• 原子力基本法

原子力基本法

平成24年6月27日 改正
第1章
総則
第1条
【目的】
この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
第2条
【基本方針】
原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
第3条
【定義】
この法律において次に掲げる用語は、次の定義に従うものとする。
「原子力」とは、原子核変換の過程において原子核から放出されるすべての種類のエネルギーをいう。
「核燃料物質」とは、ウラン、トリウム等原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する物質であつて、政令で定めるものをいう。
「核原料物質」とは、ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質であつて、政令で定めるものをいう。
「原子炉」とは、核燃料物質を燃料として使用する装置をいう。ただし、政令で定めるものを除く。
「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。
参照条文
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第2条 核原料物質の使用に関する規則第1条 核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則第1条 核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令第1条 第2条 第3条 第4条 核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則第1条 核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則第1条 核燃料物質の加工の請負に伴う外国人等の責任の免除等に関する法律 核燃料物質の加工の事業に関する規則第1条 核燃料物質の使用等に関する規則第1条 核燃料物質の受託貯蔵に関する規則第1条 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第一種廃棄物埋設の事業に関する規則第2条 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の第二種廃棄物埋設の事業に関する規則第1条の2 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄物管理の事業に関する規則第1条 危険物船舶運送及び貯蔵規則第45条 警備員等の検定等に関する規則第1条 研究開発段階発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第2条 原子力損害の賠償に関する法律第2条 原子力損害賠償支援機構法第38条 原子力損害賠償支援機構法施行令第1条 原子力損害賠償補償契約に関する法律第17条 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法施行令第2条 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法施行令第二条第七号に規定する原子力発電による電気の安定供給に寄与する原子力の研究及び開発の用に供する施設を定める命令 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律第2条 試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則第1条の2 使用済燃料の再処理の事業に関する規則第1条 使用済燃料の貯蔵の事業に関する規則第1条 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第2条 自動車事故報告規則第2条 船舶に設置する原子炉(研究開発段階にあるものを除く。)の設置、運転等に関する規則第2条 租税特別措置法第57条の4 第68条の54 大規模地震対策特別措置法施行令第5条 津波対策の推進に関する法律第12条 電離放射線障害防止規則第22条 第41条の11 東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第2条 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法施行令第4条 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第2条 特別会計に関する法律施行令第51条 独立行政法人日本原子力研究開発機構法第2条 第17条 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法施行令第4条 発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令第2条 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第106条 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律施行令第28条 放射性医薬品の製造及び取扱規則第1条 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律第2条 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令第1条 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律第2条 薬事法施行令第80条 労働安全衛生規則第36条
第1章の2
原子力規制委員会
第3条の2
原子力利用における安全の確保を図るため、別に法律で定めるところにより、環境省の外局として、原子力規制委員会を置く。
第1章の3
原子力防災会議
第3条の3
【設置】
内閣に、原子力防災会議(以下「会議」という。)を置く。
第3条の4
【所掌事務】
会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
原子力災害対策指針(原子力災害対策特別措置法第6条の2第1項に規定する原子力災害対策指針をいう。)に基づく施策の実施の推進その他の原子力事故(原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律第2条第1項に規定する原子炉の運転等をいう。)に起因する事故をいう。次号において同じ。)が発生した場合に備えた政府の総合的な取組を確保するための施策の実施の推進
原子力事故が発生した場合において多数の関係者による長期にわたる総合的な取組が必要となる施策の実施の推進
第3条の5
【組織】
会議は、議長、副議長及び議員をもつて組織する。
議長は、内閣総理大臣をもつて充てる。
副議長は、内閣官房長官、環境大臣、内閣官房長官及び環境大臣以外の国務大臣のうちから内閣総理大臣が指名する者並びに原子力規制委員会委員長をもつて充てる。
議員は、次に掲げる者をもつて充てる。
議長及び副議長以外の全ての国務大臣並びに内閣危機管理監
内閣官房副長官、環境副大臣若しくは関係府省の副大臣、環境大臣政務官若しくは関係府省の大臣政務官又は国務大臣以外の関係行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する者
第3条の6
【事務局】
会議に、その事務を処理させるため、事務局を置く。
事務局に、事務局長その他の職員を置く。
事務局長は、環境大臣をもつて充てる。
事務局長は、議長の命を受け、命を受けた内閣官房副長官補及び内閣府設置法第4条第3項に規定する事務を分担管理する大臣たる内閣総理大臣の協力を得て、局務を掌理する。
第3条の7
【政令への委任】
この法律に定めるもののほか、会議に関し必要な事項は、政令で定める。
第2章
原子力委員会
第4条
【設置】
原子力利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図るため、内閣府に原子力委員会を置く。
第5条
【任務】
原子力委員会は、原子力利用に関する事項(安全の確保のうちその実施に関するものを除く。)について企画し、審議し、及び決定する。
第6条
【組織、運営及び権限】
原子力委員会の組織、運営及び権限については、別に法律で定める。
第3章
原子力の開発機関
第7条
【独立行政法人日本原子力研究開発機構】
原子力に関する基礎的研究及び応用の研究並びに核燃料サイクルを確立するための高速増殖炉及びこれに必要な核燃料物質の開発並びに核燃料物質の再処理等に関する技術の開発並びにこれらの成果の普及等は、第2条に規定する基本方針に基づき、独立行政法人日本原子力研究開発機構において行うものとする。
第4章
原子力に関する鉱物の開発取得
第8条
【鉱業法の特例】
核原料物質に関する鉱業権又は租鉱権に関しては、別に法律をもつて、鉱業法の特例を定めるものとする。
第9条
【買取命令及び譲渡命令】
政府は、別に法律で定めるところにより、その指定する者に対し、核原料物質を買い取るべきことを命じ、又は核原料物質の生産者又は所有者若しくは管理者に対し、政府の指定する者に核原料物質を譲渡すべきことを命ずることができる。
第10条
【核原料物質の管理】
核原料物質の輸入、輸出、譲渡、譲受及び精錬は、別に法律で定めるところにより、政府の指定する者に限つてこれを行わしめるものとする。
第11条
【奨励金等】
政府は、核原料物質の開発に寄与する者に対し、予算の範囲内において奨励金又は賞金を交付することができる。
第5章
核燃料物質の管理
第12条
【核燃料物質に関する規制】
核燃料物質を生産し、輸入し、輸出し、所有し、所持し、譲渡し、譲り受け、使用し、又は輸送しようとする者は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。
参照条文
第13条
【核燃料物質の譲渡命令】
政府は、前条に規定する規制を行う場合において、別に法律で定めるところにより、核燃料物質を所有し、又は所持する者に対し、譲渡先及び価格を指示してこれを譲渡すべきことを命ずることができる。
第6章
原子炉の管理
第14条
【原子炉の建設等の規制】
原子炉を建設しようとする者は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。これを改造し、又は移動しようとする者も、同様とする。
第15条
原子炉を譲渡し、又は譲り受けようとする者は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。
第16条
前二条に規定する規制に従つて原子炉を建設し、改造し、移動し、又は譲り受けた者は、別に法律で定めるところにより、操作開始前に運転計画を定めて、政府の認可を受けなければならない。
第7章
特許発明等に対する措置
第17条
【特許法による措置】
政府は、原子力に関する特許発明につき、公益上必要があると認めるときは、特許法第93条の規定により措置するものとする。
第18条
【譲渡制限】
原子力に関する特許発明、技術等の国外流出に係る契約の締結は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。
第19条
【奨励金等】
政府は、原子力に関する特許出願に係る発明又は特許発明に関し、予算の範囲内において奨励金又は賞金を交付することができる。
第8章
放射線による障害の防止
第20条
【放射線による障害の防止措置】
放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める。
第9章
補償
第21条
【補償】
政府又は政府の指定する者は、この法律及びこの法律を施行する法律に基き、核原料物質の開発のためその権限を行う場合において、土地に関する権利、鉱業権又は租鉱権その他の権利に関し、権利者及び関係人に損失を与えた場合においては、それぞれ法律で定めるところにより、正当な補償を行わなければならない。
附則
この法律は、昭和三十一年一月一日から施行する。
附則
昭和42年7月20日
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第七条の改正規定は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
昭和53年7月5日
第1条
(施行期日)
この法律は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。
附則
平成10年5月20日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条中動力炉・核燃料開発事業団法第三十一条及び第三十二条第三項を削る改正規定並びに附則第五条及び第六条の規定については、公布の日から施行する。
第2条
(核燃料サイクル開発機構への移行)
動力炉・核燃料開発事業団(以下「事業団」という。)は、この法律の施行の時において、核燃料サイクル開発機構(以下「機構」という。)となるものとする。
第3条
(持分の払戻し)
政府以外の出資者は、機構に対し、この法律の施行の日から起算して一月を経過した日までの間に限り、その持分の払戻しを請求することができる。
機構は、前項の規定による請求があったときは、この法律による改正後の核燃料サイクル開発機構法(以下「新法」という。)第七条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、機構は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
第4条
(名称の使用制限に関する経過措置)
この法律の施行の際現に核燃料サイクル開発機構という名称を使用している者については、新法第九条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第5条
(事業団の役員に関する経過措置)
この法律の施行の日の前日において事業団の役員である者の任期は、この法律による改正前の動力炉・核燃料開発事業団法第十四条第一項の規定にかかわらず、その日に満了する。
第6条
(基本方針に関する経過措置)
内閣総理大臣は、この法律の施行の日前において、原子力委員会の議決を経て新法第二十七条第一項の規定による基本方針を定めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定により基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。ただし、通商産業大臣との協議は、新法第二十四条第一項第一号イ、ロ及びニに掲げる業務に係る事項に限られるものとする。
第7条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成11年7月16日
第1条
(施行期日)
この法律は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第3条
(職員の身分引継ぎ)
この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。
第30条
(別に定める経過措置)
第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。
附則
平成16年12月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十条から第十二条まで、第十四条から第十七条まで、第十八条第一項及び第三項並びに第十九条から第三十二条までの規定は、平成十七年十月一日から施行する。
附則
平成24年6月27日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

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