外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律
平成18年6月21日 改正
第1条
【趣旨】
この法律は、医療に関する知識及び技能の修得を目的として本邦に入国した外国医師若しくは外国歯科医師又は外国看護師等が医業若しくは歯科医業又は保健師助産師看護師法第5条に規定する業等を行うことができるように、医師法第17条及び歯科医師法第17条並びに保健師助産師看護師法第31条第1項等の特例等を定めるものとする。
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
③
外国看護師等 外国において助産師、看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、歯科技工士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、言語聴覚士又は救急救命士に相当する資格を有する者をいう。
④
臨床修練 医療に関する知識及び技能の修得を目的として本邦に入国した外国医師若しくは外国歯科医師又は外国看護師等(外国において救急救命士に相当する資格を有する者(以下「外国救急救命士」という。を除く。以下この号において同じ。)が厚生労働大臣の指定する病院(以下この号において「指定病院」という。)において臨床修練指導医若しくは臨床修練指導歯科医又は臨床修練指導者(当該外国看護師等が外国において有する資格に相当する次のハからカまでに掲げる資格を有する者に限る。)の実地の指導監督の下にその外国において有する次のイからカまでに掲げる資格に相当する資格の区分に応じ、それぞれイからカまでに定める業を行うこと並びに医療に関する知識及び技能の修得を目的として本邦に入国した外国救急救命士が指定病院に救急救命士法第2条第1項に規定する重度傷病者(以下この号において「重度傷病者」という。)を搬送する同法第44条第2項に規定する救急用自動車等(以下この号において「救急用自動車等」という。)において、又は当該指定病院への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において同法第2条第1項に規定する救急救命処置を行うことが必要と認められる場合に臨床修練指導者(医師又は救急救命士に限る。)の実地の指導監督の下に次のヨに定められる業を行うことをいう。
第3条
【臨床修練の許可】
1
外国医師若しくは外国歯科医師又は外国看護師等は、その外国において有する次の各号に掲げる資格に相当する資格の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める法律の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の許可を受けて、臨床修練を行うことができる。
3
厚生労働大臣は、許可を受けようとする者が前項各号に掲げる基準に適合していると認める場合であつても、次の各号のいずれか(外国看護師等にあつては、第2号)に該当する者には、許可を与えてはならない。
②
外国の法令による処分であつて、医師法第7条第2項、歯科医師法第7条第2項、保健師助産師看護師法第14条第1項、歯科衛生士法第8条第1項、診療放射線技師法第9条第1項若しくは歯科技工士法第8条第1項の規定による業務の停止の命令又は臨床検査技師等に関する法律第8条第1項、理学療法士及び作業療法士法第7条第1項、視能訓練士法第8条第1項、臨床工学技士法第8条第1項、義肢装具士法第8条第1項、言語聴覚士法第9条第1項若しくは救急救命士法第9条第1項の規定による名称の使用の停止の命令に相当するものを受け、当該外国においてその者が有する資格に係る業務を行うことができない者
4
厚生労働大臣は、許可を受けようとする者が第2項各号に掲げる基準に適合していると認める場合であつても、次の各号のいずれかに該当する者には、許可を与えないことができる。
①
医師法第4条各号、歯科医師法第4条各号、保健師助産師看護師法第9条各号、歯科衛生士法第4条各号、診療放射線技師法第4条各号、歯科技工士法第4条各号、臨床検査技師等に関する法律第4条各号、理学療法士及び作業療法士法第4条各号、視能訓練士法第4条各号、臨床工学技士法第4条各号、義肢装具士法第4条各号、言語聴覚士法第4条各号又は救急救命士法第4条各号に掲げる者
第8条
【臨床修練指導医及び臨床修練指導歯科医並びに臨床修練指導者の認定】
厚生労働大臣は、その申請に基づき、第2条第4号イからヨまでに掲げる資格を有する者(同号イからニまでに掲げる資格を有する者であつて、医師法第7条の2第1項、歯科医師法第7条の2第1項又は保健師助産師看護師法第15条の2第1項の規定による厚生労働大臣の命令を受けたものにあつては、それぞれ医師法第7条の2第2項、歯科医師法第7条の2第2項又は保健師助産師看護師法第15条の2第3項の規定による登録を受けた者に限る。)であつて次の各号に掲げる基準に適合すると認める者を臨床修練指導医若しくは臨床修練指導歯科医又は臨床修練指導者として認定する。
第9条
【職務及び責務】
1
臨床修練指導医若しくは臨床修練指導歯科医又は臨床修練指導者は、臨床修練外国医師若しくは臨床修練外国歯科医師又は臨床修練外国看護師等が行う臨床修練を実地に指導監督するものとし、その指導監督に当たつては、臨床修練が適切に行われるように努めなければならない。
2
臨床修練指導者(医師を除く。)は、診療の補助、歯科衛生士法第2条第1項に規定する業、診療放射線技師法第2条第2項に規定する業又は歯科技工士法第2条第2項に規定する業に係る臨床修練に関して医師又は歯科医師の指示を受けたときは、これに従つて指導監督しなければならない。
第10条
【認定の取消し】
1
厚生労働大臣は、臨床修練指導医若しくは臨床修練指導歯科医又は臨床修練指導者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その認定を取り消すものとする。
②
医師法第7条第2項第1号若しくは第2号、歯科医師法第7条第2項第1号若しくは第2号若しくは保健師助産師看護師法第14条第1項第1号若しくは第2号に掲げる戒告若しくは業務の停止、歯科衛生士法第8条第1項、診療放射線技師法第9条第1項若しくは歯科技工士法第8条第1項の規定による業務の停止又は臨床検査技師等に関する法律第8条第1項、理学療法士及び作業療法士法第7条第1項、視能訓練士法第8条第1項、臨床工学技士法第8条第1項、義肢装具士法第8条第1項、言語聴覚士法第9条第1項若しくは救急救命士法第9条第1項の規定による名称の使用の停止を命ぜられたとき。
第11条
【診療録の記載等】
1
医師法第24条又は歯科医師法第23条の規定は、臨床修練外国医師又は臨床修練外国歯科医師について準用する。この場合において、医師法第24条第2項中「病院又は診療所に勤務する医師」とあるのは「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第3条第1項の規定により厚生労働大臣の指定を受けた病院において臨床修練を行う同法第2条第5号に規定する臨床修練外国医師」と、「その病院又は診療所」とあるのは「その病院」と、歯科医師法第23条第2項中「病院又は診療所に勤務する歯科医師」とあるのは「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第3条第1項の規定により厚生労働大臣の指定を受けた病院において臨床修練を行う同法第2条第6号に規定する臨床修練外国歯科医師」と、「その病院又は診療所」とあるのは「その病院」と読み替えるものとする。
2
臨床修練指導医又は臨床修練指導歯科医は、臨床修練外国医師又は臨床修練外国歯科医師が行う臨床修練を実地に指導監督したときは、臨床修練外国医師又は臨床修練外国歯科医師が前項において準用する医師法第24条第1項又は歯科医師法第23条第1項の規定により記載した診療録にその旨を記載し、署名しなければならない。
第12条
【助産録の記載等】
1
保健師助産師看護師法第42条の規定は、許可を受けた外国において助産師に相当する資格を有する者(以下「臨床修練外国助産師」という。)について準用する。この場合において、同条第2項中「病院、診療所又は助産所に勤務する助産師」とあるのは「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第3条第1項の規定により厚生労働大臣の指定を受けた病院において臨床修練を行う同法第12条第1項に規定する臨床修練外国助産師」と、「その病院、診療所又は助産所」とあるのは「その病院」と読み替えるものとする。
2
臨床修練指導者は、臨床修練外国助産師が行う臨床修練を実地に指導監督したときは、臨床修練外国助産師が前項において準用する保健師助産師看護師法第42条第1項の規定により記載した助産録にその旨を記載し、署名しなければならない。
第13条
【照射録の記載等】
2
臨床修練指導者は、臨床修練外国診療放射線技師が行う臨床修練を実地に指導監督したときは、臨床修練外国診療放射線技師が前項において準用する診療放射線技師法第28条第1項の規定により記載した照射録にその旨を記載し、署名しなければならない。
第14条
【救急救命処置録の記載等】
1
救急救命士法第46条の規定は、許可を受けた外国救急救命士(以下「臨床修練外国救急救命士」という。)について準用する。この場合において、同条第2項中「厚生労働省令で定める機関に勤務する救急救命士」とあるのは「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第2条第4号に規定する指定病院(以下この項において「指定病院」という。)に第2条第1項に規定する重度傷病者を搬送すべき同法第14条第1項に規定する臨床修練外国救急救命士」と、「その機関」とあるのは「その指定病院」と読み替えるものとする。
2
臨床修練指導者は、臨床修練外国救急救命士が行う臨床修練を実地に指導監督したときは、臨床修練外国救急救命士が前項において準用する救急救命士法第46条第1項の規定により記載した救急救命処置録にその旨を記載し、署名しなければならない。
第15条
【歯科技工指示書による歯科技工等】
歯科技工士法第18条及び第19条の規定は、許可を受けた外国において歯科技工士に相当する資格を有する者について準用する。この場合において、同法第18条中「病院又は診療所」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第2条第4号に規定する指定病院」と読み替えるものとする。
⊟
参照条文
第16条
【業務上の制限等】
1
保健師助産師看護師法第37条(臨時応急の手当に係る部分を除く。)及び第38条本文の規定は臨床修練外国助産師について、同法第37条(臨時応急の手当に係る部分を除く。)の規定は許可を受けた外国において看護師に相当する資格を有する者(以下「臨床修練外国看護師」という。)について準用する。
3
診療放射線技師法第26条第1項及び第2項本文並びに第27条の規定は、臨床修練外国診療放射線技師について準用する。この場合において、同項本文中「病院又は診療所」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第2条第4号に規定する指定病院」と読み替えるものとする。
5
理学療法士及び作業療法士法第15条第2項の規定は、許可を受けた外国において理学療法士に相当する資格を有する者について準用する。この場合において、同項中「病院若しくは診療所」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第2条第4号に規定する指定病院」と読み替えるものとする。
10
救急救命士法第44条及び第45条の規定は、臨床修練外国救急救命士について準用する。この場合において、同法第44条第2項中「救急用自動車その他の」とあるのは「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律第2条第4号に規定する指定病院(以下この項において「指定病院」という。)に重度傷病者を搬送する救急用自動車その他の」と、「この項及び第53条第2号」とあるのは「この項」と、「病院又は診療所」とあるのは「指定病院」と読み替えるものとする。
第17条
【秘密を守る義務】
臨床修練外国医師若しくは臨床修練外国歯科医師又は臨床修練外国看護師等は、正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。臨床修練外国医師若しくは臨床修練外国歯科医師又は臨床修練外国看護師等でなくなつた後においても、同様とする。
⊟
参照条文
第18条
【保健師助産師看護師法の特例】
1
臨床修練外国医師が臨床修練を行う場合における保健師助産師看護師法第30条の規定の適用については、同条中「医師法」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律」とする。
2
臨床修練外国医師又は臨床修練外国歯科医師が臨床修練を行う場合における保健師助産師看護師法第31条第1項の規定の適用については、同項中「医師法又は歯科医師法」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律」とする。
第19条
【歯科衛生士法の特例】
臨床修練外国歯科医師が臨床修練を行う場合における歯科衛生士法第13条の規定の適用については、同条中「歯科医師法」とあるのは、「外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律」とする。
第20条
【診療放射線技師法の特例】
臨床修練外国医師又は臨床修練外国歯科医師は、臨床修練を行う場合には、診療放射線技師法第24条の規定にかかわらず、同法第2条第2項に規定する業務を行うことができる。
第23条
【罰則】
第16条第1項において準用する保健師助産師看護師法第37条(臨時応急の手当に係る部分を除く。)又は第38条本文の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第25条
1
第17条の規定に違反して人の秘密を漏らした臨床修練外国医師若しくは臨床修練外国歯科医師若しくは臨床修練外国助産師若しくは臨床修練外国看護師又はこれらであつた者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
附則
第2条
(厚生省設置法の一部改正)
厚生省設置法の一部を次のように改正する。第五条第三十五号の次に次の一号を加える。三十五の二 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律を施行すること。第六条第二十九号の次に次の一号を加える。二十九の二 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第十七条及び歯科医師法第十七条の特例等に関する法律の規定に基づき、臨床修練を許可し、及びその許可を取り消し、並びに臨床修練指導医又は臨床修練指導歯科医の認定を行い、及びその認定を取り消すこと。第七条第四項中「並びに医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修」を削り、「調査審議するほか」を「調査審議し、並びに医師法その他の法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか」に改める。