財政構造改革の推進に関する特別措置法
平成24年6月27日 改正
第2条
【財政構造改革の趣旨】
財政構造改革は、人口構造の高齢化等我が国の経済社会情勢の変化、国際情勢の変化等国及び地方公共団体の財政を取り巻く環境が大きく変容している中で、国及び地方公共団体の財政が危機的状況にあることを踏まえ、将来に向けて更に効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済を実現することが緊要な課題であることにかんがみ、経済構造改革を推進しつつ、財政収支を健全化し、これに十分対応できる財政構造を実現するために行われるものとする。
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参照条文
第4条
【財政構造改革の当面の目標】
財政構造改革の当面の目標は、次のとおりとする。
①
平成十七年度までに、一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字額(国際連合の定めた基準に準拠して内閣府が作成する国民経済計算の体系(以下「国民経済計算の体系」という。)における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額を合算した額であって、零未満のものをいう。以下同じ。)を零から差し引いた額を当該会計年度の国内総生産(国民経済計算の体系における国内総生産をいう。以下同じ。)の額で除して得られる数値(次条において「財政赤字の対国内総生産比」という。)を百分の三以下とすること。
②
平成十年度から平成十六年度までの間の各年度に国の一般会計において特例公債(財政法第4条第1項ただし書の規定により発行される公債以外の公債であって、一会計年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、特別の法律に基づき発行されるものをいう。以下同じ。)を発行する場合には、著しく異常かつ激甚な非常災害の発生又は経済活動の著しい停滞(国内総生産の伸び率の低い事態が継続する等の政令で定める状況をいう。)が国民生活等に及ぼす重大な影響に対処するための施策の実施に重大な支障が生ずるときを除きその発行額の縮減を図りつつ、一般会計の歳出(同法第29条で定める補正予算(以下単に「補正予算」という。)が作成された場合における一般会計の歳出を含む。)は、平成十七年度までに特例公債に係る収入以外の歳入をもってその財源とするものとし、あわせて同年度の予算における公債依存度(一般会計の歳入(補正予算が作成された場合における一般会計の歳入を含む。)の額における公債金収入の額(同法第4条第1項ただし書の規定により発行する公債に係る収入の額及び特例公債に係る収入の額を合算した額をいう。)の占める割合をいう。以下同じ。)を平成九年度の予算における公債依存度に比して引き下げること。
第5条
【財政赤字の対国内総生産比の公表】
1
平成十年度から平成十七年度までの間における各年度の予算及び当該各年度の地方団体(地方交付税法第2条第2号に規定する地方団体をいう。第41条において同じ。)の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画(同法第7条に規定する地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類をいう。第41条において同じ。)の国会への提出後、遅滞なく、総務大臣及び財務大臣は、当該各年度における財政赤字の対国内総生産比の見込みの数値を計算して、公表するものとする。
2
総務大臣及び財務大臣は、前項に規定する各年度における国民経済計算の体系における中央政府の貯蓄投資差額及び地方政府の貯蓄投資差額が公表された場合においては、遅滞なく、当該各年度における財政赤字の対国内総生産比を計算して、公表するものとする。
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参照条文
第6条
【国の財政運営の当面の方針】
1
国は、第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成に資するよう、財政運営に当たり、一般歳出の額(一般会計の歳出の額から国債費(特別会計に関する法律第42条第1項の規定その他政令で定める規定による一般会計から国債整理基金特別会計への繰入金をいう。)の額、同法第24条の規定による一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入金の額その他政令で定める経費の額を合算した額を控除した額をいう。以下同じ。)を抑制するとともに、次に掲げる観点等を踏まえ、特別会計を含むすべての歳出分野を対象とした改革を推進することを当面の方針とする。
2
政府は、平成十年度の当初予算(補正予算及び財政法第30条で定める暫定予算以外の予算をいう。以下同じ。)を作成するに当たり、一般歳出の額が平成九年度の当初予算における一般歳出の額を下回るようにするものとする。
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参照条文
第7条
【社会保障関係費に係る改革の基本方針】
第8条
【社会保障関係費の量的縮減目標】
第9条
【医療保険制度改革に関する検討】
2
政府は、高齢者の置かれた経済状況を踏まえ、平成十二年度までに、一定額以上の収入等を有する高齢者に対する老人保健法の規定に基づく医療給付等の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
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参照条文
第10条
【年金制度改革に関する検討】
1
政府は、厚生年金保険法、国民年金法及び共済各法(国民年金法第5条第1項第2号から第4号までに掲げる法律をいう。)(以下「厚生年金保険法等」という。)に基づく年金たる給付に係る保険料等についての将来の世代における負担の抑制を図るため、集中改革期間中において最初に行われる財政再計算(厚生年金保険法第81条第4項に規定する再計算等厚生年金保険法等の規定に基づく保険料率等の再計算をいう。第3項において同じ。)に当たり、次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2
政府は、平成十二年度までに、給付と負担の適切な関係を維持することが年金制度の円滑な運営に必要であることに配慮しつつ、高齢者の置かれた経済状況を踏まえ、一定額以上の収入等を有する受給権者に対する厚生年金保険法等による年金たる給付の額の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第11条
【年金事業等の事務費に係る国及び地方公共団体の負担の抑制】
政府は、厚生年金保険法等に基づく年金事業その他の社会保険事業の事務の執行に要する費用について、第7条の趣旨を踏まえその在り方について検討を加えるとともに、第8条第1項に掲げる量的縮減目標及び第4条に規定する財政構造改革の当面の目標の達成に資するため、平成十年度から平成十五年度までの間、厚生年金保険法及び国民年金法に基づく年金事業の事務並びに国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に基づく短期給付及び長期給付に係る組合の事務の執行に要する費用(以下この条において「年金事業等の事務費」という。)の一部に国及び地方公共団体の負担以外の財源を充てるものとし、これにより、年金事業等の事務費に係る国及び地方公共団体の負担を抑制するものとする。
第12条
【雇用保険制度の見直し】
政府は、平成十年度当初予算の成立の日までのできるだけ早い時期に、雇用保険法第37条の2に規定する高年齢求職者給付金の在り方について廃止を含めて見直しを行うとともに、同法に基づく失業等給付に係る国庫負担の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
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参照条文
第14条
【公共投資関係費の量的縮減目標】
3
前二項に規定する公共投資関係費とは、国、地方公共団体等が実施する社会資本としての道路、河川その他の公共の用に供する施設を整備する事業その他の公共的な建設又は復旧の事業(国民生活の安定に寄与するための住宅の建設又は確保に関する事業を含む。)及び官公庁施設の建設等の事業(財政法第4条第1項ただし書に規定する公共事業費に該当するものに限る。)に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
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参照条文
第15条
【公共事業に関する計画における事業の量の実質的縮減】
1
政府は、公共事業に関する計画(公共事業に関し事業の実施の目標及び量を定める全国に及ぶ計画であって、法律の規定に基づき策定されるもの又は政府が定めるものをいう。以下同じ。)のうちこの法律の施行の際現に存する平成八年度以前の年度を始期とするもの(住宅建設計画法第4条第1項に定める住宅建設五箇年計画及び計画の終期を平成九年度とするものを除く。)について、前条の趣旨及び第4条に規定する財政構造改革の当面の目標を踏まえ、当該各計画を、当該各計画に定める事業の量を変更することなく当該各計画における期間に比して長期の期間の計画に改定するものとし、これにより、一箇年当たり平均事業量(当該各計画に定める事業の量を当該各計画の期間の年数で除して得た量をいう。次項において同じ。)を縮減するものとする。
第16条
【文教予算に係る改革の基本方針】
政府は、文教予算(学校教育、社会教育、学術及び文化の振興及び普及を図る等のための行政事務及び事業を遂行するため、国の予算に計上される経費をいう。)について、児童又は生徒の数の減少に応じた合理化、受益者負担の徹底、国と地方公共団体との適切な役割分担等の観点から、義務教育に対する一般会計の負担及び私立学校に対する助成等の在り方について見直し、抑制するものとする。
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参照条文
第17条
【私立学校に対する助成の総額の量的縮減目標】
政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、私立学校振興助成法第4条及び第9条の規定による私立学校の経常的経費に充てるための国の補助金並びに同法第10条の規定による私立学校に対する国の補助金(私立学校の経常的経費に充てるための国の補助金に限る。)の総額が当該各年度の前年度の当初予算におけるこれらの規定による補助金の総額を上回らないようにするものとする。
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参照条文
第19条
【防衛関係費に係る改革の基本方針】
1
政府は、我が国の安全保障上の観点と経済事情及び財政事情等を勘案し、防衛関係費について、節度ある防衛力の整備を行う必要があることを踏まえつつ、財政構造改革の推進の緊要性に配意して、抑制するものとする。
2
前項に規定する防衛関係費とは、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務、条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務並びに安全保障会議の事務に関するものとして一般会計予算に計上される経費をいう。
第20条
【防衛関係費の量的縮減目標】
1
政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、防衛関係費(日米安全保障協議委員会の下に設置された沖縄県に所在するアメリカ合衆国軍隊の施設及び区域に関連する諸問題を検討するための特別行動委員会において取りまとめられ、同協議委員会において承認された沖縄県におけるアメリカ合衆国軍隊の施設及び区域の整理、統合及び縮小並びに沖縄県におけるアメリカ合衆国軍隊の運用の方法の調整方策に係る計画及び措置を実施するため必要となる経費(第3項において「特別行動委員会関係経費」という。)を除く。以下この条において同じ。)の額が当該各年度の前年度の当初予算における防衛関係費の額を上回らないようにするものとする。
2
前項に規定する日米安全保障協議委員会とは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき、日本国政府とアメリカ合衆国政府の間の相互理解を促進することに役立つとともに安全保障の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような問題であって安全保障問題の基盤をなすもののうち、安全保障問題に関するものを検討するために設置された特別の委員会をいう。
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参照条文
第21条
【政府開発援助に係る改革の基本方針】
2
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参照条文
第24条
【主要食糧関係費の量的縮減目標】
2
前項に規定する主要食糧関係費とは、主要食糧の計画的な流通を確保するための措置、政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置並びに主要食糧の需給及び価格の安定を図るための措置に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
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参照条文
第25条
【科学技術振興費に係る改革の基本方針等】
1
政府は、科学技術基本法第9条第1項に規定する科学技術基本計画の実施に当たり、原子力、宇宙開発及び防衛に係る研究に関する経費等を極力抑制するとともに、同計画について、国及び地方公共団体の財政が危機的状況にあることを踏まえた弾力的な取扱いを行うものとする。
2
政府は、科学技術振興費について、当該経費に係る研究開発の適切な評価を行い、その結果を予算の配分へ反映させること等により重点化及び効率化を進めるとともに、集中改革期間中においては科学技術振興費以外の経費との均衡に配慮するものとする。
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参照条文
第29条
【エネルギー対策費の量的縮減目標】
2
前項に規定するエネルギー対策費とは、エネルギーの長期的かつ安定的な供給を確保する等のため、原子力及びエネルギー技術の研究開発の促進並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策等に関し一般会計予算に計上される経費をいう。
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参照条文
第34条
【補助金等の見直し】
国は、経済社会情勢の変化、行政の各分野における国及び地方公共団体と民間との役割分担の在り方並びに行政の各分野における国と地方公共団体との役割分担の在り方を踏まえ、すべての分野において、国の補助金、負担金、交付金(国以外の者が実施する特定の事業等に要する費用の財源の配付を目的として国が交付する給付金をいう。)、補給金(国以外の者が事業等を実施するための経費について不足を生ずる場合にその不足を補うために国が交付する給付金をいう。)、委託費(国の事業等を国以外の者に委託する場合に国が交付する給付金をいう。)その他相当の反対給付を受けないで国が交付する給付金であって政令で定めるもの(以下「補助金等」という。)に関する見直しを行うものとする。
第35条
【地方公共団体に対して交付される補助金等の削減等】
1
政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体に対して交付されるもののうち、制度等見直し対象補助金等(次に掲げる事項のいずれかに該当するものをいう。次項において同じ。)については、交付の対象となる事業等に係る制度若しくは施策の見直し又は当該事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
2
政府は、集中改革期間における各年度の当初予算を作成するに当たり、その他補助金等(一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体に対して交付されるもののうち、制度等見直し対象補助金等以外のものをいう。以下この条において同じ。)の額の各省各庁(財政法第21条に規定する各省各庁をいう。以下同じ。)の所管ごとの合算額が当該各年度の前年度の当初予算におけるその他補助金等の額の各省各庁の所管ごとの合算額に十分の九を乗じた額を上回らないようにするものとする。
第36条
【特殊法人等に対して交付される補助金等の削減等】
政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって特殊法人その他これに準ずるものとして政令で定める法人(次条において「特殊法人等」という。)に対して交付されるものについては、交付の対象となる事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
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参照条文
第37条
【地方公共団体及び特殊法人等以外の者に対して交付される補助金等の削減等】
1
政府は、一般会計予算に計上される補助金等であって地方公共団体及び特殊法人等以外の者に対して交付されるもののうち、次に掲げる事項のいずれかに該当するものについては、交付の対象となる事業等に係る制度若しくは施策の見直し又は当該事業等の見直しを行うことにより、当該補助金等の削減又は合理化を図るものとする。
第39条
【財政構造改革の推進に関する地方公共団体の責務】
地方公共団体は、第4条第1号に掲げる財政構造改革の当面の目標の達成に資するよう、国の財政構造改革の推進に関する施策に呼応し、及び並行して、財政構造改革に努め、その財政の自主的かつ自立的な健全化を図るものとする。
第41条
【地方一般歳出の額の抑制等のための措置】
2
政府は、平成十年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画における地方一般歳出の額が、平成九年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する地方財政計画における地方一般歳出の額を下回るよう、必要な措置を講ずるものとする。
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参照条文