国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法
平成22年6月4日 制定
第1条
【目的】
この法律は、北朝鮮による核実験の実施、大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルの発射等の一連の行為が国際社会の平和及び安全に対する脅威となっており、その脅威は近隣の我が国にとって特に顕著であること、並びにこの状況に対応し、国際連合安全保障理事会決議第1718号が核関連、弾道ミサイル関連その他の大量破壊兵器関連の物資、武器その他の物資の北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止を決定し、同理事会決議第1874号が当該禁止の措置を強化するとともに、国際連合加盟国に対し当該禁止の措置の厳格な履行の確保を目的とした貨物についての検査等の実施の要請をしていることを踏まえ、我が国が特別の措置として実施する北朝鮮特定貨物についての検査その他の措置について定めることにより、外国為替及び外国貿易法、関税法その他の関係法律による措置と相まって、北朝鮮の一連の行為をめぐる同理事会決議による当該禁止の措置の実効性を確保するとともに、我が国を含む国際社会の平和及び安全に対する脅威の除去に資することを目的とする。
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参照条文
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
①
北朝鮮特定貨物 次のいずれかに該当する貨物(我が国から輸出しようとする貨物で外国為替及び外国貿易法第48条第1項の規定による許可を受けなければならないもの及び同条第3項の規定による輸出の承認を受ける義務を課せられているもの並びに我が国から輸出した貨物で当該許可又は当該承認を受けたもの並びに我が国に輸入しようとする貨物で同法第52条の規定による輸入の承認を受ける義務を課せられているもの及び我が国に輸入した貨物で当該承認を受けたものを除く。)をいう。
第3条
【検査】
3
税関長は、我が国の港にある船舶又は我が国の空港にある航空機(軍用機及び各国政府が所有し又は運航する航空機であって非商業的目的のみに使用されるものを除く。以下同じ。)が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、次に掲げる措置をとらせることができる。
③
検査のため必要な限度において、貨物の陸揚げ若しくは積替えをし、又は当該船舶の船長等若しくは当該航空機の機長若しくはこれに代わってその職務を行う者(次条第2項において「機長等」という。)に貨物の陸揚げ若しくは積替えをするよう指示すること。
4
税関長は、保税地域(関税法第29条に規定する保税地域をいい、同法第30条第1項第2号の規定により税関長が指定した場所を含む。次条第2項において同じ。)に置かれている貨物のうちに北朝鮮特定貨物があると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、貨物、書類その他の物件を検査させ、所有者、占有者、管理者その他の関係者に質問させ、又は検査のため必要な最小限度の分量に限り試料を収去させることができる。
第5条
【保管】
2
海上保安庁長官又は税関長は、前項の規定により提出貨物を保管したときは、当該提出貨物の内容その他の国土交通省令・財務省令で定める事項を官報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により公告するものとする。この場合において、当該提出貨物の所有者及びその所在が判明しているときは、その者に当該公告に係る事項を通知するものとする。
5
海上保安庁長官又は税関長は、提出貨物が細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律第2条第3項に規定する生物兵器若しくは同条第4項に規定する毒素兵器又は化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第2項に規定する化学兵器に該当するときは、政令で定めるところにより、当該提出貨物を廃棄しなければならない。
9
海上保安庁長官又は税関長は、提出貨物が第6項各号のいずれかに該当する場合において、売却につき買受人がないとき又は売却による代金の見込額が売却に要する費用の額に満たないと認められるときは、政令で定めるところにより、当該提出貨物について廃棄その他の処分をすることができる。
第6条
【回航命令】