• 漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令

漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令

平成12年9月14日 改正
第1章
総則
第1条
【趣旨】
この省令は、漏電火災警報器の変流器及び受信機の技術上の規格を定めるものとする。
第2条
【用語の意義】
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
漏電火災警報器 電圧六百ボルト以下の警戒電路の漏洩電流を検出し、防火対象物の関係者に報知する設備であつて、変流器及び受信機で構成されたものをいう。
変流器 警戒電路の漏洩電流を自動的に検出し、これを受信機に送信するものをいう。
受信機 変流器から送信された信号を受信して、漏洩電流の発生を防火対象物の関係者に報知するもの(遮断機構を有するものを含む。)をいう。
集合型受信機 二以上の変流器と組み合わせて使用する受信機で、一組の電源装置、音響装置等で構成されたものをいう。
遮断機構 警戒電路に漏洩電流が流れた場合に、当該警戒電路を自動的に遮断する装置をいう。
第3条
【変流器及び受信機の種別】
変流器は、構造に応じて屋外型及び屋内型に分類するほか、受信機との互換性の有無に応じて互換性型及び非互換性型に分類する。
受信機は、定格電流が六十アンペア以下の警戒電路にのみ使用するものを二級、その他のものを一級に分類するほか、変流器との互換性の有無に応じて互換性型及び非互換性型に分類する。
第4条
【一般構造】
漏電火災警報器は、その各部分が良質の材料で造られ、配線及び取付けが適正かつ確実になされたものでなければならない。
漏電火災警報器は、耐久性を有し、著しい雑音又は障害電波を発しないものでなければならない。
漏電火災警報器の充電部で、外部から容易に人が触れるおそれのある部分は、十分に保護されていなければならない。
漏電火災警報器の端子以外の部分は、堅ろうなケースに収めなければならない。
漏電火災警報器の端子は、電線(接地線を含む。)を容易かつ確実に接続することができるものでなければならない。
漏電火災警報器の端子(接地端子及び配電盤等に取り付ける埋込用の端子を除く。)には、適当なカバーを設けなければならない。
変流器又は受信機の定格電圧が六十ボルトを超える変流器又は受信機の金属ケースには、接地端子を設けなければならない。
第5条
【装置又は部品の構造及び機能】
漏電火災警報器の次の各号に掲げる装置又は部品は、当該各号に定める構造及び機能又はこれと同等以上の機能を有するものでなければならない。
音響装置は、次のイからニまでによること。
定格電圧の九十パーセントの電圧で音響を発すること。
定格電圧における音圧は、無響室で定位置(音響装置を受信機内に取り付けるものにあつてはその状態における位置)に取り付けられた音響装置の中心から一メートル離れた点で、一級の受信機に係るものにあつては七十デシベル以上、二級の受信機に係るものにあつては六十デシベル以上であること。
充電部と非充電部との間の絶縁抵抗は、直流五百ボルトの絶縁抵抗計で測定した値が五メガオーム以上であること。
定格電圧で八時間連続して鳴動させた場合、構造又は機能に異常を生じないものであること。
電磁継電器は、次のイからハまでによること。
じんあい等が容易に侵入しない構造のものであること。
接点は、工業標準化法第17条第1項に定める日本工業規格(以下「JIS」という。)C二五〇九の三種又はこれと同等以上の性能を有する材料を用い、外部負荷と兼用させないこと。
電源変圧器は、次のイ及びロによること。
JISC六四三六に準ずるものであること。
容量は、最大使用電流に連続して耐えうること。
遮断機構は、次のイからハまでによること。
開閉部は、円滑かつ確実に作動し、停止点が明確であること。
開閉部は、手動で開閉でき、かつ、自動的に復帰しないものであること。
開閉部は、JISC八三七一に準ずるものであること。
表示装置に用いる電球は、その使用電圧の百三十パーセントの交流電圧を二十時間連続して加えた場合、断線、著しい光束変化、黒化又は電流の低下を生じないものであること。
スイツチは、次のイからハまでによること。
容易かつ確実に作動し、停止点が明確であること。
接点は、腐食するおそれのないものであり、かつ、その容量は、最大使用電流に耐えうるものであること。
指示電気計器は、JISC一一〇二に準ずるものであること。
ヒユーズは、JISC八三五二又はJISC六五七五に準ずるものであること。
第6条
【公称作動電流値】
漏電火災警報器の公称作動電流値(漏電火災警報器を作動させるために必要な漏洩電流の値として製造者によつて表示された値をいう。以下同じ。)は、二百ミリアンペア以下でなければならない。
前項の規定は、感度調整装置を有する漏電火災警報器にあつては、その調整範囲の最小値について適用する。
第7条
【感度調整装置】
感度調整装置を有する漏電火災警報器の感度調整装置の調整範囲の最大値は、一アンペア以下としなければならない。
第8条
【表示】
変流器には、次の各号に掲げる事項をその見やすい箇所に容易に消えないように表示しなければならない。
種別、型式及び型式番号
製造年
製造者名又は商標
非互換性型変流器にあつては製造番号
極性のある端子にはその極性を示す記号
受信機には、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる事項をその見やすい箇所に容易に消えないように表示しなければならない。
受信機本体
種別、型式及び型式番号
製造年
製造者名又は商標
非互換性型受信機にあつては製造番号
集合型受信機にあつては警戒電路の数
端子板には、端子記号(電源用の端子にあつては端子記号及び交流又は直流の別)並びに定格電圧及び定格電流
部品には部品記号(その附近に表示した場合を除く。)
スイツチ等の操作部には、「開」、「閉」等の表示及び使用方法
ヒユーズホルダには、使用するヒユーズの定格電流
接続することができる変流器の型式番号
音響装置及び遮断機構
交流又は直流の別、定格電圧、定格電流、製造年及び製造者名又は商標
極性のある端子には、その極性を示す記号
遮断機構に係る制御用端子には、その用途を示す記号、交流又は直流の別、定格電圧及び定格電流
第9条
【試験条件】
次条から第22条まで及び第26条から第36条までに規定する試験は、当該各条に定めがある場合を除くほか、周囲温度五度以上三十五度以下、相対湿度四十五パーセント以上八十五パーセント以下の状態で行うものとする。
次条及び第12条に規定する試験においては、警戒電路の電圧又は周波数には当該変流器の定格電圧又は定格周波数を用い、警戒電路に接続する負荷には純抵抗負荷を用いるものとする。
第13条及び第14条に規定する試験においては、警戒電路又は一の電線を変流器に取り付けた回路の周波数には警戒電路の定格周波数を用いるものとする。
第26条から第32条まで及び第36条に規定する試験においては、当該各条に定めがある場合を除くほか、受信機の電源の電圧又は周波数には、当該受信機の定格電圧又は定格周波数を用いるものとする。
第2章
変流器
第10条
【変流器の機能】
互換性型変流器は、警戒電路に電流を流さない状態又は当該変流器の定格周波数で当該変流器の定格電流を流した状態で、試験電流を零ミリアンペアから千ミリアンペア流した場合、その出力電圧値は、試験電流値に比例して変化し、かつ、その変動範囲は、設計出力電圧値の七十五パーセントから百二十五パーセント以内でなければならない。この場合において、当該変流器の出力端子には当該変流器に接続される受信機の入力インピーダンスに相当するインピーダンス(以下「負荷抵抗」という。)を接続するものとする。
非互換性型変流器は、警戒電路に電流を流さない状態又は当該変流器の定格周波数で当該変流器の定格電流を流した状態で、公称作動電流値に相当する試験電流を流した場合、その出力電圧値は、公称作動電流値に対応する設計出力電圧値以上であり、かつ、公称作動電流値の四十二パーセントの試験電流を流した場合、その出力電圧値は、公称作動電流値の四十二パーセントに対応する設計出力電圧値以下でなければならない。
変流器で、警戒電路の電線を変流器に貫通させるものにあつては、警戒電路の各電線をそれらの電線の変流器に対する電磁結合力が平衡とならないような方法で変流器に貫通させた状態で前二項の機能を有するものでなければならない。
参照条文
第11条
【温度特性試験】
変流器は、屋内型のものにあつては零下十度から六十度まで、屋外型のものにあつては零下二十度から六十度までの周囲温度において機能に異常を生じないものでなければならない。
第12条
【電路開閉試験】
変流器は、出力端子に負荷抵抗を接続し、警戒電路に当該変流器の定格電流の百五十パーセントの電流を流した状態で警戒電路の開閉を五回繰り返す操作を行つた場合、その出力電圧値は、公称作動電流値の四十二パーセントに対応する出力電圧値以下でなければならない。
参照条文
第13条
【短絡電流強度試験】
変流器は、出力端子に負荷抵抗を接続し、警戒電路の電源側に過電流遮断器を設け、警戒電路に当該変流器の定格電圧で短絡力率が〇・三から〇・四までの二千五百アンペアの電流を二分間隔で約〇・〇二秒間二回流した場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
参照条文
第14条
【過漏電試験】
変流器は、一の電線を変流器に取り付けた回路を設け、出力端子に負荷抵抗を接続した状態で当該一の電線に変流器の定格電圧の数値の二十パーセントの数値を電流値とする電流を五分間流した場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
参照条文
第15条
【老化試験】
変流器は、六十五度の温度の空気中に三十日間放置した場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
第16条
【防水試験】
屋外型変流器は、温度六十五度の清水に十五分間浸し、温度零度の塩化ナトリウムの飽和水溶液に十五分間浸す操作を二回繰り返し行つた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
第17条
【振動試験】
変流器は、全振幅四ミリメートルで毎分千回の振動を任意の方向に六十分間連続して与えた場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
第18条
【衝撃試験】
変流器は、任意の方向に標準重力加速度の五十倍の加速度の衝撃を五回加えた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
第19条
【絶縁抵抗試験】
変流器は、一次巻線と二次巻線との間及び一次巻線又は二次巻線と外部金属部との間の絶縁抵抗を直流五百ボルトの絶縁抵抗計で測定した値が五メガオーム以上のものでなければならない。
参照条文
第20条
【絶縁耐力試験】
前条の試験部の絶縁耐力は、五十ヘルツ又は六十ヘルツの正弦波に近い実効電圧千五百ボルト(警戒電路電圧が二百五十ボルトを超える場合は、警戒電路電圧に二を乗じて得た値に千ボルトを加えた値)の交流電圧を加えた場合、一分間これに耐えるものでなければならない。
第21条
【衝撃波耐電圧試験】
変流器は、一次巻線と外部金属部との間及び一次巻線の相互間に波高値六キロボルト、波頭長〇・五マイクロ秒から一・五マイクロ秒まで、及び波尾長三十二マイクロ秒から四十八マイクロ秒までの衝撃波電圧を正負それぞれ一回加えた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
第22条
【電圧降下防止試験】
変流器(警戒電路の電線を当該変流器に貫通させるものを除く。)は、警戒電路に定格電流を流した場合、その警戒電路の電圧降下は、〇・五ボルト以下でなければならない。
参照条文
第3章
受信機
第23条
【受信機の構造】
受信機の構造は、次の各号に適合するものでなければならない。
電源を表示する装置を設けること。ただし、二級のものにあつては、この限りでない。
受信機の電源入力側及び受信機から外部の音響装置、表示灯等に対し直接電力を供給するように構成された回路には、外部回路に短絡を生じた場合においても有効に保護できる措置が講じられていること。ただし、二級のものの電源入力側にあつては、この限りでない。
感度調整装置以外の感度調整部は、ケースの外面に露出しないこと。
第24条
【試験装置】
受信機には、公称作動電流値に対応する変流器の設計出力電圧の二・五倍以下の電圧をその入力端子に加えることができる試験装置及び一級のものにあつては変流器に至る外部配線の断線の有無を試験できる試験装置を設けなければならない。
前項の試験装置は、次の各号に適合するものでなければならない。
受信機の前面において手動により容易に試験できること。
試験後定位置に復する操作を忘れないように適当な方法が講じられていること。
集合型受信機に係るものにあつては、前二号に定めるほか回線ごとに試験できること。
参照条文
第25条
【漏電表示】
受信機は、変流器から送信された信号を受信した場合、赤色の表示及び音響信号により漏電を自動的に表示するものでなければならない。この場合において、遮断機構を有するものにあつては、遮断後も漏電した旨の赤色表示が継続するものでなければならない。
第26条
【受信機の機能】
互換性型受信機は、信号入力回路に公称作動電流値に対応する変流器の設計出力電圧の五十二パーセントの電圧を加えた場合、三十秒以内で作動せず、かつ、公称作動電流値に対応する変流器の設計出力電圧の七十五パーセントの電圧を加えた場合、一秒(遮断機構を有するものにあつては〇・二秒)以内に作動するものでなければならない。
非互換性型受信機は、信号入力回路に公称作動電流値の四十二パーセントに対応する変流器の設計出力電圧を加えた場合、三十秒以内で作動せず、かつ、公称作動電流値に対応する変流器の設計出力電圧を加えた場合、一秒(遮断機構を有するものにあつては〇・二秒)以内に作動するものでなければならない。
集合型受信機は、前二項の規定によるほか、次の各号に適合するものでなければならない。
漏洩電流の発生した警戒電路を明確に表示する装置を設けること。
前号に規定する装置は、警戒電路を遮断された場合、漏洩電流の発生した警戒電路の表示が継続して行えること。
二の警戒電路で漏洩電流が同時に発生した場合、機能に異常を生じないこと。
二以上の警戒電路で漏洩電流が連続して発生した場合、最大負荷に耐える容量を有すること。
参照条文
第27条
【電源電圧変動試験】
受信機は、電源電圧を受信機の定格電圧の九十パーセントから百十パーセントまでの範囲で変化させた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
第28条
【温度特性試験】
受信機は、零下十度から四十度までの周囲温度において機能に異常を生じないものでなければならない。
第29条
【過入力電圧試験】
受信機は、信号入力回路に五十ボルトの電圧を変流器のインピーダンスに相当する抵抗を介して五分間加えた場合、漏電表示をし、かつ、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
第30条
【引きはずし自由試験】
遮断機構を有する受信機は、警戒電路に変流器の定格電圧を加え、開閉部を閉路の状態にして第24条第1項に規定する試験装置による試験を行つた場合、開閉部の引きはずしが自由でなければならない。
第31条
【繰返し試験】
受信機は、受信機の定格電圧で一万回の漏電作動を行つた場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
第32条
【振動試験】
受信機は、通電状態において全振幅一ミリメートルで毎分千回の振動を任意の方向に十分間連続して与えた場合、誤作動(漏洩電流以外の原因に基づく作動をいう。第36条第2項において同じ。)しないものでなければならない。
受信機は、無通電状態において全振幅四ミリメートルで毎分千回の振動を任意の方向に六十分間連続して与えた場合、構造又は機能に異常を生じないものでなければならない。
参照条文
第33条
【衝撃試験】
受信機は、任意の方向に標準重力加速度の五十倍の加速度の衝撃を五回加えた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
第34条
【絶縁抵抗試験】
受信機は、充電部とそれを収めるケースとの間及び遮断機構の開閉部(開路の状態では同極の電源端子と負荷側端子との間、閉路の状態では充電部とハンドルとの間)の絶縁抵抗を直流五百ボルトの絶縁抵抗計で測定した値が五メガオーム以上のものでなければならない。
参照条文
第35条
【絶縁耐力試験】
前条の試験部の絶縁耐力は、五十ヘルツ又は六十ヘルツの正弦波に近い実効電圧五百ボルト(定格電圧(一次側の充電部にあつては一次側の定格電圧、二次側の充電部にあつては二次側の定格電圧(以下この条において同じ。))が三十ボルトを超え百五十ボルト以下の部分については千ボルト、百五十ボルトを超える部分については定格電圧に二を乗じて得た値に千ボルトを加えた値)の交流電圧を加えた場合、一分間これに耐えるものでなければならない。
第36条
【衝撃波耐電圧試験】
受信機は、電源異極端子の間及び電源端子とケースとの間に波高値六キロボルト、波頭長〇・五マイクロ秒から一・五マイクロ秒まで及び波尾長三十二マイクロ秒から四十八マイクロ秒までの衝撃波電圧を正負それぞれ一回加えた場合、機能に異常を生じないものでなければならない。
遮断機構は、前項の試験において誤作動しないものでなければならない。
参照条文
第4章
雑則
第37条
【基準の特例】
新たな技術開発に係る漏電火災警報器の変流器及び受信機について、その形状、構造、材質及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。
附則
この省令は、公布の日から施行する。
この省令の施行の際現に日本消防検定協会の行う消防用機械器具等についての試験を申請している漏電火災警報器に係る試験については、なお従前の例による。
附則
昭和62年3月18日
この省令は、公布の日から施行する。
附則
平成9年4月24日
この省令は、平成九年五月一日から施行する。
この省令の施行の際、現に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請している漏電火災警報器に係る試験については、なお従前の例による。
この省令の施行の際、現に型式承認を受けている漏電火災警報器に係る型式承認並びに前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた漏電火災警報器に係る型式承認は、改正後の漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則
平成12年9月14日
この省令は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。

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