発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令
平成25年6月28日 改正
第2条
【定義】
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑥
「運転時の異常な過渡変化」とは、原子炉施設の運転時に予想される機械器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作及びこれらと類似の頻度で発生すると予想される外乱によつて生ずる異常な状態をいう。
⑧
「安全設備」とは、次に掲げる設備であつてその故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを直接又は間接に生じさせるものをいう。
⑨
「管理区域」とは、原子力発電所内の場所であつて、その場所における外部放射線に係る線量が別に告示する線量を超え、空気中の放射性物質(空気又は水のうちに自然に含まれているものを除く。以下同じ。)の濃度が別に告示する濃度を超え、又は放射性物質によつて汚染された物の表面の放射性物質の密度が別に告示する密度を超えるおそれがあるものをいう。
⑰
「クラス2容器」、「クラス2管」、「クラス2ポンプ」又は「クラス2弁」(以下「クラス2機器」という。)とは、次に掲げる機器をいう。
イ
原子炉を安全に停止するため又は非常時に安全を確保するために必要な設備であつて、その故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを間接に生じさせるものに属する機器(放射線管理設備に属するダクトにあつては、原子炉格納容器の貫通部から外側隔離弁までの部分に限る。)。
⑱
「クラス3容器」又は「クラス3管」(以下「クラス3機器」という。)とは、クラス1機器、クラス2機器、原子炉格納容器及び放射線管理設備に属するダクト以外の容器又は管(内包する流体の放射性物質の濃度が三十七ミリベクレル毎立方センチメートル(流体が液体の場合にあつては、三十七キロベクレル毎立方センチメートル)以上の管又は最高使用圧力が零メガパスカルを超える管に限る。)をいう。
23号
「鋼製内張り部等」とは、コンクリート製原子炉格納容器内の機械器具から放出される放射性物質等の有害な物質の漏えいを防止するためにコンクリート部に内張りされている鋼板(以下「ライナプレート」という。)、胴と底部のライナプレートを接続する鋼板(以下「ナックル」という。)、貫通部スリーブ及びコンクリート部への定着金具をいう。
第4条
【防護措置等】
1
原子炉施設並びに一次冷却材又は二次冷却材により駆動される蒸気タービン及びその附属設備が想定される自然現象(地すべり、断層、なだれ、洪水、高潮、基礎地盤の不同沈下等をいう。ただし、地震及び津波を除く。)により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。
第4条の2
【火災による損傷の防止】
第5条
【耐震性】
2
前項の地震力は、原子炉施設ならびに一次冷却材により駆動される蒸気タービンおよびその附属設備の構造ならびにこれらが損壊した場合における災害の程度に応じて、基礎地盤の状況、その地方における過去の地震記録に基づく震害の程度、地震活動の状況等を基礎として求めなければならない。
第7条
【さく等の施設】
第7条の3
【急傾斜地の崩壊の防止】
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域内に施設する電気工作物は、当該区域内の急傾斜地(同法第2条第1項に規定するものをいう。)の崩壊を助長し、または誘発するおそれがないように施設しなければならない。
第8条
【原子炉施設】
1
原子炉施設は、通常運転時において原子炉の反応度を安全かつ安定に制御でき、かつ、運転時の異常な過渡変化時においても原子炉固有の出力抑制特性を有するとともに原子炉の反応度を制御することにより核分裂の連鎖反応を制御できる能力を有するものでなければならない。
3
原子炉施設は、通常運転時において容器、配管、ポンプ、弁その他の機械器具から放射性物質を含む流体が著しく漏えいする場合は、流体状の放射性廃棄物を処理する設備によりこれを安全に処理するように施設しなければならない。
4
原子炉施設に属する設備であつて、蒸気タービン、ポンプ等の損壊に伴う飛散物により損傷を受け、原子炉施設の安全性を損なうことが想定されるものには、防護施設の設置その他の損傷防止措置を講じなければならない。
⊟
参照条文
第8条の2
【安全設備】
1
第2条第8号ハ及びホに掲げる安全設備は、当該安全設備を構成する機械器具の単一故障(単一の原因によつて一つの機械器具が所定の安全機能を失うことをいう。以下同じ。)が生じた場合であつて、外部電源が利用できない場合においても機能できるように、構成する機械器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性又は多様性、及び独立性を有するように施設しなければならない。
第9条
【材料及び構造】
原子炉施設(圧縮機及び補助ボイラーを除く。)に属する容器、管、ポンプ若しくは弁(以下「機器」という。)若しくはこれらの支持構造物又は炉心支持構造物の材料及び構造は、次の各号によらなければならない。この場合において、第1号から第7号まで及び第15号の規定については、使用前に適用されるものとする。
①
⑥
⑧
⑬
第9条の2
【使用中のき裂等による破壊の防止】
第10条
【安全弁等】
1
第11条
【耐圧試験等】
1
クラス1機器、クラス2機器、クラス3機器、クラス4管及び原子炉格納容器は、次の各号による圧力で耐圧試験を行つたとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないものでなければならない。ただし、気圧により試験を行う場合であつて、当該圧力に耐えることが確認された場合は、当該圧力を最高使用圧力(原子炉格納容器にあつては、最高使用圧力の〇・九倍)までに減じて著しい漏えいがないことを確認することができる。
第12条
【監視試験片】
第13条
【炉心等】
第18条
【一次冷却材の排出】
放射性物質を含む一次冷却材(第16条第4号の装置から排出される放射性物質を含む流体を含む。)を通常運転時において一次冷却系統外に排出する場合は、これを安全に処理する装置を施設しなければならない。
第20条
【計測装置】
1
原子力発電所には、次の各号に掲げる事項を計測する装置を施設しなければならない。この場合において、直接計測することが困難な場合は、当該事項を間接的に測定する装置をもつて替えることができる。
⑪
放射性物質により汚染するおそれがある管理区域(管理区域のうち、その場所における外部放射線に係る線量のみが第2条第9号の規定に基づき告示する線量を超えるおそれがある場所を除いた場所をいう。以下同じ。)内に開口部がある排水路の出口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度
⊟
参照条文
第22条
【安全保護装置】
第23条
【反応度制御系統及び原子炉停止系統】
3
原子炉停止系統は、制御棒、液体制御材等による二つ以上の独立した系統を有するものであり、かつ、次の能力を有するものでなければならない。
①
通常運転時の高温状態において、二つ以上の独立した系統がそれぞれ原子炉を未臨界に移行し未臨界を維持できるものであり、かつ、運転時の異常な過渡変化時の高温状態においても原子炉停止系統のうち少なくとも一つは、燃料許容損傷限界を超えることなく原子炉を未臨界に移行し未臨界を維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備等の作動に伴つて注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
第24条の2
【原子炉制御室等】
2
原子炉制御室には、反応度制御系統及び原子炉停止系統に係る設備を操作する装置、非常用炉心冷却設備等非常時に原子炉の安全を確保するための設備を操作する装置、原子炉及び一次冷却系統に係る主要な機械器具の動作状態を表示する装置、主要計測装置の計測結果を表示する装置その他の原子炉を安全に運転するための主要な装置(第21条第1項に規定する装置を含む。)を集中し、かつ、誤操作することなく適切に運転操作することができるように施設しなければならない。
第25条
【燃料貯蔵設備】
第26条
【燃料取扱設備】
燃料を取り扱う設備は、次の各号により施設しなければならない。
⑥
前号の容器は、内部に燃料を入れた場合に、放射線障害を防止するため、その表面の線量当量率及びその表面から一メートルの距離における線量当量率がそれぞれ別に告示する線量当量率を超えないように遮へいできるものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
第29条
【放射性物質による汚染の防止】
第30条
【廃棄物処理設備等】
1
原子力発電所には、次の各号により放射性廃棄物を処理する設備(排気筒を含み、第28条及び次条に規定するものを除く。)を施設しなければならない。
②
放射性廃棄物以外の廃棄物を処理する施設と区別して施設すること。ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を処理する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがない場合は、この限りでない。
⑤
流体状の放射性廃棄物及び原子炉冷却材圧力バウンダリ内に施設されたものから発生する高放射性の固体状の放射性廃棄物を原子力発電所内において運搬するための容器は、取扱い中における衝撃、熱等に耐え、かつ、容易に破損しないものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
⑥
前号の容器は、内部に放射性廃棄物を入れた場合に、放射線障害を防止するため、その表面の線量当量率及びその表面から一メートルの距離における線量当量率がそれぞれ別に告示する線量当量率を超えないように遮へいできるものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
2
流体状の放射性廃棄物を処理する設備が設置される施設(流体状の放射性廃棄物の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。以下この項において同じ。)は、次の各号により施設しなければならない。
②
施設内部の床面は、床面の傾斜又は床面に設けられたみぞの傾斜により流体状の放射性廃棄物が排液受け口に導かれる構造であり、かつ、流体状の放射性廃棄物を処理する設備の周辺部には、流体状の放射性廃棄物の漏えいの拡大を防止するための堰が施設されていること。
⊟
参照条文
第31条
【廃棄物貯蔵設備等】
3
前条第2項の規定は、流体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備が設置される施設に準用する。この場合において、「流体状の放射性廃棄物を処理する設備」とあるのは「流体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備」と読み替えるものとする。
第32条
【原子炉格納施設】
原子力発電所には、一次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際の漏えい率が公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないよう、次の各号により原子炉格納施設を施設しなければならない。
②
第33条
【保安電源設備】
1
原子力発電所に接続する電線路のうち少なくとも二回線は、当該原子力発電所において受電可能なものであつて、使用電圧が六万ボルトを超える特別高圧のものであり、かつ、それにより当該原子力発電所を電力系統に連系するように施設しなければならない。
2
原子力発電所には、前項の電線路及び当該原子力発電所において常時使用されている発電機からの電気の供給が停止した場合において保安を確保するために必要な装置の機能を維持するため、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する非常用予備動力装置を施設しなければならない。
第35条
【フレキシブルディスクによる手続】
第3条第2項の申請書の申請については、当該申請書に記載すべきこととされている事項を記録したフレキシブルディスク及び別記様式のフレキシブルディスク提出票を提出することにより行うことができる。
第37条
【フレキシブルディスクの記録方式】
2
第35条の規定によるフレキシブルディスクへの記録は、日本工業規格X〇二〇一及びX〇二〇八に規定する図形文字並びに日本工業規格X〇二一一に規定する制御文字のうち「復帰」及び「改行」を用いてしなければならない。