• 日本郵政株式会社法

日本郵政株式会社法

平成24年5月8日 改正
第1章
総則
第1条
【会社の目的】
日本郵政株式会社(以下「会社」という。)は、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有し、日本郵便株式会社の経営管理を行うこと及び日本郵便株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とする。
第2条
【株式の政府保有】
政府は、常時、会社の発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。以下この条において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。
第3条
【商号の使用制限】
会社でない者は、その商号中に日本郵政株式会社という文字を使用してはならない。
第2章
業務等
第4条
【業務の範囲】
会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとする。
日本郵便株式会社が発行する株式の引受け及び保有
日本郵便株式会社の経営の基本方針の策定及びその実施の確保
前二号に掲げるもののほか、日本郵便株式会社の株主としての権利の行使
前三号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前項に規定する業務のほか、総務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができる。
第5条
【責務】
会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。
前項の「生命保険」又は「郵便局」とは、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第3項又は第4項に規定する生命保険又は郵便局をいう。
第6条
【日本郵便株式会社の株式の保有】
会社は、常時、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。
参照条文
第7条
【一般担保】
会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
第8条
【株式】
会社は、会社法第199条第1項に規定する募集株式(第21条第3号において「募集株式」という。)若しくは同法第238条第1項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
会社は、新株予約権の行使により株式を交付した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
第9条
【取締役等の選任等の決議】
会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第10条
【事業計画】
会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第11条
【定款の変更等】
会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第12条
【財務諸表】
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他会社の財産、損益又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。
第3章
雑則
第13条
【監督】
会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第14条
【報告及び検査】
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第15条
【財務大臣との協議】
総務大臣は、第8条第1項第10条又は第11条(定款の変更の決議に係るものにあっては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
第16条
【情報の公表】
会社は、その株式が金融商品取引法第24条第1項第1号に規定する有価証券に該当しないときは、同号に規定する有価証券の発行者が同法第25条第2項の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。
会社は、前項に定めるもののほか、第4条第2項第9条又は第10条の規定による認可を受けたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
第4章
罰則
第17条
会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
参照条文
第18条
前条第1項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
参照条文
第19条
第17条第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
前条第1項の罪は、刑法第2条の例に従う。
第20条
第14条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第21条
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
第4条第2項の規定に違反して、業務を行ったとき。
第6条の規定に違反して、日本郵便株式会社の株式を処分したとき。
第8条第1項の規定に違反して、募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき。
第8条第2項の規定に違反して、株式を交付した旨の届出を行わなかったとき。
第10条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
第12条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
第13条第2項の規定による命令に違反したとき。
第16条第1項又は第2項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
参照条文
第22条
第3条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、郵政民営化法第三十六条第九項の政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第2条
(業務の特例)
会社は、当分の間、第四条に規定する業務のほか、同条に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、次に掲げる業務を行うことができる。
会社は、前項に規定する業務を行うに当たっては、当該業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならない。
第3条
(政府保有の株式の処分)
政府は、その保有する会社の株式(第二条に規定する発行済株式をいい、同条の規定により保有していなければならない発行済株式を除く。)については、できる限り早期に処分するものとする。
第4条
(会社法の施行の日の前日までの間の読替え)
会社法の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、会社法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。第二条株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法第八百七十九条第三項商法第二百十一条ノ二第四項に規定する種類の株式を除き、同条第五項第八条第一項会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式(第二十二条第三号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。ただし、新株予約権が行使されたことにより新株を発行し、又は自己の株式を移転しようとするときは、この限りでない第八条第二項新株予約権の行使により株式を交付した後前項ただし書の場合においては、当該新株を発行し、又は自己の株式を移転した後第十条事業年度営業年度第十一条剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)利益の処分第十二条事業年度営業年度事業報告書営業報告書第十三条第二項及び第三項事業年度営業年度第十八条第一項及び第二十一条執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)執行役第二十二条執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員執行役第二十二条第三号募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分したとき第二十二条第六号事業報告書営業報告書
附則
平成24年5月8日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の規定(郵政民営化法目次中「第六章 郵便事業株式会社 第一節 設立等(第七十条—第七十二条) 第二節 設立に関する郵便事業株式会社法等の特例 第三節 移行期間中の業務に関する特例等(第七十五条—第七十八条) 第七章 郵便局株式会社」を「第六章 削除 第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第十九条第一項第一号及び第二号、第二十六条、第六十一条第一号並びに第六章の改正規定、同法中「第七章 郵便局株式会社」を「第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第七十九条第三項第二号及び第八十三条第一項の改正規定、同法第九十条から第九十三条までの改正規定、同法第百五条第一項、同項第二号及び第百十条第一項第二号ホの改正規定、同法第百十条の次に一条を加える改正規定、同法第百三十五条第一項、同項第二号及び第百三十八条第二項第四号の改正規定、同法第百三十八条の次に一条を加える改正規定、同法第十一章に一節を加える改正規定(第百七十六条の五に係る部分に限る。)、同法第百八十条第一項第一号及び第二号並びに第百九十六条の改正規定(第十二号を削る部分を除く。)並びに同法附則第二条第二号の改正規定を除く。)、第二条のうち日本郵政株式会社法附則第二条及び第三条の改正規定、第五条(第二号に係る部分に限る。)の規定、次条の規定、附則第四条、第六条、第十条、第十四条及び第十八条の規定、附則第三十八条の規定(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第二条第一項、第四十九条、第五十五条及び第七十九条第二項の改正規定、附則第九十条の前の見出しを削り、同条に見出しを付する改正規定並びに附則第九十一条及び第九十五条の改正規定を除く。)、附則第四十条から第四十四条までの規定、附則第四十五条中総務省設置法第三条及び第四条第七十九号の改正規定並びに附則第四十六条及び第四十七条の規定は、公布の日から施行する。
第3条
(日本郵政株式会社法の一部改正に伴う経過措置)
第二条の規定による改正前の日本郵政株式会社法(以下この条において「旧法」という。)の規定により日本郵政株式会社に対して行い、又は日本郵政株式会社が行った処分、手続その他の行為(郵政民営化法第五十二条の規定により旧法第四条第二項の認可を受けたものとみなされる業務に係る郵政民営化法第百六十三条第三項の認可を含む。)は、第二条の規定による改正後の日本郵政株式会社法の相当する規定により日本郵政株式会社に対して行い、又は日本郵政株式会社が行った処分、手続その他の行為とみなす。
第46条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条ただし書に規定する規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第47条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

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