心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による審判の手続等に関する規則
平成16年8月9日 制定
第2条
【精神保健判定医の名簿の通知・法第六条】
法第6条第2項の規定による精神保健判定医の名簿の送付があったときは、最高裁判所は、速やかに、その内容を各地方裁判所に通知しなければならない。
第3条
【精神保健審判員として任命すべき者の選任の取消し・法第六条】
地方裁判所は、精神保健審判員として任命すべき者に選任された者が
法第7条各号のいずれかに該当するに至ったときは、その選任を取り消さなければならない。
第4条
【精神保健審判員の解任・法第六条等】
地方裁判所は、精神保健審判員が心身の故障その他の事由により職務の執行ができないと認めるときは、当該精神保健審判員を解任することができる。
第5条
【地方裁判所への委任・法第六条等】
前三条に定めるもののほか、精神保健審判員として任命すべき者の選任及び精神保健審判員の任命に関し必要な事項は、地方裁判所において定めることができる。
第6条
【精神保健審判員の旅費、日当及び宿泊料・法第六条】
1
精神保健審判員には、旅費、日当及び宿泊料を支給するものとし、その種類及び金額は、
国家公務員等の旅費に関する法律の規定に基づいて受ける旅費の種類及び金額と同一とする。ただし、精神保健審判員が処遇事件の係属する裁判所又はこれと同一の場所にある他の裁判所で職務を行う場合における日当は、専ら旅行に要した日に係るものに限る。
2
前項に定めるもののほか、精神保健審判員に支給する旅費、日当及び宿泊料については、別に最高裁判所の定めるところによる。
第7条
【宣誓の方式・法第九条】
精神保健審判員がする
法第9条第2項の規定による宣誓は、法令に従い公平誠実にその職務を行うべきことを誓う旨を記載した書面に署名押印して、これを当該精神保健審判員を任命した地方裁判所に提出することによって行うものとする。
第8条
【除斥・法第十条】
1
裁判官又は精神保健審判員の監督権を有する裁判所は、裁判官又は精神保健審判員が
法第10条において準用する
刑事訴訟法第20条各号のいずれかに該当すると認めるときは、除斥の決定をしなければならない。
2
前項の決定をするには、当該裁判官又は精神保健審判員の意見を聴かなければならない。
3
当該裁判官は、
第1項の決定に関与することができない。
4
裁判所が当該裁判官の退去により
第1項の決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、当該決定をしなければならない。
第9条
【回避】
裁判官、精神保健審判員又は裁判所書記官は、職務の執行から除斥されるべきとき、又は審判の公正を妨げるべき事情があるときは、監督権を有する裁判所の許可を得て、回避することができる。
第10条
【裁判官のみによる裁判又は処分・法第十一条】
次に掲げる裁判又は処分は、
法第11条第1項の合議体の構成員である裁判官のみでする。
④
第56条第1項の規定により付添人を選任するかどうかについて回答を求めること。
第11条
【精神保健参与員として指定すべき者の欠格事由・法第十五条】
次の各号のいずれかに掲げる者は、精神保健参与員として指定すべき者に選任することができない。
②
公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
第12条
【精神保健参与員として指定すべき者の選任の取消し・法第十五条】
地方裁判所は、精神保健参与員として指定すべき者に選任された者が
前条各号のいずれかに該当するに至ったときは、その選任を取り消さなければならない。
第13条
【精神保健参与員の指定の取消し・法第十五条】
1
裁判所は、精神保健参与員が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消さなければならない。
②
職務上の義務違反その他精神保健参与員たるに適しない非行があると認めるとき。
2
裁判所は、精神保健参与員が心身の故障その他の事由により職務の執行ができないと認めるときは、その指定を取り消すことができる。
第14条
【地方裁判所への委任・法第十五条】
前三条に定めるもののほか、精神保健参与員として指定すべき者の選任及び精神保健参与員の指定に関し必要な事項は、地方裁判所において定めることができる。
第15条
【精神保健参与員の旅費、日当及び宿泊料・法第十五条】
第16条
【資料提供の求めの方式等・法第二十三条等】
1
法第23条又は
第90条第1項の規定による資料の提供の求めは、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
①
対象者の氏名その他の対象者を特定するに足りる事項
2
裁判所は、
前項の求めに応じて刑事事件に係る訴訟に関する書類を提供しようとするときは、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
第17条
【裁判書】
1
裁判官及び精神保健審判員は、裁判をするときは、裁判書を作成し、これに記名押印しなければならない。合議体で決定をする場合において、裁判書に記名押印できない裁判官又は精神保健審判員があるときは、他の裁判官の一人(当該記名押印できない裁判官が裁判長以外の裁判官である場合は、裁判長)又は精神保健審判員が、その事由を付記して記名押印しなければならない。
2
次に掲げる裁判を除く裁判の裁判書には、
前項の規定により記名押印することに代えて押印することをもって足りる。
3
裁判書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
4
次に掲げる裁判を除く裁判の裁判書には、
前項第2号及び
第4号に掲げる事項の記載を省略することができる。
5
裁判書には、処遇事件の記録中の書類の記載を引用することができる。
第18条
【裁判の告知等】
1
次に掲げる決定の告知は、審判期日における言渡し又は裁判書の謄本の送達によってしなければならない。ただし、この規則に特別の定めがある場合は、この限りでない。
2
次に掲げる命令の告知は、対象者の面前における言渡し又は裁判書の謄本の送達によってしなければならない。
3
第1項各号に掲げる決定及び
前項各号に掲げる命令を除く裁判の告知は、相当と認める方法によってするものとする。
4
裁判を審判期日又は裁判を受ける者の面前において言い渡す場合において、相当と認めるときは、
前条第1項の規定にかかわらず、裁判所書記官に当該裁判を調書に記載させることにより、裁判書の作成に代えることができる。
5
裁判を裁判書の謄本の送達以外の方法により告知した場合には、裁判所書記官は、告知の方法、場所及び年月日を裁判書又は裁判を記載した調書に付記して押印しなければならない。
第19条
【裁判と同行状の執行指揮】
3
前二項の指揮は、裁判書若しくは裁判を記載した調書の謄本若しくは抄本又は同行状に押印して行うものとする。ただし、急速を要するときは、対象者の氏名及び年齢、裁判の主文及び年月日、裁判所並びに裁判官及び精神保健審判員(精神保健審判員にあっては、
法第11条第1項の合議体が裁判をした場合に限る。)の氏名を記載した書面に押印して行うことができる。
第20条
【陳述録取調書の作成】
1
裁判長等又は裁判官は、対象者、保護者又は参考人の陳述の内容が審判上必要であると認めるときは、裁判所書記官に、調書を作成させなければならない。
2
前項の調書には、対象者、保護者又は参考人の陳述の要旨及び裁判長等又は裁判官が記載を命じた事項を記載するものとする。
第21条
【調書への引用】
調書には、書面、写真その他適当と認めるものを引用し、記録に添付して調書の一部とすることができる。
第22条
【医師等の指定及び変更の通知】
1
指定医療機関の管理者又は保護観察所の長は、
法第31条第5項及び
第32条第2項並びにこの規則
第40条第1項の医師又は社会復帰調整官を指定したときは、書面をもって、その旨を裁判所に通知しなければならない。その通知の内容に変更が生じたときも、同様とする。
第23条
【書類及び送達等】
2
刑事訴訟規則第296条の規定は裁判所又は裁判官に対する申立てその他の申述について、
同規則第298条の規定は処遇事件に関する書類の発送及び受理並びに処遇事件の関係人その他の者に対する通知について、それぞれ準用する。
第24条
【事実の取調べの申出・法第二十四条】
検察官、指定入院医療機関の管理者若しくは保護観察所の長又は対象者、保護者若しくは付添人は、裁判所又は裁判官に対し、証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳並びに官公署、医療施設その他の公私の団体に対して必要な事項の報告、資料の提出その他の協力を求める処分の申出をすることができる。
第25条
【鑑定人の宣誓の方式・法第二十四条等】
1
鑑定人の宣誓書には、良心に従って誠実に鑑定をすることを誓う旨を記載して、鑑定人が署名押印しなければならない。
2
鑑定人の宣誓は、
前項の宣誓書を朗読する方式によるほか、当該宣誓書を裁判所に提出する方式によってもさせることができる。
3
前項の規定により宣誓書を提出する方式によって宣誓をさせるに当たっては、虚偽の鑑定をしたときは刑罰が科されることがある旨を記載した書面を鑑定人に送付しなければならない。
第26条
【鑑定の経過及び結果の報告期限・法第二十四条等】
裁判所は、鑑定の経過及び結果を報告すべき期限を定めることができる。
第27条
【証人尋問等・法第二十四条】
刑事訴訟規則中裁判所の行う証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳に関する規定は、処遇事件の性質に反しない限り、
法第24条第3項の規定による証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳について準用する。
第28条
【呼出状の記載要件・法第二十六条】
1
法第26条第1項の呼出状には、対象者の氏名、年齢及び住居、処遇事件について呼び出す旨、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、裁判長等又は裁判官が記名押印しなければならない。
2
審判期日に呼び出す場合における
前項の呼出状には、
前項に規定する事項のほか、心身の障害のため、又は正当な理由がなく審判期日に出席しないときは、対象者が出席しないでも審判を行うことがある旨を記載しなければならない。
第29条
【呼出状の送達等・法第二十六条】
1
前条第1項の呼出状は、対象者に送達しなければならない。
2
出頭した対象者に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、呼出状を送達した場合と同一の効力を有する。この場合においては、当該出頭を命じた旨を調書に記載しなければならない。
3
第1項の規定により送達をし、又は
前項の規定により出頭を命じたときは、速やかに、その旨を付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第30条
【簡易の呼出し】
1
処遇事件についての呼出しは、呼出状の送達以外の相当と認める方法によってすることができる。
2
前条第4項の規定は、
前項の規定により呼出しをした場合について準用する。
第31条
【同行状の記載要件・法第二十六条】
1
法第26条第2項及び
第3項の同行状には、対象者の氏名、年齢及び住居、処遇事件名、同行すべき場所、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず当該同行状は返還しなければならない旨並びに発付の年月日を記載し、裁判長等又は裁判官が記名押印しなければならない。
2
法第26条第3項の同行状には、
前項に規定する事項のほか、特に発付を必要とする理由を具体的に記載しなければならない。
3
第1項の同行状の有効期間は、発付の日から七日とする。ただし、相当と認めるときは、七日を超える期間を定めることができる。
第32条
【同行状の執行と執行後の処置・法第二十八条】
1
前条第1項の同行状の執行を検察官に嘱託する場合には、当該同行状の原本を検察官に送付しなければならない。
同項の同行状を保護観察所の職員に執行させる場合には、当該同行状の原本を保護観察所の長に送付しなければならない。
3
前条第1項の同行状を執行したときはこれに執行の場所及び年月日時を記載し、執行することができなかったときはこれにその事由を記載して、記名押印しなければならない。
4
前項の同行状は、これを発した裁判所又は裁判官に提出しなければならない。検察官にその執行を嘱託した同行状については、検察官を経由してしなければならない。
5
裁判所又は裁判官は、
前項の同行状を受け取ったときは、執行することができなかった場合を除き、裁判所書記官に引致された年月日時を当該同行状に記載させなければならない。
第33条
【出頭命令・法第二十九条】
1
裁判所は、
法第29条第1項の決定をしたときは、速やかに、その旨を付添人(付添人がない場合にあっては保護者)及び対象者が入院している医療施設の管理者に通知しなければならない。
2
法第29条第2項の規定による護送の嘱託は、
同条第1項の決定の裁判書又は当該決定を記載した調書の謄本又は抄本を検察官に送付してしなければならない。
第34条
【不出頭の場合の資料】
対象者は、呼出しを受け、又は出頭を命ぜられた場合において、出頭することができないと思料するときは、速やかに、その理由を記載した書面及びその理由を明らかにすべき資料を裁判所又は裁判官に提出しなければならない。
第35条
【付添人の選任・法第三十条】
1
付添人の選任は、付添人と連署した書面を提出してしなければならない。
2
付添人の選任は、審級ごとにしなければならない。
第38条
【国選付添人の選任・法第三十条】
1
法第30条第3項の規定により裁判所が付すべき付添人は、裁判所の所在地にある弁護士の中から裁判長等がこれを選任しなければならない。ただし、裁判所の所在地に弁護士がないときその他やむを得ない事情があるときは、その裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域又はこれに隣接する他の地方裁判所の管轄区域内にある弁護士の中からこれを選任することができる。
2
前項の規定にかかわらず、抗告裁判所が付添人を付する場合であって、抗告審の審理のために特に必要があると認めるときは、裁判長は、原裁判所が付した付添人であった弁護士を選任することができる。
3
前項の規定は、
法第70条第1項の抗告に関する手続において最高裁判所が付添人を付する場合について準用する。
第39条
【付添人選任の通知・法第三十条】
2
裁判長等は、
前項に規定する対象者について、
前条の規定により付添人を選任したときは、速やかに、その旨を当該対象者が入院している医療施設の管理者に通知しなければならない。
第40条
【審判の準備・法第三十一条】
1
裁判所は、適当と認めるときは、検察官、指定入院医療機関の管理者若しくはその指定する医師又は保護観察所の長若しくはその指定する社会復帰調整官及び付添人を出頭させた上、審判の進行に関し必要な事項について打合せを行うことができる。
2
前項の打合せは、合議体の構成員(精神保健審判員を除く。)に行わせることができる。
3
裁判所は、裁判所書記官に命じて、審判の進行に関し必要な事項について、検察官、指定入院医療機関の管理者、保護観察所の長又は付添人に問合せをさせることができる。
第41条
【審判期日の指定及び通知・法第三十一条】
2
審判期日は、保護者及び付添人に通知しなければならない。
第42条
【審判期日の列席者・法第三十一条】
審判期日には、裁判官、精神保健審判員(
法第11条第1項の合議体が審判期日を開く場合に限る。)及び裁判所書記官が列席する。
第43条
【対象者の任意の供述】
1
裁判長等は、審判期日において、対象者が任意に供述をする場合には、必要とする事項につき対象者の供述を求めることができる。
2
精神保健審判員、陪席の裁判官、検察官、指定入院医療機関の管理者若しくはその指定する医師、保護観察所の長若しくはその指定する社会復帰調整官、保護者(
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第21条の規定により保護者となる市町村長については、その指定する職員を含む。
次条において同じ。)又は付添人は、裁判長等に告げて、
前項の供述を求めることができる。
第44条
【審判調書】
1
審判期日における手続については、審判調書を作成する。
2
審判調書には、次に掲げる事項その他審判に関する重要な事項を記載するものとする。
③
列席した裁判官、精神保健審判員(
法第41条第7項の規定により出席した場合を含む。)及び裁判所書記官並びに出席した精神保健参与員、検察官、指定医療機関の管理者又はその指定する医師及び保護観察所の長又はその指定する社会復帰調整官の氏名
⑤
検察官、指定医療機関の管理者又はその指定する医師、保護観察所の長又はその指定する社会復帰調整官、保護者及び付添人の陳述の要旨
⑦
証人、鑑定人、通訳人、翻訳人及び参考人の供述の要旨
3
裁判所書記官は、裁判長等の許可があるときは、審判調書の作成又は
前項第1号から
第8号までに掲げる記載事項の一部を省略することができる。ただし、
法第64条第1項及び
第2項並びに
第70条第1項の抗告があった場合並びにこれらの抗告の手続における審判調書については、この限りでない。
第45条
【審判調書の記名押印及び認印】
1
審判調書には、裁判所書記官が記名押印し、裁判長等が認印しなければならない。
2
法第11条第1項の合議体の構成員である裁判官に差し支えがあるときは、裁判所書記官がその事由を付記して記名押印しなければならない。
3
裁判長に差し支えがあるときは、他の裁判官の一人がその事由を付記して認印しなければならない。ただし、いずれの裁判官にも差し支えがあるときは、裁判所書記官がその事由を付記して記名押印すれば足りる。
4
裁判所書記官に差し支えがあるときは、裁判長等がその事由を付記して認印すれば足りる。
第46条
【適正な審判のための措置等】
1
裁判長等は、審判期日において、適正な審判をするため必要があると認めるときは、発言を制止し、対象者以外の者を退席させ、又はその他の適当な措置を講ずることができる。
2
裁判長等は、対象者の精神障害の状態を考慮し、必要があると認めるときは、指定医療機関の管理者又はその指定する医師の協力を求めることその他の当該精神障害の状態に応じた適当な措置を講ずることができる。
第47条
【記録等の閲覧又は謄写・法第三十二条】
1
裁判長等は、処遇事件の記録又は証拠物の閲覧又は謄写について、その日時、場所及び時間を指定することができる。
2
裁判長等は、処遇事件の記録又は証拠物の閲覧又は謄写について、書類の破棄その他不法な行為を防ぐため必要があると認めるときは、裁判所書記官その他の裁判所職員を閲覧若しくは謄写に立ち会わせ、又はその他の適当な措置を講じなければならない。
第48条
【検察官の意見の聴取・法第三十二条】
裁判所は、刑事事件に係る訴訟に関する書類について、
法第32条第1項の許可をしようとするときは、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
第49条
【申立ての方式・法第三十三条】
法第33条第1項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
③
法第34条第1項前段の命令により対象者を入院させるべき医療施設の名称、所在地及び管理者の氏名
④
対象者に対する他の処遇事件があるときは、その旨及び当該他の処遇事件が係属する裁判所
⑤
保護者の氏名及び住居(保護者が判明しない場合は、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者の氏名及び住居)
第50条
【申立ての通知・法第三十三条】
法第33条第1項の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第51条
【鑑定入院命令・法第三十四条】
1
法第34条第1項前段の命令においては、対象者を入院させるべき医療施設を指定しなければならない。
2
法第33条第1項の申立てを受けた地方裁判所の裁判官は、必要があると認めるときは、命令をもって、
前項の規定による指定を変更することができる。ただし、精神保健審判員が任命された後においては、この限りでない。
3
裁判所は、必要があると認めるときは、決定をもって、
第1項の規定による指定を変更することができる。
第52条
【鑑定入院命令に関する通知・法第三十四条】
2
法第34条第3項ただし書の決定をしたときは、速やかに、その旨を対象者が入院している医療施設の管理者に通知しなければならない。
第53条
【裁判所書記官の立会い及び調書の作成・法第三十四条】
2
裁判所書記官は、
前項に規定する手続について、調書を作らなければならない。
3
前項の調書には、対象者の陳述の要旨及び裁判官が記載を命じた事項を記載するものとする。
4
第2項の調書には、裁判所書記官が記名押印し、裁判官が認印しなければならない。
5
裁判官に差し支えがあるときは、裁判所書記官がその事由を付記して記名押印しなければならない。
6
裁判所書記官に差し支えがあるときは、裁判官がその事由を付記して認印すれば足りる。
第54条
【鑑定入院命令等の執行と執行後の処置・法第三十四条】
2
前項に規定する命令又は決定を執行したときは執行の場所及び年月日時を記載した書面を、執行することができなかったときはその事由を記載した書面を、執行を指揮した検察官を経由して、当該命令又は決定をした裁判官又は裁判所に提出しなければならない。
第55条
【入院費等の支払・法第三十四条】
1
裁判所は、
法第34条第1項前段の命令が執行された場合には、医療施設の管理者の請求により、入院に要した費用及び精神障害の治療に要した費用を支払うものとする。
2
前項の規定により支払うべき費用の額は、裁判所の相当と認めるところによる。
第56条
【付添人の選任に関する処分・法第三十五条】
1
裁判所は、
法第33条第1項の申立てがあった場合において、対象者に付添人がないときは、遅滞なく、対象者及び保護者に対し、一定の期間を定めて、付添人を選任するかどうかについて回答を求めなければならない。
2
前項の期間内に回答がなく又は付添人の選任がないときは、
法第11条第1項の合議体の構成員である裁判官は、直ちに対象者のため付添人を選任しなければならない。
第58条
【保護観察所による生活環境の調査・法第三十八条】
1
裁判所は、保護観察所の長に対し、
法第38条の規定により調査及び報告を求める場合には、必要な事項を指示しなければならない。
2
裁判所は、
前項に規定する場合には、
同項の報告の期限を定めることができる。
3
裁判所は、
第1項に規定する場合には、保護観察所の長に対し、必要な資料を提供することができる。
4
前項の規定により刑事事件に係る訴訟に関する書類を提供しようとするときは、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
5
第1項の調査及び報告の求めを受けた保護観察所の長は、意見を付して、調査の結果を書面で報告するものとする。
第60条
【医療施設の管理者への通知等・法第四十条】
2
前項の通知を受けた医療施設の管理者は、対象者を退院させなければならない。
第63条
【決定の告知方法・法第四十二条】
1
対象者に対する
法第42条第1項第1号の決定の告知は、裁判書の謄本を厚生労働省の職員を介して対象者に交付する方法によってすることができる。
2
対象者に対する
法第42条第1項第2号の決定の告知は、裁判書の謄本を社会復帰調整官を介して対象者に交付する方法によってすることができる。
3
前二項の規定により告知をする場合において、対象者が正当な理由がなく裁判書の謄本の交付を受けることを拒んだときは、対象者にこれを提示すれば足りる。
4
前三項の規定により告知をしたときは告知の方法、場所及び年月日を記載した書面を、告知をすることができなかったときはその事由を記載した書面を、
法第42条第1項第1号又は
第2号の決定をした裁判所に提出しなければならない。
第64条
【厚生労働大臣への通知等・法第四十二条】
1
裁判所は、
法第42条第1項の決定をしたときは、速やかに、その旨を厚生労働大臣に通知しなければならない。
2
裁判所は、
法第42条第1項の決定をする場合において、必要があると認めるときは、あらかじめ、当該決定の予定日を厚生労働大臣に通知することができる。
3
裁判所は、
法第42条第1項第2号の決定をしたときは、速やかに、その旨を保護観察所の長に通知しなければならない。
第65条
【資料提供の求め・法第四十三条】
1
厚生労働大臣は、
法第43条第3項の規定により指定入院医療機関又は指定通院医療機関を定めるため必要があると認めるときは、その必要な限度において、裁判所に対し、
法第37条第1項に規定する鑑定の経過及び結果を記載した書面その他の必要な資料の提供を求めることができる。
2
第16条の規定は、
前項の規定による資料の提供の求めについて準用する。
第66条
【決定の執行等・法第四十五条】
1
裁判所は、
法第42条第1項第1号の決定を執行させるため、裁判書若しくは決定を記載した調書の謄本若しくは抄本又は対象者の氏名及び年齢、決定の主文及び年月日、裁判所並びに裁判官及び精神保健審判員の氏名を記載した書面を厚生労働大臣に送付しなければならない。
2
法第42条第1項第1号の決定を執行したときは執行の場所及び年月日時並びに対象者を入院させた指定入院医療機関の名称、所在地及び管理者の氏名を記載した書面を、執行することができなかったときはその事由を記載した書面を、当該決定をした裁判所に提出しなければならない。
第67条
【呼出状の記載要件等・法第四十五条】
1
法第45条第3項の呼出状には、対象者の氏名、年齢及び住居、
法第42条第1項第1号の決定の執行のために呼び出す旨、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、
法第11条第1項の合議体の構成員である裁判官が記名押印しなければならない。
3
裁判所は、
前項の規定により送達をしたときは、速やかに、その旨を付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第68条
【同行状の記載要件と執行・法第四十五条】
第69条
【傍聴の申出の際に明らかにすべき事項等・法第四十七条】
1
法第47条第1項の申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
③
申出人が傍聴を求める処遇事件に係る対象行為の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。)であることの基礎となるべき事実
2
前項の申出については、弁護士でなければ代理人となることができない。
第70条
【通知の申出の際に明らかにすべき事項等・法第四十八条】
2
前項の申出及び
法第48条第1項の規定による通知の受領については、弁護士でなければ代理人となることができない。
第71条
【申立ての方式・法第四十九条】
法第49条第1項又は
第2項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
②
対象者に対する他の処遇事件があるときは、その旨及び当該他の処遇事件が係属する裁判所
③
保護者の氏名及び住居(保護者が判明しない場合は、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者の氏名及び住居)
⑤
対象者について
法第51条第1項第1号の決定があるときは、当該決定(これが複数あるときは、その最後のものをいう。以下この号において同じ。)があった日及び当該決定をした裁判所
第72条
【申立ての通知・法第四十九条】
法第49条第1項又は
第2項の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第73条
【申立ての方式・法第五十条】
法第50条の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
第74条
【申立ての通知・法第五十条】
法第50条の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を指定入院医療機関の管理者に通知しなければならない。
第76条
【保護観察所による生活環境の調査・法第五十三条】
第77条
【申立ての方式・法第五十四条】
法第54条第1項又は
第2項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
②
対象者が通院している指定通院医療機関の名称、所在地及び管理者の氏名
③
対象者に対する他の処遇事件があるときは、その旨及び当該他の処遇事件が係属する裁判所
④
保護者の氏名及び住居(保護者が判明しない場合は、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者の氏名及び住居)
⑥
対象者について
法第56条第1項第1号又は
第61条第3項の決定があるときは、当該決定(これらが複数あるときは、その最後のものをいう。以下この号において同じ。)があった日及び当該決定をした裁判所
第78条
【申立ての通知・法第五十四条】
法第54条第1項又は
第2項の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第79条
【申立ての方式・法第五十五条】
法第55条の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
③
対象者に対して精神保健観察を実施している保護観察所
第80条
【保護観察所の長への通知・法第五十五条】
法第55条の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を保護観察所の長に通知しなければならない。
第82条
【保護観察所による生活環境の調査・法第五十八条】
第83条
【申立ての方式・法第五十九条】
法第59条第1項又は
第2項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
②
対象者が通院している指定通院医療機関の名称、所在地及び管理者の氏名
③
対象者に対する他の処遇事件があるときは、その旨及び当該他の処遇事件が係属する裁判所
④
保護者の氏名及び住居(保護者が判明しない場合は、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者の氏名及び住居)
⑥
対象者について
法第56条第1項第1号又は
第61条第3項の決定があるときは、当該決定(これらが複数あるときは、その最後のものをいう。以下この号において同じ。)があった日及び当該決定をした裁判所
第84条
【申立ての通知・法第五十九条】
法第59条第1項又は
第2項の申立てがあったときは、これを受けた地方裁判所の裁判官は、速やかに、その旨を対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に通知しなければならない。
第85条
【鑑定入院命令・法第六十条】
3
法第60条第1項前段の命令、
第1項において準用する
第51条第2項の命令又は
第1項において準用する
第51条第3項の決定は、裁判書若しくは裁判を記載した調書の謄本若しくは抄本又は対象者の氏名及び年齢、裁判の主文及び年月日、裁判所並びに裁判官及び精神保健審判員(精神保健審判員にあっては、
法第11条第1項の合議体が裁判をした場合に限る。)の氏名を記載した書面を保護観察所の長に送付してその執行をさせなければならない。
4
前項に規定する命令又は決定を執行したときは執行の場所及び年月日時を記載した書面を、執行することができなかったときはその事由を記載した書面を、当該命令又は決定をした裁判官又は裁判所に提出しなければならない。
第88条
【保護観察所による生活環境の調査・法第六十三条】
第89条
【抗告申立ての方式・法第六十四条】
1
抗告をするには、申立書(以下「抗告申立書」という。)を原裁判所に提出しなければならない。
2
抗告申立書には、抗告の趣意を簡潔に明示しなければならない。
第90条
【入院している対象者の抗告申立て等・法第六十四条】
1
法第42条第1項第1号又は
第61条第1項第1号の決定により入院している対象者は、指定入院医療機関の管理者又はその代理者を経由して抗告申立書を提出することができる。この場合において、抗告の提起期間内に抗告申立書を指定入院医療機関の管理者又はその代理者に提出したときは、抗告の提起期間内に抗告をしたものとみなす。
2
指定入院医療機関の管理者又はその代理者は、
前項に規定する対象者から抗告申立書が提出されたときは、これを受領しなければならない。
3
抗告申立書を受領した指定入院医療機関の管理者又はその代理者は、速やかに、原裁判所に対し、当該抗告申立書を送付し、かつ、これを受領した年月日を通知しなければならない。
第91条
【抗告申立書の送付・法第六十四条】
1
原裁判所は、抗告申立書を受け取ったときは、速やかに、当該抗告申立書を記録と共に抗告裁判所に送付しなければならない。
2
前項の場合において、原裁判所は、抗告申立書に対する意見を付することができる。
第92条
【証拠物の送付・法第六十四条】
1
原裁判所は、必要があると認めるときは、証拠物を抗告裁判所に送付しなければならない。
2
抗告裁判所は、原裁判所に証拠物の送付を求めることができる。
第93条
【抗告の通知・法第六十四条】
裁判所は、検察官、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長から抗告があったときは対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に対し、対象者、保護者又は付添人から抗告があったときは検察官、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
第94条
【抗告取下げの方式・法第六十五条】
1
抗告の取下げは、書面を抗告裁判所に提出してしなければならない。
2
記録を抗告裁判所に送付する前に抗告の取下げをする場合には、
前項の書面を原裁判所に提出することができる。
第96条
【抗告審の裁判の通知】
裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、その旨を指定入院医療機関の管理者に通知しなければならない。
②
入院決定により入院していた対象者が
法第69条ただし書の規定により当該入院決定の執行を停止されている場合において、次のイ又はロのいずれかに該当するとき。
第97条
【差戻し又は移送後の審判・法第六十八条】
抗告裁判所から
法第68条第2項本文の規定による差戻し又は移送を受けた事件については、更に審判をしなければならない。
第98条
【執行停止の決定をする裁判所・法第六十九条】
抗告中の事件について原決定の執行を停止する決定は、記録が抗告裁判所に到達する前は原裁判所が、到達した後は抗告裁判所がするものとする。
第100条
【再抗告審の裁判の通知等】
裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、その旨を指定入院医療機関の管理者に通知しなければならない。
①
対象者が入院決定により入院している場合(
次号に規定する場合を除く。)において、当該入院決定を
法第71条第2項の規定により取り消したとき。
②
入院決定(執行されたものに限る。)を
法第68条第2項の規定により取り消す決定(以下この号において「入院取消決定」という。)があった場合において、次のイからニまでのいずれかに該当するとき。
ハに掲げる場合を除き、
法第70条第2項において準用する
法第69条ただし書の規定により入院取消決定の執行が停止されている場合において、当該入院取消決定が確定したとき。
第101条
【差戻し又は移送後の審判・法第七十一条】
第102条
【申立ての取下げの方式等・法第七十四条】
1
法第74条の規定による申立ての取下げは、書面を提出してしなければならない。
2
裁判所は、
法第33条第1項又は
第59条第1項若しくは
第2項の申立ての取下げがあったときは対象者及び付添人(付添人がない場合にあっては保護者)に対し、
法第50条の申立ての取下げがあったときは指定入院医療機関の管理者に対し、
法第55条の申立ての取下げがあったときは保護観察所の長に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
第103条
【競合する処分の調整の手続・法第七十六条】
法第76条の規定による決定に関する手続は、その性質に反しない限り、処遇事件の例による。
第104条
【連戻状の請求等・法第九十九条】
2
前項の書面には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
①
退去者の氏名、年齢及び住居又は現在地(住居及び現在地が明らかでないときは、その旨)
⑤
三十日を超える有効期間を必要とするときは、その旨及びその理由
⑥
連戻状を数通必要とするときは、その旨及びその理由
⑦
同一事由により退去者に対し前に連戻状の請求又はその発付があったときは、その旨
3
第1項の請求をするには、連れ戻すべき事由があることを認めるに足りる資料を提供しなければならない。
4
第1項の請求を受けた裁判官は、必要があると認めるときは、当該請求をした指定入院医療機関の管理者若しくはその指定入院医療機関の職員の出頭を求めてその陳述を聴き、又はこれらの者に対し書類その他の物の提示を求めることができる。
第105条
【連戻状の記載要件等・法第九十九条】
1
法第99条第5項の連戻状には、次に掲げる事項を記載し、裁判官が記名押印する。
①
退去者の氏名、年齢及び住居又は現在地(住居及び現在地が明らかでないときは、その旨)
⑥
有効期間経過後は、連戻しに着手することができず、連戻状は返還しなければならない旨
2
前項の連戻状の有効期間は、発付の日から三十日とする。ただし、当該連戻状の請求を受けた裁判官は、相当と認めるときは、三十日を超える期間を定めることができる。
4
裁判官は、
前条第1項の請求を却下する場合には、
同項の書面にその旨を記載し、記名押印した上、これを請求者に交付しなければならない。
5
裁判官は、
第1項の連戻状を発したときは、速やかに、
前条第1項の書面を請求者に返還しなければならない。
附則
第1条
(施行期日)
この規則は、法の施行の日から施行する。ただし、第二条、第三条、第五条、第十一条、第十二条及び第十四条の規定は、法第六条、第七条及び第十五条の規定の施行の日から施行する。(法の施行の日=平成17年7月15日、法第六条、第七条及び第十五条の規定の施行の日=平成16年10月15日)
第2条
(裁判所の非常勤職員の政治的行為制限の特例に関する規則の一部改正)
裁判所の非常勤職員の政治的行為制限の特例に関する規則の一部を次のように改正する。本則中第八号を第十号とし、第七号を第九号とし、第六号の次に次の二号を加える。
第3条
(政治資金規正法第二十二条の九第一項第二号の非常勤職員の範囲を定める規則の一部改正)
政治資金規正法第二十二条の九第一項第二号の非常勤職員の範囲を定める規則の一部を次のように改正する。本則中第七号を第九号とし、第六号を第八号とし、第五号の次に次の二号を加える。