第1条
【目的】
日本赤十字社は、赤十字に関する諸条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。
第2条
【国際性】
日本赤十字社は、赤十字に関する国際機関及び各国赤十字社と協調を保ち、国際赤十字事業の発展に協力し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない。
第3条
【自主性の尊重】
日本赤十字社の特性にかんがみ、この自主性は、尊重されなければならない。
第5条
【標章】
日本赤十字社は、その標章として、白地赤十字を使用する。
第7条
【定款】
1
日本赤十字社は、定款をもつて、左に掲げる事項を規定しなければならない。
2
定款は、厚生労働大臣の認可を受けて変更することができる。
第8条
【登記】
1
日本赤十字社は、主たる事務所の変更その他政令で定める事項について、政令で定める手続により登記しなければならない。
2
前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第9条
【解散】
日本赤十字社につき解散を必要とする事由が発生した場合において、その処置に関しては、別に法律で定める。
第10条
【一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用】
第11条
【社員の平等取扱】
何人も、社員となるにつき、及び社員の権利義務につき、人種、国籍、信条、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されることがない。
第12条
【社員の加入】
日本赤十字社は、社員として加入しようとする者があるときは、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。
第13条
【社員の脱退】
3
前項第3号の除名は、定款で定める事由に該当する社員につき、定款の定めるところにより、代議員会の議決によつてすることができる。
4
除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもつてその社員に対抗することができない。
第14条
【社員の権利】
1
社員は、左に掲げる権利を有する。
①
この法律の定めるところにより、日本赤十字社の役員及び代議員を選出し、並びにこれらの者に選出されること。
②
毎事業年度の日本赤十字社の業務及び収支決算の報告を受けること。
③
日本赤十字社に対し、その業務の運営に関し、代議員を通じて意見を述べること。
2
日本赤十字社は、公告をもつて、
前項第2号の報告に代えることができる。
第15条
【社費】
社員は、定款の定めるところにより、社費を納めるものとする。
第16条
【役員】
日本赤十字社に、役員として、社長一人、副社長二人以内、理事六十一人以内及び監事三人以内を置く。
第17条
【役員の職務権限】
1
社長は、日本赤十字社を代表し、その業務を総理する。
2
副社長は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長に事故があるときはその職務を代行し、社長が欠員のときはその職務を行う。
3
理事は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長及び副社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長及び副社長にともに事故があるときは社長の職務を代行し、社長及び副社長がともに欠員のときは社長の職務を行う。
第17条の2
【副社長又は理事の代表権の制限】
副社長又は理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
第17条の3
【仮理事】
社長、副社長及び理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、厚生労働大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、仮理事を選任しなければならない。
第17条の4
【利益相反行為】
日本赤十字社と社長、副社長又は理事との利益が相反する事項については、社長、副社長又は理事は、代表権を有しない。この場合においては、監事が日本赤十字社を代表する。
第18条
【役員の選出】
役員は、社員の中から、代議員会において、選出する。
第20条
【理事会】
1
社長、副社長及び理事をもつて理事会を構成する。
2
理事会は、定款の定めるところにより、日本赤十字社の重要な業務の執行について審議する。
第21条
【代議員会】
2
代議員会は、定款の定めるところにより社員の中から選出された代議員をもつて組織する。
3
代議員会は、少くとも毎年一回、定款の定めるところにより、招集する。
第22条
【代議員会の議決事項】
左に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。但し、代議員会が軽微と認めた事項は、この限りでない。
第23条
【代議員の任期】
代議員の任期は、三年とする。但し、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。
第24条
【役員の解任】
代議員会は、役員が心身の故障のため職務の執行の任にたえないと認めるとき、又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認めるときは、その役員の解任の議決をすることができる。
第25条
【事業年度】
日本赤十字社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
第27条
【業務】
1
日本赤十字社は、
第1条の目的を達成するため、左に掲げる業務を行う。
②
非常災害時又は伝染病流行時において、傷病その他の災やくを受けた者の救護を行うこと。
③
常時、健康の増進、疾病の予防、苦痛の軽減その他社会奉仕のために必要な事業を行うこと。
④
前各号に掲げる業務のほか、
第1条の目的を達成するために必要な業務
第28条
【救護員の確保】
日本赤十字社は、
前条第1項第1号及び
第2号に掲げる業務(以下「救護業務」という。)に従事させるために必要な者(以下「救護員」という。)を常時確保しておかなければならない。
第29条
【救護員の養成】
1
日本赤十字社は、
前条の救護員を確保するために、必要があるときは、医師、看護師その他の特殊技能者を養成しなければならない。
2
前項の養成は、日本赤十字社が学資その他の費用を負担して日本赤十字社の目的、特に日本赤十字社の行う救護業務に深い理解を有する者について行う。
3
前二項の規定による養成を受けた者は、日本赤十字社が、これらの者が救護員として救護業務に従事するのでなければその救護業務を適正に行うことができないと認めて、救護業務に従事すべきことを求めたときは、これに応ずるように努めなければならない。
第30条
【使用者の協力】
1
前条第1項及び
第2項の規定による養成を受けた者を雇用しようとするとき、又は雇用している場合において、使用者は、その者が、
同条第3項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。
2
前条第1項及び
第2項の規定による養成を受けた者が、
同条第3項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事しようとする場合においては、使用者は、これに協力するように努めなければならない。
第31条
【実費弁償】
日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事した場合においては、その実費を弁償しなければならない。
第32条
【扶助金の支給】
日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事し、そのために負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、
災害救助法第7条(従事命令)の規定により救助に関する業務に従事した者に係る扶助金に関する同法の規定の例により、扶助金を支給しなければならない。
第33条
【国の救護に関する業務の委託】
1
国は、赤十字に関する諸条約に基く国の業務及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。
2
前項の場合において、国は、
同項の規定により委託すべき業務の実施に必要な施設又は設備を、あらかじめ、整備すべきことを日本赤十字社に命ずることができる。
3
国は、日本赤十字社が
第1項の規定により委託された業務を実施するために支弁した費用を補償する。但し、他の法律に別段の定があるときは、その定に従う。
4
国は、日本赤十字社が
第1項の規定により委託された業務を実施するため必要な施設又は設備を整備する場合においては、その整備に要する費用の全部又は一部を負担する。
第34条
【運送及び通信に関する便宜供与】
1
鉄道事業者その他運送又は運送取扱を業とする者は、日本赤十字社が迅速かつ適正に救護業務を実施することができるように、救護員又は救護用の物資の運送に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
2
総務大臣、電気通信事業者又は基幹放送事業者(
放送法第2条第23号に規定する基幹放送事業者をいい、放送大学学園(
放送大学学園法第3条に規定する放送大学学園をいう。)を除く。)は、日本赤十字社が迅速かつ適正に救護業務に実施することができるように、救護業務に関する通信に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
第35条
【社会福祉事業の経営】
1
日本赤十字社は、
社会福祉法の定めるところにより、同法に規定する第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業を経営するものとする。
第36条
【報告及び検査】
1
厚生労働大臣は、日本赤十字社に法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款を守らせるために必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして日本赤十字社の事務所その他の場所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2
前項の職員は、
同項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3
第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第37条
【監督処分】
厚生労働大臣は、日本赤十字社が、その業務に関し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、日本赤十字社に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
第38条
【解任勧告】
厚生労働大臣は、日本赤十字社の役員が、日本赤十字社の業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又は著しく公益を害する行為をしたときは、日本赤十字社に対し、その役員の解任を勧告することができる。
第39条
【助成】
1
国又は地方公共団体は、日本赤十字社が、その業務の実施に必要な施設又は設備を整備する場合において、必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも日本赤十字社に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、
国有財産法及び
地方財政法第8条第1項(財産の管理及び処分)並びに私立図書館の事業についての補助金の交付に関する
図書館法第26条(国及び地方公共団体との関係)の規定の適用を妨げない。
2
日本赤十字社が、左の各号の一に該当するときは、
前項の規定により交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。
①
施設又は設備の全部又は一部を他の用途に供したこと。
第40条
日本赤十字社の役員又は職員が
第36条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は
同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一万円以下の罰金に処する。
第41条
日本赤十字社の役員がこの法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたときは、一万円以下の過料に処する。
附則
1
この法律は、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定を除き、公布の日から施行し、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定は、公布の日から起算して六箇月をこえない期間内において政令で定める日から施行する。但し、附則第二十七項の規定は、昭和二十七年六月一日から適用する。
2
この法律施行の際現に存する日本赤十字社(以下「旧法人」という。)は、この法律施行の日から起算して六箇月以内に、その組織を変更してこの法律による日本赤十字社(以下「新法人」という。)となるものとする。この場合においては、旧法人は、定款の定めるところにより、組織変更のために必要な定款の変更をし、厚生大臣の認可を受けなければならない。
3
前項の認可があつたときは、旧法人は、第十八条及び第二十一条第二項の例により、新法人の役員及び代議員を選出するものとし、この場合において、代議員会の招集は、旧法人の社長がしなければならない。
4
附則第二項の規定による旧法人の新法人への組織変更は、前項の規定により選出された役員の全部が新法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。
5
前項の規定による登記に関し必要な事項は、政令で定める。
6
この項の規定施行の際における他の法律中の旧法人に関する規定及び次項から附則第十三項までの規定は、新法人に関する規定とする。ただし、この項の規定施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
7
旧法人は、この項の規定施行後新たに社会福祉施設を設置して社会福祉法に規定する社会福祉事業を経営しようとするときは、当分の間、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
8
旧法人は、当分の間、毎年一回、厚生労働大臣の定める期間内において、その業務(第三十五条第一項の社会福祉事業を除く。)を行うのに必要な資金を得るために寄附金を募集することができる。
9
前項の規定により寄附金を募集するには、あらかじめ、募集しようとする寄附金の目標額、募集の方法及び寄附金の使途を定め、厚生労働大臣に届け出なければならない。
10
旧法人は、附則第八項の規定による寄附金の募集を終了したときは、募集の結果を公告するとともに、厚生労働大臣に報告しなければならない。
11
旧法人は、前三項の規定による場合のほか、特別の事情に基づき、附則第八項に規定する業務を行うのに必要な経費の支出に充てるために寄附金を募集しようとするときは、当分の間、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣に届け出なければならない。
12
旧法人は、前項の規定による寄附金の募集を終了したときは、厚生労働大臣に対し、募集の結果を報告しなければならない。
13
次の場合においては、その違反行為をした旧法人の役員又は職員を一万円以下の罰金に処する。
附則
昭和61年12月26日
第8条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及び附則第二条第一項の規定により従前の例によることとされる場合における第四条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成11年12月22日
第1条
(施行期日)
この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。
附則
平成13年12月12日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第42条
(処分、手続等に関する経過措置)
この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
第43条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第44条
(経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成14年12月13日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第六条から第九条まで及び第十一条から第二十三条までの規定は、平成十五年十月一日から施行する。
附則
平成16年12月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成18年6月2日
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
附則
平成22年12月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則
平成23年6月24日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則
平成25年6月21日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第22条
(政令への委任)
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。