カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律

この法律は、昭和四十三年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、当該債権の債務者について収入及び資産に係る基準を定めて早期に当該債権の免除を行うことができるようにすることの緊要性にかんがみ、当該債権について、国の債権の管理等に関する法律の特例を定めるものとする。

歳入徴収官等（国の債権の管理等に関する法律第2条第4項に規定する歳入徴収官等をいう。）は、同法第32条第1項の規定にかかわらず、福岡高等裁判所昭和五三年（ネ）第一八〇号、第211号損害賠償請求控訴事件及び福岡地方裁判所小倉支部昭和五六年（ワ）第一、二七八号、昭和五七年（ワ）第一一〇号、昭和五七年（ワ）第一、三五〇号、昭和五八年（ワ）第446号各損害賠償請求併合事件に係る各判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権について、当該債権の債務者が次項及び第3項に定める収入及び資産に係る基準に該当する場合には、当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができる。

収入に係る基準は、農林水産省令で定めるところにより、前項に規定する債権の債務者が属する世帯の構成員（当該債権の債務者及びその者と生計を一にする親族をいう。以下「世帯構成員」という。）の収入の総額から租税その他の公課の額を控除した額として算定した額が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額未満であることとする。

資産に係る基準は、世帯構成員が有する資産について、次の各号のいずれにも該当することとする。

第1項の規定による免除は、同項に規定する債権の債務者からの書面による申請に基づいて行うものとする。

第1項の規定による免除に係る国の債権の管理等に関する法律第40条の2の規定の適用については、同条中「この法律又はこの法律」とあるのは、「カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律又は同法」とする。

前二項に定めるもののほか、第1項の規定による免除の手続については、農林水産省令で定める。

農林水産大臣は、第2項、第3項又は前項の農林水産省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

前条第1項の規定の適用に当たっては、同項に規定する債権の債務者の置かれている状況に配慮するものとする。

租税その他の公課は、第2条第1項の規定による免除を受けた場合における経済的利益を標準として、課することができない。