• 漁業法施行法
    • 第1条 [現存漁業権の存続]
    • 第2条 [漁業権の変更の不許可]
    • 第3条 [漁業権の譲渡等の制限]
    • 第4条 [漁業権の貸付契約の解除等の制限]
    • 第5条 [漁業協同組合による漁業権の取得等]
    • 第6条 [旧法に基く許可その他の処分の効力]
    • 第7条 [旧法に基く指定遠洋漁業の許可又は起業の認可]
    • 第8条 [旧法に基く訴願]
    • 第9条 [漁業権者等に対する補償金の交付]
    • 第10条 [漁業権等補償計画及び補償金額の算定]
    • 第11条 [異議の申立及び訴願]
    • 第12条 [知事による補償計画の承認等]
    • 第13条 [承継人に対する効力]
    • 第14条 [補償金の供託]
    • 第15条 [補償金増額請求の訴]
    • 第16条 [漁業権証券]
    • 第17条 [漁業権補償委員会]
    • 第18条 [日光養魚場の所管換]
    • 第20条 [漁業財団抵当法の一部改正]
    • 第24条 [旧法の罰則の適用]
    • 第25条 [罰則]
    • 第26条
    • 第27条

漁業法施行法

昭和26年3月31日 改正
第1条
【現存漁業権の存続】
漁業法(以下「新法」という。)施行の際現に存する漁業権(以下単に「漁業権」という。)及びこれについて現に存し又は新たに設定される入漁権については、同法施行後二年間は、同法の規定にかかわらず、漁業法(以下「旧法」という。)の規定は、なおその効力を有する。但し、新法第67条の規定及び同条に係る罰則の適用を妨げない。
都道府県知事が、政令の定めるところにより、漁業権を定めてその消滅の時期を指定したときは、その期日以後は、当該漁業権については、前項の規定は、適用しない。
漁業権は、新法施行後その存続期間が満了するものであつても、その存続期間は、満了しないものとする。
参照条文
第2条
【漁業権の変更の不許可】
漁業権の変更は、許可しない。
第3条
【漁業権の譲渡等の制限】
漁業権は、都道府県知事の認可(地先水面専用の漁業権については、主務大臣の認可)を受けた場合を除き、譲渡又は抵当権(現に存する抵当権を除く。)の目的となることができない。
前項の認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
参照条文
第4条
【漁業権の貸付契約の解除等の制限】
漁業権の貸付契約であつて新法施行の際現に存するものについては、借受人が賃貸料を滞納する等信義に反する行為がある場合、一時的に貸し付けた場合、貸付契約の内容が事情の変更によつて妥当でなくなつた場合その他正当の事由がある場合を除き、その解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒むことができない。
前項の貸付契約の解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒もうとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
前項の認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
前三項の規定は、新法施行の際現に存する入漁権を消滅させ、又はその更新を拒む場合に準用する。
参照条文
第5条
【漁業協同組合による漁業権の取得等】
漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、河川における漁業権を取得し、若しくはその貸付を受け、又はこれについて現に存する入漁権を取得し、若しくは新たに入漁権を設定することができる。
第6条
【旧法に基く許可その他の処分の効力】
漁業の免許を除き、旧法の規定に基いてした許可その他の行政庁の処分であつて新法施行の際現に効力を有するものは、当該行政庁が新法の規定に基いてすることができるものに限り、これに基いてしたものとみなす。
前項の規定により新法に基いてしたものとみなされた処分の有効期間については、漁業調整のため必要な限度において命令でその期間を短縮することができる。
第7条
【旧法に基く指定遠洋漁業の許可又は起業の認可】
主務大臣は、その定める期間内に、新法施行の際現に旧法第34条第2項(主務大臣の取締規則)の規定に基く命令又は第35条第1項(汽船トロール漁業等の許可)の規定に基いて新法第52条第1項に規定する指定遠洋漁業について許可又は起業の許可を受けている者につき、中央漁業調整審議会の意見をきいて、その者が新法第56条(許可又は起業の許可をしない場合)各号の一に該当するかどうかを審査し、該当する場合にはその者の受けている許可又は起業の許可を取り消さなければならない。
第8条
【旧法に基く訴願】
新法施行前にした訴願については、なお従前の例による。
第9条
【漁業権者等に対する補償金の交付】
政府は、漁業権又はこれを目的とする入漁権、賃借権若しくは使用貸借による借主の権利(以下「漁業権等」と総称する。)を第1条の規定による漁業権の消滅の時に有している者に対して、この法律の定めるところにより補償金を交付する。
第10条
【漁業権等補償計画及び補償金額の算定】
補償金の交付は、漁業権補償委員会が補償すべき漁業権ごとに定める漁業権等補償計画に従つてしなければならない。
漁業権等補償計画においては、補償金額を定めなければならない。
前項の補償金額は、左の各号に掲げる額の範囲内において定める。
昭和二十二年七月一日から昭和二十三年六月三十日まで(以下「基準年度」という。)の全漁期間貸し付けられていた漁業権については、基準年度の賃貸料(使用貸の場合にあつては漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める額)の、専用漁業権以外のものにあつては十一倍、専用漁業権にあつては十六倍に相当する額
基準年度の全漁期間貸し付けられていなかつた漁業権であつて専用漁業権以外のものについては、漁業権補償委員会が基準年度につき近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める推定賃貸料の十三倍に相当する額
専用漁業権であつて基準年度の全漁期間貸し付けられていなかつたもの又は入漁権については、基準年度の当該権利による漁獲金額
基準年度において貸し付けられていた漁期と貸し付けられていなかつた漁期とがある漁業権については、その各々の期間についての第1号に掲げる額と第2号又は前号に掲げる額の十三分の十一に相当する額とを平均した額の十一分の十三に相当する額
賃借権又は使用貸借による借主の権利については、その目的たる漁業権の補償金額の二割に相当する額
特別の事由により前各号に掲げる額によることができない場合又は著しく不適当であると認められる場合にあつては、主務大臣が定める基準によつて算出した額
前項の賃貸料及び漁獲金額は、漁業権調査規則に基いて報告した額による。但し、賃貸料については、漁業会がその会員に賃貸していたため賃貸料が著しく低い場合、事情の変更によつてその賃貸料によることが著しく不適当である場合その他特別の事由がある場合においては、その賃貸料によらず、漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の賃貸料を参しやくして定める額を賃貸料とし、漁獲金額については、基準年度の不漁、天災等により漁獲金額が著しく少い場合その他特別の事由がある場合においては、その漁獲金額によらず、漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の漁獲金額を参しやくして定める額を漁獲金額とする。
漁業権補償委員会は、漁業権等補償計画を定めたときは、遅滞なくその旨を公告し、且つ、公告の日から二十日間、補償すべき漁業権の漁場に最も近い沿岸の属する市町村の事務所において左の事項を記載した書類を縦覧に供するとともに、公告の日から十日以内に、第9条に規定する者(漁業権の消滅前に公告した場合にあつては補償すべき漁業権等を有する者。以下同じ。)であつて知れているものに対して当該漁業権等補償計画について通知を発しなければならない。
補償すべき漁業権等を有する者の氏名又は名称及び住所
補償すべき漁業権等
補償金額
参照条文
第11条
【異議の申立及び訴願】
第9条に規定する者又はその承継人は、前条の規定による当該漁業権等補償計画について異議があるときは、漁業権補償委員会に対して異議を申し立てることができる。但し、同条第5項の縦覧期間満了後十日を経過したときは、この限りでない。
漁業権補償委員会は、前項の申立を受けたときは、同項の異議申立期間満了後二箇月以内に決定しなければならない。
前項の決定に対して不服がある申立人は、都道府県知事に訴願することができる。但し、同項の期間満了後二十日を経過したときは、この限りでない。
都道府県知事は、前項の訴願を受理したときは、同項但書の期間満了後二箇月以内に裁決しなければならない。
参照条文
第12条
【知事による補償計画の承認等】
前条第1項の期間内に同項の規定による異議の申立がないとき、同項の規定による異議の申立があつた場合においてこれについて同条第2項の規定による決定があり、且つ、同条第3項但書の期間内に訴願の提起がなかつたとき、又は同項の規定による訴願の提起があつた場合においてこれについて同条第4項の規定による裁決があつたときは、漁業権補償委員会は、遅滞なく当該漁業権等補償計画について都道府県知事の承認を受けなければならない。
都道府県知事が前項の承認をしようとする場合において、主務大臣は、当該漁業権等補償計画が他都道府県の漁業権等補償計画と均衡を失し、その他不当であると認めるときは、都道府県知事に対して承認をしてはならないことを命ずることができる。
都道府県知事が第1項の承認を拒んだときは、漁業権補償委員会は、漁業権等補償計画を作成し直さなければならない。
漁業権補償委員会が前項の規定により漁業権等補償計画を作成し直さないときは、都道府県知事は、漁業権補償委員会に代つてこれを作成し直すことができる。
前項の場合においては、第10条第5項(漁業権等補償計画の公告等)及び前条の規定を準用する。この場合において、前条第3項及び第4項中「都道府県知事」とあるのは「主務大臣」と読み替えるものとする。
第1項の規定による承認を受けたときは、漁業権補償委員会は、遅滞なくその旨を公告し、且つ、第9条に規定する者であつて知れているものに対して通知しなければならない。
前項の規定は、都道府県知事が第4項の規定により漁業権等補償計画を作成した場合においてこれについて前条第1項の期間内に同項の規定による異議の申立がないとき、同項の規定による異議の申立があつた場合においてこれについて同条第2項の規定による決定があり、且つ、同条第3項但書の期間内に訴願の提起がなかつたとき、又は同項の規定による訴願の提起があつた場合においてこれについて同条第4項の規定による裁決があつたときに準用する。
参照条文
第13条
【承継人に対する効力】
前三条の規定によりした手続その他の行為は、第9条に規定する者の承継人に対してもその効力を有する。
第14条
【補償金の供託】
第9条の規定により補償金を交付すべき漁業権等(その属する漁業財団を含む。)について先取特権又は抵当権があるときは、当該権利を有する者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、政府は、その補償金を供託しなければならない。
前項の漁業権等(その属する漁業財団を含む。)について先取特権又は抵当権を有する者は、前項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
第15条
【補償金増額請求の訴】
第9条の規定による漁業権等の補償金の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。但し、第12条第6項同条第7項において準用する場合を含む。)の通知を受けた後一箇月を経過したときは、この限りでない。
前項の訴においては、国を被告とする。
第16条
【漁業権証券】
第9条の規定による補償金は、三十年以内に償還すべき証券で交付することができる。
前項の規定により交付するため、政府は、必要な額を限度として証券を発行することができる。
前二項の規定により交付する証券の交付価額は、時価を参しやくして大蔵大臣が定める。
第2項の証券に関して必要な事項は、命令で定める。
第17条
【漁業権補償委員会】
都道府県に漁業権補償委員会を置く。
漁業権補償委員会は、主務大臣及び都道府県知事の監督に属し、その設置された都道府県の区域内に存する漁業権等の補償に関する事項を処理する。
漁業権補償委員会は、委員をもつて組織する。
委員は、都道府県知事が漁業者及び漁業従事者の中から選任した者七人及び学識経験がある者の中から選任した者三人をもつて充てる。
主務大臣は、必要があると認めるときは、特定の漁業権補償委員会について前項の委員の定数と異なる定数を定めることができる。
委員の任期は、第9条の規定による漁業権の補償金の交付の事務が終了するまでとする。
新法第85条第2項第4項から第6項まで(海区漁業調整委員会の会長、専門委員及び書記又は補助員)、第95条(兼職の禁止)、第96条(委員の辞職の制限)、第98条第3項(補欠委員の任期)、第100条から第103条まで(解任、会議及び議決の再議)及び第116条から第119条まで(報告徴収等、監督、費用及び委任規定)の規定は、漁業権補償委員会に準用する。この場合において、第119条中「本章」とあるのは「漁業法施行法第17条」と読み替えるものとする。
第18条
【日光養魚場の所管換】
農林大臣が日光養魚場の用に供されている国有財産の所管換を受ける場合には、国有財産法第15条(異なる会計間の所管換等)の規定にかかわらず、無償とする。
第20条
【漁業財団抵当法の一部改正】
漁業財団抵当法の一部を次のように改正する。(「次のよう」略)
新法施行後同法附則第5項の規定により定置漁業権又は区画漁業権が抵当権の目的となることができない期間中は、定置漁業権又は区画漁業権を有する者は、これについて抵当権の目的とするため漁業財団を設けることができない。
第1項の規定施行の際現に漁業権又はその登録した賃借権について抵当権の目的とするため設けられている漁業財団については、なお従前の例による。
第24条
【旧法の罰則の適用】
新法施行前(この法律第1条に規定する漁業権及びこれについて現に存し又は新たに設定される入漁権については、同条の規定により効力を有する旧法の失効前)にした行為の処罰については、新法附則第2項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第25条
【罰則】
左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第3条第1項の規定に違反して漁業権を譲渡又は抵当権の目的とした者
第4条第2項同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
参照条文
第26条
前条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第27条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第25条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を科する。
附則
この法律は、新法施行の日から施行する。
附則
昭和26年3月31日
この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。

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