接収貴金属等の処理に関する法律
平成11年12月22日 改正
第5条
【返還の請求】
1
その占有に係る貴金属等を接収された者(以下「被接収者」という。)又はその相続人(被接収者が法人である場合には、合併によりその法人の権利義務を承継した法人。以下同じ。)で、この法律の施行前に接収貴金属等の返還を受けていないものは、この法律の施行の日から起算して五月以内に限り、当該接収貴金属等について、大蔵大臣に対し、その種類、形状その他接収の事実を明らかにした書面を提出して、返還の請求をすることができる。
2
被接収者又はその相続人でこの法律の施行前に接収貴金属等の返還を受けたもののうち、当該接収貴金属等に代るべき金又は銀の地金を連合国占領軍に引き渡した者(その権利義務を承継した者を含む。)は、この法律の施行の日から起算して五月以内に限り、当該金又は銀の地金について、大蔵大臣に対し、その種類、形状その他引渡の事実を明らかにした書面を提出して、返還の請求をすることができる。
第9条
【特定しない場合の返還】
1
大蔵大臣は、第6条第1項の認定に係る接収貴金属等が保管貴金属等のうちで特定しない場合には、同条第3項第2号又は第3号の規定に該当する場合を除き、次の各号に定めるところにより、保管貴金属等を返還しなければならない。
①
保管貴金属等のうち第2条第3項第1号に掲げるもの(接収の後に溶解して作られた地金及び前条の規定により返還されるものを除く。)で第6条第1項の認定に係る接収貴金属等と種類、形状、品位及び重量(第6条第3項第2号の政令で定めるものについては、種類、形状及び品位)の等しいものがある場合には、当該接収貴金属等に係る権利者に対し、当該接収貴金属等の個数(当該政令で定めるものについては、総重量。以下この号において同じ。)を限度として、当該保管貴金属等を返還する。この場合において、当該保管貴金属等の返還を受けるべき権利者が二以上あるときは、各権利者に係る当該接収貴金属等の個数に応じ、かつ、これを限度として、保管貴金属等を返還するものとする。
②
第6条第1項の認定に係る接収貴金属等で品位又は重量について同項の認定をすることができないものがある場合(次号に規定する場合を除く。)において、保管貴金属等で第2条第3項第1号に掲げるもの(接収の後に溶解して作られた地金及び前条又は前号の規定により返還されるものを除く。以下この号から第4号までにおいて同じ。)のうち当該接収貴金属等と種類、形状及び重量又は品位の等しいものがあるときは、当該接収貴金属等に係る権利者に対し、当該接収貴金属等が、これと種類、形状及び重量又は品位の等しい保管貴金属等で第2条第3項第1号に掲げるもののうち最低の品位又は最少の重量のものと等しい品位又は重量を有するものとみなして、当該接収貴金属等を評価した価額を限度として、当該保管貴金属等を返還する。この場合において、当該保管貴金属等の返還を受けるべき権利者が二以上あるときは、各権利者に係る当該評価額に応じ、かつ、これを限度として、保管貴金属等を返還するものとする。
④
第6条第1項の認定に係る接収貴金属等で次の表の上欄に掲げるものについて、前三号の規定により保管貴金属等の返還を受けることができない権利者がある場合又は前三号の規定により返還を受ける保管貴金属等の評価額がその者についての当該接収貴金属等の評価額(前二号の規定により返還を受ける者に係る接収貴金属等については、これらの規定による評価額)に満たない権利者がある場合には、これらの権利者に対し、各権利者に係る当該接収貴金属等の評価額又はその満たない額に応じ、かつ、これを限度として、保管貴金属等のうち、それぞれ次の表の下欄に掲げるものを返還する。この場合において、前三号の規定により保管貴金属等の返還を受けることができない権利者に係る接収貴金属等で、品位又は重量について第6条第1項の認定をすることができないものの評価については、当該接収貴金属等は、これと同種類で、かつ、形状が等しいか又は最も類似した保管貴金属等で第2条第3項第1号に掲げるもののうち最低の品位又は最少の重量のものと等しい品位又は重量を有するものとみなす。
接収貴金属等 | 保管貴金属等 |
金の地金及び製品 | 一 接収の後に溶解して作られた金の地金 二 第2条第3項第2号に掲げる預金で金の地金又は製品の代償であるもの 三 第2条第3項第4号に掲げる金の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡された金の地金又は製品に代るべきものとして大蔵大臣が引き渡したもの |
銀の地金及び製品 | 一 接収の後に溶解して作られた銀の地金 二 第2条第3項第2号に掲げる預金で銀の地金又は製品の代償であるもの 三 第2条第3項第4号に掲げる銀の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡された銀の地金又は製品に代るべきものとして大蔵大臣が引き渡したもの |
白金の地金及び製品 | 一 接収の後に溶解して作られた白金の地金 二 第2条第3項第2号に掲げる金の地金及び預金で白金の地金又は製品の代償であるもの 三 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金及び銀の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡された白金の地金又は製品に代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
ルテニウムの地金 | 第2条第3項第4号に掲げる金の地金で連合国占領軍から大蔵大臣に引き渡されたルテニウムの地金に代るべきものとして大蔵大臣が引き渡したもの |
ロジウムの地金 | 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡されたロジウムの地金に代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
パラジウムの地金 | 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金及び銀の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡されたパラジウムの地金に代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
オスミウムの地金 | 第2条第3項第4号に掲げる金の地金で連合国占領軍から大蔵大臣に引き渡されたオスミウムの地金に代るべきものとして大蔵大臣が引き渡したもの |
イリジウムの地金 | 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡されたイリジウムの地金に代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
イリドスミンの地金 | 第2条第3項第4号に掲げる金の地金で連合国占領軍から大蔵大臣に引き渡されたイリドスミンの地金に代るべきものとして大蔵大臣が引き渡したもの |
第2条第1項第1号に掲げる貴金属の合金の地金及び製品 | 一 接収の後に溶解して作られた当該貴金属の合金の地金 二 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金及び銀の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡された当該貴金属の合金の地金又は製品に代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
ダイヤモンド | 第2条第3項第3号及び第4号に掲げる金の地金で、被接収者、その相続人及び所有者以外の者に連合国占領軍から引き渡されたダイヤモンドに代るべきものとしてその引渡を受けた者又は大蔵大臣が引き渡したもの |
3
大蔵大臣は、第1項の規定により保管貴金属等を返還するため必要がある場合には、保管貴金属等を分割することができる。ただし、保管貴金属等を分割することにより著しくその価値を減ずると認められる場合又は分割することが著しく困難である場合には、これを売却し、その売却代金を返還するものとする。
第20条
【交易営団等の接収貴金属等に関する特例】
1
附則
附則
昭和37年5月16日
附則
昭和37年9月15日
2
この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
3
この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。