特定多目的ダム法施行令
平成21年12月11日 改正
第1条の2
【法第七条第一項の負担金の額の算出方法】
1
法第7条第1項の負担金の額は、多目的ダム(法第2条第1項に規定する多目的ダムをいう。以下同じ。)の建設に要する費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか、多目的ダムの建設工事に関する事業(以下「事業」という。)の縮小に係る不要支出額が含まれるときは、当該額を控除した額。第4項、第6条の2、第8条第2項及び第10条第1項を除き、以下同じ。)に基本計画(法第4条第1項に規定する基本計画をいう。以下同じ。)で定めたダム使用権(法第2条第2項に規定するダム使用権をいう。以下同じ。)の設定予定者の負担割合(分離費用身替り妥当支出法を基準として算定する割合をいう。以下この条及び第7条において同じ。)を乗じて得た額並びに当該ダム使用権の設定につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額とする。
2
事業が縮小された場合(特定用途(法第2条第1項に規定する特定用途をいう。以下この条において同じ。)に係る部分の縮小又は事業からの撤退(ダム使用権の設定の申請が取り下げられ、又は法第16条第2項第1号若しくは第2号に該当するとして却下されることをいう。以下同じ。)があつた場合に限る。)において、特定用途に係る部分を縮小したダム使用権の設定予定者が負担する法第7条第1項の負担金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定により算出した額に、次の各号に掲げる場合の区分に応じて、当該各号に定める額を加えた額とし、事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者が負担する法第7条第1項の負担金の額は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じて、当該各号に定める額とする。ただし、これらにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは、国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により算出した額とすることができる。
①
特定用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退のみがあつた場合 次に掲げる額を合算した額。ただし、特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者が二以上あるときは、当該合算した額に、当該二以上の者のそれぞれが単独で当該特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合におけるイに掲げる額の合計額に対するその者が単独で当該特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合におけるイに掲げる額の割合を乗じて得た額とする。
ロ
当該事業の縮小後において、多目的ダムの建設に要する費用の額に消費税及び地方消費税に相当する額から国が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を控除した額を加えた額に洪水等による災害の発生の防止若しくは軽減又は流水の正常な機能の維持若しくは増進のための用途(以下この条及び第6条の2第2項において「治水関係用途」という。)に係る負担割合を乗じて得た額が、当該治水関係用途に係る投資可能限度額を超えるときにあつては当該超える額、当該投資可能限度額を超えないときにあつては零
ハ
当該事業の縮小後において、流水を特定用途に供するダム使用権の設定予定者の前項の規定により算出した額からその額に含まれる国が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を控除した額が、当該ダム使用権の設定予定者の投資可能限度額(当該者が特定用途に係る部分を縮小したときは、当該者の当該特定用途に係る部分の縮小がないものと仮定した場合における当該者の投資可能限度額)を超えるときにあつては当該超える額(投資可能限度額を超えるダム使用権の設定予定者が二以上あるときは、当該超える額の合計額)、当該投資可能限度額を超えないときにあつては零
②
特定用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退と併せて治水関係用途に係る部分の縮小があつた場合 次の式により算出した額。ただし、特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者が二以上あるときは、当該算出した額に、当該二以上の者のそれぞれが単独で当該特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における前号イに掲げる額の合計額に対するその者が単独で当該特定用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における同号イに掲げる額の割合を乗じて得た額とする。(U+Ef+Ew)×Uw÷(Uf+Uw)この式において、U、Ef、Ew、Uf及びUwは、それぞれ次の数値を表すものとする。U 前号イに掲げる額Ef 前号ロに掲げる額。この場合において、同号ロ中「当該治水関係用途に係る投資可能限度額」とあるのは、「当該治水関係用途に係る部分の縮小がないものと仮定した場合における当該治水関係用途に係る投資可能限度額」とする。Ew 前号ハに掲げる額Uf 治水関係用途に係る部分の縮小のみがあつたものと仮定した場合における前号イに掲げる額Uw 特定用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退のみがあつたものと仮定した場合における前号イに掲げる額
4
すべてのダム使用権の設定予定者の事業からの撤退により基本計画が廃止された場合において、ダム使用権の設定予定者(当該廃止前に事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者を除く。以下この項において同じ。)が負担する法第7条第1項の負担金の額は、第1項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じて、当該各号に定める額とする。ただし、これらにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは、国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により算出した額とすることができる。
①
治水関係用途に係る部分のみの建設が継続される場合(次号に規定する場合を除く。) 次に掲げる額を合算した額。ただし、事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者が二以上あるときは、当該合算した額に、当該二以上の者の負担割合の合計に対するその者の負担割合の割合を乗じて得た額とする。
②
すべてのダム使用権の設定予定者の事業からの撤退と併せて治水関係用途に係る部分の縮小があつた場合 次の式により算出した額。ただし、事業からの撤退をしたダム使用権の設定予定者が二以上あるときは、当該算出した額に、当該二以上の者の負担割合の合計に対するその者の負担割合の割合を乗じて得た額とする。(U+Ef)×Uw÷(Uf+Uw)この式において、U、Ef、Uf及びUwは、それぞれ次の数値を表すものとする。U 前号イに掲げる額Ef 前号ロに掲げる額。この場合において、同号ロ中「当該治水関係用途に係る投資可能限度額」とあるのは、「当該治水関係用途に係る部分の縮小がないものと仮定した場合における当該治水関係用途に係る投資可能限度額」とする。Uf 治水関係用途に係る部分の縮小のみがあつたものと仮定した場合における前号イに掲げる額Uw 事業からの撤退のみがあつたものと仮定した場合における前号イに掲げる額
5
第1項の負担割合は、多目的ダムの建設の目的である各用途の緊要度の差が特に著しいと認められる場合その他分離費用身替り妥当支出法を基準とすることが著しく不適当であると認められる場合においては、優先支出法その他国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法を基準として算定することができる。
第2条
【分離費用身替り妥当支出法】
1
前条第1項及び第5項に規定する分離費用身替り妥当支出法は、多目的ダムの建設の目的である各用途について次に掲げる金額を合計した金額をそれぞれの用途についての負担額とする方法とする。
②
身替り建設費及び妥当投資額のうちいずれか少ない金額から多目的ダムの効用を全うするため必要な水路、建物、機械その他の施設又は工作物(以下「多目的ダムの関連施設」という。)で専ら当該用途に供されるものの設置に要する費用及び分離費用の額を控除した金額(多目的ダムの建設が完了した時から相当の期間を経過した後に多目的ダム及び多目的ダムの関連施設の効用が発生することとされており、かつ、国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める要件を備える用途にあつては、身替り建設費及び妥当投資額のうちいずれか少ない金額から多目的ダムの関連施設で専ら当該用途に供されるものの設置に要する費用の額を控除した金額を国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める率で除して得た金額から分離費用の額を控除した金額)を算出し、その金額の合計額に対するその金額の比率をもつて、多目的ダムの建設に要する費用の額から分離費用の額の合計額を控除した金額をあん分した金額
2
多目的ダムの関連施設で多目的ダムの建設の目的である二以上の用途に供されるもの(多目的ダムの建設の目的である各用途のすべてに供されるものを除く。)があるときは、前項第2号の規定の適用については、当該各用途につき国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法を基準として当該多目的ダムの関連施設の設置に要する費用をあん分した金額を多目的ダムの関連施設で専ら当該用途に供されるものの設置に要する費用の額とみなす。
第3条
【優先支出法】
1
第1条の2第5項に規定する優先支出法は、多目的ダムの建設の目的である各用途の優先順位に従つて、順次、当該用途に係る身替り建設費及び妥当投資額のうちいずれか少ない金額から多目的ダムの関連施設で専ら当該用途に供されるものの設置に要する費用の額を控除した金額を算出し、その金額(第二順位以下の用途については、その金額が多目的ダムの建設に要する費用の額から先順位の用途について算出されたその金額の合計額を差し引いた残額を超えるときは、その残額)をそれぞれの用途についての負担額とする方法とする。
⊟
参照条文
第4条
【分離費用】
第2条第1項に規定する分離費用は、多目的ダムの建設の目的である各用途について、多目的ダムの建設に要する費用の額から多目的ダムの建設に替えて当該用途を除く他の用途のすべてに供されるダムでこれらの用途について多目的ダムが有する効用と同等の効用を有するものを設置する場合に要する推定の費用の額を控除した額とする。
第6条
【妥当投資額】
第2条第1項第2号及び第3条第1項に規定する妥当投資額は、多目的ダムの建設の目的である各用途について、多目的ダム及び多目的ダムの関連施設が有する効用を金銭に見積つたものから当該用途のため多目的ダム及び多目的ダムの関連施設の運転及び管理等に要する推定の費用の額を控除した金額を、利子率、耐用年数及び当該用途が発電以外のものである場合において、多目的ダムの関連施設に固定資産税が課せられるときは、その固定資産税率を勘案し、多目的ダムの関連施設について国有資産等所在市町村交付金法の規定の適用があるときは、同法第3条第1項の率を勘案し、当該用途が発電である場合において、多目的ダムの関連施設に固定資産税が課せられるときは、その固定資産税率と同項の率とを勘案し、多目的ダムの関連施設について同法の規定の適用があるときは、同項の率の十分の五の率を勘案して、それぞれ、国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める率で除して得た金額とする。ただし、多目的ダム及び多目的ダムの関連施設の設置の完了前にその設置に要する費用に充てる資金について支払わなければならない利息がある場合においては、その金額を国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める建設利息の率に一を加えた数でさらに除して得た金額とする。
⊟
参照条文
第6条の2
【不要支出額】
2
第1条の2第4項第1号イ及び第3号に規定する基本計画の廃止に係る不要支出額は、当該基本計画の廃止に係る多目的ダムの建設に要する費用の額と、当該基本計画の廃止までに建設した当該多目的ダムのうち治水関係用途に供することができると認められる部分の建設に要する推定の費用の額との差額とする。
⊟
参照条文
第7条
【負担割合の変更】
基本計画で定められた多目的ダムの建設に要する費用についての負担割合は、多目的ダムの建設が完了するまでに物価の著しい変動その他重大な事情の変更により当該負担割合を変更する必要がある場合には、新たに第1条の2の規定により算定した負担割合に変更することができるものとする。
⊟
参照条文
第8条
【費用の範囲等】
1
法第7条第1項の負担金の額を算出する場合の多目的ダムの建設に要する費用の範囲は、多目的ダム及び多目的ダムの関連施設で多目的ダムの建設の目的である各用途のすべてに供されるものの設置のため直接必要な本工事費、附帯工事費、用地費、補償費、事務取扱費、実施計画調査費及び災害復旧費並びに附属諸費(基本計画の廃止に伴い追加的に必要となる費用を含む。)とする。
第11条の2
【負担金の徴収を受ける者の範囲】
法第9条第1項の規定により国土交通大臣が負担金を徴収する場合における同条同項の負担金(以下この条から第11条の5までにおいて「負担金」という。)の徴収を受ける者は、当該多目的ダムの基本計画の作成の公示の日又は同日後当該多目的ダムの建設の完了の公示の日までの間において、当該多目的ダムの建設される河川(当該河川の流水の流入により流量の増加する他の河川を含む。)の流水を利用して発電事業を営むことについて、河川法第23条の規定による許可を受けている者で、当該多目的ダムの建設により当該発電事業に係る発電所の出力及び電力量の増加による利益を受けることが基本計画により明らかであるものであり、かつ、当該利益について次の要件を備えるものとする。
①
第6条に規定する妥当投資額を算出する方法を基準として国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により当該利益を金銭に見積つた額(以下「受益額」という。)が、基本計画の作成の際公示された当該多目的ダムの建設に要する費用の額に千分の一を乗じた額を超えるものであること。
⊟
参照条文
第11条の5
【負担金の徴収】
1
負担金は、第11条の3に規定する通知があつた日以後当該多目的ダムの建設の完了の公示の日までの間において、毎年度、国土交通大臣が当該年度の事業計画に応じて定める額を、国土交通大臣が当該年度の資金計画に基づいて定める期日に徴収するものとする。
⊟
参照条文
第18条
【放流に関する通知等】
国土交通大臣又は多目的ダムを管理する都道府県知事は、多目的ダムによつて貯留された流水の放流に関し、法第32条の規定により関係都道府県知事、関係市町村長及び関係警察署長に通知しようとするときは、流水を放流する日時のほか放流量又は放流により上昇する下流の水位の見込を示して行い、一般に周知させようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、立札による掲示を行うほか、サイレン、警鐘、拡声機等により警告しなければならない。
第19条
【管理費用の負担割合等】
1
法第33条の規定によりダム使用権者が負担する負担金の額は、多目的ダムの維持、修繕その他の管理に要する費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除く。)にダム使用権者管理費用負担割合を乗じて得た額並びに当該ダム使用権者のために行う当該多目的ダムの維持、修繕その他の管理につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額とする。
2
前項のダム使用権者管理費用負担割合は、当該ダム使用権者の第1条の2第1項の規定により算出した額から当該ダム使用権の設定につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額を控除した額又は当該ダム使用権者の法第27条の納付金の額から当該ダム使用権の設定につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額を控除した額の当該多目的ダムの建設に要した費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか、当該ダム使用権者の法第7条第1項の負担金の算出に係る第1条の2第1項に規定する事業の縮小に係る不要支出額又は第8条第2項第3号に掲げる額が含まれるときは、当該額を控除した額)に対する割合とする。
4
国土交通大臣が多目的ダムの管理を行う場合においては、まず全額国費をもつてこれを行つた後、都道府県及びダム使用権者は、国土交通大臣の定めるところにより、それぞれ河川法第60条第1項又は法第33条の規定による負担金を国庫に納付しなければならない。
附則
2
法附則第二項の規定により多目的ダムとなるダムでその多目的ダムとなる際現に建設中のものについては、同項の建設大臣と共同して当該ダムを建設している者をダム使用権の設定の申請をした者と、当該ダムの建設に要する費用につきすでに定められたその者の負担すべき負担金を法第七条第一項の負担金とみなし、建設大臣は、その者をダム使用権の設定予定者として基本計画を作成しなければならない。
3
前項の多目的ダムの建設によつて著しく利益を受ける電気事業者又は電源開発株式会社の当該ダムの建設に要する費用の負担については、そのダムが多目的ダムとなつた後においても、なお電源開発促進法第六条の二の規定の例によるものとする。