において、Hn、hw、he、Hs及びHdは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Hn 常時満水位(単位 メートル)
hw 風による波浪の貯水池の水面からの高さ(単位 メートル)
he 地震による波浪の貯水池の水面からの高さ(単位 メートル)
Hs サーチャージ水位(単位 メートル)
Hd 設計洪水位(単位 メートル)
洪水吐きゲートを有しないフィルダムで、ダム設計洪水流量の流水が洪水吐きを流下する場合における越流水深が二・五メートル以下であるものに関する前項の規定の適用については、同項の表二の項の下欄中、「hw+he<2のときは、Hn+2」とあるのは「hw+he<1のときは、Hn+1」と、「hw+(he÷2)<2のときは、Hs+2」とあるのは「hw+(he÷2)<1のときは、Hs+1」とする。
第6条
【堤体等に作用する荷重の種類】
ダムの堤体及び基礎地盤に作用する荷重としては、ダムの種類及び貯水池の水位に応じ、次の表に掲げるものを採用するものとする。
ダムの種類重力式コンクリートダムアーチ式コンクリートダムフィルダム
貯水池の水位
ダムの非越流部の直上流部における水位が常時満水位以下又はサーチャージ水位以下である場合W、P、Pe、I、Pd、UW、P、Pe、I、Pd、U、TW、P、I、Pp
ダムの非越流部の直上流部における水位が設計洪水位である場合W、P、Pe、UW、P、Pe、U、TW、P、Pp
備考
 この表において、W、P、Pe、I、Pd、U、Pp及びTは、それぞれ次の荷重を表すものとする。 
W ダムの堤体の自重
P 貯留水による静水圧の力
Pe 貯水池内に堆積する泥土による力
I 地震時におけるダムの堤体の慣性力
Pd 地震時における貯留水による動水圧の力
U 貯留水による揚圧力
Pp 間げき圧(ダムの堤体の内部及びダムの基礎地盤の浸透水による水圧)の力
T ダムの堤体の内部の温度の変化によつて生ずる力
第7条
【洪水吐き】
ダムには、洪水吐きを設けるものとする。
洪水吐き(減勢工を除く。)は、ダム設計洪水流量以下の流水を安全に流下させることができる構造とするものとする。
洪水吐きは、ダムの堤体及び基礎地盤並びに貯水池に支障を及ぼさない構造とするものとする。
第8条
【越流型洪水吐きの越流部の幅】
越流型洪水吐きを有するダムの上流における堤防(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る堤防(以下「計画堤防」という。)を含む。)の高さが当該ダムの設計洪水位以上非越流部の高さ以下である場合においては、第38条及び第39条の規定は、当該ダムの洪水吐きについて準用する。この場合において、第38条第1項中「径間長(隣り合う堰柱の中心線間の距離をいう。以下この章において同じ。)」とあり、並びに同条及び第39条中「径間長」とあるのは、「越流部の幅(洪水吐きの越流部が門柱、橋脚等によつて分割されているときは、分割されたそれぞれの越流部の幅をいう。)」と読み替えるものとする。
第9条
【減勢工】
ダムの堤体又は下流の河床、河岸若しくは河川管理施設を保護するため、洪水吐きを流下する流水の水勢を緩和する必要がある場合においては、洪水吐きに適当な減勢工を設けるものとする。
第10条
【ゲート等の構造の原則】
ダムのゲート(バルブを含む。以下この章において同じ。)は、確実に開閉し、かつ、必要な水密性及び耐久性を有する構造とするものとする。
ダムのゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
ダムのゲートは、予想される荷重に対して安全な構造とするものとする。
ゲートを有する洪水吐きには、必要に応じ、予備のゲート又はこれに代わる設備を設けるものとする。
参照条文
第11条
【ゲートに作用する荷重の種類】
ダムのゲートに作用する荷重としては、ゲートの自重、貯留水による静水圧の力、貯水池内に堆積する泥土による力、貯留水の氷結時における力、地震時におけるゲートの慣性力、地震時における貯留水による動水圧の力及びゲートの開閉によつて生ずる力を採用するものとする。
第12条
【荷重等の計算方法】
第6条及び前条に規定する荷重の計算その他ダムの構造計算に関し必要な技術的基準は、国土交通省令で定める。
参照条文
第13条
【計測装置】
ダムには、次の表の中欄に掲げる区分に応じ、同表の下欄に掲げる事項を計測するための装置を設けるものとする。
区分計測事項
ダムの種類基礎地盤から堤頂までの高さ(単位 メートル)
重力式コンクリートダム五十未満漏水量 揚圧力
五十以上漏水量 変形 揚圧力
アーチ式コンクリートダム三十未満漏水量 変形
三十以上漏水量 変形 揚圧力
フィルダムダムの堤体がおおむね均一の材料によるもの 漏水量 変形 浸潤線
その他のもの 漏水量 変形
基礎地盤から堤頂までの高さが百メートル以上のダム又は特殊な設計によるダムには、前項に規定するもののほか、当該ダムの管理上特に必要と認められる事項を計測するための装置を設けるものとする。
第14条
【放流設備】
ダムには、河川の流水の正常な機能を維持するために必要な放流設備を設けるものとする。
第15条
【地滑り防止工及び漏水防止工】
貯水池内若しくは貯水池に近接する土地におけるダムの設置若しくは流水の貯留に起因する地滑りを防止し、又は貯水池からの漏水を防止するため必要がある場合においては、適当な地滑り防止工又は漏水防止工を設けるものとする。
第16条
【貯水池に沿つて設置する樹林帯】
貯水池に沿つて設置する樹林帯は、国土交通省令で定めるところにより、貯留水の汚濁又は貯水池への土砂の流入の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
第3章
堤防
第17条
【適用の範囲】
この章の規定は、流水が河川外に流出することを防止するために設ける堤防及び霞堤について適用する。
第18条
【構造の原則】
堤防は、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の通常の作用に対して安全な構造とするものとする。
高規格堤防にあつては、前項の規定によるほか、高規格堤防特別区域内の土地が通常の利用に供されても、高規格堤防及びその地盤が、護岸、水制その他これらに類する施設と一体として、高規格堤防設計水位以下の水位の流水の作用に対して耐えることができるものとするものとする。
高規格堤防は、予想される荷重によつて洗掘破壊、滑り破壊又は浸透破壊が生じない構造とするものとし、かつ、その地盤は、予想される荷重によつて滑り破壊、浸透破壊又は液状化破壊が生じないものとするものとする。
第19条
【材質及び構造】
堤防は、盛土により築造するものとする。ただし、高規格堤防以外の堤防にあつては、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては、その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし、又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる。
第20条
【高さ】
堤防(計画高水流量を定めない湖沼の堤防を除く。)の高さは、計画高水流量に応じ、計画高水位に次の表の下欄に掲げる値を加えた値以上とするものとする。ただし、堤防に隣接する堤内の土地の地盤高(以下「堤内地盤高」という。)が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあつては、この限りでない。
計画高水流量(単位 一秒間につき立方メートル)計画高水位に加える値(単位 メートル)
二〇〇未満〇・六
二〇〇以上〇・八
五〇〇未満
五〇〇以上
二、〇〇〇未満
二、〇〇〇以上一・二
五、〇〇〇未満
五、〇〇〇以上一・五
一〇、〇〇〇未満
一〇、〇〇〇以上
前項の堤防のうち計画高水流量を定める湖沼又は高潮区間の堤防の高さは、同項の規定によるほか、湖沼の堤防にあつては計画高水位に、高潮区間の堤防にあつては計画高潮位に、それぞれ波浪の影響を考慮して必要と認められる値を加えた値を下回らないものとするものとする。
計画高水流量を定めない湖沼の堤防の高さは、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位。第5項において同じ。)に波浪の影響を考慮して必要と認められる値を加えた値以上とするものとする。
津波区間の堤防の高さは、前三項の規定によるほか、計画津波水位に河口付近の海岸堤防の高さ及び漂流物の影響を考慮して必要と認められる値を加えた値を下回らないものとするものとする。
胸壁を有する堤防の胸壁を除いた部分の高さは、計画高水位以上とするものとする。
参照条文
第21条
【天端幅】
堤防(計画高水流量を定めない湖沼の堤防を除く。)の天端幅は、堤防の高さと堤内地盤高との差が〇・六メートル未満である区間を除き、計画高水流量に応じ、次の表の下欄に掲げる値以上とするものとする。ただし、堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあつては、計画高水流量が一秒間につき五百立方メートル以上である場合においても、三メートル以上とすることができる。
計画高水流量(単位 一秒間につき立方メートル)天端幅(単位 メートル)
五〇〇未満
五〇〇以上
二、〇〇〇未満
二、〇〇〇以上
五、〇〇〇未満
五、〇〇〇以上
一〇、〇〇〇未満
一〇、〇〇〇以上
計画高水流量を定めない湖沼の堤防の天端幅は、堤防の高さ及び構造並びに背後地の状況を考慮して、三メートル以上の適切な値とするものとする。
第22条
【盛土による堤防の法勾配等】
盛土による堤防(胸壁の部分及び護岸で保護される部分を除く。次項において同じ。)の法勾配は、堤防の高さと堤内地盤高との差が〇・六メートル未満である区間を除き、五十パーセント以下とするものとする。
盛土による堤防の法面(高規格堤防の裏法面を除く。)は、芝等によつて覆うものとする。
第22条の2
【高規格堤防に作用する荷重の種類】
高規格堤防及びその地盤に作用する荷重としては、河道内の水位に応じ、次の表に掲げるものを採用するものとする。
河道内の水位荷重
計画高水位以下である場合W、P、I、Pp
計画高水位を超え、高規格堤防設計水位以下である場合W、P、Pp、τ
備考  
この表において、W、P、I、Pp及びτは、それぞれ次の荷重を表すものとする。
W 高規格堤防の自重
P 河道内の流水による静水圧の力
I 地震時における高規格堤防及びその地盤の慣性力
Pp 間げき圧(高規格堤防及びその地盤の内部の浸透水による水圧)の力
τ 越流水によるせん断力
第22条の3
【荷重等の計算方法】
前条に規定する荷重の計算その他高規格堤防の構造計算に関し必要な技術的基準は、国土交通省令で定める。
第23条
【小段】
堤防の安定を図るため必要がある場合においては、その中腹に小段を設けるものとする。
堤防の小段の幅は、三メートル以上とするものとする。
第24条
【側帯】
堤防の安定を図るため必要がある場合又は非常用の土砂等を備蓄し、若しくは環境を保全するため特に必要がある場合においては、国土交通省令で定めるところにより、堤防の裏側の脚部に側帯を設けるものとする。
第25条
【護岸】
流水の作用から堤防を保護するため必要がある場合においては、堤防の表法面又は表小段に護岸を設けるものとする。
第26条
【水制】
流水の作用から堤防を保護するため、流水の方向を規制し、又は水勢を緩和する必要がある場合においては、適当な箇所に水制を設けるものとする。
第26条の2
【堤防に沿つて設置する樹林帯】
堤防に沿つて設置する樹林帯は、国土交通省令で定めるところにより、洪水時における破堤の防止等について適切に配慮された構造とするものとする。
第27条
【管理用通路】
堤防には、国土交通省令で定めるところにより、河川の管理のための通路(以下「管理用通路」という。)を設けるものとする。
第28条
【津波又は波浪の影響を著しく受ける堤防に講ずべき措置】
湖沼、津波区間、高潮区間又は二以上の河川の合流する箇所の堤防その他の堤防で津波又は波浪の影響を著しく受けるものには、必要に応じ、次に掲げる措置を講ずるものとする。
表法面又は表小段に護岸又は護岸及び波返工を設けること。
前面に消波工を設けること。
前項の堤防で越波のおそれがあるものには、同項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置を講ずるものとする。
天端、裏法面及び裏小段をコンクリートその他これに類するもので覆うこと。
裏法尻に沿つて排水路を設けること。
参照条文
第29条
【背水区間の堤防の高さ及び天端幅の特例】
甲河川と乙河川が合流することにより乙河川に背水が生ずることとなる場合においては、合流箇所より上流の乙河川の堤防の高さは、第20条第1項から第3項までの規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の高さを下回らないものとするものとする。ただし、堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間及び逆流を防止する施設によつて背水が生じないようにすることができる区間にあつては、この限りでない。
前項本文の規定により乙河川の堤防の高さが定められる場合においては、その高さと乙河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に、計画高水流量に応じ、第20条第1項の表の下欄に掲げる値を加えた高さとが一致する地点から当該合流箇所までの乙河川の区間(湖沼である河川の区間を除く。以下「背水区間」という。)の堤防の天端幅は、第21条第1項又は第2項の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の天端幅を下回らないものとするものとする。ただし、堤内地盤高が計画高水位より高く、かつ、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあつては、この限りでない。
参照条文
第30条
【湖沼等の堤防の天端幅の特例】
計画高水流量を定める湖沼、津波区間又は高潮区間の堤防に第28条第1項第1号に掲げる措置を講ずる場合においては、当該堤防の天端幅は、第21条第1項及び前条第2項の規定にかかわらず、第28条の規定により講ずる措置の内容及び当該堤防に接続する堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防)の天端幅を考慮して、三メートル以上の適切な値とすることができる。
参照条文
第31条
【天端幅の規定の適用除外等】
その全部又は主要な部分がコンクリート、鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造の堤防については、第21条第29条第2項及び前条の規定は、適用しない。
胸壁を有する堤防に関する第21条第29条第2項及び前条の規定の適用については、胸壁を除いた部分の上面における堤防の幅から胸壁の直立部分の幅を減じたものを堤防の天端幅とみなす。
参照条文
第32条
【連続しない工期を定めて段階的に築造される堤防の特例】
堤防の地盤の地質、対岸の状況、上流及び下流における河岸及び堤防の高さその他の特別の事情により、連続しない工期を定めて段階的に堤防を築造する場合においては、それぞれの段階における堤防について、計画堤防の高さと当該段階における堤防の高さとの差に相当する値を計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位。以下この条において同じ。)から減じた値の水位を計画高水位とみなして、この章(第29条及び前条を除く。)の規定を準用する。
第4章
床止め
第33条
【構造の原則】
床止めは、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
床止めは、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
第34条
【護床工及び高水敷保護工】
床止めを設ける場合において、これに接続する河床又は高水敷の洗掘を防止するため必要があるときは、適当な護床工又は高水敷保護工を設けるものとする。
参照条文
第35条
【護岸】
床止めを設ける場合においては、流水の変化に伴う河岸又は堤防の洗掘を防止するため、国土交通省令で定めるところにより、護岸を設けるものとする。
第35条の2
【魚道】
床止めを設ける場合において、魚類の遡上等を妨げないようにするため必要があるときは、国土交通省令で定めるところにより、魚道を設けるものとする。
第5章
第36条
【構造の原則】
堰は、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
堰は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに堰に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
第37条
【流下断面との関係】
可動堰の可動部(流水を流下させるためのゲート及びこれを支持する堰柱に限る。次条及び第39条において同じ。)以外の部分(堰柱を除く。)及び固定堰は、流下断面(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る流下断面を含む。以下この条、第58条第1項及び第61条第1項において同じ。)内に設けてはならない。ただし、山間狭窄部であることその他河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるとき、及び河床の状況により流下断面内に設けることがやむを得ないと認められる場合において、治水上の機能の確保のため適切と認められる措置を講ずるときは、この限りでない。
参照条文
第38条
【可動堰の可動部の径間長】
可動堰の可動部の径間長(隣り合う堰柱の中心線間の距離をいう。以下この章において同じ。)は、計画高水流量に応じ、次の表の下欄に掲げる値以上(可動部の全長(両端の堰柱の中心線間の距離をいう。次項において同じ。)が、計画高水流量に応じ、同欄に掲げる値未満である場合には、その全長の値)とするものとする。ただし、山間狭窄部であることその他河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
計画高水流量(単位 一秒間につき立方メートル)径間長(単位 メートル)
五〇〇未満一五
五〇〇以上二〇
二、〇〇〇未満
二、〇〇〇以上三〇
四、〇〇〇未満
四、〇〇〇以上四〇
前項の表一の項の中欄に該当する場合において、可動堰の可動部の全長が三十メートル未満であるときは、前項の規定にかかわらず、可動部の径間長を十二・五メートル以上とすることができる。
第1項の表三の項又は四の項の中欄に該当する場合において、第1項の規定によれば径間長の平均値を五十メートル以上としなければならず可動堰の構造上適当でないと認められるときは、同項の規定にかかわらず、国土交通省令で定めるところにより、可動部の径間長をそれぞれ同表三の項又は四の項の下欄に掲げる値未満のものとすることができる。
第1項の表四の項の中欄に該当する場合においては、第1項の規定にかかわらず、流心部以外の部分に係る可動堰の可動部の径間長を三十メートル以上とすることができる。この場合においては、可動部の径間長の平均値は、前項の規定の適用がある場合を除き、四十メートル以上としなければならない。
可動堰の可動部が起伏式である場合においては、国土交通省令で定めるところにより、可動部の径間長を前各項の規定によらないものとすることができる。
第39条
【可動堰の可動部の径間長の特例】
可動堰の可動部の一部を土砂吐き又は舟通しとしての効用を兼ねるものとする場合においては、前条第1項の規定にかかわらず、当該部分の径間長は、計画高水流量に応じ、次の表の第三欄に掲げる値以上とすることができる。この場合においては、可動部の径間長の平均値は、同条第2項に該当する可動堰の可動部を除き、同表の第四欄に掲げる値以上でなければならない。
計画高水流量(単位 一秒間につ
き立方メートル)
可動部のうち土砂吐き又は舟通
しとしての効用を兼ねる部分の
径間長(単位 メートル)
可動部の径間長の平均値(単
位 メートル)
五〇〇未満一二・五一五
五〇〇以上
二、〇〇〇未満
一二・五
二〇
二、〇〇〇以上
四、〇〇〇未満
一五
三〇
四、〇〇〇以上二〇四〇
前項の規定によれば可動堰の可動部のうち土砂吐き又は舟通しとしての効用を兼ねる部分以外の部分の径間長が著しく大となり、当該部分のゲートの構造上適当でなく、かつ、治水上の支障がないと認められる場合においては、国土交通省令で定めるところにより、可動部の径間長を同項後段の規定によらないものとすることができる。
第40条
【可動堰の可動部のゲートの構造】
第10条第1項から第3項まで、第11条及び第12条の規定は、可動堰の可動部のゲートについて準用する。
前項に規定するもののほか、可動堰の可動部のゲートの構造の基準に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
第41条
【可動堰の可動部のゲートの高さ】
可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、計画高水流量に応じ、計画高水位に第20条第1項の表の下欄に掲げる値を加えた値以上で、高潮区間においては計画高潮位を下回らず、その他の区間においては当該地点における河川の両岸の堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防(津波区間にあつては、津波が生じないとした場合に定めるべき計画横断形に係る堤防。以下この項において同じ。)の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の表法肩を結ぶ線の高さを下回らないものとするものとする。
可動堰の可動部の起伏式ゲートの倒伏時における上端の高さは、可動堰の基礎部(床版を含む。)の高さ以下とするものとする。
参照条文
第42条
【可動堰の可動部の引上げ式ゲートの高さの特例】
背水区間に設ける可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、治水上の支障がないと認められるときは、前条第1項の規定にかかわらず、次に掲げる高さのうちいずれか高い方の高さ以上とすることができる。
当該河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に、計画高水流量に応じ、第20条第1項の表の下欄に掲げる値を加えた高さ
計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)
地盤沈下のおそれがある地域に設ける可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さは、前条第1項及び前項の規定によるほか、予測される地盤沈下及び河川の状況を勘案して必要と認められる高さを下回らないものとする。
参照条文
第43条
【可動堰の管理施設等】
可動堰には、必要に応じ、管理橋その他の適当な管理施設を設けるものとする。
可動堰を設ける場合において、当該可動堰を操作する者の安全を確保するため必要があるときは、自動的に、又は遠隔操作により可動部のゲートの開閉を行うことができるものとするものとする。
参照条文
第44条
【護床工等】
第34条から第35条の2までの規定は、堰を設ける場合について準用する。
第45条
【洪水を分流させる堰に関する特例】
第37条及び第41条の規定は、洪水を分流させる堰については、適用しない。
第6章
水門及び樋門
第46条
【構造の原則】
水門及び樋門は、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
高規格堤防設置区間及び当該区間に係る背水区間における水門及び樋門にあつては、前項の規定によるほか、高規格堤防設計水位以下の水位の流水の作用に対して耐えることができる構造とするものとする。
水門及び樋門は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに水門又は樋門に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
参照条文
第47条
【構造】
水門及び樋門(ゲート及び管理施設を除く。)は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
樋門は、堆積土砂等の排除に支障のない構造とするものとする。
参照条文
第48条
【断面形】
河川を横断して設ける水門及び樋門の流水を流下させる部分の断面形は、計画高水流量(舟の通行の用に供する水門にあつては、計画高水流量及び通行すべき舟の規模)を勘案して定めるものとする。
前項の規定は、河川及び準用河川以外の水路が河川に合流する箇所において当該水路を横断して設ける水門及び樋門について準用する。
第49条
【河川を横断して設ける水門の径間長等】
第37条から第39条まで(第38条第5項を除く。)の規定は、河川を横断して設ける水門について準用する。この場合において、第37条中「可動堰の可動部(流水を流下させるためのゲート及びこれを支持する堰柱に限る。次条及び第39条において同じ。)以外の部分(堰柱を除く。)及び固定堰」とあるのは、「水門のうち流水を流下させるためのゲート及び門柱以外の部分」と、第38条及び第39条中「可動堰の可動部」とあり、及び「可動部」とあるのは、「水門のうち流水を流下させるためのゲート及びこれを支持する門柱の部分」と、第38条第1項中「堰柱」とあるのは、「門柱」と読み替えるものとする。
河川を横断して設ける樋門で二門以上のゲートを有するものの内法幅は、五メートル以上とするものとする。ただし、内法幅が内法高の二倍以上となるときは、この限りでない。
参照条文
第50条
【ゲート等の構造】
水門及び樋門のゲートは、確実に開閉し、かつ、必要な水密性を有する構造とするものとする。
水門及び樋門のゲートは、鋼構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
水門及び樋門のゲートの開閉装置は、ゲートの開閉を確実に行うことができる構造とするものとする。
参照条文
第51条
【水門のゲートの高さ等】
水門のカーテンウォールの上端の高さ又はカーテンウォールを有しない水門のゲートの閉鎖時における上端の高さは、水門に接続する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さを下回らないものとするものとする。ただし、高潮区間において水門の背後地の状況その他の特別の事情により治水上支障がないと認められるときは、水門の構造、波高等を考慮して、計画高潮位以上の適切な高さとすることができる。
第41条第1項の規定は、河川を横断して設ける水門(流水を分流させる水門を除く。)のカーテンウォール及びゲートの高さについて、第42条の規定は、河川を横断して設ける水門のカーテンウォール及びゲートの高さについて準用する。この場合において、これらの規定中「可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さ」とあるのは、「水門のカーテンウォールの下端の高さ及び水門の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さ」と読み替えるものとする。
第52条
【水門及び樋門の管理施設等】
第43条の規定は、水門及び樋門について準用する。
水門は、国土交通省令で定めるところにより、管理用通路としての効用を兼ねる構造とするものとする。
第53条
【護床工等】
第34条及び第35条の規定は、水門又は樋門を設ける場合について準用する。
第7章
揚水機場、排水機場及び取水塔
第54条
【揚水機場及び排水機場の構造の原則】
揚水機場及び排水機場は、河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
揚水機場及び排水機場のポンプ室(ポンプを据え付ける床及びその下部の室に限る。)、吸水槽及び吐出水槽その他の調圧部は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
第55条
【排水機場の吐出水槽等】
樋門を有する排水機場には、吐出水槽その他の調圧部を設けるものとする。ただし、樋門が横断する河岸又は堤防(非常用の土砂等を備蓄し、又は環境を保全するために設けられる側帯を除く。第57条第1項第65条第2項第70条第1項及び第72条において同じ。)の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
吐出水槽その他の調圧部の上端の高さは、排水機場の樋門が横断する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さ以上とするものとする。
第56条
【流下物排除施設】
揚水機場及び排水機場には、土砂、竹木その他の流下物を排除するため、沈砂池、スクリーンその他の適当な流下物排除施設を設けるものとする。ただし、河川管理上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
第57条
【樋門】
揚水機場及び排水機場の樋門と樋門以外の部分とは、構造上分離するものとする。ただし、樋門が横断する河岸又は堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
第49条第2項の規定は、揚水機場又は排水機場の樋門でポンプによる揚水又は排水のみの用に供されるものについては、適用しない。
参照条文
第58条
【取水塔の構造】
取水塔(流下断面内に設けるものに限る。以下この条及び次条において同じ。)は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに取水塔に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
取水塔は、鉄筋コンクリート構造又はこれに準ずる構造とするものとする。
取水塔の河床下の部分には、直接取水する取水口を設けてはならない。ただし、取水口の規模及び深さ等を考慮して治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
参照条文
第59条
【護床工等】
第34条及び第35条の規定は、取水塔を設ける場合について準用する。
参照条文
第8章
第60条
【河川区域内に設ける橋台及び橋脚の構造の原則】
河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず、並びに橋台又は橋脚に接続する河床及び高水敷の洗掘の防止について適切に配慮された構造とするものとする。
第61条
【橋台】
河岸又は川幅が五十メートル以上の河川、背水区間若しくは高潮区間に係る堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防。以下この条において同じ。)に設ける橋台は、流下断面内に設けてはならない。ただし、山間狭窄部であることその他河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められるときは、この限りでない。
堤防に設ける橋台(前項の橋台に該当するものを除く。)は、堤防の表法肩より表側の部分に設けてはならない。
堤防に設ける橋台の表側の面は、堤防の法線に平行して設けるものとする。ただし、堤防の構造に著しい支障を及ぼさないために必要な措置を講ずるときは、この限りでない。
堤防に設ける橋台の底面は、堤防の地盤に定着させるものとする。
参照条文
第62条
【橋脚】
河道内に設ける橋脚(基礎部(底版を含む。次項において同じ。)その他流水が作用するおそれがない部分を除く。以下この項において同じ。)の水平断面は、できるだけ細長い楕円形その他これに類する形状のものとし、かつ、その長径(これに相当するものを含む。)の方向は、洪水が流下する方向と同一とするものとする。ただし、橋脚の水平断面が極めて小さいとき、橋脚に作用する洪水が流下する方向と直角の方向の荷重が極めて大きい場合であつて橋脚の構造上やむを得ないと認められるとき、又は洪水が流下する方向が一定でない箇所に設けるときは、橋脚の水平断面を円形その他これに類する形状のものとすることができる。
河道内に設ける橋脚の基礎部は、低水路(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る低水路を含む。以下この項において同じ。)及び低水路の河岸の法肩から二十メートル以内の高水敷においては低水路の河床の表面から深さ二メートル以上の部分に、その他の高水敷においては高水敷(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る高水敷を含む。以下この項において同じ。)の表面から深さ一メートル以上の部分に設けるものとする。ただし、河床の変動が極めて小さいと認められるとき、又は河川の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められるときは、それぞれ低水路の河床の表面又は高水敷の表面より下の部分に設けることができる。
第63条
【径間長】
橋脚を河道内に設ける場合においては、当該箇所において洪水が流下する方向と直角の方向に河川を横断する垂直な平面に投影した場合における隣り合う河道内の橋脚の中心線間の距離(河岸又は堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防。以下この条において同じ。)に橋台を設ける場合においては橋台の胸壁の表側の面から河道内の直近の橋脚の中心線までの距離を含み、河岸又は堤防に橋台を設けない場合においては当該平面上の流下断面(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る流下断面)の上部の角から河道内の直近の橋脚の中心線までの距離を含む。以下この条において「径間長」という。)は、山間狭窄部であることその他河川の状況、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる場合を除き、次の式によつて得られる値(その値が五十メートルを超える場合においては、五十メートル)以上とするものとする。ただし、径間長を次の式によつて得られる値(以下この項及び第3項において「基準径間長」という。)以上とすればその平均値を基準径間長に五メートルを加えた値を超えるものとしなければならないときは、径間長は、基準径間長から五メートルを減じた値(三十メートル未満となるときは、三十メートル)以上とすることができる。L=20+0.005Q(この式において、L及びQは、それぞれ次の数値を表すものとする。L 径間長(単位 メートル)Q 計画高水流量(単位 一秒間につき立方メートル))
次の各号の一に該当する橋(国土交通省令で定める主要な公共施設に係るものを除く。)の径間長は、河川管理上著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるときは、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる値以上とすることができる。
計画高水流量が一秒間につき五百立方メートル未満で川幅が三十メートル未満の河川に設ける橋 十二・五メートル
計画高水流量が一秒間につき五百立方メートル未満で川幅が三十メートル以上の河川に設ける橋 十五メートル
計画高水流量が一秒間につき五百立方メートル以上二千立方メートル未満の河川に設ける橋 二十メートル
基準径間長が二十五メートルを超えることとなる場合においては、第1項の規定にかかわらず、流心部以外の部分に係る橋の径間長を二十五メートル以上とすることができる。この場合においては、橋の径間長の平均値は、これらの規定により定められる径間長以上としなければならない。
河道内に橋脚が設けられている橋、堰その他の河川を横断して設けられている施設に近接して設ける橋の径間長については、これらの施設の相互の関係を考慮して治水上必要と認められる範囲内において国土交通省令で特則を定めることができる。
第64条
【桁下高等】
第41条第1項及び第42条の規定は、橋の桁下高について準用する。この場合において、これらの規定中「可動堰の可動部の引上げ式ゲートの最大引上げ時における下端の高さ」とあるのは、「橋の桁下高」と読み替えるものとする。
橋面(路面その他国土交通省令で定める橋の部分をいう。)の高さは、背水区間又は高潮区間においても、橋が横断する堤防(計画横断形が定められている場合において、計画堤防の高さが現状の堤防の高さより低く、かつ、治水上の支障がないと認められるとき、又は計画堤防の高さが現状の堤防の高さより高いときは、計画堤防)の高さ以上とするものとする。
第65条
【護岸等】
第34条及び第35条の規定は、橋を設ける場合について準用する。
前項の規定による場合のほか、橋の下の河岸又は堤防を保護するため必要があるときは、河岸又は堤防をコンクリートその他これに類するもので覆うものとする。
参照条文
第66条
【管理用通路の構造の保全】
橋(取付部を含む。)は、国土交通省令で定めるところにより、管理用通路の構造に支障を及ぼさない構造とするものとする。
第67条
【適用除外】
第61条第1項から第3項まで、第62条第63条及び第64条の規定は、湖沼、遊水地その他これらに類するものの区域(国土交通省令で定める要件に該当する区域を除く。)内に設ける橋及び治水上の影響が著しく小さいものとして国土交通省令で定める橋については、適用しない。
この章(第64条及び前条を除く。)の規定は、ダム、堰又は水門と効用を兼ねる橋及び樋門又は取水塔に附属して設けられる橋については、適用しない。
第9章
伏せ越し
第68条
【適用の範囲】
この章の規定は、用水施設又は排水施設である伏せ越しについて適用する。
第69条
【構造の原則】
伏せ越しは、計画高水位(高潮区間にあつては、計画高潮位)以下の水位の流水の作用に対して安全な構造とするものとする。
伏せ越しは、計画高水位以下の水位の洪水の流下を妨げず、並びに付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさない構造とするものとする。
第70条
【構造】
堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防を含む。以下この項において同じ。)を横断して設ける伏せ越しにあつては、堤防の下に設ける部分とその他の部分とは、構造上分離するものとする。ただし、堤防の地盤の地質、伏せ越しの深さ等を考慮して、堤防の構造に支障を及ぼすおそれがないときは、この限りでない。
第47条の規定は、伏せ越しの構造について準用する。
参照条文
第71条
【ゲート等】
伏せ越しには、流水が河川外に流出することを防止するため、河川区域内の部分の両端又はこれに代わる適当な箇所に、ゲート(バルブを含む。次項において同じ。)を設けるものとする。ただし、地形の状況により必要がないと認められるときは、この限りでない。
第10条第2項の規定は前項のゲートの開閉装置について、第43条第1項の規定は伏せ越しについて準用する。
第72条
【深さ】
伏せ越しは、低水路(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る低水路を含む。以下この条において同じ。)及び低水路の河岸の法肩から二十メートル以内の高水敷においては低水路の河床の表面から、その他の高水敷においては高水敷(計画横断形が定められている場合には、当該計画横断形に係る高水敷を含む。以下この条において同じ。)の表面から、堤防(計画横断形が定められている場合には、計画堤防を含む。以下この条において同じ。)の下の部分においては堤防の地盤面から、それぞれ深さ二メートル以上の部分に設けるものとする。ただし、河床の変動が極めて小さいと認められるとき、又は河川の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められるときは、それぞれ低水路の河床の表面、高水敷の表面又は堤防の地盤面より下の部分に設けることができる。
第10章
雑則
第73条
【適用除外】
この政令の規定は、次に掲げる河川管理施設又は許可工作物(以下「河川管理施設等」という。)については、適用しない。
治水上の機能を早急に向上させる必要がある小区間の河川における応急措置によつて設けられる河川管理施設等
臨時に設けられる河川管理施設等
工事を施行するために仮に設けられる河川管理施設等
特殊な構造の河川管理施設等で、国土交通大臣がその構造が第2章から第9章までの規定によるものと同等以上の効力があると認めるもの
参照条文
第74条
【計画高水流量等の決定又は変更があつた場合の適用の特例】
河川管理施設等が、これに係る工事の着手(許可工作物にあつては、法第26条の許可。以下この条において同じ。)があつた後における計画高水流量、計画横断形、計画高水位、計画津波水位又は計画高潮位(以下この条において「計画高水流量等」という。)の決定又は変更によつてこの政令の規定に適合しないこととなつた場合においては、当該河川管理施設等については、当該計画高水流量等の決定又は変更がなかつたものとみなして当該規定を適用する。ただし、工事の着手が当該計画高水流量等の決定又は変更の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る河川管理施設等については、この限りでない。
参照条文
第75条
【暫定改良工事実施計画が定められた場合の特例】
河川整備基本方針において定められた河川の総合的な保全と利用に関する基本方針に沿つて計画的に実施すべき改良工事の暫定的な工事の実施計画(以下「暫定改良工事実施計画」という。)が定められた場合においては、当該暫定改良工事実施計画において定められた高水流量、横断形、高水位、津波水位又は高潮位は、国土交通省令で定めるところにより、それぞれ計画高水流量、計画横断形、計画高水位、計画津波水位又は計画高潮位とみなす。
第76条
【小河川の特例】
計画高水流量が一秒間につき百立方メートル未満の小河川に設ける河川管理施設等については、国土交通省令で定めるところにより、この政令の規定によらないものとすることができる。
第77条
【準用河川に設ける河川管理施設等の構造について市町村が参酌すべき基準】
法第100条第1項において準用する法第13条第2項の政令で定める基準については、第2条から第74条まで及び前条の規定を準用する。この場合において、第2条第4号第8号及び第11号中「河川整備基本方針に従つて、過去」とあるのは「過去」と、同条第5号中「河川整備基本方針に従つて、河川管理者」とあるのは「河川管理者」と、同条第7号中「河川整備基本方針に従つて、計画高水流量」とあるのは「計画高水流量」と、同条第9号中「河川整備基本方針に従つて、計画津波」とあるのは「計画津波」と、同条第13号中「河川整備基本方針に定められた」とあるのは「河川管理者が定めた」と、第73条第4号中「国土交通大臣」とあるのは「市町村長」と読み替えるものとする。
附則
この政令は、昭和五十一年十月一日から施行する。
この政令の施行の際現に存する河川管理施設等又は現に工事中の河川管理施設等(既に法第二十六条の許可を受け、工事に着手するに至らない許可工作物を含む。)がこの政令の規定に適合しない場合においては、当該河川管理施設等については、当該規定は、適用しない。ただし、工事の着手(許可工作物にあつては、法第二十六条の許可)がこの政令の施行の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る河川管理施設等については、この限りでない。
附則
平成3年10月25日
(施行期日)
この政令は、河川法の一部を改正する法律の施行の日(平成三年十一月一日)から施行する。
附則
平成4年1月24日
この政令は、平成四年二月一日から施行する。
この政令の施行の際現に存する水門及び樋門(以下「水門等」という。)又は現に工事中の水門等(既に河川法第二十六条第一項の許可を受け、工事に着手するに至らないものを含む。)がこの政令の規定に適合しない場合においては、当該水門等については、当該規定は、適用しない。ただし、工事の着手(同項の許可を受けて設置される水門等にあっては、同項の許可)がこの政令の施行の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る水門等については、この限りでない。
附則
平成9年11月28日
第1条
(施行期日)
この政令は、河川法の一部を改正する法律の施行の日(平成九年十二月一日)から施行する。
第2条
(経過措置)
この政令の施行の際現に存する床止め及び堰(以下「床止め等」という。)又は現に工事中の床止め等(既に河川法第二十六条第一項の許可を受け、工事に着手するに至らないものを含む。)が改正後の河川管理施設等構造令第三十五条の二(第四十四条において準用する場合を含む。)の規定に適合しない場合においては、当該床止め等については、当該規定は、適用しない。ただし、工事の着手(同項の許可を受けて設置される床止め等にあっては、同項の許可)がこの政令の施行の後である改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。)に係る床止め等については、この限りでない。
附則
平成12年6月7日
(施行期日)
この政令は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。
附則
平成23年12月26日
第1条
(施行期日)
この政令は、平成二十四年四月一日から施行する。
附則
平成25年7月5日
第1条
(施行期日)
この政令は、水防法及び河川法の一部を改正する法律の施行の日(平成二十五年七月十一日)から施行する。
第2条
(経過措置)
この政令の施行の際現に存する堤防又は現に工事中の堤防(既に河川法第二十六条第一項の許可を受け、工事に着手するに至らないものを含む。)については、第二条の規定による改正後の河川管理施設等構造令第二十八条の規定にかかわらず、なお従前の例による。ただし、改築(災害復旧又は応急措置として行われるものを除く。次項において同じ。)に係る堤防であって、その工事の着手(同法第二十六条第一項の許可を受けて改築される堤防にあっては、同項の許可)がこの政令の施行の後であるものについては、この限りでない。
この政令の施行の際現に存する可動堰、水門及び樋門(以下この項において「可動堰等」という。)又は現に工事中の可動堰等(既に河川法第二十六条第一項の許可を受け、工事に着手するに至らないものを含む。)が第二条の規定による改正後の河川管理施設等構造令第四十三条第二項(同令第五十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定に適合しない場合においては、当該可動堰等については、当該規定は、適用しない。ただし、改築に係る可動堰等であって、その工事の着手(同法第二十六条第一項の許可を受けて改築される可動堰等にあっては、同項の許可)がこの政令の施行の後であるものについては、この限りでない。

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