特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法
平成24年8月3日 制定
第2条
【定義】
1
この法律において「特定多国籍企業」とは、次の各号のいずれにも該当する法人をいう。
①
法人の本店又は主たる事務所が所在する国又は地域(以下この号及び第4項において「国等」という。)以外の国等に当該法人の子法人等(当該法人がその総株主等の議決権(総株主又は総出資者の議決権をいう。以下同じ。)の過半数を保有していることその他の当該法人と密接な関係を有する法人として主務省令で定める法人をいう。)を設立している法人であって、国際的規模で事業活動を行っていると認められるものとして主務省令で定める法人
3
この法律において「研究開発事業」とは、技術革新の進展に即応した高度な産業技術(以下この項において「高度技術」という。)の研究開発を行う事業(当該高度技術を用いて製品又は役務を開発する事業を含む。)のうち、新たな事業の創出及び就業の機会の増大をもたらすことが見込まれるものとして主務省令で定めるものをいう。
4
この法律において「統括事業」とは、二以上の法人(これらの法人の本店又は主たる事務所が所在する国等の数が二以上であるものに限る。)のそれぞれの総株主等の議決権の過半数を取得し、又は保有することにより、当該二以上の法人が行う事業の方針を策定するとともに、当該二以上の法人に対する出資その他の当該方針の実施を確保する事業その他の当該二以上の法人が行う事業を統括する事業のうち、新たな事業の創出及び就業の機会の増大をもたらすことが見込まれるものとして主務省令で定めるものをいう。
第4条
【研究開発事業計画の認定】
1
我が国において新たに研究開発事業を行うため、当該研究開発事業を行う国内関係会社を設立しようとする特定多国籍企業(その子法人等(当該特定多国籍企業がその総株主等の議決権の過半数を保有していることその他の当該特定多国籍企業と密接な関係を有する法人として主務省令で定める法人をいう。第6条第1項において同じ。)が既に我が国において当該研究開発事業を行っている場合における当該特定多国籍企業を除く。)は、当該研究開発事業に関する計画(以下「研究開発事業計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その研究開発事業計画が適当である旨の認定を受けることができる。
第5条
【研究開発事業計画の変更等】
1
前条第1項の認定を受けた者(当該認定に係る研究開発事業計画に従って設立された国内関係会社を含む。以下「認定研究開発事業者」という。)は、当該認定に係る研究開発事業計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。
3
主務大臣は、認定研究開発事業計画が前条第3項各号のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定研究開発事業者に対して、当該認定研究開発事業計画の変更を指示し、又はその認定を取り消すことができる。
第6条
【統括事業計画の認定】
1
我が国において新たに統括事業を行うため、当該統括事業を行う国内関係会社を設立しようとする特定多国籍企業(その子法人等が既に我が国において当該統括事業を行っている場合における当該特定多国籍企業を除く。)は、当該統括事業に関する計画(以下「統括事業計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その統括事業計画が適当である旨の認定を受けることができる。
第7条
【統括事業計画の変更等】
1
前条第1項の認定を受けた者(当該認定に係る統括事業計画に従って設立された国内関係会社を含む。以下「認定統括事業者」という。)は、当該認定に係る統括事業計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。
第8条
【外国為替及び外国貿易法の特例】
外国為替及び外国貿易法第26条第1項に規定する外国投資家が認定研究開発事業計画又は認定統括事業計画に従って行おうとする国内関係会社の株式又は持分の取得について同法第27条第1項の規定による届出をした場合における同条第2項の規定の適用については、同項中「三十日」とあるのは、「二週間」とする。
第9条
【中小企業投資育成株式会社法の特例】
1
中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法第5条第1項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
①
認定研究開発事業者又は認定統括事業者である中小企業者が認定研究開発事業計画又は認定統括事業計画に従って研究開発事業又は統括事業を行うために資本金の額が三億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有
②
認定研究開発事業者又は認定統括事業者である中小企業者のうち資本金の額が三億円を超える株式会社が認定研究開発事業計画又は認定統括事業計画に従って研究開発事業又は統括事業を行うために必要とする資金の調達を図るために発行する株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等(中小企業投資育成株式会社法第5条第1項第2号に規定する新株予約権付社債等をいう。以下この号及び次項において同じ。)の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有
2
前項第1号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第2号の規定による株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第5条第1項第1号及び第2号の事業とみなす。
第10条
【特許料等の特例】
1
特許庁長官は、認定研究開発事業計画に従って行われる研究開発事業の成果に係る特許発明(当該認定研究開発事業計画における研究開発事業の実施期間の終了日から起算して二年以内に出願されたものに限る。)について、特許法第107条第1項の規定による第一年から第十年までの各年分の特許料を納付すべき者が次の各号のいずれにも該当する者であるときは、政令で定めるところにより、特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
2
特許庁長官は、認定研究開発事業計画に従って行われる研究開発事業の成果に係る発明(当該認定研究開発事業計画における研究開発事業の実施期間の終了日から起算して二年以内に出願されたものに限る。)に関する自己の特許出願について、その出願審査の請求をする者が次の各号のいずれにも該当する者であるときは、政令で定めるところにより、特許法第195条第2項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。
第11条
【課税の特例】
2
認定研究開発事業者又は認定統括事業者の取締役、執行役又は使用人である個人が、外国法人(当該認定研究開発事業者又は認定統括事業者を当該外国法人の子会社等(当該外国法人がその総株主等の議決権の過半数を保有していることその他の当該外国法人と密接な関係を有する国内の会社として主務省令で定める会社をいう。)とするものに限る。以下この項において同じ。)から与えられた新株予約権の行使により当該外国法人の株式の取得をした場合における当該株式の取得に係る経済的利益については、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。