犯罪収益に係る保全手続等に関する規則
平成20年11月19日 改正
第1条
【趣旨】
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「法」という。)による被告人以外の者の財産等の没収に関する手続、没収保全及び追徴保全に関する手続並びに没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続については、法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
第6条
【没収保全に関する処分をすべき裁判官】
没収保全に関する処分は、公訴の提起があった日から第一回の公判期日までは、公訴を受けた裁判所(地方裁判所の支部にあっては、その支部。以下この条において同じ。)の裁判官がしなければならない。ただし、公訴に係る事件の審判に関与すべき裁判官は、急速を要する場合及び当該公訴を受けた裁判所に処分をすべき他の裁判官がない場合を除き、することができない。
⊟
参照条文
第10条
【債権の没収保全に係る債務者の供託の事情届の方式等】
1
法第30条第4項において準用する民事執行法第156条第3項又は第11条第8項の規定による届出(以下この条において「事情届」という。)については、民事執行規則第138条第1項及び第2項の規定を準用する。この場合において、同条第1項中「差押債権者及び債務者」とあるのは、「被告人又は被疑者及び債権者」と読み替えるものとする。
3
前項の裁判所書記官は、事情届があった場合において、没収の裁判が確定したとき、没収保全の全部が効力を失ったとき又は代替金が納付されたときは供託書正本を、没収保全の一部が効力を失ったときは供託書正本の保管を証する書面を検察官に送付しなければならない。
⊟
参照条文
第11条
【振替社債等の没収保全】
1
社債、株式等の振替に関する法律第2条第1項に規定する社債等であって振替機関(同条第2項に規定する振替機関をいう。第6項において同じ。)が取り扱うもの(以下この条において「振替社債等」という。)の没収保全については、この条に定めるもののほか、債権の没収保全の例による。
2
振替社債等の没収保全は、振替社債等の権利者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。以下この条において同じ。)に対し振替若しくは抹消の申請又は取立てその他の処分を禁止し、並びに振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律第2条第5項に規定する振替機関等であって振替社債等の権利者が口座の開設を受けているものをいう。以下この条において同じ。)に対し振替及び抹消を禁止する旨の没収保全命令を発して行う。
5
振替債(社債、株式等の振替に関する法律第278条第1項に規定する振替債をいう。第7項において同じ。)、振替新株予約権付社債(同法第192条第1項に規定する振替新株予約権付社債をいう。以下この条において同じ。)であって社債の償還済みのものでないもの、振替転換特定社債(同法第250条に規定する振替転換特定社債をいう。第7項において同じ。)又は振替新優先出資引受権付特定社債(同法第253条に規定する振替新優先出資引受権付特定社債をいう。同項において同じ。)であって社債の償還済みのものでないものの没収保全命令の謄本の送達を受けた振替機関等は、直ちに、発行者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
③
没収保全命令を受けた振替社債等の銘柄(社債、株式等の振替に関する法律第68条第3項第2号(同法第113条、第115条、第117条、第118条、第120条、第121条、第122条、第124条及び第127条において準用する場合を含む。)、第91条第3項第2号又は第194条第3項第2号(同法第251条第1項及び第254条第1項において準用する場合を含む。)に規定する銘柄をいう。)及び額又は数
7
発行者は、没収保全に係る振替債等(振替債、振替転換特定社債であって転換を請求することができなくなったもの又は振替新優先出資引受権付特定社債であって新優先出資の引受権が消滅したものをいう。以下この条において同じ。)の全額又は没収保全に係る振替新株予約権付社債(新株予約権の行使により社債が消滅するものその他の新株の取得により社債を失うものについては、新株予約権が消滅したものに限る。)についての社債の全額に相当する金銭をその履行地の供託所に供託することができる。
9
没収保全がされた振替債等又は振替新株予約権付社債について第7項又は次項において準用する法第36条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定による供託があったことを証する文書が提出されたときは、検察事務官は、検察官が抹消の申請を指揮する書面に基づいて、当該供託に係る振替債等又は振替新株予約権付社債について、社債、株式等の振替に関する法律第71条第1項(同法第113条、第115条、第117条、第118条、第120条、第121条、第122条、第124条及び第127条において準用する場合を含む。)、第96条第1項又は第199条第1項(同法第251条第1項及び第254条第1項において準用する場合を含む。)の申請をしなければならない。
10
法第36条の規定は、振替債等又は振替新株予約権付社債について没収保全と強制執行による差押えが競合する場合について準用する。この場合において、同条第1項中「差押命令又は差押処分の送達を受けた」とあるのは「差押えがされた」と、「その債権」とあるのは「当該振替債等の全額又は当該振替新株予約権付社債についての社債」と、同条第3項中「差押命令を発した執行裁判所又は差押処分をした裁判所書記官」とあり、及び同条第4項中「執行裁判所(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「執行裁判所」と、同条第3項中「金銭債権」とあるのは「振替債等の額又は振替新株予約権付社債についての社債」と読み替えるものとする。
第11条の2
【電子記録債権の没収保全】
2
電子記録債権の没収保全は、債権者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。以下この条において同じ。)に対し取立てその他の処分又は電子記録(電子記録債権法第2条第1項に規定する電子記録をいう。以下この条において同じ。)の請求を禁止し、債務者に対し債権者への弁済を禁止し、及び当該電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関(同条第2項に規定する電子債権記録機関をいう。以下この条において同じ。)に対し電子記録を禁止する旨の没収保全命令を発して行う。
7
電子債権記録機関は、没収保全命令に抵触する電子記録がされているときは、当該電子記録の訂正をしなければならない。ただし、電子記録上の利害関係を有する第三者がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
10
没収保全に係る電子記録債権について法第30条第4項において準用する民事執行法第156条第1項又は法第36条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定による供託があったことを証する文書が提出されたときは、検察事務官は、検察官が支払等記録の嘱託を指揮する書面に基づいて、当該供託をしたことによる支払等記録を嘱託しなければならない。
12
第2項の没収保全命令が発せられている場合において、電子記録債権法第77条第1項の規定により没収保全に係る電子記録債権が記録されている債権記録(同法第2条第4項に規定する債権記録をいう。次項において同じ。)がその効力を失ったときは、既にされた没収保全に関する処分その他の行為は、当該電子記録債権の内容をその権利の内容とする指名債権に対する債権の没収保全に関する処分その他の行為として効力を有する。
13
債務者に没収保全命令の謄本が送達されている場合において、電子債権記録機関に没収保全命令の謄本が送達されていないときは、前項に規定する債権の没収保全の効力は、電子記録債権法第77条第1項の規定により没収保全に係る電子記録債権が記録されている債権記録がその効力を失った時に生ずる。
⊟
参照条文
第13条
【没収保全財産に対し強制執行による差押え等がされた場合の通知】
3
第1項本文に規定する場合において、没収の裁判が確定したとき、没収保全が効力を失ったとき、又は代替金が納付されたときは、検察官は、執行裁判所(動産にあっては執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)にその旨を通知しなければならない。
第14条
【没収保全がされている金銭債権に対し強制執行による差押えがされた場合の供託の事情届の方式等】
3
競合時の事情届があったときは、没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官は、検察官及び執行裁判所(差押処分がされた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官。以下この条において同じ。)にその旨を通知しなければならない。
4
没収保全が金銭債権の一部に係る場合においては、当該没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官は、前項の規定により執行裁判所に通知するときに、併せて供託書正本の保管を証する書面を送付しなければならない。
第16条
【強制執行による差押え等がされている財産につき没収保全がされた場合の通知】
3
第1項本文に規定する場合において、強制執行の申立てが取り下げられたとき、強制執行の手続を取り消す決定が効力を生じたとき、又は強制執行の手続により財産が売却されたときは、執行裁判所の裁判所書記官(動産にあっては執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)は、検察官にその旨を通知しなければならない。民事執行法第143条に規定する債権(同法第167条第1項の規定により債権執行の例によるものとされる同項に規定するその他の財産権を含む。)について、同法第155条第3項(同法第167条の14において準用する場合を含む。)の規定による届出があったとき、同法第166条第2項において準用する同法第84条の規定による配当若しくは弁済金の交付若しくは同法第167条の11第3項の規定による弁済金の交付が実施されたとき、又は同法第159条第1項の転付命令若しくは同法第161条第1項の譲渡命令が確定したときも、同様とする。
第18条
【没収保全と担保権の実行による差押えとが競合する場合の通知】
第13条第1項本文及び第3項並びに第16条第3項の規定は没収保全がされている財産に対し担保権の実行による差押えがされた場合について、同条(第1項ただし書を除く。)の規定は担保権の実行による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合について準用する。この場合において、第13条第1項本文及び第3項中「執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあり、並びに第16条第1項本文及び第3項中「執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあるのは「、執行官」と、同項中「弁済金の交付若しくは同法第167条の11第3項の規定による弁済金の交付」とあるのは「弁済金の交付」と、当該担保権について附帯保全がされているときは、第13条第3項及び第16条第2項中「没収保全」とあるのは「没収保全若しくは附帯保全」と読み替えるものとする。
第19条
【没収保全と仮差押えの執行又は滞納処分による差押えとが競合する場合の通知等】
2
第14条の規定は没収保全がされている金銭債権に対し滞納処分による差押え又は仮差押えの執行がされた場合における当該金銭債権の債務者の供託について、第15条の規定は仮差押えの執行がされている金銭債権につき没収保全がされた場合における当該金銭債権の債務者の供託について準用する。この場合において、第14条第1項第3号中「強制執行による差押命令又は差押処分」とあるのは「滞納処分による差押えをした徴収職員等(徴収職員、徴税吏員その他滞納処分を執行する権限を有する者をいう。以下同じ。)の属する庁その他の事務所の名称及び所在並びに滞納者の氏名又は仮差押えの執行」と、同条第3項中「執行裁判所(差押処分がされた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官。以下この条において同じ。)」とあり、並びに同条第4項及び第6項中「執行裁判所」とあるのは「徴収職員等又は保全執行裁判所」と、第15条中「執行裁判所の裁判所書記官(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「保全執行裁判所の裁判所書記官」と、同条第1項中「強制執行による差押え」とあるのは「仮差押えの執行」と読み替えるものとする。
3
第16条の規定は仮差押えの執行がされている財産について没収保全命令が発せられた場合について、同条第1項及び第2項の規定は滞納処分による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合について準用する。この場合において、同条第1項中「執行裁判所(動産にあっては執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは、仮差押えの執行がされている財産について没収保全命令が発せられた場合にあっては「保全執行裁判所(動産にあっては、執行官)」と、滞納処分による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合にあっては「徴収職員等」と、同条第3項中「執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあるのは「、執行官」と読み替えるものとする。
第26条
【共助要請に係る没収保全等の請求の方式】
1
法第66条第1項前段の規定による請求(以下この条において「共助没収保全請求」という。)は、第24条第1項第1号から第3号まで及び第5号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
③
法第22条第1項に規定する事由。ただし、法第59条第2項の規定による要請にあっては、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下「麻薬特例法」という。)第19条第1項に規定する事由
2
法第67条第1項の規定による請求(以下この条において「共助追徴保全請求」という。)は、第24条第1項第1号及び第2号並びに同条第2項第3号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
附則
平成20年11月19日