• 日本郵便株式会社法

日本郵便株式会社法

平成24年5月8日 改正
第1章
総則
第1条
【会社の目的】
日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。
第2条
【定義】
この法律において「郵便窓口業務」とは、簡易郵便局法第2条に規定する郵便窓口業務をいう。
この法律において「銀行窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「銀行窓口業務契約」という。)を締結する銀行法第2条第1項に規定する銀行(以下「関連銀行」という。)を所属銀行(同条第16項に規定する所属銀行をいう。)として営む銀行代理業(同条第14項第1号及び第3号に掲げる行為に係るものであって、会社が第5条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)をいう。
会社が第5条の責務を果たすために銀行代理業を営むこと。
会社が営む銀行代理業の具体的な内容及び方法
会社の営業所であって、銀行代理業を行うものの名称及び所在地
その他総務省令で定める事項
この法律において「保険窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「保険窓口業務契約」という。)を締結する保険業法第2条第3項に規定する生命保険会社(株式会社に限る。以下「関連保険会社」という。)を所属保険会社等として営む保険募集及び関連保険会社の事務の代行(同法第3条第4項第1号に掲げる保険(第5条において「生命保険」という。)に係るものであって、会社が第5条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)をいう。
会社が第5条の責務を果たすために保険募集及び関連保険会社の事務の代行を営むこと。
会社が営む保険募集及び関連保険会社の事務の代行の具体的な内容及び方法
会社の営業所であって、保険募集及び関連保険会社の事務の代行を行うものの名称及び所在地
その他総務省令で定める事項
この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行うものをいう。
この法律において「銀行代理業」とは、銀行法第2条第14項に規定する銀行代理業をいう。
この法律において「所属保険会社等」又は「保険募集」とは、それぞれ保険業法第2条第24項又は第26項に規定する所属保険会社等又は保険募集をいう。
第3条
【商号の使用制限】
会社でない者は、その商号中に日本郵便株式会社という文字を使用してはならない。
参照条文
第2章
業務等
第4条
【業務の範囲】
会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
郵便法の規定により行う郵便の業務
銀行窓口業務
前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、銀行窓口業務契約の締結及び当該銀行窓口業務契約に基づいて行う関連銀行に対する権利の行使
保険窓口業務
前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、保険窓口業務契約の締結及び当該保険窓口業務契約に基づいて行う関連保険会社に対する権利の行使
国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
前各号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。
お年玉付郵便葉書等に関する法律第1条第1項に規定するお年玉付郵便葉書等及び同法第5条第1項に規定する寄附金付郵便葉書等の発行
地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律第3条第5項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第1項第1号に規定する郵便局取扱事務に係る業務
前号に掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
前三号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。
会社は、第2項第3号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。
第1項の規定は、同項第2号の規定により会社が営む銀行窓口業務以外の銀行代理業又は同項第4号の規定により会社が営む保険窓口業務以外の保険募集若しくは所属保険会社等の事務の代行を第2項又は第3項の規定により会社が営むことを妨げるものではない。
第5条
【責務】
会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。
第6条
【郵便局の設置】
会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。
会社は、総務省令で定めるところにより、業務開始の際、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
郵便局の名称及び所在地
会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うもののうち、銀行窓口業務又は保険窓口業務を行わないものの名称及び所在地
第7条
【銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約の内容の届出】
会社は、総務省令で定めるところにより、銀行窓口業務契約又は保険窓口業務契約を締結する前に、その内容を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第8条
【一般担保】
会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
第9条
【株式】
会社は、会社法第199条第1項に規定するその発行する株式(第23条第4号において「新株」という。)若しくは同法第238条第1項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
会社は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
第10条
【事業計画】
会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第11条
【重要な財産の譲渡等】
会社は、総務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
第12条
【定款の変更等】
会社の定款の変更、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第13条
【財務諸表】
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他会社の財産、損益又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。
第14条
【収支の状況】
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の次に掲げる業務の区分ごとの収支の状況を記載した書類を総務大臣に提出しなければならない。
第4条第1項第1号及び第6号並びに第2項第1号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務
第4条第1項第2号及び第3号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務
第4条第1項第4号及び第5号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務
前三号に掲げる業務以外の業務
第3章
雑則
第15条
【監督】
総務大臣は、この法律及び前項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第16条
【報告及び検査】
総務大臣は、この法律及び前条第1項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第17条
【財務大臣との協議】
総務大臣は、第10条第11条又は第12条(定款の変更の決議に係るものを除く。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
第18条
【情報の公表】
会社は、金融商品取引法第24条第1項第1号に規定する有価証券の発行者が同法第25条第2項の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。
会社は、前項に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
第4条第4項第6条第2項又は第7条の規定による届出をしたとき。
第10条の規定による認可を受けたとき。
第14条の規定による提出をしたとき。
第4章
罰則
第19条
会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
参照条文
第20条
前条第1項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
参照条文
第21条
第19条第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
前条第1項の罪は、刑法第2条の例に従う。
第22条
第16条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第23条
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
第4条第4項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第6条第2項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第7条の規定に違反して、同条の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第9条第1項の規定に違反して、新株若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき。
第9条第2項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。
第10条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
第11条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。
第13条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
第14条の規定に違反して、同条に規定する書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をした同条に規定する書類を提出したとき。
第15条第2項の規定による命令に違反したとき。
第18条第1項又は第2項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
参照条文
第24条
第3条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、郵政民営化法の施行の日から施行する。ただし、第三条、第四条第五項、第十一条(定款の変更の決議に係る部分に限る。)及び第二十一条の規定は、同法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。
第2条
(業務の特例)
会社は、当分の間、第四条第一項に規定する業務のほか、次に掲げる業務を営むものとする。
前項の規定により会社の業務が営まれる間、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。第二条第四項及び保険窓口業務、保険窓口業務、附則第二条第一項第一号に掲げる業務(以下「受託郵便貯金管理業務」という。)及び同項第二号に掲げる業務(以下「受託簡易生命保険管理業務」という。)第四条第二項前項前項及び附則第二条第一項第四条第三項前二項前二項及び附則第二条第一項第六条第二項第二号又は保険窓口業務、保険窓口業務、受託郵便貯金管理業務又は受託簡易生命保険管理業務第十四条第二号第三号第三号並びに附則第二条第一項第一号第十四条第三号第五号第五号並びに附則第二条第一項第二号
附則
平成17年11月2日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
第38条
(処分等の効力)
この法律の施行前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
第39条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第40条
(権限の委任)
内閣総理大臣は、この附則の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
前項の規定により金融庁長官に委任された権限並びにこの附則の規定による農林水産大臣及び厚生労働大臣の権限については、政令で定めるところにより、その一部を財務局長又は財務支局長(農林水産大臣及び厚生労働大臣にあっては、地方支分部局の長)に委任することができる。
第41条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
第42条
(検討)
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律による改正後の金融諸制度について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成24年5月8日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の規定(郵政民営化法目次中「第六章 郵便事業株式会社 第一節 設立等(第七十条—第七十二条) 第二節 設立に関する郵便事業株式会社法等の特例 第三節 移行期間中の業務に関する特例等(第七十五条—第七十八条) 第七章 郵便局株式会社」を「第六章 削除 第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第十九条第一項第一号及び第二号、第二十六条、第六十一条第一号並びに第六章の改正規定、同法中「第七章 郵便局株式会社」を「第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、同法第七十九条第三項第二号及び第八十三条第一項の改正規定、同法第九十条から第九十三条までの改正規定、同法第百五条第一項、同項第二号及び第百十条第一項第二号ホの改正規定、同法第百十条の次に一条を加える改正規定、同法第百三十五条第一項、同項第二号及び第百三十八条第二項第四号の改正規定、同法第百三十八条の次に一条を加える改正規定、同法第十一章に一節を加える改正規定(第百七十六条の五に係る部分に限る。)、同法第百八十条第一項第一号及び第二号並びに第百九十六条の改正規定(第十二号を削る部分を除く。)並びに同法附則第二条第二号の改正規定を除く。)、第二条のうち日本郵政株式会社法附則第二条及び第三条の改正規定、第五条(第二号に係る部分に限る。)の規定、次条の規定、附則第四条、第六条、第十条、第十四条及び第十八条の規定、附則第三十八条の規定(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第二条第一項、第四十九条、第五十五条及び第七十九条第二項の改正規定、附則第九十条の前の見出しを削り、同条に見出しを付する改正規定並びに附則第九十一条及び第九十五条の改正規定を除く。)、附則第四十条から第四十四条までの規定、附則第四十五条中総務省設置法第三条及び第四条第七十九号の改正規定並びに附則第四十六条及び第四十七条の規定は、公布の日から施行する。
第4条
(郵便局株式会社法の一部改正に伴う経過措置)
施行日をその期間に含む郵便局株式会社法第六条第一項に規定する実施計画に係る期間は、同項の規定にかかわらず、施行日の前日に終了するものとする。
第5条
施行日の前日をその期間に含む第三条の規定による改正前の郵便局株式会社法(第三項において「旧法」という。)第六条第六項に規定する地域貢献業務計画の実施状況に関する報告書の提出及び公表については、日本郵便株式会社が従前の例により行うものとする。
郵便局株式会社の施行日の前日を含む事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書の提出については、日本郵便株式会社が従前の例により行うものとする。
第一条の規定による改正後の郵政民営化法第八十九条の二から第八十九条の五までに定めるもののほか、旧法の規定により郵便局株式会社に対して行い、又は郵便局株式会社が行った処分、手続その他の行為は、第三条の規定による改正後の日本郵便株式会社法(次項において「新法」という。)の相当する規定により日本郵便株式会社に対して行い、又は日本郵便株式会社が行った処分、手続その他の行為とみなす。
新法第三条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本郵便株式会社という文字を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第46条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条ただし書に規定する規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第47条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

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