心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
平成25年6月19日 改正
第1条
【目的等】
第2条
【定義】
5
この法律において「指定入院医療機関」とは、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者の入院による医療を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院(その一部を指定した病院を含む。)をいう。
6
この法律において「指定通院医療機関」とは、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者の入院によらない医療を担当させる医療機関として厚生労働大臣が指定した病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。第16条第2項において同じ。)又は薬局をいう。
第6条
【精神保健審判員】
第10条
【除斥】
刑事訴訟法第20条の規定はこの法律の規定により職務を執行する裁判官及び精神保健審判員について、刑事訴訟法第26条第1項の規定はこの法律の規定により職務を執行する裁判所書記官について準用する。この場合において、刑事訴訟法第20条第2号中「被告人」とあるのは「対象者(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第2条第3項に規定する対象者をいう。以下同じ。)」と、同条第3号中「被告人」とあるのは「対象者」と、同条第4号中「事件」とあるのは「処遇事件(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第3条第1項に規定する処遇事件をいう。以下同じ。)」と、同条第5号から第7号までの規定中「事件」とあるのは「処遇事件」と、同条第5号中「被告人の代理人、弁護人又は補佐人」とあるのは「対象者の付添人」と、同条第6号中「検察官又は司法警察員の職務を行つた」とあるのは「審判の申立てをし、又は審判の申立てをした者としての職務を行つた」と、同条第7号中「第266条第2号の決定、略式命令、前審の裁判」とあるのは「前審の審判」と、「第398条乃至第400条、第412条若しくは第413条」とあるのは「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第68条第2項若しくは第71条第2項」と、「原判決」とあるのは「原決定」と、「裁判の基礎」とあるのは「審判の基礎」と読み替えるものとする。
第15条
【精神保健参与員】
第16条
【指定医療機関の指定】
1
指定入院医療機関の指定は、国、都道府県、特定独立行政法人(独立行政法人通則法第2条第2項に規定する特定独立行政法人をいう。)又は都道府県若しくは都道府県及び都道府県以外の地方公共団体が設立した特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)が開設する病院であって厚生労働省令で定める基準に適合するものの全部又は一部について、その開設者の同意を得て、厚生労働大臣が行う。
第24条
【事実の取調べ】
3
第1項の事実の取調べのため必要があると認めるときは、証人尋問、鑑定、検証、押収、捜索、通訳及び翻訳を行い、並びに官公署、医療施設その他の公私の団体に対し、必要な事項の報告、資料の提出その他の協力を求めることができる。ただし、差押えについては、あらかじめ所有者、所持者又は保管者に差し押さえるべき物の提出を命じた後でなければ、これをすることができない。
第27条
【同行状の効力】
前条第2項又は第3項の同行状により同行された者については、裁判所に到着した時から二十四時間以内にその身体の拘束を解かなければならない。ただし、当該時間内に、第34条第1項前段若しくは第60条第1項前段の命令又は第37条第5項前段、第42条第1項第1号、第61条第1項第1号若しくは第62条第2項前段の決定があったときは、この限りでない。
第28条
【同行状の執行】
4
同行状を執行するには、これを当該対象者に示した上、できる限り速やかにかつ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、病院、救護施設、警察署その他の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。
5
同行状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前項の規定にかかわらず、当該対象者に対し同行状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。ただし、同行状はできる限り速やかに示さなければならない。
第29条
【出頭命令】
1
裁判所は、第34条第1項前段若しくは第60条第1項前段の命令又は第37条第5項前段、第42条第1項第1号、第61条第1項第1号若しくは第62条第2項前段の決定により入院している者に対し、裁判所に出頭することを命ずることができる。
3
前項の護送をする場合において、護送される者が逃走し、又は自身を傷つけ、若しくは他人に害を及ぼすおそれがあると認めるときは、これを防止するため合理的に必要と判断される限度において、必要な措置を採ることができる。
第31条
【審判期日】
6
保護者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第21条の規定により保護者となる市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)については、その指定する職員を含む。)及び付添人は、審判期日に出席することができる。
第33条
【検察官による申立て】
1
検察官は、被疑者が対象行為を行ったこと及び心神喪失者若しくは心神耗弱者であることを認めて公訴を提起しない処分をしたとき、又は第2条第3項第2号に規定する確定裁判があったときは、当該処分をされ、又は当該確定裁判を受けた対象者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要が明らかにないと認める場合を除き、地方裁判所に対し、第42条第1項の決定をすることを申し立てなければならない。ただし、当該対象者について刑事事件若しくは少年の保護事件の処理又は外国人の退去強制に関する法令の規定による手続が行われている場合は、当該手続が終了するまで、申立てをしないことができる。
第34条
【鑑定入院命令】
3
第1項の命令による入院の期間は、当該命令が執行された日から起算して二月を超えることができない。ただし、裁判所は、必要があると認めるときは、通じて一月を超えない範囲で、決定をもって、この期間を延長することができる。
第37条
【対象者の鑑定】
1
裁判所は、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があるか否かについて、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命じなければならない。ただし、当該必要が明らかにないと認める場合は、この限りでない。
2
前項の鑑定を行うに当たっては、精神障害の類型、過去の病歴、現在及び対象行為を行った当時の病状、治療状況、病状及び治療状況から予測される将来の症状、対象行為の内容、過去の他害行為の有無及び内容並びに当該対象者の性格を考慮するものとする。
⊟
参照条文
第40条
【申立ての却下等】
第42条
【入院等の決定】
1
裁判所は、第33条第1項の申立てがあった場合は、第37条第1項に規定する鑑定を基礎とし、かつ、同条第3項に規定する意見及び対象者の生活環境を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
①
対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定
②
前号の場合を除き、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 入院によらない医療を受けさせる旨の決定
⊟
参照条文
第2条 第11条 第27条 第29条 第33条 第34条 第37条 第41条 第43条 第44条 第45条 第46条 第48条 第49条 第50条 第54条 第55条 第56条 第59条 第61条 第64条 第67条 第75条 第76条 第81条 第89条 第91条 第92条 第93条 第94条 第95条 第97条 第98条 第99条 第100条 第101条 第104条 第106条 第109条 第110条 第111条 第112条 第115条 厚生労働省組織規則第707条 第714条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行規則第2条 第3条 第6条 第10条 第19条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令第2条 第7条 第11条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第六条第二項の名簿及び同法第十五条第二項の名簿に関する省令第2条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令第2条 第8条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第44条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による審判の手続等に関する規則第19条 第63条 第64条 第66条 第67条 第68条 第71条 第77条 第83条 第86条 第90条 第96条
第43条
【入院等】
4
厚生労働大臣は、前項の規定により定めた指定入院医療機関又は指定通院医療機関を変更した場合は、変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関の名称及び所在地を、当該変更後の指定入院医療機関又は指定通院医療機関において医療を受けるべき者及びその保護者並びに当該医療を受けるべき者の当該変更前の居住地を管轄する保護観察所の長に通知しなければならない。
第44条
【通院期間】
第42条第1項第2号の決定による入院によらない医療を行う期間は、当該決定があった日から起算して三年間とする。ただし、裁判所は、通じて二年を超えない範囲で、当該期間を延長することができる。
⊟
参照条文
第47条
【被害者等の傍聴】
1
裁判所(第41条第1項の合議体による裁判所を含む。)は、この節に規定する審判について、最高裁判所規則で定めるところにより当該対象行為の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)から申出があるときは、その申出をした者に対し、審判期日において審判を傍聴することを許すことができる。
2
前項の規定により審判を傍聴した者は、正当な理由がないのに当該傍聴により知り得た対象者の氏名その他当該対象者の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、当該傍聴により知り得た事項をみだりに用いて、当該対象者に対する医療の実施若しくはその社会復帰を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない。
第49条
【指定入院医療機関の管理者による申立て】
1
指定入院医療機関の管理者は、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第19条の2第2項の規定によりその職務を停止されている者を除く。第117条第2項を除き、以下同じ。)による診察の結果、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者について、第37条第2項に規定する事項を考慮し、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために入院を継続させてこの法律による医療を行う必要があると認めることができなくなった場合は、保護観察所の長の意見を付して、直ちに、地方裁判所に対し、退院の許可の申立てをしなければならない。
2
指定入院医療機関の管理者は、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者について、第37条第2項に規定する事項を考慮し、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために入院を継続させてこの法律による医療を行う必要があると認める場合は、保護観察所の長の意見を付して、第42条第1項第1号、第51条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定(これらが複数あるときは、その最後のもの。次項において同じ。)があった日から起算して六月が経過する日までに、地方裁判所に対し、入院継続の確認の申立てをしなければならない。ただし、その者が指定入院医療機関から無断で退去した日(第100条第1項又は第2項の規定により外出又は外泊している者が同条第1項に規定する医学的管理の下から無断で離れた場合における当該離れた日を含む。)の翌日から連れ戻される日の前日までの間及び刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束された日の翌日からその拘束を解かれる日の前日までの間並びに第100条第3項後段の規定によりその者に対する医療を行わない間は、当該期間の進行は停止するものとする。
3
指定入院医療機関は、前二項の申立てをした場合は、第42条第1項第1号、第51条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定があった日から起算して六月が経過した後も、前二項の申立てに対する決定があるまでの間、その者の入院を継続してこの法律による医療を行うことができる。
第50条
【退院の許可等の申立て】
第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者、その保護者又は付添人は、地方裁判所に対し、退院の許可又はこの法律による医療の終了の申立てをすることができる。
第51条
【退院の許可又は入院継続の確認の決定】
1
裁判所は、第49条第1項若しくは第2項又は前条の申立てがあった場合は、指定入院医療機関の管理者の意見(次条の規定により鑑定を命じた場合は、指定入院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境(次条の規定により鑑定を命じた場合は、対象者の生活環境及び同条後段において準用する第37条第3項に規定する意見)を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
①
対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院を継続させてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 退院の許可の申立て若しくはこの法律による医療の終了の申立てを棄却し、又は入院を継続すべきことを確認する旨の決定
②
前号の場合を除き、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 退院を許可するとともに入院によらない医療を受けさせる旨の決定
⊟
参照条文
第2条 第11条 第49条 第54条 第55条 第56条 第59条 第61条 第64条 第76条 第81条 第89条 第91条 第104条 第106条 第109条 第110条 第111条 第112条 第114条 第115条 厚生労働省組織規則第707条 第714条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行規則第2条 第4条 第5条 第6条 第12条 第13条 第19条 第25条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令第2条 第11条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第六条第二項の名簿及び同法第十五条第二項の名簿に関する省令第2条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による審判の手続等に関する規則第71条 第75条 第77条 第83条
第54条
【保護観察所の長による申立て】
1
保護観察所の長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があると認めることができなくなった場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、直ちに、地方裁判所に対し、この法律による医療の終了の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
2
保護観察所の長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために当該決定による入院によらない医療を行う期間を延長してこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、当該期間が満了する日までに、地方裁判所に対し、当該期間の延長の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
第56条
【処遇の終了又は通院期間の延長の決定】
1
裁判所は、第54条第1項若しくは第2項又は前条の申立てがあった場合は、指定通院医療機関の管理者の意見(次条の規定により鑑定を命じた場合は、指定通院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
①
対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 この法律による医療の終了の申立てを棄却し、又は第42条第1項第2号若しくは第51条第1項第2号の決定による入院によらない医療を行う期間を延長する旨の決定
第59条
【保護観察所の長による申立て】
1
保護観察所の長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認めるに至った場合は、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者と協議の上、地方裁判所に対し、入院の申立てをしなければならない。この場合において、保護観察所の長は、当該指定通院医療機関の管理者の意見を付さなければならない。
2
第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者が、第43条第2項(第51条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反し又は第107条各号に掲げる事項を守らず、そのため継続的な医療を行うことが確保できないと認める場合も、前項と同様とする。ただし、緊急を要するときは、同項の協議を行わず、又は同項の意見を付さないことができる。
第60条
【鑑定入院命令】
3
第1項の命令による入院の期間は、当該命令が執行された日から起算して一月を超えることができない。ただし、裁判所は、必要があると認めるときは、通じて一月を超えない範囲で、決定をもって、この期間を延長することができる。
第61条
【入院等の決定】
1
裁判所は、第59条第1項又は第2項の規定による申立てがあった場合は、指定通院医療機関の管理者の意見(次条第1項の規定により鑑定を命じた場合は、指定通院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境(次条第1項の規定により鑑定を命じた場合は、対象者の生活環境及び同条第1項後段において準用する第37条第3項に規定する意見)を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
①
対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定
②
前号の場合を除き、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 申立てを棄却する旨の決定
3
裁判所は、第1項第2号の決定をする場合において、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定による入院によらない医療を行う期間を延長する必要があると認めるときは、当該期間を延長する旨の決定をすることができる。第56条第3項の規定は、この場合について準用する。
⊟
参照条文
第2条 第11条 第27条 第29条 第43条 第49条 第50条 第60条 第62条 第64条 第75条 第76条 第81条 第89条 第91条 第92条 第93条 第94条 第95条 第97条 第98条 第99条 第100条 第101条 第114条 厚生労働省組織規則第707条 第714条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行規則第2条 第3条 第6条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令第2条 第7条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第六条第二項の名簿及び同法第十五条第二項の名簿に関する省令第2条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令第2条 第8条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第44条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による審判の手続等に関する規則第71条 第77条 第83条 第86条 第90条 第96条
第68条
【抗告審の裁判】
2
抗告が理由のあるときは、決定をもって、原決定を取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の地方裁判所に移送しなければならない。ただし、第40条第1項各号のいずれかに掲げる事由に該当するときは、原決定を取り消して、更に決定をすることができる。
第70条
【再抗告】
1
検察官、指定入院医療機関の管理者若しくは保護観察所の長又は対象者、保護者若しくは付添人は、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは上訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、抗告裁判所のした第68条の決定に対し、二週間以内に、最高裁判所に特に抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
第71条
【再抗告審の裁判】
2
前条第1項の抗告が理由のあるときは、決定をもって、原決定を取り消さなければならない。この場合には、地方裁判所の決定を取り消して、事件を地方裁判所に差し戻し、又は他の地方裁判所に移送することができる。
第72条
【裁判官の処分に対する不服申立て】
2
前項の請求は、対象者が対象行為を行わなかったこと、心神喪失者及び心神耗弱者のいずれでもないこと又は対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要がないことを理由としてすることができない。
⊟
参照条文
第74条
【申立ての取下げ】
2
検察官は、第33条第1項の申立てをした後において、当該対象行為について公訴を提起したとき、又は当該対象者に対して当該対象行為以外の行為について有罪の裁判(懲役又は禁錮の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判であって、執行すべき刑期があるものに限る。)が確定し、その裁判において言い渡された刑の執行をしようとするときは、当該申立てを取り下げなければならない。
第75条
【警察官の援助等】
2
警察官は、第24条第5項前段の規定により所在の調査を求められた対象者を発見した場合において、当該対象者に対して同行状が発せられているときは、同行状が執行されるまでの間、二十四時間を限り、当該対象者を警察署、病院、救護施設その他の精神障害者を保護するのに適当な場所に保護することができる。
第76条
【競合する処分の調整】
1
裁判所は、第42条第1項第1号若しくは第2号、第51条第1項第2号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者について、当該対象行為以外の行為について有罪の裁判(懲役又は禁錮の刑を言い渡し執行猶予の言渡しをしない裁判であって、執行すべき刑期があるものに限る。)が確定し、その裁判において言い渡された刑の執行が開始された場合であって相当と認めるときその他のこの法律による医療を行う必要がないと認めるに至ったときは、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長の申立てにより、この法律による医療を終了する旨の決定をすることができる。
2
裁判所は、対象者について、二以上の第42条第1項第1号若しくは第2号、第51条第1項第2号又は第61条第1項第1号の決定があった場合において、相当と認めるときは、指定入院医療機関の管理者又は保護観察所の長の申立てにより、決定をもって、これらの決定のうちのいずれかを取り消すことができる。
第81条
【医療の実施】
1
厚生労働大臣は、第42条第1項第1号若しくは第2号、第51条第1項第2号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者に対し、その精神障害の特性に応じ、円滑な社会復帰を促進するために必要な医療を行わなければならない。
第84条
【診療報酬の審査及び支払】
3
厚生労働大臣は、第1項の規定による診療報酬の額の決定に当たっては、社会保険診療報酬支払基金法第16条第1項に規定する審査委員会、国民健康保険法第87条に規定する国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
第85条
【報告の請求及び検査】
1
厚生労働大臣は、前条第1項の規定による審査のため必要があるときは、指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に、指定医療機関についてその管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。
第86条
【精神保健指定医の必置】
指定医療機関(病院又は診療所に限る。次条において同じ。)の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定医療機関に常時勤務する精神保健指定医を置かなければならない。
第87条
【精神保健指定医の職務】
1
指定医療機関に勤務する精神保健指定医は、第49条第1項又は第2項の規定により入院を継続させてこの法律による医療を行う必要があるかどうかの判定、第92条第3項に規定する行動の制限を行う必要があるかどうかの判定、第100条第1項第1号の規定により外出させて経過を見ることが適当かどうかの判定、同条第2項第1号の規定により外泊させて経過を見ることが適当かどうかの判定、第110条第1項第1号の規定によりこの法律による医療を行う必要があるかどうかの判定、同項第2号の規定により入院をさせてこの法律による医療を行う必要があるかどうかの判定及び同条第2項の規定により入院によらない医療を行う期間を延長してこの法律による医療を行う必要があるかどうかの判定の職務を行う。
第89条
【指定医療機関への入院等】
1
指定入院医療機関の管理者は、病床(病院の一部について第16条第1項の指定を受けている指定入院医療機関にあっては、その指定に係る病床)に既に第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者が入院しているため余裕がない場合のほかは、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者を入院させなければならない。
第90条
【資料提供の求め】
1
指定医療機関の管理者は、適切な医療を行うため必要があると認めるときは、その必要な限度において、裁判所に対し、第37条第1項に規定する鑑定の経過及び結果を記載した書面その他の必要な資料の提供を求めることができる。
第91条
【相談、援助等】
指定医療機関の管理者は、第42条第1項第1号若しくは第2号、第51条第1項第2号又は第61条第1項第1号の決定により当該指定医療機関において医療を受ける者の社会復帰の促進を図るため、その者の相談に応じ、その者に必要な援助を行い、並びにその保護者及び精神障害者の医療、保健又は福祉に関する機関との連絡調整を行うように努めなければならない。この場合において、指定医療機関の管理者は、保護観察所の長と連携を図らなければならない。
第92条
【行動制限等】
1
指定入院医療機関の管理者は、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。
2
前項の規定にかかわらず、指定入院医療機関の管理者は、信書の発受の制限、弁護士及び行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であって、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない。
3
第1項の規定による行動の制限のうち、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める患者の隔離その他の行動の制限は、当該指定入院医療機関に勤務する精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
第94条
【精神保健指定医の指定入院医療機関の管理者への報告】
精神保健指定医は、その勤務する指定入院医療機関に第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者の処遇が第92条の規定に違反していると思料するとき、前条第1項の基準に適合していないと認めるときその他当該入院している者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該指定入院医療機関の管理者にその旨を報告することにより、当該管理者において当該入院している者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならない。
第95条
【処遇改善の請求】
第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により指定入院医療機関に入院している者又はその保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、指定入院医療機関の管理者に対して当該入院している者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることを求めることができる。
第96条
【処遇改善の請求による審査】
5
厚生労働大臣は、第2項の規定により通知された社会保障審議会の審査の結果に基づき、必要があると認めるときは、当該指定入院医療機関の管理者に対し、その者の処遇の改善のための措置を採ることを命じなければならない。
第97条
【報告徴収等】
1
厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、指定入院医療機関の管理者に対し、第42条第1項第1号若しくは第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者の症状若しくは処遇に関し、報告を求め、若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、当該職員若しくはその指定する精神保健指定医に、指定入院医療機関に立ち入り、これらの事項に関し、診療録その他の帳簿書類を検査させ、若しくは第42条第1項第1号若しくは第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者その他の関係者に質問させ、又はその指定する精神保健指定医に、指定入院医療機関に立ち入り、第42条第1項第1号若しくは第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者を診察させることができる。
第98条
【改善命令】
厚生労働大臣は、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により指定入院医療機関に入院している者の処遇が第92条の規定に違反していると認めるとき、第93条第1項の基準に適合していないと認めるときその他第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により指定入院医療機関に入院している者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該指定入院医療機関の管理者に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、処遇を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその処遇の改善のために必要な措置を採ることを命ずることができる。
第99条
【無断退去者に対する措置】
1
第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により指定入院医療機関に入院している者が無断で退去した場合(第100条第1項又は第2項の規定により外出又は外泊している者が同条第1項に規定する医学的管理の下から無断で離れた場合を含む。)には、当該指定入院医療機関の職員は、これを連れ戻すことができる。
4
警察官は、前項の所在の調査を求められた者を発見したときは、直ちに、その旨を当該指定入院医療機関の管理者に通知しなければならない。この場合において、警察官は、当該指定入院医療機関の管理者がその者を引き取るまでの間、二十四時間を限り、その者を、警察署、病院、救護施設その他の精神障害者を保護するのに適当な場所に、保護することができる。
第100条
【外出等】
1
指定入院医療機関の管理者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者を、当該指定入院医療機関に勤務する医師又は看護師による付添いその他の方法による医学的管理の下に、当該指定入院医療機関の敷地外に外出させることができる。
2
指定入院医療機関の管理者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者を、前項に規定する医学的管理の下に、一週間を超えない期間を限り、当該指定入院医療機関の敷地外に外泊させることができる。
3
指定入院医療機関の管理者は、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により当該指定入院医療機関に入院している者が精神障害の医療以外の医療を受けるために他の医療施設に入院する必要がある場合には、その者を他の医療施設に入院させることができる。この場合において、厚生労働大臣は、第81条第1項の規定にかかわらず、当該入院に係る医療が開始された日の翌日から当該入院に係る医療が終了した日の前日までの間に限り、その者に対する同項に規定する医療を行わないことができる。
第101条
【生活環境の調整】
1
保護観察所の長は、第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定があったときは、当該決定を受けた者の社会復帰の促進を図るため、当該決定を受けた者及びその家族等の相談に応じ、当該決定を受けた者が、指定入院医療機関の管理者による第91条の規定に基づく援助並びに都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)による精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第47条又は第49条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条その他の精神障害者の保健又は福祉に関する法令の規定に基づく援助を受けることができるようあっせんする等の方法により、退院後の生活環境の調整を行わなければならない。
第104条
【処遇の実施計画】
1
保護観察所の長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定があったときは、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長と協議の上、その処遇に関する実施計画を定めなければならない。
2
前項の実施計画には、政令で定めるところにより、指定通院医療機関の管理者による医療、社会復帰調整官が実施する精神保健観察並びに指定通院医療機関の管理者による第91条の規定に基づく援助、都道府県及び市町村による精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第47条又は第49条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条その他の精神障害者の保健又は福祉に関する法令の規定に基づく援助その他当該決定を受けた者に対してなされる援助について、その内容及び方法を記載するものとする。
3
保護観察所の長は、当該決定を受けた者の処遇の状況等に応じ、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長と協議の上、第1項の実施計画について必要な見直しを行わなければならない。
第108条
【関係機関相互間の連携の確保】
1
保護観察所の長は、医療、精神保健観察、第91条の規定に基づく援助及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第47条又は第49条、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第29条その他の精神障害者の保健又は福祉に関する法令の規定に基づく援助が、第104条の規定により定められた実施計画に基づいて適正かつ円滑に実施されるよう、あらかじめ指定通院医療機関の管理者並びに都道府県知事及び市町村長との間において必要な情報交換を行うなどして協力体制を整備するとともに、処遇の実施状況を常に把握し、当該実施計画に関する関係機関相互間の緊密な連携の確保に努めなければならない。
第109条
【民間団体等との連携協力】
保護観察所の長は、個人又は民間の団体が第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者の処遇の円滑な実施のため自発的に行う活動を促進するとともに、これらの個人又は民間の団体との連携協力の下、当該決定を受けた者の円滑な社会復帰に対する地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。
第110条
【保護観察所の長に対する通知等】
1
指定通院医療機関の管理者は、当該指定通院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、第37条第2項に規定する事項を考慮し、次の各号のいずれかに該当すると認める場合は、直ちに、保護観察所の長に対し、その旨を通知しなければならない。
2
指定通院医療機関の管理者は、当該指定通院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、第37条第2項に規定する事項を考慮し、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために当該決定による入院によらない医療を行う期間を延長してこの法律による医療を行う必要があると認める場合は、保護観察所の長に対し、その旨を通知しなければならない。
第111条
指定通院医療機関の管理者並びに都道府県知事及び市町村長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者について、第43条第2項(第51条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反する事実又は第107条各号に掲げる事項を守らない事実があると認めるときは、速やかに、保護観察所の長に通報しなければならない。
第112条
【保護観察所の長による緊急の保護】
1
保護観察所の長は、第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者が、親族又は公共の衛生福祉その他の施設から必要な保護を受けることができないため、現に、その生活の維持に著しい支障を生じている場合には、当該決定を受けた者に対し、金品を給与し、又は貸与する等の緊急の保護を行うことができる。
2
保護観察所の長は、前項の規定により支払った費用を、期限を指定して、当該決定を受けた者又はその扶養義務者から徴収しなければならない。ただし、当該決定を受けた者及びその扶養義務者が、その費用を負担することができないと認めるときは、この限りでない。
第114条
【刑事事件に関する手続等との関係】
附則
第1条
(施行期日)
第2条
(経過規定)