第1条
【この規則の解釈と運用、保護事件取扱の態度】
1
この規則は、少年の保護事件を適切に処理するため、
少年法(以下法という。)の目的及び精神に従つて解釈し、運用しなければならない。
2
調査及び審判その他保護事件の取扱に際しては、常に懇切にして誠意ある態度をもつて少年の情操の保護に心がけ、おのずから少年及び保護者等の信頼を受けるように努めなければならない。
第2条
【決定書】
1
決定をするときは、裁判官が、決定書を作つてこれに署名押印しなければならない。合議体で決定をする場合において、決定書に署名押印できない裁判官があるときは、他の裁判官の一人(当該署名押印できない裁判官が裁判長以外の裁判官である場合は、裁判長)が、その事由を付記して署名押印しなければならない。
2
前項の規定により署名押印すべき場合には、署名押印に代えて記名押印することができる。
3
次の各号に掲げる決定を除く決定の決定書には、
第1項の規定による署名押印又は
前項の規定による記名押印に代えて押印することができる。
4
決定書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
⑤
当該審級において
法第22条の2第1項の決定をした事件を終局させる決定の決定書においては、
同項の決定をした旨及び当該決定に係る事件を特定するに足りる事項
5
次の各号に掲げる決定を除く決定の決定書には、
前項第2号及び
第4号に掲げる事項の記載を省略することができる。
⑤
法第22条の2第1項の決定(以下「検察官関与決定」という。)をした事件についての保護処分に付さない決定
6
決定書には、記録中の書類の記載を引用することができる。
7
裁判長は、相当と認めるときは、決定を調書に記載させて決定書に代えることができる。
第3条
【決定の告知】
1
次に掲げる決定を告知するには、裁判長が、審判期日において言い渡さなければならない。
②
検察官関与決定をした事件についての
法第23条の決定
2
次に掲げる決定を告知するには、裁判長が、少年の面前で言い渡さなければならない。
3
次に掲げる決定を告知するには、当該決定をする裁判官が、少年の面前で言い渡さなければならない。
5
法第19条の決定は、
前項の規定によることができないときは、告知することを要しない。
6
裁判所書記官は、
第1項から
第4項までの場合には告知の方法、場所及び年月日を、
前項の場合には告知しなかつた旨を決定書又は決定を記載した調書に付記して押印しなければならない。
第4条
【決定と同行状の執行指揮】
2
前項の指揮は、決定書の原本、決定書若しくは決定を記載した調書の謄本若しくは抄本又は同行状に押印して行うものとする。但し、急速を要するときは、少年の氏名及び年齢、決定の主文、告知の年月日、裁判所並びに裁判官の氏名を記載した書面に押印して行うことができる。
第5条
【決定の通知】
2
法第55条の規定によつて移送を受けた事件については、
前項の規定を準用する。
3
家庭裁判所は、
法第27条及び
第27条の2第1項の規定により保護処分を取り消したときは、その旨を保護処分を執行している保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院の長に通知しなければならない。
第6条
【書類の作成者、調書への引用】
1
保護事件に関する書類は、特別の定のある場合を除いては、裁判所書記官が作成する。但し、家庭裁判所調査官の調査その他についての書類は、家庭裁判所調査官が自ら作成することができる。
2
調書には、書面、写真その他適当と認めるものを引用し、記録に添附してその一部とすることができる。
第6条の2
【事件の関係人等に対する通知】
1
この規則の規定により裁判所又は裁判長が行う通知は、裁判所書記官にさせることができる。
2
裁判所書記官は、裁判所若しくは裁判長又は裁判所書記官が法又はこの規則の規定による通知をしたときは、その旨を記録上明らかにしておかなければならない。
3
家庭裁判所調査官は、この規則の規定による通知をしたときは、その旨を記録上明らかにしておかなければならない。
第7条
【記録、証拠物の閲覧、謄写】
1
保護事件の記録又は証拠物は、
法第5条の2第1項の規定による場合又は当該記録若しくは証拠物を保管する裁判所の許可を受けた場合を除いては、閲覧又は謄写することができない。
2
付添人(
法第6条の3の規定により選任された者を除く。以下同じ。)は、
前項の規定にかかわらず、審判開始の決定があつた後は、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。
第7条の2
【記録の閲覧又は謄写の申出の際に明らかにすべき事項・法第五条の二】
第8条
【家庭裁判所への送致の方式】
1
検察官、司法警察員、警察官、都道府県知事又は児童相談所長が事件を家庭裁判所に送致するには、次に掲げる事項を記載した送致書によらなければならない。
①
少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居(保護者が法人である場合においては、その名称又は商号及び主たる事務所又は本店の所在地)並びに少年の本籍
2
前項の場合において書類、証拠物その他参考となる資料があるときは、あわせて送付しなければならない。
3
送致書には、少年の処遇に関して、意見をつけることができる。
4
検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件を更に家庭裁判所に送致する場合には、送致書にその理由を記載しなければならない。
第9条
【通告の方式・法第六条】
1
家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、家庭裁判所に通告するには、審判に付すべき事由のほか、なるべく、少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居(保護者が法人である場合においては、その名称又は商号及び主たる事務所又は本店の所在地)並びに少年の本籍を明らかにしなければならない。
2
前項の通告は、書面又は口頭ですることができる。口頭の通告があつた場合には、家庭裁判所調査官又は裁判所書記官は、これを調書に記載する。
第9条の2
【押収、捜索、検証、鑑定嘱託・法第六条の五】
第9条の3
【報告の方式・法第七条】
家庭裁判所調査官が
法第7条第1項の規定により報告するには、次に掲げる事項を記載した報告書によらなければならない。
①
少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居(保護者が法人である場合においては、その名称又は商号及び主たる事務所又は本店の所在地)
第10条
【家庭裁判所調査官の報告前の調査・法第七条】
家庭裁判所調査官は、
法第7条第2項の調査をするについては、報告をするに必要な限度に止め、深入りしないように注意しなければならない。
第11条
【調査の方針・法第九条】
1
審判に付すべき少年については、家庭及び保護者の関係、境遇、経歴、教育の程度及び状況、不良化の経過、性行、事件の関係、心身の状況等審判及び処遇上必要な事項の調査を行うものとする。
2
家族及び関係人の経歴、教育の程度、性行及び遺伝関係等についても、できる限り、調査を行うものとする。
3
心身の状況については、なるべく、少年鑑別所をして科学的鑑別の方法により検査させなければならない。
4
少年を少年鑑別所に送致するときは、少年鑑別所に対し、なるべく、観護鑑別上の注意その他参考となる事項を示さなければならない。
第12条
【陳述録取調書の作成】
1
少年、保護者又は参考人の陳述が事件の審判上必要であると認めるときは、これを調書に記載させ、又は記載しなければならない。
2
前項の調書には、陳述者をして署名押印させなければならない。
3
家庭裁判所調査官は、
第1項の場合において相当と認めるときは、少年、保護者又は参考人の陳述の要旨を記載した書面を作成し、これを
同項の調書に代えることができる。
第13条
【家庭裁判所調査官の調査報告・法第八条】
1
家庭裁判所調査官は、調査の結果を書面で家庭裁判所に報告するものとする。
3
家庭裁判所調査官は、
第1項の規定による報告の前後を問わず、少年の処遇に関し、家庭裁判所に対して意見を述べなければならない。
第13条の2
【意見陳述の申出の際に明らかにすべき事項等・法第九条の二】
1
法第9条の2本文の申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
③
申出人が
法第9条の2本文の申出をすることができる者であることの基礎となるべき事実
2
法第9条の2本文の申出については、弁護士でなければ代理人となることができない。
第13条の3
【意見聴取の日時等の通知・法第九条の二】
家庭裁判所又は家庭裁判所調査官は、
法第9条の2本文の規定により意見を聴取するときは、申出人に対し、その旨並びに意見を聴取する日時及び場所を通知しなければならない。
第13条の4
【意見聴取に当たつての配慮・法第九条の二】
法第9条の2本文の規定により意見を聴取するときは、申出人の心身の状態に配慮するものとする。
第13条の5
【意見を聴取した旨の通知・法第九条の二】
家庭裁判所は、付添人がある場合において、
法第9条の2本文の規定による意見の聴取がされたときは、速やかにその旨を当該付添人に通知しなければならない。
第13条の6
【意見の要旨を記載した書面の作成・法第九条の二】
1
家庭裁判所は、審判期日外において、
法第9条の2本文の規定により自ら意見を聴取したときは、裁判所書記官に命じて、当該意見の要旨を記載した書面を作成させなければならない。
2
家庭裁判所調査官は、
法第9条の2本文の規定により意見を聴取したときは、当該意見の要旨を記載した書面を作成しなければならない。
第14条
【付添人・法第十条】
1
弁護士である付添人の数は、三人を超えることができない。
2
付添人を選任するには、付添人と連署した書面を差し出すものとする。この書面には、少年と付添人との関係を記載しなければならない。
3
前項の規定により付添人が署名押印すべき場合には、署名押印に代えて記名押印することができる。
4
付添人の選任は、審級ごとにしなければならない。
5
保護者が付添人となるには、書面でその旨を家庭裁判所に届け出るものとする。この場合には、
第2項後段及び
前項の規定を準用する。
6
付添人の選任の許可及び付添人となることの許可は、いつでも、取り消すことができる。
第15条
【呼出状の記載要件・法第十一条】
調査又は審判のための呼出状には、本人の氏名、年齢及び住居、保護事件について呼び出す旨、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、裁判長が、記名押印しなければならない。
第16条
【呼出状の送達・法第十一条】
2
送達については、民事訴訟の送達に関する規定並びに
刑事訴訟法第65条第2項及び
第3項の規定を準用する。ただし、就業場所における送達、送達場所等の届出及び公示送達に関する規定は、この限りでない。
第16条の2
【簡易の呼出】
調査又は審判のための呼出は、呼出状の送達以外の相当と認める方法によつてすることができる。
第17条
【同行状の記載要件・法第十一条等】
1
調査又は審判のための同行状には、本人の氏名、年齢及び住居、審判に付すべき事由、同行すべき場所、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日を記載し、裁判長又は同行状を発する裁判官が、記名押印しなければならない。
2
緊急の場合に発する同行状には、
前項の記載事項の外、特に発付を必要とする理由を具体的に記載しなければならない。
3
裁判長は、
法第12条第2項の規定により
前項の同行状を発する場合には、その旨を同行状に記載しなければならない。
4
同行状の有効期間は、発付の日から七日とする。但し、相当と認めるときは、七日を超える期間を定めることができる。
第18条
【同行状の執行と執行後の処置・法第十三条】
1
同行状を執行するには、本人に示して、できる限り速やかに指定された場所に同行しなければならない。
2
同行状を所持しない場合においても、急速を要するときは、
前項の規定にかかわらず、少年に対し、審判に付すべき事由及び同行状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、同行状は、できる限り速やかに示さなければならない。
3
同行状を執行したときは、これに執行の場所及び年月日時を記載し、執行することができなかつたときは、その事由を記載して記名押印しなければならない。
4
同行状は、執行したとき、又は執行することができなかつたときは、執行を指揮した裁判官に差し出さなければならない。
5
裁判官は、同行状を受け取つたときは、執行することができなかつた場合を除いて、裁判所書記官をして同行された年月日時を同行状に記載させなければならない。
第19条
【証人尋問等・法第十四条等】
刑事訴訟規則中、裁判所の行う証人尋問、鑑定、通訳、翻訳、検証、押収及び捜索に関する規定は、保護事件の性質に反しない限り、
法第14条第1項の規定による証人尋問、鑑定、通訳及び翻訳並びに
法第15条第1項の規定による検証、押収及び捜索について準用する。
第19条の2
【調査の嘱託】
家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。
第19条の3
【少年鑑別所送致決定手続において少年に告知すべき事項等】
法第17条第1項第2号の措置をとるに際しては、裁判長(
同条第10項の規定による場合は、当該措置をとる裁判官)は、少年に対し、あらかじめ、供述を強いられることはないこと及び付添人を選任することができることを分かりやすく説明した上、審判に付すべき事由の要旨を告げ、これについて陳述する機会を与えなければならない。
第20条
【観護の措置等の方式・法第十七条等】
3
前二項の規定による指定は、いつでも、変更することができる。
第21条
【観護の措置の取消・法第十七条】
観護の措置は、その必要がなくなつたときは、速やかに取り消さなければならない。
第22条
【観護の措置に関する通知・法第十七条等】
第22条の2
【異議の申立て・法第十七条の二】
1
法第17条の2第1項本文の規定による異議の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、保護事件の係属する裁判所は、保護事件の記録及び証拠物を
同条第3項前段の決定をすべき裁判所(以下「異議裁判所」という。)に送付しなければならない。
2
異議裁判所は、保護事件の記録及び証拠物の送付を求めることができる。
3
異議裁判所は、
法第17条の2第3項前段の決定をしたときは、その旨を保護事件の係属する裁判所に通知しなければならない。
第23条
【都道府県知事等への送致の方式・法第十八条】
事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致する決定をするには、送致すべき都道府県知事又は児童相談所長を指定するものとする。
第24条
【検察官への送致の方式・法第二十条】
事件を検察官に送致する決定をするには、罪となるべき事実及びその事実に適用すべき罰条を示さなければならない。
第24条の2
【観護の措置が勾留とみなされる場合の告知等・法第四十五条第四号等】
1
法第17条第1項第2号の措置がとられている事件について、
法第19条第2項(
第23条第3項において準用する場合を含む。)又は
第20条の決定をするときは、裁判長が、あらかじめ、本人に対し、罪となるべき事実並びに
刑事訴訟法第60条第1項各号の事由がある旨及び弁護人を選任することができる旨を告げなければならない。ただし、少年又は保護者が選任した弁護士である付添人があるときは、弁護人を選任することができる旨は告げることを要しない。
2
前項の裁判長は、
刑事訴訟法第37条の2第1項に規定する事件について本人に弁護人を選任することができる旨を告げる際に、本人に対し、貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。この場合においては、
同法第207条第3項の規定を準用する。
3
前二項の規定により告知をする場合には、裁判所書記官が立ち会い、調書を作成する。
第24条の3
【観護の措置が勾留とみなされる場合の勾留場所・法第四十五条第四号等】
2
検察官は、
前項の同意があつた場合には、その同意に係る少年鑑別所若しくは刑事施設又は留置施設に本人を収容し、又は留置する。
第24条の4
【審判開始決定の取消し】
法第21条の決定は、いつでも、取り消すことができる。
第25条
【審判期日の指定と呼出】
2
審判期日には、少年及び保護者を呼び出さなければならない。
第25条の2
【事件の併合審判】
同一の少年に対する二以上の事件は、なるべく併合して審判しなければならない。
第26条
【保護観察所等への通知】
少年の処遇に関し、保護観察官若しくは保護司又は少年鑑別所に勤務する法務技官若しくは法務教官の意見を聴くことを相当と認めるときは、保護観察所又は少年鑑別所にその旨及び意見を聴くべき日時等を通知しなければならない。
第28条
【審判期日の列席者等】
1
審判の席には、裁判官及び裁判所書記官が、列席する。
2
家庭裁判所調査官は、裁判長の許可を得た場合を除き、審判の席に出席しなければならない。
3
少年が審判期日に出頭しないときは、審判を行うことができない。
5
家庭裁判所は、審判期日を付添人に通知しなければならない。
第29条
【在席の許可】
裁判長は、審判の席に、少年の親族、教員その他相当と認める者の在席を許すことができる。
第29条の2
【審判期日における告知等】
裁判長は、第一回の審判期日の冒頭において、少年に対し、供述を強いられることはないことを分かりやすく説明した上、審判に付すべき事由の要旨を告げ、これについて陳述する機会を与えなければならない。この場合において、少年に付添人があるときは、当該付添人に対し、審判に付すべき事由について陳述する機会を与えなければならない。
第29条の3
【証拠調べの申出】
少年、保護者及び付添人は、家庭裁判所に対し、証人尋問、鑑定、検証その他の証拠調べの申出をすることができる。
第29条の4
【少年本人質問】
付添人は、審判の席において、裁判長に告げて、少年に発問することができる。
第29条の5
【追送書類等に関する通知】
家庭裁判所は、
法第21条の決定をした後、当該決定をした事件について、検察官、保護観察所長、司法警察員、警察官、都道府県知事又は児童相談所長から書類、証拠物その他参考となる資料の送付を受けたときは、速やかにその旨を付添人に通知しなければならない。
第30条
【意見の陳述】
少年、保護者、付添人、家庭裁判所調査官、保護観察官、保護司、法務技官及び法務教官は、審判の席において、裁判長の許可を得て、意見を述べることができる。
第30条の2
【検察官関与決定の方式・法第二十二条の二】
検察官関与決定の主文においては、審判に検察官を出席させる事件を明らかにしなければならない。
第30条の3
【国選付添人の選任等・法第二十二条の三等】
1
家庭裁判所は、検察官関与決定をした場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、遅滞なく、当該少年に対し、一定の期間を定めて、弁護士である付添人を選任するかどうかについて回答を求めなければならない。
2
前項の期間内に回答がなく又は弁護士である付添人の選任がないときは、裁判長は、直ちに付添人を選任しなければならない。
3
法第22条の3第1項若しくは
第2項又は
第22条の5第2項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、当該家庭裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に所属する弁護士の中から裁判長がこれを選任しなければならない。ただし、その管轄区域内に選任すべき事件について付添人としての活動をすることのできる弁護士がないときその他やむを得ない事情があるときは、これに隣接する他の家庭裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に所属する弁護士その他適当な弁護士の中からこれを選任することができる。
4
裁判長は、
前項の規定により付添人を選任したときは、直ちにその旨を少年及び保護者並びに検察官(検察官関与決定があつた事件に限る。)に通知しなければならない。この場合には、日本司法支援センターにも直ちにその旨を通知しなければならない。
第30条の4
【審判の準備】
1
家庭裁判所は、検察官関与決定をした場合において、適当と認めるときは、検察官及び弁護士である付添人を出頭させた上、当該決定をした事件の非行事実(
法第17条第4項ただし書に規定する非行事実をいう。以下同じ。)を認定するための審判の進行に関し必要な事項について打合せを行うことができる。
2
前項の打合せは、合議体の構成員に行わせることができる。
3
家庭裁判所は、裁判所書記官に命じて、審判の進行に関し必要な事項について検察官又は弁護士である付添人に問合せをさせることができる。
第30条の5
【検察官による記録又は証拠物の閲覧】
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、
第7条第1項の規定にかかわらず、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。
第30条の6
【検察官の審判への出席等】
1
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、審判(事件を終局させる決定の告知を行う審判を含む。)の席に出席し、並びに審判期日外における証人尋問、鑑定、通訳、翻訳、検証、押収及び捜索の手続に立ち会うことができる。
2
家庭裁判所は、検察官関与決定をしたときは、当該決定をした事件の非行事実を認定するための手続を行う審判期日及び当該事件を終局させる決定の告知を行う審判期日を検察官に通知しなければならない。
第30条の7
【検察官による証拠調べの申出】
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、家庭裁判所に対し、証人尋問、鑑定、検証その他の証拠調べの申出をすることができる。
第30条の8
【検察官の尋問権等】
1
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、裁判長に告げて、証人、鑑定人、通訳人及び翻訳人を尋問することができる。
2
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、審判の席において、裁判長に告げて、少年に発問することができる。
第30条の9
【検察官に対する提出書類等に関する通知等】
1
家庭裁判所は、検察官関与決定をした後、当該決定をした事件について、少年、保護者又は付添人から書類、証拠物その他参考となる資料の提出を受けたときは、速やかにその旨を検察官に通知しなければならない。
2
家庭裁判所は、検察官関与決定をした場合において、当該決定をした事件について、
法第9条の2本文の規定による意見の聴取がされたときは、速やかにその旨を検察官に通知しなければならない。
第30条の10
【検察官による意見の陳述】
検察官は、検察官関与決定があつた事件において、その非行事実の認定に資するため必要な限度で、審判の席において、裁判長の許可を得て、意見を述べることができる。
第30条の11
【傍聴の申出の際に明らかにすべき事項等・法第二十二条の四】
第30条の12
【傍聴の許否等の通知・法第二十二条の四】
家庭裁判所は、
法第22条の4第1項の規定により審判の傍聴を許したときはその旨及びその審判期日を、審判の傍聴を許さないこととしたときはその旨を、速やかに、申出人並びに検察官関与決定をした場合における検察官及び少年に弁護士である付添人がある場合における当該付添人に通知しなければならない。
第30条の13
【説明の申出の際に明らかにすべき事項等・法第二十二条の六】
第30条の14
【説明をさせることができる者・法第二十二条の六】
第31条
【適正な審判のため等の措置】
1
裁判長は、適正な審判をするため必要があると認めるときは、発言を制止し、又は少年以外の者を退席させる等相当の措置をとることができる。
2
裁判長は、少年の情操を害するものと認める状況が生じたときは、その状況の継続中、少年を退席させることができる。
第32条
【裁判官の回避】
裁判官は、審判の公平について疑を生ずべき事由があると思料するときは、職務の執行を避けなければならない。
第33条
【審判調書】
1
審判期日における手続については、審判調書を作成する。
2
審判調書には、次に掲げる事項その他審判に関する重要な事項を記載する。
②
裁判官及び裁判所書記官並びに出席した家庭裁判所調査官、検察官、保護観察官、保護司、法務技官及び法務教官の氏名
③
少年並びに出席した保護者及び付添人の氏名(保護者が法人である場合においては、出席した代表者の氏名)
④
家庭裁判所調査官、検察官、保護観察官、保護司、法務技官、法務教官、保護者及び付添人の陳述の要旨
⑥
証人、鑑定人、通訳人及び翻訳人並びに参考人の供述の要旨
3
裁判所書記官は、裁判長の許可があるときは、審判調書の作成又は
前項第1号から
第7号までに掲げる記載事項の一部を省略することができる。ただし、抗告又は
法第32条の4第1項の規定による申立て(以下「抗告受理の申立て」という。)があつた場合は、この限りでない。
第34条
【審判調書の署名押印及び認印】
1
審判調書には、裁判所書記官が署名押印し、裁判長が認印しなければならない。
2
裁判長に差し支えがあるときは、他の裁判官の一人がその事由を付記して認印しなければならない。ただし、いずれの裁判官にも差し支えがあるときは、裁判所書記官がその事由を付記して署名押印すれば足りる。
3
第1項及び
前項ただし書の規定により裁判所書記官が署名押印すべき場合には、署名押印に代えて記名押印することができる。
4
裁判所書記官に差し支えがあるときは、裁判長がその事由を付記して認印すれば足りる。
第35条
【保護処分の決定の言渡・法第二十四条】
1
保護処分の決定を言い渡す場合には、少年及び保護者に対し、保護処分の趣旨を懇切に説明し、これを充分に理解させるようにしなければならない。
2
前項の場合には、二週間以内に抗告の申立書を裁判所に差し出して抗告をすることができる旨を告げなければならない。
第36条
【保護処分の決定の方式・法第二十四条】
罪を犯した少年の事件について保護処分の決定をするには、罪となるべき事実及びその事実に適用すべき法令を示さなければならない。
第37条
【各種の保護処分の形式と通知等・法第二十四条】
3
保護観察所長に
前項の通知をするときは、保護観察を受けるべき者が保護観察の期間中遵守すべき特別の事項に関する意見も通知しなければならない。
第37条の2
【参考書類の送付等】
1
前条第2項の通知をするときは、少年の処遇に関する意見書及び少年調査票その他少年の処遇上参考となる書類(以下参考書類という。)を送付することができる。
2
参考書類の取扱については、家庭裁判所の指示するところに従わなければならない。
3
家庭裁判所は、執務上必要があると認めるときは、いつでも、参考書類の返還を求めることができる。
4
保護処分が終了し又は取り消されたときは、速やかに参考書類を家庭裁判所に返還しなければならない。
第37条の3
【没取の決定の執行等・法第二十四条の二】
没取の決定の執行及び没取物の処分は、家庭裁判所が
刑事訴訟法中没収の裁判の執行及び没収物の処分に関する規定に準じて行う。
第38条
【保護処分の決定後の処置】
1
保護処分の決定をした家庭裁判所は、当該少年の動向に関心を持ち、随時、その成績を視察し、又は家庭裁判所調査官をして視察させるように努めなければならない。
2
保護処分の決定をした家庭裁判所は、必要があると認めるときは、少年の処遇に関し、保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院に勧告をすることができる。
第39条
【環境調整の措置・法第二十四条】
保護観察所長をして家庭その他の環境調整に関する措置を行わせる場合には、環境についての調査の結果を通知し、且つ必要な事項を指示しなければならない。
第40条
【家庭裁判所調査官の観察に付する決定の方式等・法第二十五条】
1
家庭裁判所調査官の観察に付する決定をするには、家庭裁判所調査官を指定するものとする。この場合には、観察の期間を定めることができる。
2
遵守事項を定めてその履行を命ずる場合には、その事項を具体的且つ明瞭に指示し、少年をして自発的にこれを遵守しようとする心構を持たせるように努めなければならない。
3
条件をつけて保護者に引き渡す場合には、保護者に対し、少年の保護監督について必要な条件を具体的に指示しなければならない。
4
適当な施設、団体又は個人に補導を委託する場合には、委託を受ける者に対し、少年の補導上参考となる事項を指示しなければならない。
5
家庭裁判所調査官の観察については、
第13条の規定を準用する。
6
家庭裁判所調査官の観察に付する決定は、いつでも、取り消し又は変更することができる。
第41条
【執行のための呼出状の記載要件・法第二十六条】
決定の執行をするための呼出状には、本人の氏名、年齢及び住居、執行すべき決定の種類、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、裁判長が、記名押印しなければならない。
第42条
【執行のための同行状の記載要件と執行・法第二十六条】
1
決定の執行をするための同行状には、本人の氏名、年齢及び住居、執行すべき決定の種類、同行すべき場所並びに発付の年月日を記載し、裁判長又は同行状を発する裁判官が、記名押印しなければならない。
第42条の2
【通知の申出の際に明らかにすべき事項等・法第三十一条の二】
第42条の3
【検察官による記録又は証拠物の閲覧・法第四十五条の三】
検察官は、家庭裁判所が少年に訴訟費用の負担を命ずる決定をした事件については、
第7条第1項の規定にかかわらず、その決定を執行するため必要な限度で、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。
第43条
【抗告申立の方式・法第三十二条】
1
抗告をするには、申立書を原裁判所に差し出すものとする。
2
前項の申立書には、抗告の趣意を簡潔に明示しなければならない。
第44条
【収容中の少年の抗告申立て等・法第三十二条】
1
少年鑑別所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院にいる少年が抗告をするには、施設の長又はその代理者を経由して申立書を差し出すことができる。この場合において、抗告の提起期間内に申立書を施設の長又はその代理者に差し出したときは、抗告の提起期間内に抗告をしたものとみなす。
2
前項の場合には、施設の長又はその代理者は、原裁判所に申立書を送付し、且つこれを受け取つた年月日を通知しなければならない。
3
原裁判所は、
第1項前段の少年の保護事件についてした保護処分の決定に対する抗告申立書を受け取つたときは、
同項前段の場合を除き、速やかにその旨を当該少年のいる施設の長又はその代理者に通知しなければならない。
第45条
【抗告申立書の送付】
1
原裁判所は、抗告申立書を受け取つたときは、速やかに記録とともに抗告裁判所に送付しなければならない。
2
前項の場合には、原裁判所は、抗告申立書に意見書をつけることができる。
第45条の2
【証拠物の送付】
1
原裁判所は、必要があると認めるときは、証拠物を抗告裁判所に送付しなければならない。
2
抗告裁判所は、証拠物の送付を求めることができる。
第46条
【抗告の通知】
児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院に送致する決定に対して抗告がなされたときは、原裁判所は、遅滞なく少年のいるこれらの施設を抗告裁判所に通知しなければならない。
第46条の2
【検察官に対する抗告の通知】
原裁判所は、検察官関与決定をした事件についてした保護処分の決定に対する抗告申立書を受け取つたときは、検察官に対し、抗告があつた旨及び抗告の趣意を通知しなければならない。
第46条の3
【抗告受理の申立て・法第三十二条の四】
2
原裁判所は、速やかに
前項の申立書とともに記録を高等裁判所に送付しなければならない。
3
原裁判所は、
第1項の申立書を受け取つたときは、少年及び保護者に対し、抗告受理の申立てがあつた旨及び抗告受理の申立ての理由を通知しなければならない。
4
高等裁判所は、
法第32条の4第3項の決定(以下「抗告受理決定」という。)をするときは、当該決定において、抗告受理の申立ての理由中
同条第4項の規定により排除するものを明らかにしなければならない。
5
抗告受理決定があつたときは、抗告裁判所は、少年及び保護者に対し、その決定の内容を通知しなければならない。
6
第44条第1項前段の少年の保護事件についてされた決定に対する抗告受理の申立てに対し抗告受理決定があつたときは、抗告裁判所は、速やかにその旨を当該少年のいる施設の長又はその代理者に通知しなければならない。
7
高等裁判所は、抗告受理の申立てがあつた場合において、抗告審として事件を受理しないときは、
法第32条の4第5項の期間内にその旨の決定をしなければならない。
8
高等裁判所は、
前項の決定をしたときは、少年及び保護者に対し、その旨を通知しなければならない。
第46条の4
【抗告審における国選付添人の選任等・法第三十二条の五等】
2
法第32条の5の規定又は
法第32条の6において準用する
法第22条の3第1項の規定により抗告裁判所が付すべき付添人は、当該抗告裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に所属する弁護士の中から裁判長がこれを選任しなければならない。ただし、その管轄区域内に選任すべき事件について付添人としての活動をすることのできる弁護士がないときその他やむを得ない事情があるときは、これに隣接する他の家庭裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に所属する弁護士その他適当な弁護士の中からこれを選任することができる。
3
裁判長は、
前項の規定にかかわらず、抗告審の審理のため特に必要があると認めるときは、原裁判所が付した付添人であつた弁護士を付添人に選任することができる。
4
第30条の3第4項の規定は、前二項の規定により裁判長が付添人を選任した場合について準用する。
第46条の5
【準用規定】
前条に定めるもののほか、抗告審の審理については、その性質に反しない限り、家庭裁判所の審判に関する規定を準用する。
第47条
【執行停止の決定をする裁判所・法第三十四条】
抗告中の事件について原決定の執行を停止する決定は、記録が抗告裁判所に到達する前は、原裁判所が、到達した後は、抗告裁判所がするものとする。
第51条
【決定の効力等】
1
抗告裁判所は、原決定を取り消す決定が確定した場合において、少年が児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院にいるときは、直ちにこれらの施設の長に対し、事件の差戻し又は移送を受けた家庭裁判所にその少年を送致すべきことを命じなければならない。
2
前項の場合には、施設の長は、直ちに所属の職員をして事件の差戻し又は移送を受けた家庭裁判所に少年を送致させなければならない。
第52条
【差戻し又は移送後の審判】
1
抗告裁判所から差戻し又は移送を受けた事件については、更に審判をしなければならない。
2
前項の場合には、原決定に関与した裁判官は、審判に関与することができない。
第55条
【収容継続申請事件の手続】
少年院法第11条の規定による収容継続申請事件の手続は、その性質に反しない限り、少年の保護事件の例による。
第56条
【連戻状の請求等】
2
連戻状の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
①
本人の氏名、年齢及び住居又は現在地。住居及び現在地が明らかでないときは、その旨
②
本人を少年院に収容しておくことができる期間の最終日
⑥
三十日を超える有効期間を必要とするときは、その旨及び事由
⑧
同一事由により本人に対し前に連戻状の請求又はその発付があつたときは、その旨
3
連戻状の請求書には、謄本一通を添付しなければならない。
4
連戻状を請求するには、連れ戻すべき事由があることを認めるべき資料を提供しなければならない。
5
連戻状の請求を受けた裁判官は、必要があると認めるときは、連戻状の請求をした少年院の長又はその少年院の職員の出頭を求めてその陳述を聴き、又はこれらの者に対し書類その他の物の提示を求めることができる。
第57条
【連戻状の記載要件等】
1
連戻状には、次に掲げる事項を記載し、裁判官が、記名押印する。
①
本人の氏名、年齢及び住居又は現在地。住居及び現在地が明らかでないときは、その旨
②
本人を少年院に収容しておくことができる期間の最終日
⑦
有効期間経過後は、連戻しに着手することができず、連戻状は返還しなければならない旨
2
連戻状の有効期間は、発付の日から三十日とする。但し、連戻状の請求を受けた裁判官は、相当と認めるときは、三十日を超える期間を定めることができる。
3
連戻状は、連戻状の請求書の謄本及びその記載を利用して作ることができる。
4
連戻状は、請求により、数通を発することができる。
6
裁判官が連戻状の請求を却下するには、請求書の謄本にその旨を記載し、記名押印してこれを請求者に交付すれば足りる。
附則
この規則は、昭和24年1月1日(法施行の日)から、施行する。
附則
昭和24年6月15日
この規則は、少年法の一部を改正する法律施行の日から施行する。(施行の日=昭和24年6月15日)
附則
昭和25年4月28日
1
この規則は、裁判所法等の一部を改正する法律の公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。(公布の日=昭和25年4月14日)
2
前項に掲げる法律附則第二項の規定により裁判所事務官を兼ねて少年調査官補に任命され、且つ、現にその者の勤務する裁判所に勤務することを命ぜられたものとみなされる者の任命及び勤務裁判所の指定は、この規則第四条による改正後の同条に掲げる規則の規定によつて行われたものとみなす。
附則
昭和57年9月3日
この規則は、民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則
平成8年12月17日
第1条
(施行期日)
この規則は、民事訴訟法(以下「新法」という。)の施行の日から施行する。(施行の日=平成10年1月1日)
附則
平成9年7月14日
この規則は、児童福祉法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則
平成13年2月19日
この規則は、少年法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則
平成18年5月12日
この規則は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行の日から施行する。
附則
平成18年7月28日
(施行期日)
この規則は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。
附則
平成19年5月25日
この規則は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則
平成19年9月27日
この規則は、少年法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。(施行の日=平成19年11月1日)
附則
平成20年3月12日
この規則は、更生保護法の施行の日から施行する。(施行の日=平成20年6月1日)
附則
平成20年11月11日
この規則は、少年法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則
平成23年12月2日
第1条
(施行期日)
この規則は、民法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。(施行の日=平成24年4月1日)