• 警察官等特殊銃使用及び取扱い規範

警察官等特殊銃使用及び取扱い規範

平成14年5月17日 制定
第1章
総則
第1条
【目的】
この規則は、警察官及び皇宮護衛官が特殊銃を適正かつ的確に使用し、及び取り扱うため必要な事項を定めることを目的とする。
第2条
【用語の定義】
この規則において「特殊銃」とは、警察法第67条同法第69条第4項において準用する場合を含む。)の規定により警察官又は皇宮護衛官が所持する銃のうち、同法第68条第2項又は同法第69条第4項において準用する同法第68条第1項の規定により警察官又は皇宮護衛官が貸与されるもの以外のものをいう。
この規則において「警察本部長」とは、警視総監及び道府県警察本部長をいう。
第3条
【皇宮護衛官への準用】
次条から第14条まで及び第16条から第20条までの規定は、皇宮護衛官の特殊銃の使用及び取扱いについて準用する。この場合において、「警察本部長」とあるのは「皇宮警察本部長」と、「警視庁及び道府県警察本部」とあるのは「皇宮警察本部」と読み替えるものとする。
第2章
特殊銃の使用体制
第4条
【特殊銃を配備する所属の指定】
特殊銃は、次に掲げる任務を遂行するものとして警察本部長が指定する機動隊その他の所属(以下「指定所属」という。)に配備するものとする。
社会に不安又は恐怖を与える目的で重要な施設を破壊する行為を防止するため、当該施設について、特殊銃を用いて警戒し、警備する任務
航空機の強取又は人質による強要に係る犯罪その他高度の対処能力を必要とする犯罪につき、特殊銃を用いて、これを鎮圧し、又はその被疑者を逮捕する任務
前二号に掲げるもののほか、凶悪な犯罪を予防し、鎮圧し、又はその被疑者を逮捕する任務であって、その遂行上特殊銃を用いる必要があると警察本部長が認める任務
参照条文
第5条
【特殊銃を使用する警察官の指定】
警察本部長は、指定所属に所属する警察官のうちから、当該指定所属に配備された特殊銃について、個別に、これを使用する警察官を指定するものとする。
前項の指定は、次の各号のいずれにも該当する者について行うものとする。
前条各号の任務に係る特殊銃の使用を的確に遂行するに足りる心身の能力を有する者であること。
特殊銃の使用及び取扱いに関し高度の知識及び技能を有する者であること。
参照条文
第6条
【訓練等】
警察官等けん銃使用及び取扱い規範(以下「けん銃規範」という。)第15条及び第16条の規定は、特殊銃の訓練について準用する。この場合において、けん銃規範第15条中「所轄庁の長」とあるのは「警察本部長」と、「図るため」とあるのは「図るため、必要に応じ」と、「所属」とあるのは「指定所属」と、「けん銃訓練」とあるのは「特殊銃訓練」と、けん銃規範第16条第1項中「所轄庁の長」とあるのは「警察本部長」と、「所属」とあるのは「指定所属」と、同条第2項中「命ぜられた部署」とあるのは「指定所属」と、「けん銃訓練」とあるのは「特殊銃訓練」と読み替えるものとする。
警察本部長は、必要に応じ、指定所属に所属する警察官が特殊銃の使用及び取扱いに関し高度の知識及び技能を有するかどうかを確認するための検定を行うものとする。
第3章
特殊銃の使用等
第7条
【任務遂行の命令】
警察本部長は、必要があると認める場合には、指定所属の長(以下「指定所属長」という。)に対し、第4条各号の任務の遂行を命ずるものとする。この場合において、当該命令は、次に掲げる事項を明らかにして行わなければならない。
当該任務の概要(予想される特殊銃の使用の態様を含む。)
当該任務の遂行のために用いる特殊銃の種類及び数
第5条第1項の規定により指定された警察官(以下「指定警察官」という。)が特殊銃を取り出しておくことができる場合に関する判断の基準
指定警察官が特殊銃を使用することができる場合に関する判断の基準
弾丸を連続して発射するための装置を有する特殊銃を用いる場合には、指定警察官が当該装置を作動させることができる場合に関する判断の基準
その他指定警察官が特殊銃を適正かつ的確に使用し、及び取り扱うため必要な事項
前項第3号第4号及び第5号の判断の基準は、予想される特殊銃の使用の態様に応じたものでなければならない。
参照条文
第8条
【特殊銃の携帯に関する指示】
指定所属長は、前条第1項の命令を受けた場合において、当該任務の遂行に当たり特殊銃の使用が予想されるときは、あらかじめ指定する現場指揮官に対し、次に掲げる事項を明らかにして、特殊銃の携帯について指示するものとする。ただし、急を要する場合その他特に必要がある場合には、特殊銃の携帯について指示を行うに際し現場指揮官を指定することを妨げない。
特殊銃を携帯する指定警察官及びその携帯する特殊銃
特殊銃の携帯を開始する日時
特殊銃を携帯する指定警察官の配置、活動区域その他その活動の要領(予想される特殊銃の使用の態様を含む。)
前条第1項第3号の規定により警察本部長が示した判断の基準(現場の状況、事態の推移その他の事情により当該判断の基準について追加し、又は補充すべき事項がある場合において指定所属長が追加し、又は補充した事項(以下単に「追加事項」という。)を含む。)
前条第1項第4号の規定により警察本部長が示した判断の基準(追加事項を含む。)
前条第1項第5号の規定により警察本部長が示した判断の基準(追加事項を含む。)
その他指定警察官が特殊銃を適正かつ的確に使用し、及び取り扱うため必要な事項
前項第4号第5号及び第6号の追加事項は、それぞれ前条第1項第3号第4号及び第5号の判断の基準に従い、かつ、予想される特殊銃の使用の態様に応じたものでなければならない。
指定所属長は、前条第1項の命令を受けることなく特殊銃の携帯について指示してはならない。ただし、急を要する場合で同項の命令を受けるいとまのない場合には、第1項の例により、特殊銃の携帯について指示することができる。
指定所属長は、前項ただし書の規定により特殊銃の携帯について指示した場合には、事後速やかに、その旨を警察本部長に報告しなければならない。
指定所属長は、特殊銃の携帯について指示したときは、看視者を置くことその他の特殊銃の盗難等を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第9条
【特殊銃の携帯】
現場指揮官は、前条第1項又は同条第3項ただし書の指示を受けたときは、当該指示に係る指定警察官に特殊銃の携帯を命ずるものとする。
現場指揮官は、前条第1項又は同条第3項ただし書の指示を受けることなく指定警察官に特殊銃の携帯を命じてはならない。
指定警察官は、第1項の命令を受けることなく特殊銃を携帯してはならない。
第1項の命令があった場合には、特殊銃は、専用の特殊銃入れに収め、かつ、直ちに取り出すことができる状態にしておくものとする。
第10条
【特殊銃の取り出し】
特殊銃の取り出しは、現場指揮官の命令により行うものとする。
前項の命令は、第8条第1項第4号の判断の基準に従って行うものとする。ただし、警察本部長又は指定所属長が事態に応じ特に必要があると認めて別段の指示をしたときは、当該指示に従って行うものとする。
指定警察官は、第1項の命令を受けることなく特殊銃を取り出してはならない。ただし、状況が急迫し命令を受けることができないときは、この限りでない。
特殊銃を取り出しておく場合には、特殊銃を奪取されることのないよう細心の注意を払うとともに、相手を殊更に刺激し、又は周囲にある者に不安を覚えさせないよう配慮しなければならない。
第11条
【役割分担に係る指示】
現場指揮官は、特殊銃の取り出しに当たり、指定警察官に対し、次に掲げる役割の分担その他の特殊銃を的確に使用するため必要となる役割の分担を指示するものとする。
射撃を率先して行う任務
前号の任務の遂行を支援するため、射撃を行う任務
情報を収集し、現場指揮官に伝達する任務
第12条
【連射に係る設定】
現場指揮官は、弾丸を連続して発射するための装置を有する特殊銃の取り出しに当たり、指定警察官に対し、当該装置の作動の有無及び態様に関する設定について必要な指示をするものとする。この場合において、現場指揮官は、事態の変化に応じ必要と認められる場合には、当該設定を変更する指示をするものとする。
前項の指示は、第8条第1項第6号の判断の基準に従って行うものとする。
指定警察官は、第1項の規定による指示に係る設定を変更してはならない。ただし、犯罪の態様その他の事態に照らし特に必要があると認められ、かつ、状況が急迫し命令を受けることができないときは、この限りではない。
第13条
【特殊銃の使用】
特殊銃の使用は、現場指揮官の命令により行うものとする。この場合において、当該命令は、第8条第1項第5号の判断の基準に従って行うものとする。
指定警察官は、前項の命令を受けることなく特殊銃を使用してはならない。ただし、状況が急迫し命令を受けることができないときは、第8条第1項第5号の判断の基準に従って特殊銃を使用することを妨げない。
けん銃規範第5条から第8条までの規定は、特殊銃の使用について準用する。この場合において、けん銃規範第5条第1項及び第7条第1項中「警察官」とあるのは「指定警察官」と、けん銃規範第7条第3項中「することを要しない」とあるのは「しないものとする」と、同条第4項及び第8条第1項中「警察官」とあるのは「指定警察官」と読み替えるものとする。
第14条
【報告】
警察本部長は、第7条第1項の規定により任務の遂行を命じようとするときはあらかじめ(やむを得ない場合においては、事後速やかに)、第8条第4項の報告を受けたときは速やかに、次に掲げる事項を警察庁長官に報告しなければならない。
当該任務の概要
当該任務の遂行のために用いる特殊銃の種類及び数
その他参考事項
けん銃規範第10条第1項第3項及び第4項の規定は、指定警察官が特殊銃を撃ったとき(盲発したときを含む。)について準用する。この場合において、けん銃規範第10条第1項中「警察官は、」とあるのは「現場指揮官は、指定警察官が」と、「所属長」とあるのは「指定所属長」と、同条第3項中「所属長」とあるのは「指定所属長」と、「前二項」とあるのは「前項」と、「所轄庁の長」とあるのは「警察本部長」と、同条第4項中「所轄庁の長(警察庁長官(以下「長官」という。)を除く。)」とあるのは「警察本部長」と、「長官」とあるのは「警察庁長官」と読み替えるものとする。
参照条文
第15条
【派遣時の特例】
指定所属に所属する警察官の全部又は一部が警察法第60条第1項の規定による援助の要求により他の都道府県警察に派遣された場合における第7条から前条までの規定の適用については、これらの規定中「警察本部長」とあるのは「警察法第60条第1項の規定による派遣先の警察本部長」と、「指定所属長」とあるのは「警察法第60条第1項の規定による派遣先の警察本部長又はその指定する者」とする。
第4章
特殊銃の管理
第16条
【特殊銃の安全規則】
警察官は、特殊銃の取扱いについては、次に掲げる安全規則を厳守し、危害防止について細心の注意を払わなければならない。
特殊銃を手にしたときは、安全装置の状態及び薬室内のたまの有無を確かめること。
射撃するときのほか、指定所属長が特に指示したときを除き、薬室にたまを装てんしないこと。
射撃するときのほか、用心がねの中に指を入れないこと。
射撃の目標物以外のもの又は跳弾により人を傷つけるおそれのある方向には、銃口を向けないこと。
特殊銃を他人に渡すとき及び必要があって特殊銃を特殊銃入れから出しておくときは、安全装置がかかっていること及びたまが薬室に装てんされていないことを確認すること。
必要がある場合のほかは、特殊銃入れから特殊銃を取り出し、又はこれをもてあそばないこと。
職務上必要のない者には、特殊銃を渡し、又は特殊銃に手を触れさせないこと。
参照条文
第17条
【管理責任者】
特殊銃等(特殊銃、たま及びこれらの付属品をいう。以下同じ。)の管理責任者は、指定所属長とし、当該所属における特殊銃等の管理及び監督の責に任ずる。
第18条
【特殊銃の保管に関するけん銃規範の準用】
けん銃規範第18条第1項及び第3項から第5項まで並びに第21条から第25条までの規定は、特殊銃の保管について準用する。この場合において、けん銃規範第18条第1項中「命ぜられた部署」とあるのは「指定所属」と、同条第3項中「前項の規定によりけん銃等の保管を命ぜられたときは、その」とあるのは「指定所属に配備された」と、同条第5項中「警察官から保管を依頼されたけん銃等」とあるのは「特殊銃等」と、けん銃規範第22条中「所轄庁のけん銃等の貸与事務担当課」とあるのは「警視庁及び道府県警察本部の装備事務担当課」と、「別記様式第1号による「けん銃貸与カード」」とあるのは「警察庁長官が別に定める様式による「特殊銃使用者指定カード」」と、「被貸与者の所属する部署」とあるのは「当該特殊銃の配備された指定所属」と、けん銃規範第23条第1項中「所轄庁の長」とあるのは「警察本部長」と、同条第2項中「所轄庁の長(長官を除く。)」とあるのは「警察本部長」と、「事故けん銃」とあるのは「事故特殊銃」と、「長官」とあるのは「警察庁長官」と、同条第4項中「所轄庁の長(長官を除く。)」とあるのは「警察本部長」と、「長官」とあるのは「警察庁長官」と、けん銃規範第24条第1項中「別記様式第2号」とあるのは「警察庁長官が別に定める様式」と、「所轄庁」とあるのは「警視庁又は道府県警察本部」と、けん銃規範第25条中「所轄庁の長」とあるのは「警察本部長」と、「別記様式第3号」とあるのは「警察庁長官が別に定める様式」と読み替えるものとする。
第5章
特殊銃の手入れ及び検査
第19条
【特殊銃の手入れ】
特殊銃の手入れは、次により行うものとする。
特殊銃の構造から必要とされる範囲で分解をして行うこと。
警察官は、特殊銃を撃ったとき又は特殊銃が雨雪等にさらされたときは、その都度、速やかに手入れを行い、その後更に反復して手入れを行うよう努めること。
取扱い責任者は、自己の保管に係る特殊銃については、毎月一回以上手入れを行うこと。この場合において、取扱い責任者は、当該特殊銃に係る指定警察官にその手入れを行わせることができる。
第20条
【特殊銃の検査に関するけん銃規範の準用】
けん銃規範第29条の規定は、特殊銃等の検査について準用する。
参照条文
附則
この規則は、公布の日から施行する。

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