第1条
【目的】
この規則は、被疑者DNA型記録等を組織的に作成し、管理し、及び運用するために必要な事項を定め、もって犯罪捜査に資することを目的とする。
第2条
【定義】
この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
①
DNA型 ヒトの個体のデオキシリボ核酸の塩基配列の特徴で、特定の座位における特定の塩基配列の繰り返しの回数、特定の塩基配列の有無等で表されるものをいう。
②
特定DNA型 MCT一一八及びアメロゲニン並びに次に掲げる座位に係るDNA型をいう。イ D八S一一七九ロ D二一S一一ハ D七S八二〇ニ CSF一POホ D三S一三五八ヘ TH〇一ト D一三S三一七チ D一六S五三九リ D二S一三三八ヌ D一九S四三三ル vWAヲ TPOXワ D一八S五一カ D五S八一八ヨ FGA
③
DNA型鑑定 個人の識別を目的としてDNA型を鑑定することをいう。
④
被疑者資料 被疑者の身体から採取された資料をいう。
⑥
遺留資料 犯罪現場その他の場所に被疑者が遺留したと認められる資料をいう。
⑦
遺留DNA型記録
次条第3項の規定により作成される遺留資料に係る記録をいう。
⑧
変死者等資料 身元が明らかでない変死者等の身体から採取された資料をいう。
⑨
変死者等DNA型記録
次条第3項の規定により作成される変死者等資料に係る記録をいう。
第3条
【作成等】
1
警察庁刑事局犯罪鑑識官(以下「犯罪鑑識官」という。)は、警視庁、道府県警察本部若しくは方面本部の犯罪捜査を担当する課(課に準ずるものを含む。)の長又は警察署長(以下「警察署長等」という。)から嘱託を受けて被疑者資料のDNA型鑑定を行い、その特定DNA型が判明したときは、当該被疑者資料の特定DNA型その他の警察庁長官が定める事項の記録を作成しなければならない。
2
警視庁又は道府県警察本部の科学捜査研究所長(以下「科学捜査研究所長」という。)は、当該科学捜査研究所が警察署長等から嘱託を受けて被疑者資料のDNA型鑑定を行い、その特定DNA型が判明したときは、当該被疑者資料の特定DNA型その他の警察庁長官が定める事項の記録を作成し、これを犯罪鑑識官に電磁的方法により送信しなければならない。
3
科学捜査研究所長は、当該科学捜査研究所が警察署長等から嘱託を受けて遺留資料又は変死者等資料のDNA型鑑定を行い、その特定DNA型が判明した場合において、当該警察署長等が
第6条第2項の規定による対照をする必要があると認めるときは、当該遺留資料又は変死者等資料の特定DNA型その他の警察庁長官が定める事項の記録を作成し、これを犯罪鑑識官に電磁的方法により送信しなければならない。
4
科学捜査研究所長は、前二項の規定による送信をしたときは、当該送信に係る被疑者DNA型記録、遺留DNA型記録又は変死者等DNA型記録を抹消しなければならない。
第4条
【犯罪鑑識官及び科学捜査研究所以外の機関等に鑑定を嘱託した場合の特則】
1
警察署長等は、犯罪鑑識官及び科学捜査研究所以外の機関又は学識経験者に被疑者資料、遺留資料又は変死者等資料のDNA型鑑定を嘱託し、その特定DNA型が判明したときは、鑑定書の写しを科学捜査研究所長に送付しなければならない。
2
前条第2項から
第4項までの規定は、科学捜査研究所長が
前項の規定による鑑定書の写しの送付を受けた場合における被疑者DNA型記録、遺留DNA型記録及び変死者等DNA型記録の作成、送信及び抹消について準用する。
第5条
【整理保管】
1
犯罪鑑識官は、
第3条第1項の規定により被疑者DNA型記録を作成したとき又は
同条第2項若しくは
第3項(
前条第2項の規定により準用する場合を含む。)の規定による被疑者DNA型記録若しくは遺留DNA型記録の送信を受けたときは、これを整理保管しなければならない。
2
犯罪鑑識官は、被疑者DNA型記録及び遺留DNA型記録の保管に当たっては、これらに記録された情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るため必要かつ適切な措置を講じなければならない。
第6条
【対照】
1
犯罪鑑識官は、
第3条第1項の規定により被疑者DNA型記録を作成したときは、当該記録に係る特定DNA型とその保管する遺留DNA型記録に係る特定DNA型とを対照し、その結果を、その都道府県警察の警察署長等が当該作成に係るDNA型鑑定の嘱託を行った都道府県警察の科学捜査研究所長に通知しなければならない。
2
犯罪鑑識官は、
第3条第2項又は
第3項(
第4条第2項の規定により準用する場合を含む。)の規定による送信を受けたときは、次の各号に掲げる記録に係る特定DNA型とそれぞれ当該各号に定める記録に係る特定DNA型とを対照し、その結果を、当該送信をした科学捜査研究所長に通知しなければならない。
①
被疑者DNA型記録 犯罪鑑識官の保管する遺留DNA型記録
②
遺留DNA型記録 犯罪鑑識官の保管する被疑者DNA型記録及び遺留DNA型記録
③
変死者等DNA型記録 犯罪鑑識官の保管する被疑者DNA型記録
3
犯罪鑑識官は、前二項の規定による対照をした場合において、作成若しくは受信した被疑者DNA型記録又は受信した遺留DNA型記録に係る特定DNA型がその保管する遺留DNA型記録に係る特定DNA型に該当したときは、その結果を、当該保管する遺留DNA型記録を送信した科学捜査研究所長に通知しなければならない。
第7条
【抹消】
1
犯罪鑑識官は、その保管する被疑者DNA型記録が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該被疑者DNA型記録を抹消しなければならない。
②
前号に掲げるもののほか、被疑者DNA型記録を保管する必要がなくなったとき。
2
犯罪鑑識官は、その保管する遺留DNA型記録が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該遺留DNA型記録を抹消しなければならない。
①
遺留DNA型記録に係る事件について確定判決を経たとき。
②
前号に掲げるもののほか、遺留DNA型記録を保管する必要がなくなったとき。
3
犯罪鑑識官は、
前条第2項の規定による変死者等DNA型記録に係る対照をしたときは、当該変死者等DNA型記録を抹消しなければならない。
第8条
【訓令への委任】
この規則の実施に関し必要な事項は、警察庁長官が定める。