移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令
平成18年12月15日 制定
第1条
【定義】
1
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
①
視覚障害者誘導用ブロック 線状ブロック及び点状ブロックを適切に組み合わせて床面に敷設したものをいう。
②
線状ブロック 床面に敷設されるブロックであって、線状の突起が設けられており、かつ、周囲の床面との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより容易に識別できるものをいう。
③
点状ブロック 床面に敷設されるブロックであって、点状の突起が設けられており、かつ、周囲の床面との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより容易に識別できるものをいう。
④
車いすスペース 車いすを使用している者(以下「車いす使用者」という。)の用に供するため車両等に設けられる場所をいう。
⑤
鉄道駅
鉄道事業法による鉄道施設であって、旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
⑥
軌道停留場
軌道法による軌道施設であって、旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
⑦
バスターミナル
自動車ターミナル法によるバスターミナルであって、旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
⑧
旅客船ターミナル
海上運送法による輸送施設(船舶を除き、同法による一般旅客定期航路事業の用に供するものに限る。)であって、旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
⑨
航空旅客ターミナル施設 航空旅客ターミナル施設であって、旅客の乗降、待合いその他の用に供するものをいう。
⑩
鉄道車両
鉄道事業法による鉄道事業者が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両をいう。
⑪
軌道車両
軌道法による軌道経営者が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両をいう。
⑫
バス車両
道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業者(路線を定めて定期に運行する自動車により乗合旅客の運送を行うものに限る。)が旅客の運送を行うためその事業の用に供する自動車(
同法第5条第1項第3号に規定する路線定期運行の用に供するものに限る。)をいう。
⑭
船舶
海上運送法による一般旅客定期航路事業(日本の国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他の団体以外の者が営む同法による対外旅客定期航路事業を除く。)を営む者が旅客の運送を行うためその事業の用に供する船舶をいう。
⑮
航空機
航空法による本邦航空運送事業者が旅客の運送を行うためその事業の用に供する航空機をいう。
第2条
【一時使用目的の旅客施設又は車両等】
災害等のため一時使用する旅客施設又は車両等の構造及び設備については、この省令の規定によらないことができる。
第3条
【適用範囲】
旅客施設の構造及び設備については、この章の定めるところによる。
第4条
【移動等円滑化された経路】
1
公共用通路(旅客施設の営業時間内において常時一般交通の用に供されている一般交通用施設であって、旅客施設の外部にあるものをいう。以下同じ。)と車両等の乗降口との間の経路であって、高齢者、障害者等の円滑な通行に適するもの(以下「移動等円滑化された経路」という。)を、乗降場ごとに一以上設けなければならない。
2
移動等円滑化された経路において床面に高低差がある場合は、傾斜路又はエレベーターを設けなければならない。ただし、構造上の理由により傾斜路又はエレベーターを設置することが困難である場合は、エスカレーター(構造上の理由によりエスカレーターを設置することが困難である場合は、エスカレーター以外の昇降機であって車いす使用者の円滑な利用に適した構造のもの)をもってこれに代えることができる。
3
旅客施設に隣接しており、かつ、旅客施設と一体的に利用される他の施設の傾斜路(
第6項の基準に適合するものに限る。)又はエレベーター(
第7項の基準に適合するものに限る。)を利用することにより高齢者、障害者等が旅客施設の営業時間内において常時公共用通路と車両等の乗降口との間の移動を円滑に行うことができる場合は、
前項の規定によらないことができる。管理上の理由により昇降機を設置することが困難である場合も、また同様とする。
4
移動等円滑化された経路と公共用通路の出入口は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
幅は、九十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、八十センチメートル以上とすることができる。
②
戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 幅は、九十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、八十センチメートル以上とすることができる。ロ 自動的に開閉する構造又は高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。
③
次号に掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。
④
構造上の理由によりやむを得ず段を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
5
移動等円滑化された経路を構成する通路は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
幅は、百四十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、通路の末端の付近の広さを車いすの転回に支障のないものとし、かつ、五十メートル以内ごとに車いすが転回することができる広さの場所を設けた上で、幅を百二十センチメートル以上とすることができる。
②
戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 幅は、九十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、八十センチメートル以上とすることができる。ロ 自動的に開閉する構造又は高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。
③
次号に掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。
④
構造上の理由によりやむを得ず段を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
6
移動等円滑化された経路を構成する傾斜路は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
①
幅は、百二十センチメートル以上であること。ただし、段に併設する場合は、九十センチメートル以上とすることができる。
②
勾配は、十二分の一以下であること。ただし、傾斜路の高さが十六センチメートル以下の場合は、八分の一以下とすることができる。
③
高さが七十五センチメートルを超える傾斜路にあっては、高さ七十五センチメートル以内ごとに踏幅百五十センチメートル以上の踊り場が設けられていること。
7
移動等円滑化された経路を構成するエレベーターは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
かご及び昇降路の出入口の幅は、八十センチメートル以上であること。
②
かごの内法幅は百四十センチメートル以上であり、内法奥行きは百三十五センチメートル以上であること。ただし、かごの出入口が複数あるエレベーターであって、車いす使用者が円滑に乗降できる構造のもの(開閉するかごの出入口を音声により知らせる設備が設けられているものに限る。)については、この限りでない。
③
かご内に、車いす使用者が乗降する際にかご及び昇降路の出入口を確認するための鏡が設けられていること。ただし、
前号ただし書に規定する場合は、この限りでない。
④
かご及び昇降路の出入口の戸にガラスその他これに類するものがはめ込まれていること又はかご外及びかご内に画像を表示する設備が設置されていることにより、かご外にいる者とかご内にいる者が互いに視覚的に確認できる構造であること。
⑤
かご内に手すり(握り手その他これに類する設備を含む。以下同じ。)が設けられていること。
⑥
かご及び昇降路の出入口の戸の開扉時間を延長する機能を有したものであること。
⑦
かご内に、かごが停止する予定の階及びかごの現在位置を表示する設備が設けられていること。
⑧
かご内に、かごが到着する階並びにかご及び昇降路の出入口の戸の閉鎖を音声により知らせる設備が設けられていること。
⑨
かご内及び乗降ロビーには、車いす使用者が円滑に操作できる位置に操作盤が設けられていること。
⑩
かご内に設ける操作盤及び乗降ロビーに設ける操作盤のうちそれぞれ一以上は、点字がはり付けられていること等により視覚障害者が容易に操作できる構造となっていること。
⑪
乗降ロビーの幅は百五十センチメートル以上であり、奥行きは百五十センチメートル以上であること。
⑫
乗降ロビーには、到着するかごの昇降方向を音声により知らせる設備が設けられていること。ただし、かご内にかご及び昇降路の出入口の戸が開いた時にかごの昇降方向を音声により知らせる設備が設けられている場合又は当該エレベーターの停止する階が二のみである場合は、この限りでない。
8
移動等円滑化された経路を構成するエスカレーターは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。ただし、
第7号及び
第8号については、複数のエスカレーターが隣接した位置に設けられる場合は、そのうち一のみが適合していれば足りるものとする。
①
上り専用のものと下り専用のものをそれぞれ設置すること。ただし、旅客が同時に双方向に移動することがない場合については、この限りでない。
②
踏み段の表面及びくし板は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
③
昇降口において、三枚以上の踏み段が同一平面上にあること。
④
踏み段の端部の全体がその周囲の部分と色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより踏み段相互の境界を容易に識別できるものであること。
⑤
くし板の端部と踏み段の色の明度、色相又は彩度の差が大きいことによりくし板と踏み段との境界を容易に識別できるものであること。
⑥
エスカレーターの上端及び下端に近接する通路の床面等において、当該エスカレーターへの進入の可否が示されていること。ただし、上り専用又は下り専用でないエスカレーターについては、この限りでない。
⑧
踏み段の面を車いす使用者が円滑に昇降するために必要な広さとすることができる構造であり、かつ、車止めが設けられていること。
第5条
【通路】
通路は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
②
段を設ける場合は、当該段は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 踏面の端部の全体がその周囲の部分と色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより段を容易に識別できるものであること。ロ 段鼻の突き出しその他のつまずきの原因となるものが設けられていない構造のものであること。
第6条
【傾斜路】
傾斜路(階段に代わり、又はこれに併設するものに限る。以下この条において同じ。)は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
手すりが両側に設けられていること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
②
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
③
傾斜路の勾配部分は、その接続する通路との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことによりその存在を容易に識別できるものであること。
④
傾斜路の両側には、立ち上がり部が設けられていること。ただし、側面が壁面である場合は、この限りでない。
第7条
【エスカレーター】
エスカレーターには、当該エスカレーターの行き先及び昇降方向を音声により知らせる設備を設けなければならない。
第8条
【階段】
階段(踊り場を含む。以下同じ。)は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
手すりが両側に設けられていること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
②
手すりの端部の付近には、階段の通ずる場所を示す点字をはり付けること。
③
回り段がないこと。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
④
踏面の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
⑤
踏面の端部の全体がその周囲の部分と色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより段を容易に識別できるものであること。
⑥
段鼻の突き出しその他のつまずきの原因となるものが設けられていない構造のものであること。
⑦
階段の両側には、立ち上がり部が設けられていること。ただし、側面が壁面である場合は、この限りでない。
第9条
【視覚障害者誘導用ブロック等】
1
通路その他これに類するもの(以下「通路等」という。)であって公共用通路と車両等の乗降口との間の経路を構成するものには、視覚障害者誘導用ブロックを敷設し、又は音声その他の方法により視覚障害者を誘導する設備を設けなければならない。ただし、視覚障害者の誘導を行う者が常駐する二以上の設備がある場合であって、当該二以上の設備間の誘導が適切に実施されるときは、当該二以上の設備間の経路を構成する通路等については、この限りでない。
2
前項の規定により視覚障害者誘導用ブロックが敷設された通路等と
第4条第7項第10号の基準に適合する乗降ロビーに設ける操作盤、
第12条第2項の規定により設けられる設備(音によるものを除く。)、便所の出入口及び
第16条の基準に適合する乗車券等販売所との間の経路を構成する通路等には、それぞれ視覚障害者誘導用ブロックを敷設しなければならない。ただし、
前項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
3
階段、傾斜路及びエスカレーターの上端及び下端に近接する通路等には、点状ブロックを敷設しなければならない。
第10条
【運行情報提供設備】
車両等の運行(運航を含む。)に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。ただし、電気設備がない場合その他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
第11条
【標識】
1
エレベーターその他の昇降機、傾斜路、便所、乗車券等販売所、待合所、案内所若しくは休憩設備(以下「移動等円滑化のための主要な設備」という。)又は
次条第1項に規定する案内板その他の設備の付近には、これらの設備があることを表示する標識を設けなければならない。
2
前項の標識は、日本工業規格Z八二一〇に適合するものでなければならない。
第12条
【移動等円滑化のための主要な設備の配置等の案内】
1
公共用通路に直接通ずる出入口(鉄道駅及び軌道停留場にあっては、当該出入口又は改札口。
次項において同じ。)の付近には、移動等円滑化のための主要な設備(
第4条第3項前段の規定により昇降機を設けない場合にあっては、
同項前段に規定する他の施設のエレベーターを含む。以下この条において同じ。)の配置を表示した案内板その他の設備を備えなければならない。ただし、移動等円滑化のための主要な設備の配置を容易に視認できる場合は、この限りでない。
2
公共用通路に直接通ずる出入口の付近その他の適切な場所に、旅客施設の構造及び主要な設備の配置を音、点字その他の方法により視覚障害者に示すための設備を設けなければならない。
第13条
【便所】
1
便所を設ける場合は、当該便所は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
便所の出入口付近に、男子用及び女子用の区別(当該区別がある場合に限る。)並びに便所の構造を音、点字その他の方法により視覚障害者に示すための設備が設けられていること。
②
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
③
男子用小便器を設ける場合は、一以上の床置式小便器、壁掛式小便器(受け口の高さが三十五センチメートル以下のものに限る。)その他これらに類する小便器が設けられていること。
④
前号の規定により設けられる小便器には、手すりが設けられていること。
2
便所を設ける場合は、そのうち一以上は、
前項に掲げる基準のほか、次に掲げる基準のいずれかに適合するものでなければならない。
①
便所(男子用及び女子用の区別があるときは、それぞれの便所)内に高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有する便房が設けられていること。
②
高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有する便所であること。
第14条
1
前条第2項第1号の便房が設けられた便所は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
移動等円滑化された経路と便所との間の経路における通路のうち一以上は、
第4条第5項各号に掲げる基準に適合するものであること。
②
出入口の幅は、八十センチメートル以上であること。
③
出入口には、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。ただし、傾斜路を設ける場合は、この限りでない。
④
出入口には、高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有する便房が設けられていることを表示する標識が設けられていること。
⑤
出入口に戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 幅は、八十センチメートル以上であること。ロ 高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。
⑥
車いす使用者の円滑な利用に適した広さが確保されていること。
2
前条第2項第1号の便房は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
出入口には、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。
②
出入口には、当該便房が高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のものであることを表示する標識が設けられていること。
④
高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造を有する水洗器具が設けられていること。
第16条
【乗車券等販売所、待合所及び案内所】
1
乗車券等販売所を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
移動等円滑化された経路と乗車券等販売所との間の経路における通路のうち一以上は、
第4条第5項各号に掲げる基準に適合するものであること。
②
出入口を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 幅は、八十センチメートル以上であること。ロ 戸を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。(1) 幅は、八十センチメートル以上であること。(2) 高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。ハ ニに掲げる場合を除き、車いす使用者が通過する際に支障となる段がないこと。ニ 構造上の理由によりやむを得ず段を設ける場合は、傾斜路を併設すること。
③
カウンターを設ける場合は、そのうち一以上は、車いす使用者の円滑な利用に適した構造のものであること。ただし、常時勤務する者が容易にカウンターの前に出て対応できる構造である場合は、この限りでない。
2
前項の規定は、待合所及び案内所を設ける場合について準用する。
3
乗車券等販売所又は案内所(勤務する者を置かないものを除く。)は、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を備えなければならない。この場合においては、当該設備を保有している旨を当該乗車券等販売所又は案内所に表示するものとする。
第17条
【券売機】
乗車券等販売所に券売機を設ける場合は、そのうち一以上は、高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のものでなければならない。ただし、乗車券等の販売を行う者が常時対応する窓口が設置されている場合は、この限りでない。
第18条
【休憩設備】
高齢者、障害者等の休憩の用に供する設備を一以上設けなければならない。ただし、旅客の円滑な流動に支障を及ぼすおそれのある場合は、この限りでない。
第19条
【改札口】
1
鉄道駅において移動等円滑化された経路に改札口を設ける場合は、そのうち一以上は、幅が八十センチメートル以上でなければならない。
2
鉄道駅において自動改札機を設ける場合は、当該自動改札機又はその付近に、当該自動改札機への進入の可否を、容易に識別することができる方法で表示しなければならない。
第20条
【プラットホーム】
1
鉄道駅のプラットホームは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面の縁端との間隔は、鉄道車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において、できる限り小さいものであること。この場合において、構造上の理由により当該間隔が大きいときは、旅客に対しこれを警告するための設備を設けること。
②
プラットホームと鉄道車両の旅客用乗降口の床面とは、できる限り平らであること。
③
プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面との隙間又は段差により車いす使用者の円滑な乗降に支障がある場合は、車いす使用者の円滑な乗降のために十分な長さ、幅及び強度を有する設備が一以上備えられていること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
④
排水のための横断勾配は、一パーセントが標準であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
⑤
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
⑥
発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホーム(鋼索鉄道に係るものを除く。)にあっては、ホームドア又は可動式ホームさく(旅客の円滑な流動に支障を及ぼすおそれがある場合にあっては、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備)が設けられていること。
⑦
前号に掲げるプラットホーム以外のプラットホームにあっては、ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備が設けられていること。
⑧
プラットホームの線路側以外の端部には、旅客の転落を防止するためのさくが設けられていること。ただし、当該端部に階段が設置されている場合その他旅客が転落するおそれのない場合は、この限りでない。
⑨
列車の接近を文字等により警告するための設備及び音声により警告するための設備が設けられていること。ただし、電気設備がない場合その他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
2
前項第4号及び
第9号の規定は、ホームドア又は可動式ホームさくが設けられたプラットホームについては適用しない。
第21条
【車いす使用者用乗降口の案内】
鉄道駅の適切な場所において、
第32条第1項の規定により列車に設けられる車いすスペースに通ずる
第31条第3号の基準に適合した旅客用乗降口が停止するプラットホーム上の位置を表示しなければならない。ただし、当該プラットホーム上の位置が一定していない場合は、この限りでない。
第23条
【乗降場】
バスターミナルの乗降場は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
②
乗降場の縁端のうち、誘導車路その他のバス車両の通行、停留又は駐車の用に供する場所(以下「バス車両用場所」という。)に接する部分には、さく、点状ブロックその他の視覚障害者のバス車両用場所への進入を防止するための設備が設けられていること。
③
当該乗降場に接して停留するバス車両に車いす使用者が円滑に乗降できる構造のものであること。
第24条
【乗降用設備】
旅客船ターミナルにおいて船舶に乗降するためのタラップその他の設備(以下この節において「乗降用設備」という。)を設置する場合は、当該乗降用設備は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
車いす使用者が持ち上げられることなく乗降できる構造のものであること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合には、この限りでない。
④
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
第25条
【視覚障害者誘導用ブロックの設置の例外】
旅客船ターミナルにおいては、乗降用設備その他波浪による影響により旅客が転倒するおそれがある場所については、
第9条の規定にかかわらず、視覚障害者誘導用ブロックを敷設しないことができる。
第26条
【転落防止設備】
視覚障害者が水面に転落するおそれのある場所には、さく、点状ブロックその他の視覚障害者の水面への転落を防止するための設備を設けなければならない。
第27条
【保安検査場の通路】
1
航空旅客ターミナル施設の保安検査場(航空機の客室内への銃砲刀剣類等の持込みを防止するため、旅客の身体及びその手荷物の検査を行う場所をいう。以下同じ。)において門型の金属探知機を設置して検査を行う場合は、当該保安検査場内に、車いす使用者その他の門型の金属探知機による検査を受けることのできない者が通行するための通路を別に設けなければならない。
2
前項の通路の幅は、九十センチメートル以上でなければならない。
4
保安検査場には、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を備えなければならない。この場合においては、当該設備を保有している旨を当該保安検査場に表示するものとする。
第28条
【旅客搭乗橋】
1
航空旅客ターミナル施設の旅客搭乗橋(航空旅客ターミナル施設と航空機の乗降口との間に設けられる設備であって、当該乗降口に接続して旅客を航空旅客ターミナル施設から直接航空機に乗降させるためのものをいう。以下この条において同じ。)は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。ただし、
第3号及び
第4号については、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
②
旅客搭乗橋の縁端と航空機の乗降口の床面との隙間又は段差により車いす使用者の円滑な乗降に支障がある場合は、車いす使用者の円滑な乗降のために十分な長さ、幅及び強度を有する設備が一以上備えられていること。
⑤
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
2
旅客搭乗橋については、
第9条の規定にかかわらず、視覚障害者誘導用ブロックを敷設しないことができる。
第29条
【改札口】
各航空機の乗降口に通ずる改札口のうち一以上は、幅が八十センチメートル以上でなければならない。
第30条
【適用範囲】
鉄道車両の構造及び設備については、この節の定めるところによる。
第31条
【旅客用乗降口】
旅客用乗降口は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
旅客用乗降口の床面の縁端とプラットホームの縁端との間隔は、鉄道車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において、できる限り小さいものであること。
②
旅客用乗降口の床面とプラットホームとは、できる限り平らであること。
③
旅客用乗降口のうち一列車ごとに一以上は、幅が八十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
④
旅客用乗降口の床面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
⑤
旅客用乗降口の戸の開閉する側を音声により知らせる設備が設けられていること。
⑥
車内の段の端部の全体がその周囲の部分と色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより、車内の段を容易に識別できるものであること。
第32条
【客室】
1
客室には、次に掲げる基準に適合する車いすスペースを一列車ごとに一以上設けなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
①
車いす使用者が円滑に利用するために十分な広さが確保されていること。
②
車いす使用者が円滑に利用できる位置に手すりが設けられていること。
③
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
④
車いす使用者が利用する際に支障となる段がないこと。
2
通路及び客室内には、手すりを設けなければならない。
3
便所を設ける場合は、そのうち一列車ごとに一以上は、車いす使用者の円滑な利用に適した構造のものでなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
4
前条第3号の基準に適合する旅客用乗降口と
第1項の規定により設けられる車いすスペースとの間の通路のうち一以上及び当該車いすスペースと
前項の基準に適合する便所との間の通路のうち一以上の幅は、それぞれ八十センチメートル以上でなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
5
客室には、次に停車する鉄道駅の駅名その他の当該鉄道車両の運行に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。
6
客室内の旅客用乗降口の戸又はその付近には、当該列車における当該鉄道車両の位置その他の位置に関する情報を文字及び点字により表示しなければならない。ただし、鉄道車両の編成が一定していない等の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
第33条
【車体】
1
鉄道車両の連結部(常時連結している部分に限る。)には、プラットホーム上の旅客の転落を防止するための設備を設けなければならない。ただし、プラットホームの設備等により旅客が転落するおそれのない場合は、この限りでない。
2
車体の側面に、鉄道車両の行き先及び種別を見やすいように表示しなければならない。ただし、行き先又は種別が明らかな場合は、この限りでない。
第34条
【準用】
前節の規定は、軌道車両(
次条に規定する低床式軌道車両を除く。)について準用する。
第35条
【低床式軌道車両】
前節(
第31条第3号ただし書並びに
第32条第1項ただし書、
第3項ただし書及び
第4項ただし書を除く。)の規定は、低床式軌道車両(旅客用乗降口の床面の軌条面からの高さが四十センチメートル以下の軌道車両であって、旅客用乗降口から客室の主要部分までの通路の床面に段がないものをいう。)について準用する。
第36条
【適用範囲】
バス車両の構造及び設備については、この節の定めるところによる。
第37条
【乗降口】
1
乗降口の踏み段の端部の全体がその周囲の部分と色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより踏み段を容易に識別できるものでなければならない。
2
乗降口のうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
②
スロープ板その他の車いす使用者の乗降を円滑にする設備(国土交通大臣の定める基準に適合しているものに限る。)が備えられていること。
第38条
【床面】
1
国土交通大臣の定める方法により測定した床面の地上面からの高さは、六十五センチメートル以下でなければならない。
2
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものでなければならない。
第39条
【車いすスペース】
バス車両には、次に掲げる基準に適合する車いすスペースを一以上設けなければならない。
①
車いす使用者が円滑に利用できる位置に手すりが設けられていること。
②
車いす使用者が利用する際に支障となる段がないこと。
③
車いすを固定することができる設備が備えられていること。
④
車いすスペースに座席を設ける場合は、当該座席は容易に折り畳むことができるものであること。
⑤
他の法令の規定により旅客が降車しようとするときに容易にその旨を運転者に通報するためのブザーその他の装置を備えることとされているバス車両である場合は、車いす使用者が利用できる位置に、当該ブザーその他の装置が備えられていること。
⑦
前各号に掲げるもののほか、長さ、幅等について国土交通大臣の定める基準に適合するものであること。
第40条
【通路】
1
第37条第2項の基準に適合する乗降口と車いすスペースとの間の通路の幅(容易に折り畳むことができる座席が設けられている場合は、当該座席を折り畳んだときの幅)は、八十センチメートル以上でなければならない。
2
通路には、国土交通大臣が定める間隔で手すりを設けなければならない。
第41条
【運行情報提供設備等】
1
バス車両内には、次に停車する停留所の名称その他の当該バス車両の運行に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。
2
バス車両には、車外用放送設備を設けなければならない。
3
バス車両の前面、左側面及び後面に、バス車両の行き先を見やすいように表示しなければならない。
第42条
【意思疎通を図るための設備】
バス車両内には、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を備えなければならない。この場合においては、当該設備を保有している旨を当該バス車両内に表示するものとする。
第43条
【基準の適用除外】
1
地方運輸局長が、その構造により又はその運行の態様によりこの省令の規定により難い特別の事由があると認定したバス車両については、
第37条から
前条まで(
第37条第1項、
第38条第2項及び
前条を除く。)に掲げる規定のうちから当該地方運輸局長が当該バス車両ごとに指定したものは、適用しない。
2
前項の認定は、条件又は期限を付して行うことができる。
3
第1項の認定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を地方運輸局長に提出しなければならない。
4
地方運輸局長は、次の各号のいずれかに該当する場合には、
第1項の認定を取り消すことができる。
第44条
【適用範囲】
福祉タクシー車両の構造及び設備については、この節の定めるところによる。
第45条
【福祉タクシー車両】
1
車いす等対応車(福祉タクシー車両のうち、高齢者、障害者等が移動のための車いすその他の用具を使用したまま車両に乗り込むことが可能なものをいう。)は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
スロープ板若しくはリフト、寝台若しくは担架(以下この項において「寝台等」という。)又はその他の車いす使用者若しくは寝台等を使用している者の乗降を円滑にする設備が備えられていること。
②
車いす又は寝台等の用具を備えておくスペースが一以上設けられていること。
③
車いす又は寝台等の用具を固定することができる設備が備えられていること。
④
事業者名、車両番号、運賃及び料金その他の情報を音又は点字により視覚障害者に示すための設備が設けられていること。ただし、これらの情報を提供できる者が乗務している場合は、この限りでない。
⑤
聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備が備えられていること。
2
回転シート車(福祉タクシー車両のうち、
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則第1条に規定する設備を備えたものをいう。)は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
折り畳んだ車いすを備えておくスペースが一以上設けられていること。
②
事業者名、車両番号、運賃及び料金その他の情報を音又は点字により視覚障害者に示すための設備が設けられていること。ただし、これらの情報を提供できる者が乗務している場合は、この限りでない。
③
聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備が備えられていること。
第46条
【適用範囲】
船舶の構造及び設備については、この節の定めるところによる。
第47条
【乗降用設備】
船舶に乗降するためのタラップその他の設備を備える場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
車いす使用者が持ち上げられることなく乗降できる構造のものであること。
④
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
第48条
【出入口】
1
旅客が乗降するための出入口(舷門又は甲板室の出入口をいう。)のうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
②
スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
2
車両区域の出入口のうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
②
スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
③
高齢者、障害者等が車両から乗降するための場所であって、次に掲げる基準に適合するもの(以下「乗降場所」という。)が設けられていること。イ 幅は、三百五十センチメートル以上であること。ロ 車両区域の出入口に隣接して設けられていること。ただし、乗降場所と車両区域の出入口との間に幅が八十センチメートル以上である通路を一以上設ける場合は、この限りでない。ハ 乗降場所であることを示す表示が設けられていること。
第49条
【客席】
1
航行予定時間が八時間未満の船舶の客席のうち旅客定員二十五人ごとに一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
②
高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のものであること。
④
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
2
航行予定時間が八時間以上の船舶の客席のうち旅客定員二十五人ごとに一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
②
いす席が設けられる場合は、その収容数二十五人ごとに一以上は、
前項第2号から
第4号までに掲げる基準に適合するものであること。
③
座席又は寝台が設けられる場合は、その収容数二十五人ごとに一以上は、
前項第2号から
第4号までに掲げる基準に適合するものであること。
第50条
【車いすスペース】
旅客定員百人ごとに一以上の割合で、次に掲げる基準に適合する車いすスペースを車いす使用者が円滑に利用できる場所に設けなければならない。ただし、航行予定時間が八時間以上であり、かつ、客席として座席又は寝台のみが設けられている船舶については、この限りでない。
①
車いす使用者が円滑に利用するために十分な広さが確保されていること。
②
車いす使用者が円滑に利用できる位置に手すりが設けられていること。
③
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
④
車いす使用者が利用する際に支障となる段がないこと。
⑤
車いすを固定することができる設備が設けられていること。
第51条
【通路】
1
第48条第1項の基準に適合する出入口及び
同条第2項の基準に適合する車両区域の出入口と
第49条第1項又は
第2項の基準に適合する客席(以下「基準適合客席」という。)及び
前条の規定により設けられた車いすスペース(以下「船内車いすスペース」という。)との間の通路のうちそれぞれ一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
③
手すりの端部の付近には、通路の通ずる場所を示す点字をはり付けること。
④
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
⑤
スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
⑥
通路の末端の付近の広さは、車いすの転回に支障のないものであること。
2
前項の規定は、基準適合客席及び船内車いすスペースと船内旅客用設備(便所(
第54条第3項の規定により準用される
第13条第2項の基準に適合する便所に限る。)、
第55条の基準に適合する食堂、
第56条の基準に適合する売店及び総トン数二十トン以上の船舶の遊歩甲板(通常の航行時において旅客が使用する暴露甲板(通路と兼用のものは除く。)であって、基準適合客席と同一の甲板上にあるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)との間の通路のうちそれぞれ一以上について準用する。この場合において、
前項第1号中「八十センチメートル」とあるのは「百二十センチメートル」と、
同項第6号中「支障のないものであること」とあるのは「支障のないものであり、かつ、五十メートル以内ごとに車いすが転回し及び車いす使用者同士がすれ違うことができる広さの場所が設けられていること」と読み替えるものとする。
3
前二項の通路に戸(暴露されたものを除く。)を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。
②
自動的に開閉する構造又は高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。
第53条
【昇降機】
1
第48条第1項の基準に適合する出入口及び
同条第2項の基準に適合する車両区域の出入口と基準適合客席又は船内車いすスペースが別甲板にある場合には、
第51条第1項の基準に適合する通路に、エレベーター、エスカレーターその他の昇降機であって高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造のものを一以上設けなければならない。
2
前項の規定により設けられるエレベーターは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
かごの広さは、車いす使用者が乗り込むのに十分なものであること。
②
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
3
第4条第7項第1号、
第5号、
第7号及び
第11号の規定は、
第1項の規定により設けられるエレベーターについて準用する。この場合において、
同号中「幅は百五十センチメートル以上」とあるのは「幅は百四十センチメートル以上」と、「奥行きは百五十センチメートル以上」とあるのは「奥行きは百三十五センチメートル以上」と読み替えるものとする。
4
第1項の規定により設けられるエスカレーターは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
エスカレーターが一のみ設けられる場合にあっては、昇降切換装置が設けられていること。
②
勤務する者を呼び出すための装置が設けられていること。
6
基準適合客席又は船内車いすスペースと船内旅客用設備が別甲板にある場合には、
第51条第2項の基準に適合する通路にエレベーターを一以上設けなければならない。
第54条
【便所】
1
便所を設ける場合は、腰掛便座及び手すりが設けられた便房を一以上設けなければならない。
第55条
【食堂】
もっぱら旅客の食事の用に供する食堂を設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
出入口の幅は、八十センチメートル以上であること。
③
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
④
いすの収容数百人ごとに一以上の割合で、車いす使用者の円滑な利用に適した構造を有するテーブルを配置すること。
⑤
聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備が備えられていること。この場合においては、当該設備を保有している旨を当該食堂に表示すること。
第56条
【売店】
一以上の売店(もっぱら人手により物品の販売を行うための設備に限る。)には、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を備えなければならない。この場合においては、当該設備を保有している旨を当該売店に表示するものとする。
第57条
【遊歩甲板】
総トン数二十トン以上の船舶の遊歩甲板は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
出入口の幅は、八十センチメートル以上であること。
②
段を設ける場合は、スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
③
戸(遊歩甲板の出入口の戸を除く。)を設ける場合は、当該戸は、次に掲げる基準に適合するものであること。イ 幅は、八十センチメートル以上であること。ロ 自動的に開閉する構造又は高齢者、障害者等が容易に開閉して通過できる構造のものであること。
④
床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
第58条
【点状ブロック】
階段及びエスカレーターの上端及び下端並びにエレベーターの操作盤に近接する通路には、点状ブロックを敷設しなければならない。
第59条
【運航情報提供設備】
目的港の港名その他の当該船舶の運航に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。
第60条
【基準適合客席、船内車いすスペース、昇降機、船内旅客用設備及び非常口の配置の案内】
1
基準適合客席、船内車いすスペース、昇降機、船内旅客用設備及び非常口の配置を表示した案内板その他の設備を設けなければならない。
2
基準適合客席、船内車いすスペース、昇降機、船内旅客用設備及び非常口の配置を音、点字その他の方法により視覚障害者に示すための設備を設けなければならない。
第61条
【基準の適用除外】
1
総トン数五トン未満の船舶については、この省令の規定によらないことができる。
2
地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下この条において同じ。)が、その構造又は航行の態様によりこの省令の規定により難い特別の事由があると認定した船舶については、
第47条から
前条までに掲げる規定のうちから当該地方運輸局長が当該船舶ごとに指定したものは、適用しない。
4
前項の規定により準用される
第43条第3項の申請書は、運輸支局長又は海事事務所長を経由して提出することができる。
第62条
【適用範囲】
航空機の構造及び設備については、この節の定めるところによる。
第63条
【通路】
客席数が六十以上の航空機の通路は、
第65条の規定により備え付けられる車いすを使用する者が円滑に通行することができる構造でなければならない。
第64条
【可動式のひじ掛け】
客席数が三十以上の航空機には、通路に面する客席(構造上の理由によりひじ掛けを可動式とできないものを除く。)の半数以上について、通路側に可動式のひじ掛けを設けなければならない。
第65条
【車いすの備付け】
客席数が六十以上の航空機には、当該航空機内において利用できる車いすを備えなければならない。
第66条
【運航情報提供設備】
客席数が三十以上の航空機には、当該航空機の運航に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。
第67条
【便所】
通路が二以上の航空機には、車いす使用者の円滑な利用に適した構造を有する便所を一以上設けなければならない。
附則
第1条
(施行期日)
この省令は、法の施行の日(平成十八年十二月二十日)から施行する。
第2条
(移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準の廃止)
移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準は、廃止する。
第3条
(経過措置)
1
この省令の施行前に法附則第二条第二号による廃止前の高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律第五条第二項の規定による届出をした旅客施設の建設又は改良については、第四条第五項第五号、第六条第三号、第七条、第八条第八号、第十一条、第十九条第二項並びに第二十条第一項第六号及び第十号の規定は適用せず、なお従前の例による。
2
この省令の施行の日から起算して六月を経過する日までの間に公共交通事業者等が新たにその事業の用に供する鉄道車両又は軌道車両については、第三十二条第六項(第三十四条及び第三十五条において準用する場合を含む。)の規定は適用せず、なお従前の例による。
3
平成十四年五月十五日前に製造された鉄道車両であって、公共交通事業者等がこの省令の施行後に新たにその事業の用に供するもののうち、地方運輸局長が認定したものについては、この省令の規定のうちから当該地方運輸局長が当該鉄道車両ごとに指定したものは、適用しない。
4
前項の認定は、条件又は期限を付して行うことができる。
5
第三項の認定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を地方運輸局長に提出しなければならない。
6
地方運輸局長は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第三項の認定を取り消すことができる。
7
第三項から前項までの規定は、平成十四年五月十五日前に製造された軌道車両であって、公共交通事業者等がこの省令の施行後に新たにその事業の用に供するものについて準用する。この場合において、第三項、第五項及び前項中「地方運輸局長」とあるのは、「国土交通大臣」と読み替えるものとする。
8
第三項から第六項までの規定は、平成十二年十一月十五日前に道路運送車両法第五十八条第一項に規定する自動車検査証の交付を受けたバス車両であって、公共交通事業者等がこの省令の施行後に新たにその事業の用に供するものについて準用する。この場合において、第五項第二号中「車種及び記号番号」とあるのは「車名及び型式」と、同項第三号中「車両番号」とあるのは「車台番号」と、同項第四号中「使用区間」とあるのは「使用の本拠の位置」と、同項第五号中「製造年月日」とあるのは「自動車検査証の交付を受けた年月日」と読み替えるものとする。
9
第三項から第六項まで(第五項第二号を除く。)の規定は、平成十四年五月十五日前に船舶安全法第九条第一項に規定する船舶検査証書の交付を受けた船舶であって、公共交通事業者等がこの省令の施行後に新たにその事業の用に供するものについて準用する。この場合において、第三項及び第五項各号列記以外の部分中「地方運輸局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、同項第三号中「車両番号」とあるのは「船名及び船舶番号又は船舶検査済票の番号」と、同項第四号中「使用区間」とあるのは「就航航路」と、同項第五号中「製造年月日」とあるのは「船舶検査証書の交付を受けた年月日」と、第六項中「地方運輸局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と読み替えるものとする。
10
前項の規定により準用される第五項の申請書は、運輸支局長又は海事事務所長を経由して提出することができる。
11
第三項から第六項まで(第五項第四号を除く。)の規定は、平成十四年五月十五日前に航空法第十条第一項に規定する耐空証明又は国際民間航空条約の締約国たる外国による耐空証明を受けた航空機その他これに準ずるものとして国土交通大臣が認める航空機であって、公共交通事業者等がこの省令の施行後に新たにその事業の用に供するものについて準用する。この場合において、第三項及び第五項各号列記以外の部分中「地方運輸局長」とあるのは「国土交通大臣」と、同項第二号中「車種及び記号番号」とあるのは「種類及び型式」と、同項第三号中「車両番号」とあるのは「国籍記号及び登録記号」と、同項第五号中「製造年月日」とあるのは「耐空証明を受けた年月日(これに準ずるものとして国土交通大臣が認める航空機にあっては、その準ずる事由及び当該準ずる事由が生じた年月日)」と、第六項中「地方運輸局長」とあるのは「国土交通大臣」と読み替えるものとする。