PTA・青少年教育団体共済法
平成24年8月22日 改正
第1条
【目的】
この法律は、PTA及び青少年教育団体の相互扶助の精神に基づき、その主催する活動における災害等についてこれらの団体による共済制度を確立し、もって青少年の健全な育成と福祉の増進に資することを目的とする。
第2条
【定義】
1
この法律において「PTA」とは、学校(
学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く。)をいう。以下同じ。)に在籍する幼児、児童、生徒若しくは学生(以下「児童生徒等」という。)の保護者(
同法第16条に規定する保護者をいい、
同条に規定する保護者のない場合における里親(
児童福祉法第27条第1項第3号の規定により委託を受けた里親をいう。)その他の文部科学省令で定める者を含む。以下同じ。)及び当該学校の教職員で構成される団体又はその連合体をいう。
2
この法律において「青少年教育団体」とは、青少年(おおむね十八歳以下の者をいう。以下同じ。)の体験活動その他青少年の健全な育成を目的とする活動を行う社会教育関係団体(
社会教育法第10条に規定する社会教育関係団体をいう。)又はその連合体をいう。
3
この法律において「共済事業」とは、児童生徒等、青少年、保護者、教職員その他の者の災害(負傷、疾病、障害又は死亡等をいう。以下同じ。)に関し、共済掛金の支払を受け、共済金を交付する事業をいう。
4
この法律において「共済団体」とは、
次条の認可を受けて共済事業を行う者をいう。
第3条
【認可】
PTAであって一般社団法人若しくは一般財団法人であるもの若しくは青少年教育団体であって一般社団法人、一般財団法人若しくは
特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(以下「一般社団法人等」という。)であるもの又は児童生徒等若しくは青少年の健康の保持増進に関する事業を行うことを目的とする一般社団法人等であってPTA若しくは青少年教育団体(以下「PTA等」という。)と人的関係若しくは財産の拠出に係る関係において密接な関係を有するものとして文部科学省令で定めるもの(以下「特定関係団体」という。)は、行政庁の認可を受けて、共済事業を行うことができる。
第4条
【共済事業の種類】
1
前条の規定によりPTA又はこれに係る特定関係団体が行うことができる共済事業は、次に掲げるものとする。
①
PTA又はこれに係る特定関係団体が主催する活動における児童生徒等、保護者、教職員その他文部科学省令で定める者の災害に係る共済事業
②
学校の管理下における当該学校に在籍する児童生徒等の災害に係る共済事業
2
前条の規定により青少年教育団体又はこれに係る特定関係団体が行うことができる共済事業は、これらの団体が主催する活動における青少年、保護者その他これらの団体の活動に携わる者として文部科学省令で定める者の災害に係るものとする。
3
第1項の共済事業を行うPTA又はこれに係る特定関係団体は、当該共済事業のほか、次に掲げる共済事業を行うことができる。
①
学校の管理下以外における児童生徒等の災害に係る共済事業
②
学校が主催する活動における保護者及び教職員の災害に係る共済事業
4
第1項第2号の共済事業を行うPTA又はこれに係る特定関係団体は、
同項及び
前項の共済事業のほか、
第1号の共済事業又はこれに併せて
第2号若しくは
第3号の共済事業を行うことができる。
②
隣接保育所等の管理下以外における児童の災害に係る共済事業
③
隣接保育所等が主催する活動における保護者及び職員の災害に係る共済事業
第5条
【共済事業の内容】
1
共済事業においては、共済契約者の保護を図り、その健全かつ適切な運営を確保するため、共済契約は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
①
共済掛金の額が文部科学省令で定める額を超えないこと。
②
共済金の額が文部科学省令で定める額を超えないこと。
2
共済事業においては、一事業年度において支払を受ける共済掛金の総額は、文部科学省令で定める基準を超えてはならない。
第6条
【共済規程】
1
PTA等又は特定関係団体は、
第3条の認可を受けようとするときは、共済事業の種類、共済事業を行う区域その他共済事業の実施方法、共済契約、共済掛金及び準備金に関する事項その他の文部科学省令で定める事項を記載した共済規程を定め、行政庁に提出しなければならない。
2
共済規程の変更(軽微な事項その他の文部科学省令で定める事項に係るものを除く。)は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
3
共済団体は、
前項の文部科学省令で定める事項に係る共済規程の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。
4
共済規程の設定、変更及び廃止は、社員総会又は評議員会の決議を経なければならない。
5
共済規程の変更のうち、軽微な事項その他の文部科学省令で定める事項に係るものについては、
前項の規定にかかわらず、定款で、社員総会又は評議員会の決議を経ることを要しないものとすることができる。この場合においては、社員総会又は評議員会の決議を経ることを要しない事項の範囲及び当該変更の内容の周知の方法を定款で定めなければならない。
第7条
【認可審査基準】
行政庁は、
第3条の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
①
当該申請をした者(
次号及び
第3号において「申請者」という。)が、共済事業を健全かつ適切に遂行するに足りる財産的基礎を有する者であること。
②
申請者が、その人的構成等に照らして、共済事業を的確かつ公正に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
③
申請者が、役員として、監事一人以上を置く者であること。
④
共済規程に記載された事項が、
第5条の規定に適合しているほか、次に掲げる基準に適合するものであること。
イ
共済契約の内容が、共済契約者、被共済者、共済金額を受け取るべき者その他の関係者(以下「共済契約者等」という。)の保護に欠けるおそれのないものであること。
ロ
共済契約の内容に関し、特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
ハ
共済契約の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害する行為を助長し、又は誘発するおそれのないものであること。
ニ
共済契約者等の権利義務その他共済契約の内容が、共済契約者等にとって明確かつ平易に定められたものであること。
ホ
共済掛金が、合理的かつ妥当なものであり、また特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
第8条
【共済契約の締結等に関する禁止行為】
共済団体又は共済団体のために共済契約の締結の代理若しくは媒介を行う者は、共済契約の締結又は共済契約の締結の代理若しくは媒介に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
①
共済契約者又は被共済者に対して、虚偽のことを告げ、又は共済契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為
②
前号に定めるもののほか、共済契約者等の保護に欠けるおそれがあるものとして文部科学省令で定める行為
第9条
【共済団体の賠償責任】
1
共済団体は、共済契約の締結の代理又は媒介を行う者が当該共済団体のために行う共済契約の締結の代理又は媒介につき共済契約者に加えた損害を賠償する責めに任ずる。
2
前項の規定は、
同項の共済団体が、共済契約の締結の代理又は媒介の委託をするにつき相当の注意をし、かつ、当該共済契約の締結の代理又は媒介を行う者が当該共済団体のために行う共済契約の締結の代理又は媒介につき共済契約者に加えた損害の発生の防止に努めた場合には、適用しない。
3
第1項の規定は、
同項の共済団体から共済契約の締結の代理又は媒介を行う者に対する求償権の行使を妨げない。
第10条
【区分経理】
1
共済団体は、共済事業以外の事業を行う場合には、共済事業に係る会計(以下「共済会計」という。)を他の事業に係る会計と区分して経理しなければならない。
2
共済団体は、青少年の安全に関する普及啓発活動その他青少年の健康の保持増進に資する事業については、文部科学省令で定めるところにより、共済会計において行うことができる。
第11条
【共済会計の他の会計への資金運用等の禁止】
共済団体は、共済会計から共済事業以外の事業に係る会計へ資金を運用し、又は共済会計に属する資産を担保に供して共済事業以外の事業に係る会計に属する資金を調達してはならない。ただし、共済事業の健全かつ適切な運営を妨げないものとして行政庁の許可を受けた場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
第12条
【資産の運用方法の制限】
共済団体は、共済会計に属する資産については、文部科学省令で定める方法以外の方法で運用してはならない。
第13条
【準備金】
共済団体は、共済事業における不足金の補てんに備えるため、文部科学省令で定めるところにより、毎事業年度、準備金を積み立てなければならない。
第14条
【業務報告書】
1
共済団体は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、行政庁に提出しなければならない。
2
共済団体は、
前項の業務報告書を提出するときは、文部科学省令で定める事項について公認会計士又は監査法人が文部科学省令で定めるところにより行ったPTA・青少年教育団体共済監査に基づき作成したPTA・青少年教育団体共済監査報告書を添付しなければならない。ただし、純資産額が一億円以下の共済団体にあっては、この限りでない。
3
第1項の業務報告書の記載事項、提出期日その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
第15条
【共済事業の廃止】
共済団体は、共済事業を廃止しようとするときは、行政庁の承認を受けなければならない。
第16条
【合併】
共済団体を全部又は一部の当事者とする合併は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
第17条
【報告又は資料の提出】
行政庁は、共済団体の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、共済団体に対し、その業務又は会計の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
第18条
【立入検査】
1
行政庁は、共済団体の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、共済団体の事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは会計の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2
前項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3
第1項の規定による立入り、質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第19条
【共済規程の変更命令等】
1
行政庁は、共済団体の業務若しくは財産の状況に照らして、又は事情の変更により、共済団体の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該共済団体に対し、その必要の限度において、共済規程の変更又は業務執行の方法の変更を命ずることができる。
2
行政庁は、共済団体の業務又は財産の状況に照らして、当該共済団体の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該共済団体に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、業務の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して当該共済団体の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは財産の供託を命じ、若しくは財産の処分を禁止し、若しくは制限し、その他監督上必要な命令をすることができる。
第20条
【認可の取消し】
1
行政庁は、共済団体の財産の状況が著しく悪化し、共済事業を継続することが共済契約者等の保護の見地から適当でないと認めるときは、当該共済団体の
第3条の認可を取り消すことができる。
2
行政庁は、共済団体が法令若しくは法令に基づいてする行政庁の処分若しくは共済規程に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該共済団体の
第3条の認可を取り消すことができる。
第21条
【一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の適用】
第22条
【認可等の条件】
1
行政庁は、この法律の規定による認可、許可又は承認(以下「認可等」という。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2
前項の条件は、認可等の趣旨に照らして、又は認可等に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
第23条
【行政庁】
この法律中「行政庁」とあるのは、一の都道府県の区域を越えない区域において共済事業を行う旨を共済規程に定める共済団体については都道府県教育委員会、その他の共済団体については文部科学大臣とする。
第24条
【文部科学省令への委任】
この法律に定めるもののほか、認可等に関する申請の手続、書類の提出の手続その他この法律を実施するため必要な事項は、文部科学省令で定める。
第25条
【経過措置】
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に従い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第26条
次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
①
第14条第1項の規定に違反して、
同項に規定する業務報告書を提出せず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてこれを提出した者
②
第14条第2項の規定に違反して、
同項に規定するPTA・青少年教育団体共済監査報告書を添付しなかった者
③
第17条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
④
第18条第1項の規定による質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は
同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第27条
法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、
前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、
同条の刑を科する。
第28条
次の各号のいずれかに該当する場合においては、その違反行為をした共済団体の理事又は監事は、二十万円以下の過料に処する。
①
第6条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条
(準備金に関する経過措置)
この法律の施行の日から起算して七年を経過する日までの間における第七条第五号の規定の適用については、同号中「千万円」とあるのは、「五百万円」とする。
第3条
(政令への委任)
前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第5条
(調整規定)
この法律の施行の日が地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律第二十条の規定の施行の日前である場合には、同条の規定の施行の日の前日までの間における第四条第四項第一号の規定の適用については、同号中「第七条第一項」とあるのは、「第六条第二項」とする。
附則
平成24年8月22日
この法律は、子ども・子育て支援法の施行の日から施行する。