• 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律

障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律

平成20年6月18日 制定
第1章
総則
第1条
【目的】
この法律は、教育の機会均等の趣旨にのっとり、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の発行の促進を図るとともに、その使用の支援について必要な措置を講ずること等により、教科用特定図書等の普及の促進等を図り、もって障害その他の特性の有無にかかわらず児童及び生徒が十分な教育を受けることができる学校教育の推進に資することを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において「教科用特定図書等」とは、視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため文字、図形等を拡大して検定教科用図書等を複製した図書(以下「教科用拡大図書」という。)、点字により検定教科用図書等を複製した図書その他障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るものをいう。
この法律において「検定教科用図書等」とは、学校教育法第34条第1項同法第49条第62条及び第70条第1項において準用する場合を含む。)に規定する教科用図書をいう。
この法律において「発行」とは、図書その他の教材を製造供給することをいう。
この法律において「教科用図書発行者」とは、検定教科用図書等の発行を担当する者であって、教科書の発行に関する臨時措置法第8条の発行の指示を承諾したものをいう。
この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
第3条
【国の責務】
国は、児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、教科用特定図書等の供給の促進並びに児童及び生徒への給与その他教科用特定図書等の普及の促進等のために必要な措置を講じなければならない。
第4条
【教科用図書発行者の責務】
教科用図書発行者は、児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、その発行をする検定教科用図書等について、適切な配慮をするよう努めるものとする。
第2章
教科用特定図書等の発行の促進等
第5条
【教科用図書発行者による電磁的記録の提供等】
教科用図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する者(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。
教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。
国は、教科用図書発行者による検定教科用図書等に係る電磁的記録の提供の方法及び当該電磁的記録の教科用特定図書等の作成への活用に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。
第6条
【教科用特定図書等の標準的な規格の策定等】
文部科学大臣は、教科用拡大図書その他教科用特定図書等のうち必要と認められるものについて標準的な規格を定め、これを公表しなければならない。
教科用図書発行者は、指定種目(検定教科用図書等の教科ごとに分類された単位のうち文部科学大臣が指定するものをいう。次項において同じ。)の検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等(前項の規格に適合する教科用特定図書等をいう。以下同じ。)の発行に努めなければならない。
国は、教科用図書発行者による指定種目の検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等の発行に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。
第7条
【発達障害等のある児童及び生徒が使用する教科用特定図書等に関する調査研究等の推進】
国は、発達障害その他の障害のある児童及び生徒であって検定教科用図書等において一般的に使用される文字、図形等を認識することが困難なものが使用する教科用特定図書等の整備及び充実を図るため、必要な調査研究等を推進するものとする。
第8条
【障害その他の特性に適切な配慮がなされた検定教科用図書等の普及】
国は、障害その他の特性の有無にかかわらずできる限り多くの児童及び生徒が検定教科用図書等を使用して学習することができるよう適切な配慮がなされた検定教科用図書等の普及のために必要な措置を講ずるものとする。
第3章
小中学校及び高等学校における教科用特定図書等の使用の支援
第9条
【小中学校及び高等学校における教科用特定図書等の使用等】
小中学校(小学校及び中学校(中等教育学校の前期課程を含む。以下同じ。)をいい、学校教育法第81条第2項及び第3項に規定する特別支援学級(以下単に「特別支援学級」という。)を除く。以下同じ。)及び高等学校(中等教育学校の後期課程を含み、特別支援学級を除く。以下同じ。)においては、当該学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が、その障害の状態に応じ、採択された検定教科用図書等に代えて、当該検定教科用図書等に係る教科用特定図書等を使用することができるよう、必要な配慮をしなければならない。
国及び地方公共団体は、前項の規定による配慮がなされるよう、発行が予定される教科用特定図書等に関する情報の収集及び提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
第10条
【小中学校の設置者に対する教科用特定図書等の無償給付】
国は、毎年度、小中学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が検定教科用図書等に代えて使用する教科用特定図書等を購入し、小中学校の設置者に無償で給付するものとする。
第11条
【契約の締結】
文部科学大臣は、教科用特定図書等の発行をする者と、前条の規定により購入すべき教科用特定図書等を購入する旨の契約を締結するものとする。
第12条
【教科用特定図書等の給与】
小中学校の設置者は、第10条の規定により国から無償で給付された教科用特定図書等を、それぞれ当該学校の校長を通じて、当該学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童又は生徒に給与するものとする。
学年の中途において転学した視覚障害その他の障害のある児童又は生徒については、その転学後において使用する教科用特定図書等は、前項の規定にかかわらず、文部科学省令で定める場合を除き、給与しないものとする。
第13条
【都道府県の教育委員会の責務】
都道府県の教育委員会は、政令で定めるところにより、教科用特定図書等の無償給付及び給与の実施に関し必要な事務を行うものとする。
第14条
【給付の完了の確認の時期の特例】
第11条の規定による契約に係る政府契約の支払遅延防止等に関する法律第4条第1号に掲げる時期については、同法第5条第1項中「十日以内の日」とあるのは、「二十日以内の日」と読み替えて同項の規定を適用する。
参照条文
第15条
【政令への委任】
第10条から前条までに規定するもののほか、教科用特定図書等の無償給付及び給与に関し必要な事項は、政令で定める。
第4章
標準教科用特定図書等の円滑な発行の確保
第16条
【標準教科用特定図書等の需要数の報告】
市町村の教育委員会並びに学校教育法第2条第2項に規定する国立学校及び私立学校の長は、次に掲げる標準教科用特定図書等の需要数を、文部科学省令で定めるところにより、都道府県の教育委員会に報告しなければならない。
小中学校について採択された検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等であって、当該標準教科用特定図書等を使用する年度において発行が予定されているもののうち、小中学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が当該検定教科用図書等に代えて使用するもの
特別支援学校の小学部及び中学部並びに小学校及び中学校に置かれる特別支援学級について学校教育法附則第9条に規定する教科用図書として採択された標準教科用特定図書等であって、当該標準教科用特定図書等を使用する年度において発行が予定されているもの
都道府県の教育委員会は、前項各号に掲げる標準教科用特定図書等の都道府県内の需要数を、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣に報告しなければならない。
参照条文
第17条
【標準教科用特定図書等の発行の通知等】
文部科学大臣は、前条第2項の規定による報告に基づき、標準教科用特定図書等の発行を予定している者にその発行をすべき標準教科用特定図書等の種類及び部数を通知しなければならない。
文部科学大臣は、必要に応じ、前項の通知を受けた者に対し報告を求めることができる。
第18条
【事務の区分】
第16条第2項の規定により都道府県が処理することとされている事務及び同条第1項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、平成二十一年度において使用される検定教科用図書等及び教科用特定図書等から適用する。
第2条
(検討)
国は、高等学校において障害のある生徒が使用する教科用拡大図書等の普及の在り方並びに特別支援学校に就学する児童及び生徒について行う援助の在り方について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
第5条
(罰則についての経過措置)
前条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

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