連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律
平成19年6月8日 改正
第2条
【定義】
1
第3条
【給付金の支給】
国は、被害者又はその遺族で、この法律の施行の日(給付金(特別給付金を除く。)の支給原因である事実の生じた日がこの法律の施行の日後であるときは、その支給原因である事実の生じた日とし、特別給付金については連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第 号。以下「一部改正法律」という。)の施行の日とする。)において日本の国籍を有するものに対し、給付金を支給する。ただし、被害者の死亡、負傷又は疾病がその者又は第三者の故意又は重大な過失に起因するものであるときは、この限りでない。
第5条
【他の給付との関係】
1
他の法令の規定により、この法律による給付金(特別給付金を除く。以下この項において同じ。)に相当する給付を受け、若しくは受けることができたとき、又はこの法律による給付金に相当する給付を受けることができるときは、当該給付の支給原因である事実と同一の事実については、当該給付の価額(当該給付が療養給付金に相当するものであるときは、政令で定める金額)の限度において、この法律による給付金を支給しない。ただし、給付金を受けようとする者が、この法律の施行後において、生活保護法の規定により、この法律による給付金に相当する給付を受けることができるときは、この限りでない。
2
この法律による障害給付金、遺族給付金及び打切給付金に相当する他の法令の規定による給付の価額がこの法律による当該給付金の額をこえていることにより、前項の規定によりこの法律による当該給付金の支給を受けなかつたときは、当該こえる金額の限度において、この法律による特別給付金を支給しない。
第7条
【療養給付金の支給】
1
療養給付金は、被害者で連合国占領軍等の行為等により負傷し、又は疾病にかかつたものが、当該負傷又は疾病に関し、この法律の施行前に療養をした場合又はこれに引き続きこの法律の施行後に療養をする場合に支給する。ただし、その療養につき療養給付金に相当する見舞金が支給されている場合であつて、政令で定める期間内に当該負傷又は疾病がなおつているときは、この限りでない。
第8条
【休業給付金の支給】
1
休業給付金は、被害者で連合国占領軍等の行為等により負傷し、又は疾病にかかつたものが、当該負傷又は疾病に関し、この法律の施行前に療養をした場合又はこれに引き続きこの法律の施行後に療養をする場合において、その療養のため業務上の収入を得ることができないときに、その業務上の収入を得ることができない期間につき支給する。
第9条
【障害給付金の支給】
2
障害給付金の額は、別表に定める障害の等級により定めた次の表の金額とする。
障害の等級 | 障害給付金の金額 |
第一級から第三級まで | 二三八、〇〇〇円 |
第四級から第七級まで | 一四七、〇〇〇円 |
第八級から第一〇級まで | 七一、〇〇〇円 |
第一一級から第一四級まで | 二四、〇〇〇円 |
第11条
【遺族の範囲】
1
遺族給付金の支給を受けることができる遺族の範囲は、被害者の死亡の当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子及び父母並びに被害者の死亡の当時においてその者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていた孫、祖父母及び兄弟姉妹とする。ただし、この法律の施行の日前に離縁によつて被害者との親族関係が終了した者を除く。
3
前項の子が、この法律の施行の日後に出生し、かつ、出生によつて日本の国籍を取得したときは、その子は、この法律の施行の日(被害者の死亡の日がこの法律の施行の日後であるときは、その死亡の日)において日本の国籍を有していたものとみなす。
第12条
【遺族の順位等】
1
遺族給付金の支給を受けることができる遺族の順位は、次の各号に掲げる順序による。ただし、父母については、被害者の死亡の当時においてその者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたものを先にし、同順位の父母については、養父母を先にし実父母を後にし、祖父母については、養父母の父母を先にし実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし父母の実父母を後にする。
2
前項の規定により遺族給付金の支給を受けることができる先順位にある遺族が、この法律の施行の日において生死不明であり、かつ、その日以後引き続き二年以上(その者がこの法律の施行の日までに二年以上生死不明であるときは、一年以上)生死不明である場合において、他に同順位にある遺族がないときは、次順位の遺族の請求により、その次順位の遺族(その次順位の遺族と同順位の他の遺族があるときは、そのすべての同順位の遺族)を遺族給付金の支給を受けることができる先順位の遺族とみなすことができる。
第14条
【打切給付金の支給】
1
打切給付金は、第7条の規定により療養給付金の支給を受けることができる被害者でこの法律の施行の際当該負傷又は疾病に関し現に療養中のものが、その療養の開始後、この法律の施行の日までに三年を経過している場合又はこの法律の施行後において三年を経過しても当該負傷又は疾病がなおらない場合に支給することができる。
第14条の3
【特別障害給付金の支給】
2
特別障害給付金の額は、別表に定める障害の等級により定めた次の表の金額とする。
障害の等級 | 特別障害給付金の金額 |
第一級から第三級まで | 一八四、〇〇〇円 |
第四級から第七級まで | 一一三、〇〇〇円 |
第八級から第一〇級まで | 五五、〇〇〇円 |
第一一級から第一四級まで | 一八、〇〇〇円 |
3
第1項に規定する者が、連合国占領軍等の行為等により負傷し、又は疾病にかかつた後に連合国占領軍等の行為等によらないで負傷し、又は疾病にかかつた場合であつても、従前の身体障害の程度のみによつて特別障害給付金を支給するものとする。
4
第1項に規定する者がこの法律の施行前にその身体障害につき障害給付金に相当する見舞金の支給を受け、その金額が障害給付金の額をこえている場合においては、当該こえる金額を特別障害給付金の額から控除した金額を支給する。
第15条
【給付金の支給を受ける権利の受継】
別表
等級 | 身体障害 |
第一級 | 一 両眼が失明したもの 二 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 三 精神に、常時の介護を必要とする程度の障害を残すもの 四 胸腹部臓器の機能に、常時の介護を必要とする程度の障害を残すもの 五 半身不随となつたもの 六 両上肢をひじ関節以上で失つたもの 七 両上肢の用を全く廃したもの 八 両下肢をひざ関節以上で失つたもの 九 両下肢の用を全く廃したもの |
第二級 | 一 一眼が失明し、かつ、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 二 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 三 両上肢を腕関節以上で失つたもの 四 両下肢を足関節以上で失つたもの |
第三級 | 一 一眼が失明し、かつ、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 二 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 三 精神に、終身労務に服することができない程度の障害を残すもの 四 胸腹部臓器の機能に、終身労務に服することができない程度の障害を残すもの 五 両上肢のすべての指を失つたもの |
第四級 | 一 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 二 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 三 鼓膜の全部の欠損その他により、両耳の聴力を全く失つたもの 四 一上肢をひじ関節以上で失つたもの 五 一下肢をひざ関節以上で失つたもの 六 両上肢のすべての指の用を廃したもの 七 両下肢をリスフラン関節以上で失つたもの |
第五級 | 一 一眼が失明し、かつ、他眼の視力が〇・一以下になつたもの 二 一上肢を腕関節以上で失つたもの 三 一下肢を足関節以上で失つたもの 四 一上肢の用を全く廃したもの 五 一下肢の用を全く廃したもの 六 両下肢のすべての足ゆびを失つたもの |
第六級 | 一 両眼の視力が〇・一以下になつたもの 二 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 三 鼓膜の大部分の欠損その他により、両耳の聴力が、耳殼に接しなければ大声を解することができない程度に減じたもの 四 脊柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの 五 一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの 六 一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの 七 一上肢のすべての指又はおや指及びひとさし指をあわせ一上肢の四指を失つたもの |
第七級 | 一 一眼が失明し、かつ、他眼の視力が〇・六以下になつたもの 二 鼓膜の中等度の欠損その他により、両耳の聴力が、四十センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの 三 精神に、軽易な労務以外の労務に服することができない程度の障害を残すもの 四 胸腹部臓器の機能に、軽易な労務以外の労務に服することができない程度の障害を残すもの 五 一上肢のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指若しくはひとさし指をあわせ一上肢の三指以上を失つたもの 六 一上肢のすべての指又はおや指及びひとさし指をあわせ一上肢の四指の用を廃したもの 七 一下肢をリスフラン関節以上で失つたもの 八 両下肢のすべての足ゆびの用を廃したもの 九 女子の外貌に著しい醜状を残すもの 一〇 両側の睾丸を失つたもの |
第八級 | 一 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの 二 脊柱に運動障害を残すもの 三 神経系統の機能に、軽易な労務以外の労務に服することができない程度の障害を残すもの 四 おや指をあわせ一上肢の二指を失つたもの 五 一上肢のおや指及びひとさし指又はおや指若しくはひとさし指をあわせ一上肢の三指以上の用を廃したもの 六 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの 七 一上肢の三大関節のうち、一関節の用を廃したもの 八 一下肢の三大関節のうち、一関節の用を廃したもの 九 一上肢に仮関節を残すもの 一〇 一下肢に仮関節を残すもの 一一 一下肢のすべての足ゆびを失つたもの 一二 脾臓又は一側の腎臓を失つたもの |
第九級 | 一 両眼の視力が〇・六以下になつたもの 二 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの 三 両眼の半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 四 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 五 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 六 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 七 鼓膜の全部の欠損その他により、一耳の聴力を全く失つたもの 八 一上肢のおや指を失つたもの、ひとさし指をあわせ一上肢の二指を失つたもの又はおや指及びひとさし指以外の一上肢の三指を失つたもの 九 おや指をあわせ一上肢の二指の用を廃したもの 一〇 第一足ゆびをあわせ一下肢の二以上の足ゆびを失つたもの 一一 一下肢のすべての足ゆびの用を廃したもの 一二 生殖器に著しい障害を残すもの |
第一〇級 | 一 一眼の視力が〇・一以下になつたもの 二 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 三 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 四 鼓膜の大部分の欠損その他により、一耳の聴力が、耳殼に接しなければ大声を解することができない程度に減じたもの 五 一上肢のひとさし指を失つたもの又はおや指及びひとさし指以外の一上肢の二指を失つたもの 六 一上肢のおや指の用を廃したもの、ひとさし指をあわせ一上肢の二指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の一上肢の三指の用を廃したもの 七 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの 八 一下肢の第一足ゆび又は他の四足ゆびを失つたもの 九 一上肢の三大関節のうち、一関節の機能に著しい障害を残すもの 一〇 一下肢の三大関節のうち、一関節の機能に著しい障害を残すもの |
第一一級 | 一 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 二 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 三 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 四 鼓膜の中等度の欠損その他により、一耳の聴力が、四十センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの 五 脊柱に奇形を残すもの 六 一上肢のなか指又はくすり指を失つたもの 七 一上肢のひとさし指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の一上肢の二指の用を廃したもの 八 第一足ゆびをあわせ一下肢の二以上の足ゆびの用を廃したもの 九 胸腹部臓器に障害を残すもの |
第一二級 | 一 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 二 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 三 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 四 一耳の耳殼の大部分を欠損したもの 五 鎖骨、胸骨、肋骨、肩胛骨又は骨盤骨に著しい奇形を残すもの 六 一上肢の三大関節のうち、一関節の機能に障害を残すもの 七 一下肢の三大関節のうち、一関節の機能に障害を残すもの 八 長管骨に奇形を残すもの 九 一上肢のなか指又はくすり指の用を廃したもの 一〇 一下肢の第二足ゆびを失つたもの、第二足ゆびをあわせ一下肢の二足ゆびを失つたもの又は一下肢の第三足ゆび以下の三足ゆびを失つたもの 一一 一下肢の第一足ゆび又は他の四足ゆびの用を廃したもの 一二 局部にがんこな神経症状を残すもの 一三 男子の外貌に著しい醜状を残すもの 一四 女子の外貌に醜状を残すもの |
第一三級 | 一 一眼の視力が〇・六以下になつたもの 二 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 三 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの 四 一上肢のこ指を失つたもの 五 一上肢のおや指の指骨の一部を失つたもの 六 一上肢のひとさし指の指骨の一部を失つたもの 七 一上肢のひとさし指の末関節を屈伸することができなくなつたもの 八 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの 九 一下肢の第三足ゆび以下の一又は二の足ゆびを失つたもの 一〇 一下肢の第二足ゆびの用を廃したもの、第三足ゆびをあわせ一下肢の二足ゆびの用を廃したもの又は一下肢の第三足ゆび以下の三足ゆびの用を廃したもの |
第一四級 | 一 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの 二 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 三 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 四 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 五 一上肢のこ指の用を廃したもの 六 一上肢のおや指及びひとさし指以外の指の指骨の一部を失つたもの 七 一上肢のおや指及びひとさし指以外の指の末関節を屈伸することができなくなつたもの 八 一下肢の第三足ゆび以下の一又は二の足ゆびの用を廃したもの 九 局部に神経症状を残すもの 一〇 男子の外貌に醜状を残すもの |
附則
昭和37年9月15日
2
この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
3
この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。
附則
昭和42年1月18日
2
国は、被害者(この法律による改正後の連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律(以下「新法」という。)第二条第二項に規定する被害者をいう。以下同じ。)で昭和三十六年十二月二十日前に連合国占領軍等の行為等(新法第二条第一項に規定する連合国占領軍等の行為等をいう。以下同じ。)によらないで死亡したものにつき、当該死亡の日において新法を適用するとしたならば、その者が新法の規定により支給を受けることとなる療養給付金、休業給付金、障害給付金又は特別障害給付金の額に相当する金額の支給金を、その者の遺族でこの法律の施行の日において日本の国籍を有するものに対し、支給する。
3
国は、被害者で昭和三十六年十二月二十日以後この法律の施行の日前に連合国占領軍等の行為等によらないで死亡したものにつき、当該死亡の日において新法を適用するとしたならば、その者が新法の規定により支給を受けることとなる特別障害給付金又は特別打切給付金の額に相当する金額の支給金を、その者の遺族でこの法律の施行の日において日本の国籍を有するものに対し、支給する。
4
新法第四条、第十一条、第十二条、第十五条から第十七条まで及び第二十二条から第二十六条までの規定は、前二項の支給金について準用する。この場合において、新法第十一条及び第十二条中「この法律の施行の日」とあるのは、「連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第 号)の施行の日」と読み替えるものとする。