実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則
平成25年6月28日 制定
第2条
【定義】
2
この規則において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
③
「運転時の異常な過渡変化」とは、通常運転時に予想される機械又は器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作及びこれらと類似の頻度で発生すると予想される外乱によって発生する異常な状態であって、当該状態が継続した場合には発電用原子炉の炉心(以下単に「炉心」という。)又は原子炉冷却材圧力バウンダリの著しい損傷が生ずるおそれがあるものとして安全設計上想定すべきものをいう。
④
「設計基準事故」とは、発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって、当該状態が発生した場合には発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれがあるものとして安全設計上想定すべきものをいう。
⑩
「工学的安全施設」とは、発電用原子炉施設の損壊又は故障その他の異常による発電用原子炉内の燃料体の著しい損傷又は炉心の著しい損傷により多量の放射性物質の放出のおそれがある場合に、これを抑制し、又は防止するための機能を有する設計基準対象施設をいう。
⑪
「重大事故等対処施設」とは、重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。以下同じ。)又は重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)に対処するための機能を有する施設をいう。
⑫
「特定重大事故等対処施設」とは、重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより炉心の著しい損傷が発生するおそれがある場合又は炉心の著しい損傷が発生した場合において、原子炉格納容器の破損による工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を抑制するためのものをいう。
⑮
「重大事故防止設備」とは、重大事故等対処設備のうち、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合であって、設計基準事故対処設備の安全機能又は使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若しくは注水機能が喪失した場合において、その喪失した機能(重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能に限る。)を代替することにより重大事故の発生を防止する機能を有する設備をいう。
⑱
「多様性」とは、同一の機能を有する二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、これらの構造、動作原理その他の性質が異なることにより、共通要因(二以上の系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因をいう。以下同じ。)又は従属要因(単一の原因によって確実に系統又は機器に故障を発生させることとなる要因をいう。以下同じ。)によって同時にその機能が損なわれないことをいう。
第4条
【地震による損傷の防止】
第7条
【発電用原子炉施設への人の不法な侵入等の防止】
工場等には、発電用原子炉施設への人の不法な侵入、発電用原子炉施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条第4項に規定する不正アクセス行為をいう。第24条第6号において同じ。)を防止するための設備を設けなければならない。
第8条
【火災による損傷の防止】
第12条
【安全施設】
2
安全機能を有する系統のうち、安全機能の重要度が特に高い安全機能を有するものは、当該系統を構成する機械又は器具の単一故障(単一の原因によって一つの機械又は器具が所定の安全機能を失うこと(従属要因による多重故障を含む。)をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、当該系統を構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保するものでなければならない。
第15条
【炉心等】
2
炉心は、通常運転時又は運転時の異常な過渡変化時に発電用原子炉の運転に支障が生ずる場合において、原子炉冷却系統、原子炉停止系統、反応度制御系統、計測制御系統及び安全保護回路の機能と併せて機能することにより燃料要素の許容損傷限界を超えないものでなければならない。
3
燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、発電用原子炉を安全に停止し、かつ、停止後に炉心の冷却機能を維持できるものでなければならない。
第16条
【燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設】
2
第17条
【原子炉冷却材圧力バウンダリ】
第23条
【計測制御系統施設】
第24条
【安全保護回路】
⊟
参照条文
第25条
【反応度制御系統及び原子炉停止系統】
2
反応度制御系統は、計画的な出力変化に伴う反応度変化を燃料要素の許容損傷限界を超えることなく制御できる能力を有し、かつ、次に掲げるものでなければならない。
②
通常運転時の高温状態において、二以上の独立した系統がそれぞれ発電用原子炉を未臨界に移行し、及び未臨界を維持できるものであり、かつ、運転時の異常な過渡変化時の高温状態においても反応度制御系統のうち少なくとも一つは、燃料要素の許容損傷限界を超えることなく発電用原子炉を未臨界に移行し、及び未臨界を維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備その他の発電用原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合に作動する設備の作動に伴って注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
第26条
【原子炉制御室等】
2
発電用原子炉施設には、火災その他の異常な事態により原子炉制御室が使用できない場合において、原子炉制御室以外の場所から発電用原子炉を高温停止の状態に直ちに移行させ、及び必要なパラメータを想定される範囲内に制御し、その後、発電用原子炉を安全な低温停止の状態に移行させ、及び低温停止の状態を維持させるために必要な機能を有する装置を設けなければならない。
3
原子炉制御室及びこれに連絡する通路並びに運転員その他の従事者が原子炉制御室に出入りするための区域は、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が発生した場合に発電用原子炉の運転の停止その他の発電用原子炉施設の安全性を確保するための措置をとるため、従事者が支障なく原子炉制御室に入り、又は一定期間とどまり、かつ、当該措置をとるための操作を行うことができるよう、遮蔽その他の適切な放射線防護措置、気体状の放射性物質及び原子炉制御室外の火災により発生する燃焼ガスに対する換気設備の隔離その他の適切に防護するための設備を設けなければならない。
⊟
参照条文
第27条
【放射性廃棄物の処理施設】
工場等には、次に掲げるところにより、通常運転時において放射性廃棄物(実用炉規則第2条第2項第2号に規定する放射性廃棄物をいう。以下同じ。)を処理する施設(安全施設に係るものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
第32条
【原子炉格納施設】
1
原子炉格納容器は、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した場合において漏えいする放射性物質が公衆に放射線障害を及ぼさないようにするため、想定される最大の圧力、最高の温度及び適切な地震力に十分に耐えることができ、かつ、適切に作動する隔離機能と併せて所定の漏えい率を超えることがないものでなければならない。
5
発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより隔離弁を設けなければならない。
②
原子炉格納容器内に開口部がある配管又は原子炉冷却材圧力バウンダリに接続している配管のうち、原子炉格納容器の外側で閉じていないものにあっては、原子炉格納容器の内側及び外側にそれぞれ一個の隔離弁を設けるものとすること。ただし、その一方の側の設置箇所における配管の隔離弁の機能が、湿気その他隔離弁の機能に影響を与える環境条件によって著しく低下するおそれがあると認められるときは、貫通箇所の外側であって近接した箇所に二個の隔離弁を設けることをもって、これに代えることができる。
③
原子炉格納容器を貫通し、貫通箇所の内側又は外側において閉じている配管にあっては、原子炉格納容器の外側に一個の隔離弁を設けるものとすること。ただし、当該格納容器の外側に隔離弁を設けることが困難である場合においては、原子炉格納容器の内側に一個の隔離弁を適切に設けることをもって、これに代えることができる。
6
発電用原子炉施設には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した際に生ずる原子炉格納容器内の圧力及び温度の上昇により原子炉格納容器の健全性に支障が生ずることを防止するため、原子炉格納容器内において発生した熱を除去する設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
第33条
【保安電源設備】
3
保安電源設備(安全施設へ電力を供給するための設備をいう。)は、電線路、発電用原子炉施設において常時使用される発電機及び非常用電源設備から安全施設への電力の供給が停止することがないよう、機器の損壊、故障その他の異常を検知するとともに、その拡大を防止するものでなければならない。
4
設計基準対象施設に接続する電線路のうち少なくとも二回線は、それぞれ互いに独立したものであって、当該設計基準対象施設において受電可能なものであり、かつ、それにより当該設計基準対象施設を電力系統に連系するものでなければならない。
6
設計基準対象施設に接続する電線路は、同一の工場等の二以上の発電用原子炉施設を電力系統に連系する場合には、いずれの二回線が喪失した場合においても電力系統からこれらの発電用原子炉施設への電力の供給が同時に停止しないものでなければならない。
7
非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保し、その系統を構成する機械又は器具の単一故障が発生した場合であっても、運転時の異常な過渡変化時又は設計基準事故時において工学的安全施設及び設計基準事故に対処するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない。
⊟
参照条文
第35条
【通信連絡設備】
第37条
【重大事故等の拡大の防止等】
第38条
【重大事故等対処施設の地盤】
1
重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める地盤に設けなければならない。
①
重大事故防止設備のうち常設のもの(以下「常設重大事故防止設備」という。)であって、耐震重要施設に属する設計基準事故対処設備が有する機能を代替するもの(以下「常設耐震重要重大事故防止設備」という。)が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
②
常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 第4条第2項の規定により算定する地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
第39条
【地震による損傷の防止】
1
重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める要件を満たすものでなければならない。
①
常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
②
常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 第4条第2項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができるものであること。
④
特定重大事故等対処施設 第4条第2項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができ、かつ、基準地震動による地震力に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
⊟
参照条文
第43条
【重大事故等対処設備】
2
重大事故等対処設備のうち常設のもの(重大事故等対処設備のうち可搬型のもの(以下「可搬型重大事故等対処設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要な発電用原子炉施設内の常設の配管、弁、ケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)は、前項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
3
可搬型重大事故等対処設備に関しては、第1項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
②
常設設備(発電用原子炉施設と接続されている設備又は短時間に発電用原子炉施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、二以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講じたものであること。
③
常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(原子炉建屋の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けるものであること。
④
想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。
第49条
【原子炉格納容器内の冷却等のための設備】
第54条
【使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備】
第57条
【電源設備】
第60条
【監視測定設備】
第61条
【緊急時対策所】