• 身体障害者補助犬法

身体障害者補助犬法

平成23年6月24日 改正
第1章
総則
第1条
【目的】
この法律は、身体障害者補助犬を訓練する事業を行う者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者の義務等を定めるとともに、身体障害者が国等が管理する施設、公共交通機関等を利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することができるようにするための措置を講ずること等により、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り、もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において「身体障害者補助犬」とは、盲導犬、介助犬及び聴導犬をいう。
この法律において「盲導犬」とは、道路交通法第14条第1項に規定する政令で定める盲導犬であって、第16条第1項の認定を受けているものをいう。
この法律において「介助犬」とは、肢体不自由により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために、物の拾い上げ及び運搬、着脱衣の補助、体位の変更、起立及び歩行の際の支持、扉の開閉、スイッチの操作、緊急の場合における救助の要請その他の肢体不自由を補う補助を行う犬であって、第16条第1項の認定を受けているものをいう。
この法律において「聴導犬」とは、聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために、ブザー音、電話の呼出音、その者を呼ぶ声、危険を意味する音等を聞き分け、その者に必要な情報を伝え、及び必要に応じ音源への誘導を行う犬であって、第16条第1項の認定を受けているものをいう。
第2章
身体障害者補助犬の訓練
第3条
【訓練事業者の義務】
盲導犬訓練施設(身体障害者福祉法第33条に規定する盲導犬訓練施設をいう。)を経営する事業を行う者、介助犬訓練事業(同法第4条の2第3項に規定する介助犬訓練事業をいう。)を行う者及び聴導犬訓練事業(同項に規定する聴導犬訓練事業をいう。)を行う者(以下「訓練事業者」という。)は、身体障害者補助犬としての適性を有する犬を選択するとともに、必要に応じ医療を提供する者、獣医師等との連携を確保しつつ、これを使用しようとする各身体障害者に必要とされる補助を適確に把握し、その身体障害者の状況に応じた訓練を行うことにより、良質な身体障害者補助犬を育成しなければならない。
訓練事業者は、障害の程度の増進により必要とされる補助が変化することが予想される身体障害者のために前項の訓練を行うに当たっては、医療を提供する者との連携を確保することによりその身体障害者について将来必要となる補助を適確に把握しなければならない。
第4条
訓練事業者は、前条第2項に規定する身体障害者のために身体障害者補助犬を育成した場合には、その身体障害者補助犬の使用状況の調査を行い、必要に応じ再訓練を行わなければならない。
第5条
【厚生労働省令への委任】
前二条に規定する身体障害者補助犬の訓練に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第3章
身体障害者補助犬の使用に係る適格性
第6条
身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、自ら身体障害者補助犬の行動を適切に管理することができる者でなければならない。
第4章
施設等における身体障害者補助犬の同伴等
第7条
【国等が管理する施設における身体障害者補助犬の同伴等】
国等(国及び地方公共団体並びに独立行政法人(独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)、特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法第4条第15号の規定の適用を受けるものをいう。)その他の政令で定める公共法人をいう。以下同じ。)は、その管理する施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬(第12条第1項に規定する表示をしたものに限る。以下この項及び次項並びに次条から第10条までにおいて同じ。)を同伴することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
前項の規定は、国等の事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。この場合において、同項ただし書中「身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合」とあるのは、「身体障害者補助犬の使用により国等の事業の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合」と読み替えるものとする。
第1項の規定は、国等が管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用する場合について準用する。
第8条
【公共交通機関における身体障害者補助犬の同伴】
公共交通事業者等(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条第4号に規定する公共交通事業者等をいう。以下同じ。)は、その管理する旅客施設(同条第5号に規定する旅客施設をいう。以下同じ。)及び旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等(車両、自動車、船舶及び航空機をいう。以下同じ。)を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該旅客施設若しくは当該車両等に著しい損害が発生し、又はこれらを利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
参照条文
第9条
【不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴】
前二条に定めるもののほか、不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
第10条
【事業所又は事務所における身体障害者補助犬の使用】
障害者の雇用の促進等に関する法律第43条第1項の規定により算定した同項に規定する法定雇用障害者数が一人以上である場合の同項の事業主が雇用する同項の労働者の数のうち最小の数を勘案して政令で定める数以上の同項の労働者を雇用している事業主(国等を除く。)並びに当該事業主が同法第44条第1項の親事業主である場合の同項の子会社及び当該事業主が同法第45条第1項に規定する親事業主である場合の同項の関係会社(以下「障害者雇用事業主」という。)は、その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の使用により当該障害者雇用事業主の事業の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
障害者雇用事業主以外の事業主(国等を除く。)は、その事業所又は事務所に勤務する身体障害者が当該事業所又は事務所において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。
第11条
【住宅における身体障害者補助犬の使用】
住宅を管理する者(国等を除く。)は、その管理する住宅に居住する身体障害者が当該住宅において身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。
第12条
【身体障害者補助犬の表示等】
この章に規定する施設等(住宅を除く。)の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、厚生労働省令で定めるところにより、その身体障害者補助犬に、その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨を明らかにするための表示をしなければならない。
この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第13条
【身体障害者補助犬の行動の管理】
この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがないようその行動を十分管理しなければならない。
第14条
【表示の制限】
何人も、この章に規定する施設等の利用等を行う場合において身体障害者補助犬以外の犬を同伴し、又は使用するときは、その犬に第12条第1項の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。ただし、身体障害者補助犬となるため訓練中である犬又は第16条第1項の認定を受けるため試験中である犬であって、その旨が明示されているものについては、この限りでない。
第5章
身体障害者補助犬に関する認定等
第15条
【法人の指定】
厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、身体障害者補助犬の種類ごとに、身体障害者補助犬の訓練又は研究を目的とする一般社団法人若しくは一般財団法人又は社会福祉法第31条第1項の規定により設立された社会福祉法人であって、次条に規定する認定の業務を適切かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、当該業務を行う者として指定することができる。
厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地を公示しなければならない。
指定法人は、その名称又は主たる事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
厚生労働大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
第16条
【同伴に係る身体障害者補助犬に必要な能力の認定】
指定法人は、身体障害者補助犬とするために育成された犬(当該指定法人が訓練事業者として自ら育成した犬を含む。)であって当該指定法人に申請があったものについて、身体障害者がこれを同伴して不特定かつ多数の者が利用する施設等を利用する場合において他人に迷惑を及ぼさないことその他適切な行動をとる能力を有すると認める場合には、その旨の認定を行わなければならない。
指定法人は、前項の規定による認定をした身体障害者補助犬について、同項に規定する能力を欠くこととなったと認める場合には、当該認定を取り消さなければならない。
第17条
【改善命令】
厚生労働大臣は、指定法人の前条に規定する認定の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該指定法人に対し、その改善のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
参照条文
第18条
【指定の取消し等】
厚生労働大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第19条
【報告の徴収等】
厚生労働大臣は、指定法人の第16条に規定する認定の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該指定法人に対し、その業務の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、当該指定法人の事業所又は事務所に立ち入り、その業務の状況に関し必要な調査若しくは質問をさせることができる。
前項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第1項の規定による立入調査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第20条
【厚生労働省令への委任】
この章に定めるもののほか、指定法人及び身体障害者補助犬に関する認定に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第6章
身体障害者補助犬の衛生の確保等
第21条
【身体障害者補助犬の取扱い】
訓練事業者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、犬の保健衛生に関し獣医師の行う指導を受けるとともに、犬を苦しめることなく愛情をもって接すること等により、これを適正に取り扱わなければならない。
第22条
【身体障害者補助犬の衛生の確保】
身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬について、体を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。
第23条
【国民の理解を深めるための措置】
国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、身体障害者の自立及び社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。
第24条
【国民の協力】
国民は、身体障害者補助犬を使用する身体障害者に対し、必要な協力をするよう努めなければならない。
第7章
雑則
第25条
【苦情の申出等】
身体障害者又は第4章に規定する施設等を管理する者(事業所又は事務所にあっては当該事業所又は事務所の事業主とし、公共交通事業者等が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等にあっては当該公共交通事業者等とする。以下同じ。)は、当該施設等の所在地(公共交通事業者等が旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等にあっては、当該公共交通事業者等の営業所の所在地)を管轄する都道府県知事に対し、当該施設等における当該身体障害者による身体障害者補助犬の同伴又は使用に関する苦情の申出をすることができる。
都道府県知事は、前項の苦情の申出があったときは、その相談に応ずるとともに、当該苦情に係る身体障害者又は第4章に規定する施設等を管理する者に対し、必要な助言、指導等を行うほか、必要に応じて、関係行政機関の紹介を行うものとする。
都道府県知事は、第1項の苦情の申出を受けた場合において当該苦情を適切に処理するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長若しくは関係地方公共団体の長又は訓練事業者若しくは指定法人に対し、必要な資料の送付、情報の提供その他の協力を求めることができる。
参照条文
第26条
【大都市等の特例】
前条の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)の長が行う。この場合においては、前条の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市等の長に適用があるものとする。
第8章
罰則
第27条
第19条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした場合には、その違反行為をした指定法人の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十四年十月一日から施行する。ただし、第二章の規定(介助犬又は聴導犬の訓練に係る部分に限る。)は平成十五年四月一日から、第九条の規定は同年十月一日から施行する。
第1条の2
(経過措置)
第十条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「第四十三条第一項」とあるのは、「附則第三条第二項の規定により読み替えて適用される同法第四十三条第一項」とする。
第2条
道路交通法第十四条第一項の盲導犬に関しては、当分の間、第五章の規定は、適用しない。この場合において、第二条第二項中「政令で定める盲導犬であって、第十六条第一項の認定を受けているもの」とあるのは、「政令で定める盲導犬」とする。
第3条
肢体不自由又は聴覚障害により日常生活に著しい支障がある身体障害者は、第四章に規定する施設等の利用等を行う場合において、その者の補助を行う犬であって第十六条第一項の認定を受けていないものを同伴し、又は使用するときは、平成十六年九月三十日までの間に限り、第十四条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、その犬に「介助犬」又は「聴導犬」と表示をすることができる。
第4条
前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第5条
(新たに身体障害者補助犬が行う補助以外の補助を行う犬が使用されることとなった場合の措置)
日常生活に著しい支障がある身体障害者の補助を行うため、新たに身体障害者補助犬が行う補助以外の補助を行う犬が使用されることとなった場合には、その使用の状況等を勘案し、身体障害者補助犬の制度の対象を拡大するために必要な法制上の措置が講ぜられるものとする。
第6条
(検討)
この法律の施行後三年を経過した場合においては、身体障害者補助犬の育成の状況、第四章に規定する施設等における身体障害者補助犬の同伴又は使用の状況その他この法律の施行の状況について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
附則
平成17年11月7日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十八年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第121条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第122条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成18年6月2日
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
附則
平成18年6月21日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成19年12月5日
この法律は、平成二十年四月一日から施行する。ただし、第七条第二項に後段を加える改正規定、第十条を改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として一項を加える改正規定及び附則の改正規定は、平成二十年十月一日から施行する。
附則
平成23年6月24日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

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