山村境界基本調査作業規程準則
平成23年1月19日 制定
第1条
【目的】
国土調査法(以下「法」という。)
第2条第2項の規定による地籍調査の基礎とするために行う土地及び水面の測量のうち、市街地以外の地域における山村境界基本調査点の現地における位置を明らかにするために行う測量(以下「山村境界基本調査」という。)に関する作業規程の準則は、この省令の定めるところによる。
第2条
【定義】
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
②
山村境界基本調査点 公図等に表示された土地の区画又は位置及び形状を構成する点のうち三筆以上の土地の境を構成するものであって、主として山林が占める地域及びその周辺の地域にあるものをいう。
③
現地調査 山村境界基本調査点に対応すると推定される地物の有無の調査をいう。
④
山村境界基本調査点測量 山村境界基本調査点に対応すると推定される地物が示す地点の測量をいう。
⑤
山村境界基本三角点 山村境界基本調査点測量の基礎とするために設置する基準点のうち、
国土調査法施行令(以下「令」という。)
別表第三に掲げる地籍基本三角点をいう。
⑥
山村境界基本三角測量 山村境界基本三角点の測量をいう。
⑦
山村境界基本多角点 山村境界基本調査点測量の基礎とするために設置する基準点のうち、
令別表第三に掲げる地籍基本多角点をいう。
⑧
山村境界基本多角測量 山村境界基本多角点の測量をいう。
⑨
山村境界基本細部点 山村境界基本調査点測量の基礎とするために設置する基準点のうち、
令別表第三に掲げる地籍基本細部点をいう。
⑩
山村境界基本細部測量 山村境界基本細部点の測量をいう。
⑪
山村境界基本調査基準点 山村境界基本三角点、山村境界基本多角点又は山村境界基本細部点をいう。
⑫
山村境界基本細部多角点 山村境界基本細部点のうち多角
測量法により決定されたものをいう。
第3条
【趣旨の普及】
山村境界基本調査を行う者は、あらかじめ山村境界基本調査の意義及び作業の内容を一般に周知し、その実施について地域住民その他の者の協力を得るように努めるものとする。
第4条
【山村境界基本調査の作業】
山村境界基本調査の作業は、次に掲げるとおりとする。
②
山村境界基本三角測量、山村境界基本多角測量及び山村境界基本細部測量
第6条
【管理及び検査】
山村境界基本調査を行う者又は山村境界基本調査の成果について認証を行う者は、山村境界基本調査が
令別表第三に定める誤差の限度内の精度を保ち、かつ、山村境界基本調査に関する記録の記載又は表示に誤りがないように管理し、及び検査を行うものとする。
第7条
【記録等の保管】
山村境界基本調査を行う者は、山村境界基本調査に関する資料及び測量記録その他の記録を保管しなければならない。
第8条
【省令に定めのない方法】
山村境界基本調査を行う者は、地形の状況等によりこの省令に定める方法によりがたい場合には、国土交通大臣の承認を受けて、この省令に定めのない方法により山村境界基本調査を実施することができる。
第9条
【山村境界基本調査の実施に関する計画】
山村境界基本調査を行う者は、当該山村境界基本調査の開始前に、次に掲げる事項について山村境界基本調査の実施に関する計画を作成するものとする。
第10条
【山村境界基本調査図の縮尺】
山村境界基本調査図の縮尺は、二千五百分の一又は五千分の一とする。
第11条
【作業計画】
第9条第4号の作業計画は、現地調査、山村境界基本測量並びに山村境界基本調査図及び山村境界基本調査簿の作成の各作業別に定めるものとする。この場合において、各作業間の相互の関連及び進度を考慮して作成するものとする。
第12条
【現地調査図素図の作成】
1
現地調査は、現地調査図素図を作成して着手するものとする。
2
現地調査図素図は、公図等を透明紙に透き写したもの又は写真複写したものに、次に掲げる事項を表示して作成するものとする。
3
土地の位置及び形状を明らかにするために特に必要がある場合は、
前項各号に規定するもののほか、公図等に表示された土地の区画又は位置及び形状を構成する点のうち二筆の土地の境を構成するもの(以下「山村境界基本調査補助点」という。)及びその番号を併せて表示するものとする。
4
現地調査図素図の作成に当たっては、必要に応じ、当該調査地域の山村境界基本調査点(
前項の表示を行った場合は、山村境界基本調査補助点を含む。以下同じ。)の現地における位置に精通している者(以下「現地精通者」という。)の証言を求めるものとする。
第13条
【現地調査の実施】
1
現地調査は、現地調査図素図に基づいて行うものとする。
2
現地調査を行ったときは、現地調査図素図に調査年月日を記録するとともに、山村境界基本調査点に対応すると推定される地物の有無を表示して、現地調査図を作成するものとする。
3
現地調査に当たっては、必要に応じ、現地精通者の証言を求めるものとする。
第14条
【山村境界基本測量の方式】
山村境界基本測量は、地上測量による数値法によって行うものとする。
第15条
【測量の基礎とする点】
山村境界基本測量は、基本三角点(
測量法第2章の規定による基本測量の成果である三角点及び電子基準点をいう。以下同じ。)若しくは基本水準点(
同法第2章の規定による基本測量の成果である水準点をいう。)若しくは
法第19条第2項の規定により認証され、若しくは
同条第5項の規定により指定された基準点又はこれらと同等以上の精度を有する基準点(以下「基準点等」という。)を基礎として行わなければならない。
第16条
【位置及び方向角の表示の方法】
1
山村境界基本測量における地点の位置は、
令別表第一に掲げる平面直角座標系(以下「座標系」という。)による平面直角座標値(以下「座標値」という。)及び
測量法施行令第2条第2項に規定する日本水準原点を基準とする高さ(以下「標高」という。)で表示するものとする。
2
方向角は、当該地点が属する座標系のX軸に平行な当該地点を通る軸の正の方向を基準とし、右回りに測定して表示するものとする。
第17条
【山村境界基本調査図の図郭】
山村境界基本調査図の図郭は、地図上において座標系原点からX軸の方向に二十五センチメートル、Y軸の方向に三十五センチメートルごとに区画して定めるものとする。
第18条
【作業の順序】
山村境界基本測量は、次に掲げる作業の順序に従って行うものとする。
第19条
【山村境界基本調査基準点の配置】
山村境界基本調査基準点は、調査地域における基準点等の配置を考慮し、適正な密度をもって配置するものとする。
第20条
【標識の設置の承諾】
山村境界基本調査基準点に標識を設置するに当たっては、あらかじめ、当該標識を設置する土地の所有者又は管理者の承諾を得るものとする。
第21条
【山村境界基本三角測量の方法】
山村境界基本三角測量は、多角
測量法により行うものとする。ただし、地形の状況等によりやむを得ない場合には、直接水準
測量法を併用することができる。
第22条
【山村境界基本三角点の選定】
1
山村境界基本三角点は、後続の測量を行うのに便利であり、かつ、標識の保存が確実である位置に選定するものとする。
2
山村境界基本三角点は、調査地域に平均的に配置するように選定するものとする。
第23条
【多角路線の選定】
1
山村境界基本三角測量における多角路線の選定に当たっては、基準点等(補助基準点を除く。以下この条において同じ。)又は山村境界基本三角点を結合する多角網を形成するように努めなければならない。ただし、地形の状況等によりやむを得ない場合には、単路線を形成することができる。
2
前項の多角路線は、なるべく短い経路を選定しなければならない。
3
第1項の多角路線の次数は、基準点等を基礎として二次までとする。
第24条
【選点図】
山村境界基本三角点及び
前条の多角路線の選定の結果は、山村境界基本三角点選点図に取りまとめるものとする。
第25条
【標識の設置】
山村境界基本三角点には標識を設置するとともに、その保全及び管理のための適切な措置を講ずるものとする。
第26条
【観測、測定及び計算】
1
山村境界基本三角測量における観測及び測定は、地図及び簿冊に令で定める限度以上の誤差が生じないように行うものとする。
2
山村境界基本三角点の座標値及び標高は、
前項の観測及び測定の結果に基づいて求めるものとし、その結果は、山村境界基本三角点網図及び山村境界基本三角点成果簿に取りまとめるものとする。
第27条
【山村境界基本多角測量の方法】
山村境界基本多角測量は、多角
測量法により行うものとする。ただし、地形の状況等によりやむを得ない場合には、直接水準
測量法を併用することができる。
第28条
【山村境界基本多角点の選定】
1
山村境界基本多角点は、後続の測量を行うのに便利であり、かつ、標識の保存が確実である位置に選定するものとする。
2
山村境界基本多角点は、調査地域に平均的に配置するように選定するものとする。
第29条
【多角路線の選定】
1
山村境界基本多角測量における多角路線の選定に当たっては、基準点等、山村境界基本三角点又は山村境界基本多角点(以下「山村境界基本多角点等」という。)を結合する多角網又は単路線を形成するものとする。
2
前項の多角路線の次数は、基準点等(補助基準点を除く。)又は山村境界基本三角点を基礎として三次までとする。
第30条
【選点図】
山村境界基本多角点及び
前条の多角路線の選定の結果は、山村境界基本多角点選点図に取りまとめるものとする。
第31条
【標識の設置】
山村境界基本多角点には標識を設置するとともに、その保全及び管理のための適切な措置を講ずるものとする。ただし、既設の工作物を利用することを妨げない。
第32条
【観測、測定及び計算】
1
山村境界基本多角測量における観測及び測定は、地図及び簿冊に令で定める限度以上の誤差が生じないように行うものとする。
2
山村境界基本多角点の座標値及び標高は、
前項の観測及び測定の結果に基づいて求めるものとし、その結果は、山村境界基本多角点網図及び山村境界基本多角点成果簿に取りまとめるものとする。
第33条
【山村境界基本細部測量の方法】
山村境界基本細部測量は、多角
測量法によることを原則とする。ただし、見通し障害等によりやむを得ない場合には、放射法によることができる。
第34条
【山村境界基本細部点の選定】
山村境界基本細部点は、後続の測量を行うのに便利であり、かつ、標識の保存が確実である位置に選定するものとする。
第35条
【多角測量法による山村境界基本細部測量】
1
多角
測量法による山村境界基本細部測量における多角路線の選定に当たっては、山村境界基本多角点等又は山村境界基本細部多角点(以下「山村境界基本細部多角点等」という。)を結合する多角網又は単路線を形成するものとする。ただし、見通し障害等により真にやむを得ない場合には、閉合路線を形成することができる。
2
前項の多角路線の次数は、山村境界基本多角点等を基礎として二次までとする。
第36条
【放射法による山村境界基本細部測量】
1
放射法による山村境界基本細部測量は、山村境界基本細部多角点等を与点として行うものとする。
2
放射法による山村境界基本細部測量は、山村境界基本三角測量、山村境界基本多角測量又は多角
測量法による山村境界基本細部測量に引き続き行う場合を除き、あらかじめ与点の点検測量を行うものとする。
3
放射法による山村境界基本細部測量において水平角の観測を行う場合は、与点と同一の多角路線に属する相隣る山村境界基本細部多角点等を基準方向とし、与点から山村境界基本細部点までの距離は、与点から基準方向とした山村境界基本細部多角点等までの距離より短くするものとする。
4
放射法による山村境界基本細部点の次数は、山村境界基本多角点等を基礎として二次までとする。
第37条
【標識の設置】
山村境界基本細部点には、標識を設置するものとする。ただし、既設の工作物を利用することを妨げない。
第38条
【観測、測定及び計算】
1
山村境界基本細部測量における観測及び測定は、地図及び簿冊に令で定める限度以上の誤差が生じないように行うものとする。
2
山村境界基本細部点の座標値は、
前項の観測及び測定の結果に基づいて求めるものとし、その結果は、山村境界基本細部点網図及び山村境界基本細部点成果簿に取りまとめるものとする。
第39条
【山村境界基本調査点測量の方法】
山村境界基本調査点測量(山村境界基本調査補助点の測量を含む。以下同じ。)は、多角
測量法、放射法又は単点観測法により行うものとする。
第40条
【山村境界基本調査点測量の基礎とする点】
山村境界基本調査点測量は、単点観測法によるものを除き、山村境界基本多角点等及び山村境界基本細部点(以下「山村境界基本細部点等」という。)を基礎として行うものとする。
第41条
【多角測量法による山村境界基本調査点測量】
多角
測量法による山村境界基本調査点測量における多角路線の選定に当たっては、山村境界基本細部点等を結合する多角網又は単路線を形成するよう努めなければならない。ただし、見通し障害等により真にやむを得ない場合には、閉合路線を形成することができる。
第42条
【放射法による山村境界基本調査点測量】
1
放射法による山村境界基本調査点測量は、山村境界基本細部点等を与点として行うものとする。
2
放射法による山村境界基本調査点測量は、山村境界基本三角測量、山村境界基本多角測量又は山村境界基本細部測量に引き続き行う場合を除き、あらかじめ与点の点検測量を行うものとする。
3
放射法による山村境界基本調査点測量において水平角の観測を行う場合は、与点と同一の多角路線に属する相隣る山村境界基本細部点等を基準方向とし、与点から山村境界基本調査点の距離は、基準方向とした山村境界基本細部点等までの距離より短くするものとする。
第43条
【単点観測法による山村境界基本調査点測量】
1
観測に使用する測位衛星の数は五以上とし、受信高度角は十五度以上とする。
2
単点観測法により観測された山村境界基本調査点の座標値は、周辺の山村境界基本細部点等との整合性の確保を図るよう努めなければならない。
第44条
【次数の制限】
山村境界基本調査点測量(単点観測法によるものを除く。)における山村境界基本調査点の次数は、山村境界基本細部点等を基礎として、多角
測量法にあっては二次まで、その他の方法にあっては一次までとし、基準点等(補助基準点を除く。)又は山村境界基本三角点を基礎として求めた山村境界基本調査点の通算次数は、五次までとする。
第45条
【山村境界基本調査点の明示】
山村境界基本調査点測量は、現地に測量上の位置を明示して行うものとする。ただし、既設の工作物を利用する場合でその位置が明示されているものについてはこの限りでない。
第46条
【観測、測定及び計算】
1
山村境界基本調査点測量における観測及び測定は、
令別表第四に定める誤差の限度に準じて、当該誤差の限度以上の誤差が生じないように行うものとする。
2
山村境界基本調査点の座標値は、
前項の観測及び測定の結果に基づいて求めるものとし、その結果は、山村境界基本調査点成果簿に取りまとめるものとする。
3
山村境界基本調査点の位置及び番号は、山村境界基本調査点測量図に取りまとめるものとする。
4
山村境界基本調査点測量図には、
前項に規定するもののほか、山村境界基本調査基準点の位置及び番号並びに相隣る山村境界基本調査点を結ぶ線を記載するものとする。
5
山村境界基本調査点測量図の縮尺は、二千五百分の一又は五千分の一とする。
6
山村境界基本調査点測量図の一部において当該山村境界基本調査点測量図の縮尺では山村境界基本調査点の状況を所要の精度をもって表示することが困難である場合には、当該部分について所要の精度をもって表示するに足りる縮尺の明細図を別に作成することができる。
第5章
山村境界基本調査図及び山村境界基本調査簿の作成
第47条
【山村境界基本調査図原図及び山村境界基本調査簿案】
1
山村境界基本測量を終了したときは、山村境界基本調査図原図及び山村境界基本調査簿案を作成するものとする。
2
前項の山村境界基本調査図原図は、現地調査図、山村境界基本三角点成果簿、山村境界基本多角点成果簿、山村境界基本細部点成果簿、山村境界基本調査点成果簿及び山村境界基本調査点測量図に基づいて作成するものとする。
3
山村境界基本調査図原図の一部において当該山村境界基本調査図原図の縮尺では山村境界基本調査点の状況を所要の精度をもって表示することが困難である場合には、当該部分について所要の精度をもって表示するに足りる縮尺の明細図を別に作成することができる。
4
第1項の山村境界基本調査簿案は、山村境界基本三角点成果簿、山村境界基本多角点成果簿及び山村境界基本細部点成果簿に基づいて作成するものとする。
第48条
【山村境界基本調査図及び山村境界基本調査簿】
前条において作成した山村境界基本調査図原図及び山村境界基本調査簿案について、
法第17条の規定による手続が終了したときは、それぞれを山村境界基本調査の成果としての山村境界基本調査図及び山村境界基本調査簿とする。