• 再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則
    • 第1条 [定義]
    • 第2条 [特殊な方法による施設]
    • 第3条 [核燃料物質の臨界防止]
    • 第4条 [火災等による損傷の防止]
    • 第5条 [耐震性]
    • 第6条 [材料及び構造]
    • 第7条 [閉じ込めの機能]
    • 第8条 [しやへい]
    • 第9条 [換気]
    • 第10条 [使用済燃料等による汚染の防止]
    • 第11条 [安全上重要な施設]
    • 第12条 [搬送設備]
    • 第13条 [使用済燃料の受入れ施設及び貯蔵施設]
    • 第14条 [計測制御系統施設]
    • 第15条 [制御室]
    • 第16条 [廃棄物処理設備]
    • 第17条 [保管廃棄設備]
    • 第18条 [放射線管理施設]
    • 第19条 [非常用電源設備]

再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則

平成25年6月28日 改正
第1条
【定義】
この省令において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律において使用する用語の例による。
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
「放射線」とは、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(以下この項において「規則」という。)第1条第2項第1号に掲げる放射線をいう。
「管理区域」とは、規則第1条第2項第2号に掲げる管理区域をいう。
「周辺監視区域」とは、規則第1条第2項第4号に掲げる周辺監視区域をいう。
「放射線業務従事者」とは、規則第1条第2項第5号に掲げる従事者をいう。
「放射性廃棄物」とは、規則第1条第2項第6号に掲げる放射性廃棄物をいう。
第2条
【特殊な方法による施設】
この省令の規定によらないで再処理施設を施設することにつき特別の理由がある場合にあつては、原子力規制委員会の認可を受けて、この省令の規定によらないで再処理施設を施設することができる。
前項の認可を受けようとする者は、その理由及び施設方法を記載した申請書に関係図面を添付して申請しなければならない。
第3条
【核燃料物質の臨界防止】
再処理施設は、核燃料物質が臨界に達するおそれがないようにするため、核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置が講じられているものでなければならない。
再処理施設は、臨界警報設備の設置その他の臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられているものでなければならない。
第4条
【火災等による損傷の防止】
再処理施設が火災の影響を受けることにより再処理施設の安全に著しい支障が生じるおそれがある場合は、必要に応じて消火設備及び警報設備(警報設備にあつては自動火災報知設備、漏電火災警報器その他の火災の発生を自動的に検知し、警報を発する設備に限る。)を施設しなければならない。
前項の消火設備及び警報設備は、その故障、損壊又は異常な作動により再処理施設の安全に著しい支障を及ぼすおそれがないものでなければならない。
非常用電源設備その他の安全上重要な施設であつて、火災により損傷を受けるおそれがあるものについては、可能な限り不燃性又は難燃性の材料を使用するとともに、必要に応じて防火壁の設置その他の適切な防火措置を講じなければならない。
有機溶媒その他の可燃性の液体(以下この条において「有機溶媒等」という。)を取り扱う設備は、有機溶媒等の温度をその引火点以下に維持すること、不活性ガス雰囲気で有機溶媒等を取り扱うことその他の火災の発生を防止するための措置が講じられているものでなければならない。
有機溶媒等を取り扱う設備であつて、静電気により着火するおそれがあるものは、適切に接地しなければならない。
有機溶媒等を取り扱う設備をその内部に設置するセル、グローブボックス及び室のうち、当該設備から有機溶媒等が漏えいした場合において爆発の危険性があるものには、換気その他の爆発を防止するための適切な措置を講じなければならない。
硝酸を含む溶液を内包する蒸発缶のうち、リン酸トリブチルその他の硝酸と反応するおそれがある有機溶媒(爆発の危険性がないものを除く。次項において「リン酸トリブチル等」という。)が混入するおそれがあるものは、当該設備の熱的制限値を超えて加熱されるおそれがないものでなければならない。
再処理設備には、前項の蒸発缶に供給する溶液中のリン酸トリブチル等を十分に除去しうる設備を施設しなければならない。
水素を取り扱う設備(爆発の危険性がないものを除く。)は、適切に接地しなければならない。
10
水素の発生のおそれがある設備は、発生した水素が滞留しない構造としなければならない。
11
水素を取り扱い、又は水素の発生のおそれがある設備(爆発の危険性がないものを除く。)をその内部に設置するセル、グローブボックス及び室は、当該設備から水素が漏えいした場合においてもそれが滞留しない構造とすることその他の爆発を防止するための適切な措置を講じなければならない。
12
ジルコニウム金属粉末その他の著しく酸化しやすい固体廃棄物を保管廃棄する設備は、水中における保管廃棄その他の火災のおそれがない保管廃棄をしうる構造としなければならない。
第5条
【耐震性】
再処理施設は、これに作用する地震力による損壊により公衆に放射線障害を及ぼすことがないように施設しなければならない。
前項の地震力は、再処理施設の構造及びこれが損壊した場合における災害の程度に応じて、基礎地盤の状況、その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度、地震活動の状況その他の要因を考慮して算定しなければならない。
第6条
【材料及び構造】
再処理施設に属する容器及び管並びにこれらを支持する構造物のうち、再処理施設の安全を確保する上で重要なもの(以下この項において「容器等」という。)の材料及び構造は、当該容器等がその設計上要求される強度及び耐食性を確保できるものでなければならない。
再処理施設に属する容器及び管のうち、再処理施設の安全を確保する上で重要なものは、適切な耐圧試験又は漏えい試験を行つたとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないように施設しなければならない。
第7条
【閉じ込めの機能】
再処理施設は、次に掲げるところにより、使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによつて汚染された物(以下「使用済燃料等」という。)を限定された区域に閉じ込める機能を保持するように施設しなければならない。
流体状の使用済燃料等を内包する容器又は管に使用済燃料等を含まない流体を導く管を接続する場合には、流体状の使用済燃料等が使用済燃料等を含まない流体を導く管に逆流するおそれがない構造であること。
セルは、その内部を常時負圧状態に維持しうるものであること。
液体状の使用済燃料等を取り扱う設備をその内部に設置するセルは、当該設備からの当該物質の漏えいを監視しうる構造であり、かつ、当該物質が漏えいした場合にこれを安全に処理しうる構造であるとともに当該物質がセル外に漏えいするおそれがない構造であること。
セル内に設置された流体状の使用済燃料等を内包する設備から、使用済燃料等が当該設備の冷却水、加熱蒸気その他の熱媒中に漏えいするおそれがある場合は、当該熱媒の系統は、必要に応じて、漏えい監視設備を備えるとともに、汚染した熱媒を安全に処理しうるように施設すること。
プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質(以下「プルトニウム等」という。)を取り扱うグローブボックスは、その内部を常時負圧状態に維持しうるものであり、かつ、給気口及び排気口を除き密閉することができる構造であること。
液体状のプルトニウム等を取り扱うグローブボックスは、当該物質がグローブボックス外に漏えいするおそれがない構造であること。
密封されていない使用済燃料等を取り扱うフードは、その開口部の風速を適切に維持しうるものであること。
プルトニウム等を取り扱う室(保管廃棄する室を除く。)及び使用済燃料等による汚染の発生のおそれがある室は、その内部を負圧状態に維持しうるものであること。
液体状の使用済燃料等を取り扱う設備が設置される施設(液体状の使用済燃料等の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。)は、次に掲げるところにより施設すること。
施設内部の床面及び壁面は、液体状の使用済燃料等が漏えいし難いものであること。
液体状の使用済燃料等を取り扱う設備の周辺部又は施設外に通じる出入口若しくはその周辺部には、液体状の使用済燃料等が施設外へ漏えいすることを防止するための堰が施設されていること。ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表面より低い場合であつて、液体状の使用済燃料等が施設外へ漏えいするおそれがないときは、この限りでない。
再処理施設を設置する工場又は事業所の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであつて使用済燃料等により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないものを除く。)の上に施設の床面がないようにすること。ただし、当該排水路に使用済燃料等により汚染された排水を安全に廃棄する設備及び第18条第3号に掲げる事項を計測する設備を施設する場合は、この限りでない。
第8条
【しやへい】
再処理施設を設置する工場又は事業所内の外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、放射線障害を防止するために必要なしやへい能力を有するしやへい設備を施設しなければならない。この場合において、当該しやへい設備に開口部又は配管その他の貫通部がある場合であつて放射線障害を防止するために必要がある場合には、放射線の漏えいを防止するための措置を講じなければならない。
第9条
【換気】
再処理施設内の使用済燃料等により汚染された空気による放射線障害を防止する必要がある場所には、次に掲げるところにより換気設備を施設しなければならない。
放射線障害を防止するために必要な換気能力を有するものであること。
使用済燃料等により汚染された空気が逆流するおそれがない構造であること。
ろ過装置を設ける場合にあつては、ろ過装置の機能が適切に維持しうるものであり、かつ、ろ過装置の使用済燃料等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。
吸気口は、使用済燃料等により汚染された空気を吸入し難いように施設すること。
第10条
【使用済燃料等による汚染の防止】
再処理施設のうち人が頻繁に出入りする建物内部の壁、床その他の部分であつて、使用済燃料等により汚染されるおそれがあり、かつ、人が触れるおそれがあるものの表面は、使用済燃料等による汚染を除去しやすいものでなければならない。
再処理施設には、人が触れるおそれがある器材その他の物が使用済燃料等により汚染された場合に当該汚染を除去するための設備を施設しなければならない。
第11条
【安全上重要な施設】
非常用電源設備その他の安全上重要な施設は、次に掲げるところにより施設しなければならない。
二以上の原子力施設(加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、廃棄物埋設施設、廃棄物管理施設及び使用施設等をいう。)において共用する場合には、共用することによつて再処理施設の安全を確保する機能が損なわれるおそれがないようにすること。
再処理施設の安全を確保する機能を維持するために必要がある場合には、当該施設自体又は当該施設が属する系統として多重性を有すること。
再処理施設の安全を確保する機能を確認するための検査又は試験及びこれらの機能を健全に維持するための保守又は修理ができること。
第12条
【搬送設備】
使用済燃料等を搬送する設備(人の安全に著しい支障を及ぼすおそれがないものを除く。)は、次に掲げるところにより施設しなければならない。
通常搬送する必要がある使用済燃料等を搬送する能力を有するものであること。
搬送中の使用済燃料が破損するおそれがないこと。
使用済燃料等を搬送するための動力の供給が停止した場合に、使用済燃料等を安全に保持しているものであること。
第13条
【使用済燃料の受入れ施設及び貯蔵施設】
使用済燃料の受入れ施設及び貯蔵施設は、次に掲げるところにより施設しなければならない。
使用済燃料の崩壊熱を安全に除去しうるものであること。
使用済燃料を受け入れ、又は貯蔵する水槽は、次に掲げるところにより施設すること。
水があふれ、又は漏えいするおそれがないものであること。
水が使用済燃料によつて汚染されるおそれがある場合には、浄化装置を設けること。
水の漏えいを適切に検知しうるものであること。
第14条
【計測制御系統施設】
再処理施設には、次に掲げる事項を計測し、制御する設備を施設しなければならない。この場合において、当該事項を計測する設備については、直接計測することが困難な場合は間接的に計測する設備をもつて替えることができる。
ウランの精製施設に供給される溶液中のプルトニウムの濃度
液体状の中性子吸収材を使用する場合にあつては、その濃度
使用済燃料溶解槽内の温度
蒸発缶内の温度及び圧力
廃液槽の冷却水の流量及び温度
再処理施設には、その設備の機能の喪失、誤操作その他の要因により再処理施設の安全を著しく損なうおそれが生じたとき、第18条第2号の放射性物質の濃度若しくは同条第4号の外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量が著しく上昇したとき又は液体状の放射性廃棄物の廃棄施設から液体状の放射性物質が著しく漏えいするおそれが生じたときに、これらを確実に検知して速やかに警報する設備を施設しなければならない。
再処理施設には、その設備の機能の喪失、誤操作その他の要因により再処理施設の安全を著しく損なうおそれが生じたときに、使用済燃料等を限定された区域に閉じ込める能力の維持、熱的、化学的若しくは核的制限値の維持又は火災若しくは爆発の防止のための設備を速やかに作動させる必要がある場合には、当該設備の作動を速やかに、かつ、自動的に開始させる安全保護回路を施設しなければならない。
第15条
【制御室】
再処理施設には、制御室を施設しなければならない。
制御室には、当該制御室において制御する工程の設備の運転状態を表示する装置、当該工程の安全を確保するための設備を操作する装置、当該工程の異常を表示する警報装置その他の当該工程の安全を確保するための主要な装置を集中して施設しなければならない。
制御室及びこれに連絡する通路には、再処理施設の故障、損壊等が生じた場合において、放射線業務従事者が必要な措置を採るために支障なく制御室に入り、かつ、一定期間とどまることができるように、しやへい設備の設置その他の適切な放射線防護措置を講じなければならない。
第16条
【廃棄物処理設備】
放射性廃棄物を廃棄する設備(放射性廃棄物を保管廃棄する設備を除く。)は、次に掲げるところにより施設しなければならない。
周辺監視区域の外の空気中の放射性物質の濃度及び液体状の放射性物質の海洋放出に起因する線量がそれぞれ原子力規制委員会の定める値以下になるように再処理施設において発生する放射性廃棄物を廃棄する能力を有するものであること。
放射性廃棄物以外の廃棄物を廃棄する設備と区別して施設すること。ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を廃棄する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがないときは、この限りでない。
気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排気口以外の箇所において気体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。
気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備にろ過装置を設ける場合にあつては、ろ過装置の機能が適切に維持しうるものであり、かつ、ろ過装置の使用済燃料等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。
液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、海洋放出口以外の箇所において液体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。
第17条
【保管廃棄設備】
放射性廃棄物を保管廃棄する設備であつて、放射性廃棄物の崩壊熱及び放射線の照射により発生する熱によつて過熱するおそれがあるものは、冷却のための必要な措置を講じうるように施設しなければならない。
第18条
【放射線管理施設】
再処理施設を設置する工場又は事業所には、次に掲げる事項を計測する放射線管理施設を施設しなければならない。この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する施設をもつて替えることができる。
再処理設備、使用済燃料等の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の放射線しやへい物の側壁における原子力規制委員会の定める線量当量率
放射性廃棄物の排気口又はこれに近接する箇所における排気中の放射性物質の濃度
放射性廃棄物の海洋放出口又はこれに近接する箇所における放出水中の放射性物質の種類別の量及び濃度
管理区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量、空気中の放射性物質の濃度及び放射性物質によつて汚染された物の表面の放射性物質の密度
周辺監視区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量
参照条文
第19条
【非常用電源設備】
再処理施設には、外部電源系統からの電気の供給が停止した場合において、再処理施設の安全を確保するために必要な設備の機能を維持するために、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する設備を施設しなければならない。
再処理施設の安全を確保するために特に必要な設備には、無停電電源装置又はこれと同等以上の機能を有する設備を施設しなければならない。
附則
この府令は、公布の日から施行する。
附則
昭和63年7月26日
この府令は、昭和六十四年四月一日から施行する。
附則
平成4年3月26日
第1条
(施行期日)
この府令は、公布の日から施行する。
附則
平成12年10月20日
この府令は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。
附則
平成12年12月26日
この府令は、平成十二年四月一日から施行する。
附則
平成24年9月14日
この省令は、原子力規制委員会設置法の施行の日(平成二十四年九月十九日)から施行する。
附則
平成25年6月28日
第1条
(施行期日)
この規則は、原子力規制委員会設置法(以下「設置法」という。)附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(平成二十五年七月八日)から施行する。

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