• 鉄道営業法

鉄道営業法

平成18年3月31日 改正
第1章
鉄道の設備及運送
第1条
鉄道の建設、車両器具の構造及運転は国土交通省令を以て定むる規程に依るへし
第2条
本法其の他特別の法令に規定するものの外鉄道運送に関する特別の事項は鉄道運輸規程の定むる所に依る
鉄道運輸規程は国土交通省令を以て之を定む
第3条
運賃其の他の運送条件は関係停車場に公告したる後に非されは之を実施することを得す
運賃其の他の運送条件の加重を為さむとする場合に於ては前項の公告は七日以上之を為すことを要す
第4条
伝染病患者は国土交通大臣の定むる規程に依るに非されは乗車せしむることを得す
附添人なき重病者の乗車は之を拒絶することを得
参照条文
第5条
火薬其の他爆発質危険品は鉄道か其の運送取扱の公告を為したる場合の外其の運送を拒絶することを得
第6条
鉄道は左の事項の具備したる場合に於ては貨物の運送を拒絶することを得す
荷送人か法令其の他鉄道運送に関する規定を遵守するとき
貨物の運送に付特別なる責務の条件を荷送人より求めさるとき
運送か法令の規定又は公の秩序若は善良の風俗に反せさるとき
貨物か成規に依り其の線路に於ける運送に適するとき
天災事変其の他已むを得さる事由に基因したる運送上の支障なきとき
前項の規定は旅客運送に之を準用す
第7条
運送に付特別の設備を要する貨物に関しては鉄道は其の設備ある場合に限り之を引受くるの義務を負ふ
参照条文
第8条
鉄道は直に運送を為し得へき場合に限り貨物を受取るへき義務を負ふ
第9条
貨物は運送の為受取りたる順序に依り之を運送することを要す但し運輸上正当の事由若は公益上の必要あるときは此の限に在らす
第10条
鉄道は貨物の種類及性質を明告すへきことを荷送人に求むることを得若し其の種類及性質に付疑あるときは荷送人の立会を以て之を点検することを得
点検に因り貨物の種類及性質か荷送人の明告したる所と異ならさる場合に限り鉄道は点検に関する費用を負担し且之か為生したる損害を賠償するの責に任す
前二項の規定は火薬其の他爆発質危険品を成規に反し手荷物中に収納したる疑ある場合に之を準用す
参照条文
第11条
旅客又は荷送人は手荷物又は運送品託送の際鉄道運輸規程の定むる所に依り表示料を支払ひ要償額を表示することを得
前項の規定に依る表示額か託送手荷物又は運送品の引渡期間末日に於ける到達地の価格及引渡なき場合に於て旅客又は荷送人か受くへき其の他の損害の合計額を超ゆるときは其の超過部分に付ては其の表示は之を無効とす
第11条の2
要償額の表示ある託送手荷物又は運送品の滅失又は毀損に因る損害に付賠償の責に任する場合に於ては鉄道は表示額を限度として一切の損害を賠償する責に任す此の場合に於て鉄道は損害額か左の額に達せさることを証明するに非されは左の額の支払を免るることを得す
全部滅失の場合に於ては表示額
一部滅失又は毀損の場合に於ては引渡ありたる日(延著したるときは引渡期間末日)に於ける到達地の価格に依り計算したる価格の減少割合を表示額に乗したる額
託送手荷物、高価品又は動物に付ては託送の際旅客又は荷送人か要償額の表示を為ささる場合に於ては鉄道は鉄道運輸規程の定むる最高金額を超え其の滅失又は毀損に因る損害を賠償する責に任せす
前二項の賠償額の制限は託送手荷物又は運送品か鉄道の悪意又は重大なる過失に因りて滅失又は毀損したる場合には之を適用せす
参照条文
第12条
引渡期間満了後託送手荷物又は運送品の引渡を為したる場合に於ては延著とす
引渡期間は鉄道運輸規程の定むる所に依る
延著に因る損害に付賠償の責に任する場合に於ては鉄道は左の額を限度として鉄道運輸規程の定むる所に依り一切の損害を賠償する責に任す
要償額の表示あるときは其の表示額
要償額の表示なきときは其の運賃額
前項の賠償額の制限は託送手荷物又は運送品か鉄道の悪意又は重大なる過失に因りて延著したる場合には之を適用せす
参照条文
第13条
鉄道か引渡期間満了後一月を経過するも託送手荷物又は運送品の引渡を為ささる場合に於ては旅客又は貨主は滅失に因る損害賠償を請求することを得但し鉄道の責に帰すへからさる事由に因り引渡を為ささる場合は此の限に在らす
前項の規定に依り賠償を受けたる者は其の請求の際留保を為したるときは到達の通知を受けたる後一月内に限り賠償金を返還して託送手荷物又は運送品の引渡を受くることを得
第13条の2
荷受人及荷送人を確知すること能はさる運送品は国土交通大臣の定むる所に依り公告を為したる後六月内に其の権利者を知る能はさる場合に於ては鉄道其の所有権を取得す託送手荷物及一時預り品に付亦同し
第13条の3
鉄道か其の責に帰すへからさる事由に因り貨物の引渡を為すこと能はさるときは貨主の費用を以て之を倉庫営業者に寄託することを得
貨物を寄託したるときは鉄道は遅滞なく荷送人及荷受人に対し其の通知を発することを要す
貨物を寄託したる場合に於て倉庫証券を作製せしめたるときは其の証券の交付を以て貨物の引渡に代ふることを得
鉄道は第1項の費用の弁済を受くる迄倉庫証券を留置することを得
前四項の規定は貨物の引取期間内に其の引取なき場合に之を準用す
参照条文
第14条
運賃償還の債権は一年間之を行はさるときは時効に因りて消滅す
第15条
旅客は営業上別段の定ある場合の外運賃を支払ひ乗車券を受くるに非されは乗車することを得す
乗車券を有する者は列車中座席の存在する場合に限り乗車することを得
参照条文
第16条
旅客か乗車前旅行を止めたるときは鉄道運輸規程の定むる所に依り運賃の払戻を請求することを得
乗車後旅行を中止したるときは運賃の払戻を請求することを得す
第17条
天災事変其の他已むを得さる事由に因り運送に著手し又は之を継続すること能はさるに至りたるときは旅客及荷送人は契約の解除を為すことを得此の場合に於て鉄道は既に為したる運送の割合に応し運賃其の他の費用を請求することを得
第18条
旅客は鉄道係員の請求ありたるときは何時にても乗車券を呈示し検査を受くへし
有効の乗車券を所持せす又は乗車券の検査を拒み又は取集の際之を渡ささる者は鉄道運輸規程の定むる所に依り割増賃金を支払ふへし
前項の場合に於て乗車停車場不明なるときは其の列車の出発停車場より運賃を計算す乗車等級不明なるときは其の列車の最優等級に依り運賃を計算す
第18条の2
第3条第6条乃至第13条第14条第15条第18条の規定は鉄道と通し運送を為す場合に於ける船舶、軌道、自動車又は索道に依る運送に付之を準用す
第18条の3
鉄道と船舶と通し運送を為す場合の運送に付ては請求に因り荷送人は全運送に対し運送状を交付することを要す
前項の場合に於ては荷送人の請求に因り全運送に対し貨物引換証を交付することを要す
前二項の運送状又は貨物引換証に付ては鉄道運送に於ける運送状又は貨物引換証に関する規定を準用す
第18条の4
前二条の規定の適用を受くへき船舶に依る運送の区間及其の運送業者は国土交通省令を以て之を定む
第2章
鉄道係員
第19条
鉄道係員の職制は国土交通省令を以て之を定む
参照条文
第20条
鉄道事業者は鉄道係員の服務規程を定むべし
第21条
国土交通大臣は鉄道係員たるに要する資格を定むることを得
第22条
旅客及公衆に対する職務を行ふ鉄道係員は一定の制服を著すへし
第23条
削除
第24条
鉄道係員職務取扱中旅客若は公衆に対し失行ありたるときは三十円以下の罰金又は科料に処す
第25条
鉄道係員職務上の義務に違背し又は職務を怠り旅客若は公衆に危害を醸すの虞ある所為ありたるときは三月以下の懲役又は五百円以下の罰金に処す
第26条
鉄道係員旅客を強ひて定員を超え車中に乗込ましめたるときは三十円以下の罰金又は科料に処す
第27条
削除
第28条
鉄道係員道路踏切の開通を怠り又は故なく車両其の他の器具を踏切に留置し因て往来を妨害したるときは三十円以下の罰金又は科料に処す
第3章
旅客及公衆
第29条
鉄道係員の許諾を受けすして左の所為を為したる者は五十円以下の罰金又は科料に処す
有効の乗車券なくして乗車したるとき
乗車券に指示したるものより優等の車に乗りたるとき
乗車券に指示したる停車場に於て下車せさるとき
第30条
託送手荷物又は運送品の種類又は性質を詐称したる者は五十円以下の罰金又は科料に処す記名乗車券を買求むる際氏名を詐称したる者亦同し
第30条の2
前二条の所為は鉄道の告訴あるに非ざれば公訴を提起することを得ず
第31条
鉄道運送に関する法令に背き火薬類其の他爆発質危険品を託送し又は車中に携帯したる者は五十円以下の罰金又は科料に処す
第32条
列車警報機を濫用したる者は五十円以下の罰金又は科料に処す
第33条
旅客左の所為を為したるときは三十円以下の罰金又は科料に処す
列車運転中乗降したるとき
列車運転中車両の側面に在る車扉を開きたるとき
列車中旅客乗用に供せさる箇所に乗りたるとき
参照条文
第34条
制止を肯せすして左の所為を為したる者は十円以下の科料に処す
停車場其の他鉄道地内吸煙禁止の場所及吸煙禁止の車内に於て吸煙したるとき
婦人の為に設けたる待合室及車室等に男子妄に立入りたるとき
参照条文
第35条
鉄道係員の許諾を受けすして車内、停車場其の他鉄道地内に於て旅客又は公衆に対し寄附を請ひ、物品の購買を求め、物品を配付し其の他演説勧誘等の所為を為したる者は科料に処す
参照条文
第36条
車両、停車場其の他鉄道地内の標識掲示を改竄、毀棄、撤去し又は灯火を滅し又は其の用を失はしめたる者は五十円以下の罰金又は科料に処す
信号機を改竄、毀棄、撤去したる者は三年以下の懲役に処す
第37条
停車場其の他鉄道地内に妄に立入りたる者は十円以下の科料に処す
参照条文
第38条
暴行脅迫を以て鉄道係員の職務の執行を妨害したる者は一年以下の懲役に処す
第39条
車内、停車場其の他鉄道地内に於て発砲したる者は三十円以下の罰金又は科料に処す
第40条
列車に向て瓦石類を投擲したる者は科料に処す
第41条
第4条の規定に違反し伝染病患者を乗車せしめたる者は百円以下の罰金又は科料に処す伝染病患者其の病症を隠蔽して乗車したるとき亦同し
前項の場合に於て途中下車せしめたるときと雖既に支払ひたる運賃は之を還付せす
第42条
左の場合に於て鉄道係員は旅客及公衆を車外又は鉄道地外に退去せしむることを得
有効の乗車券を所持せす又は検査を拒み運賃の支払を肯せさるとき
第33条第3号の罪を犯し鉄道係員の制止を肯せさるとき又は第34条の罪を犯したるとき
第35条第37条の罪を犯したるとき
其の他車内に於ける秩序を紊るの所為ありたるとき
前項の場合に於て既に支払ひたる運賃は之を還付せす
第43条
削除
附則
第44条
削除
第45条
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
鉄道略則、鉄道犯罪罰例、明治十六年七月第二十三号布告は之を廃止す
附則
大正8年4月10日
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
附則
昭和4年4月1日
本法施行の期日は勅令を以て之を定む
附則
昭和46年6月1日
(施行期日等)
この法律は、公布の日から施行する。
附則
昭和61年12月4日
第1条
(施行期日)
この法律は、昭和六十二年四月一日から施行する。
附則
平成6年11月11日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。
第20条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定)の施行前にした行為並びに附則第二条、第四条、第七条第二項、第八条、第十一条、第十二条第二項、第十三条及び第十五条第四項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における第一条、第四条、第八条、第九条、第十三条、第二十七条、第二十八条及び第三十条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第21条
(政令への委任)
附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要となる経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則
平成7年5月12日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則
平成11年12月22日
第1条
(施行期日)
この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。
附則
平成18年3月31日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第6条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定)の施行前にした行為及び附則第四条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第7条
(政令への委任)
附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第8条
(検討)
政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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