国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律
平成23年6月24日 改正
第1条
【目的】
この法律は、国際刑事裁判所に関するローマ規程(以下「規程」という。)が定める集団殺害犯罪その他の国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪について、国際刑事裁判所の捜査、裁判及び刑の執行等についての必要な協力に関する手続を定めるとともに、国際刑事裁判所の運営を害する行為についての罰則を定めること等により、規程の的確な実施を確保することを目的とする。
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参照条文
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑦
受刑者証人等移送 規程第93条1及び7の規定による国際刑事裁判所の請求により、証人その他の国際刑事裁判所の手続における関係人(国際刑事裁判所の捜査又は裁判の対象とされる者を除く。)として出頭させることを可能とするため、国内受刑者(日本国において懲役刑若しくは禁錮刑又は国際受刑者移送法第2条第2号に定める共助刑の執行として拘禁されている者をいう。以下同じ。)を移送することをいう。
第4条
【外務大臣の措置】
第6条
【法務大臣の措置】
1
法務大臣は、外務大臣から第4条の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた場合において、次の各号のいずれにも該当しないときは、次項又は第3項に規定する措置をとるものとする。
①
当該協力の請求が国際捜査共助等に関する法律第1条第1号に規定する共助(以下この号及び第39条第1項第2号において「捜査共助」という。)の要請と競合し、かつ、規程の定めるところによりその要請を優先させることができる場合において、当該捜査共助をすることが相当であると認めるとき。
第7条
【国家公安委員会の措置】
国家公安委員会は、前条第2項第2号の書面の送付を受けたときは、相当と認める都道府県警察に対し、関係書類を送付して、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を指示するものとする。
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参照条文
第8条
【協力の実施】
国際捜査共助等に関する法律第7条、第8条、第10条、第12条及び第13条の規定は、第6条第1項の請求による証拠の提供に係る協力について準用する。この場合において、同法第7条第1項中「第5条第1項第1号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第6条第2項第1号」と、同条第2項中「前条」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第7条」と、同条第3項中「第5条第1項第3号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第6条第2項第3号」と、同法第13条中「この法律に特別の定めがある」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第8条において準用する第8条、第10条及び前条に規定する」と読み替えるものとする。
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参照条文
第10条
【処分を終えた場合等の措置】
1
検事正は、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、収集した証拠を送付しなければならない。第6条第2項第3号の国の機関の長が協力に必要な証拠の収集を終えたときも、同様とする。
4
第6条第3項の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者は、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、当該書類又はその謄本を送付しなければならない。ただし、直ちにこれを送付することに支障があると認めるときは、速やかに、法務大臣に対し、その旨を通知しなければならない。
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参照条文
第18条
【国内受刑者の引渡しに関する措置等】
3
第1項に規定する命令を受けた刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員は、速やかに、国内受刑者を国際刑事裁判所の指定する場所に護送し、国際刑事裁判所の指定する者であって受領許可証を有するものに対し、当該国内受刑者を引き渡さなければならない。
4
国際捜査共助等に関する法律第21条及び第22条の規定は、前項の規定による国際刑事裁判所の指定する者に対する引渡しに係る国内受刑者について準用する。この場合において、同法第21条中「受刑者証人移送」とあるのは、「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第2条第7号に規定する受刑者証人等移送」と読み替えるものとする。
第19条
【引渡犯罪人の引渡しの要件】
1
2
引渡犯罪人の引渡しは、引渡犯罪が規程第70条1に規定する犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
②
引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われ、又は引渡犯罪に係る裁判が日本国の裁判所において行われたとした場合において、日本国の法令により引渡犯罪人に刑罰を科し、又はこれを執行することができないと認められるとき。
第20条
【法務大臣の措置】
1
法務大臣は、外務大臣から第4条の規定により引渡犯罪人の引渡しに係る協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、東京高等検察庁検事長に対し、関係書類を送付して、引渡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて東京高等裁判所に審査の請求をすべき旨を命ずるものとする。
②
当該協力の請求が逃亡犯罪人引渡法第3条に規定する逃亡犯罪人の引渡しの請求又は同法第23条第1項に規定する犯罪人を仮に拘禁することの請求と競合し、かつ、規程の定めるところによりこれらの請求を優先させることができる場合において、当該逃亡犯罪人の引渡し又は犯罪人を仮に拘禁することが相当であると認めるとき。
第21条
【引渡犯罪人の拘禁】
1
東京高等検察庁検事長は、前条第1項の規定による命令を受けたときは、引渡犯罪人が仮拘禁許可状により拘禁され、又は仮拘禁許可状による拘禁を停止されている場合を除き、東京高等検察庁の検察官をして、東京高等裁判所の裁判官があらかじめ発する拘禁許可状により、引渡犯罪人を拘禁させなければならない。
第22条
【審査の請求】
1
東京高等検察庁の検察官は、第20条第1項の規定による命令があったときは、引渡犯罪人の現在地が分からない場合を除き、速やかに、東京高等裁判所に対し、引渡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。
第23条
【東京高等裁判所の審査】
2
逃亡犯罪人引渡法第9条の規定は前条第1項の審査の請求に係る東京高等裁判所の審査について、同法第10条第2項及び第3項の規定は前項の決定について、同法第11条の規定は第20条第1項の規定による命令の取消しについて、同法第12条の規定は引渡犯罪人の釈放について、同法第13条の規定は当該審査に係る裁判書の謄本について、それぞれ準用する。この場合において、同法第9条第3項ただし書中「次条第1項第1号又は第2号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第1項第1号又は第3号」と、同法第11条第1項中「第3条の」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第4条の」と、「請求国」とあるのは「国際刑事裁判所」と、「受け、又は第3条第2号に該当するに至つた」とあるのは「受けた」と、同条第2項中「第4条第1項の」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第20条第1項の」と、「第4条第1項各号」とあるのは「同条第1項各号」と、「第8条第3項」とあるのは「同法第22条第2項において準用する第8条第3項」と、同法第12条中「第10条第1項第1号若しくは第2号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第1項第1号若しくは第3号」と読み替えるものとする。
第24条
【審査手続の停止】
1
東京高等裁判所は、前条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第9条の審査において、引渡犯罪人から、引渡犯罪に係る事件が外国の裁判所に係属すること又は当該事件について外国の裁判所において確定判決を経たことを理由として、当該引渡犯罪人の引渡しが認められない旨の申立てがされた場合には、国際刑事裁判所において当該事件につき規程第17条1の規定により事件を受理するかどうかが決定されるまでの間、決定をもって、審査の手続を停止することができる。
5
東京高等検察庁の検察官は、第1項の規定により審査の手続が停止された場合において、必要と認めるときは、引渡犯罪人の拘禁の停止をすることができる。この場合において、必要と認めるときは、当該引渡犯罪人を親族その他の者に委託し、又は当該引渡犯罪人の住居を制限するものとする。
8
第1項の規定により審査の手続が停止された場合における前条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第9条第1項の規定の適用については、同項中「二箇月」とあるのは、「二箇月(国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第24条第1項の規定により審査の手続が停止された期間を除く。)」とする。
第25条
【引渡犯罪人の引渡しに関する法務大臣の命令等】
1
法務大臣は、第23条第1項第2号の決定があった場合において、第20条第1項第2号から第5号までのいずれにも該当しないと認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し引渡犯罪人の引渡しを命ずるとともに、引渡犯罪人にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該引渡犯罪人が拘禁許可状により拘禁されているときは、その引渡しの命令は、当該決定があった日から十日以内にしなければならない。
2
法務大臣は、前項に規定する決定があった場合において、第20条第1項第2号又は第3号のいずれかに該当すると認めるときは、直ちに東京高等検察庁検事長及び引渡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の釈放を命じなければならない。
4
法務大臣は、第1項に規定する決定があった場合において、第20条第1項第4号又は第5号のいずれかに該当すると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し、その旨を通知するとともに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をするよう命じなければならない。
第26条
【引渡犯罪人の引渡しの命令の延期】
2
法務大臣は、前項の規定により引渡犯罪人の引渡しの命令を延期するときは、東京高等検察庁検事長に対し、その旨を通知するとともに、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の拘禁の停止をするよう命じなければならない。
第27条
【拘禁が困難な場合における拘禁の停止及びその取消し】
1
東京高等検察庁の検察官は、拘禁許可状により拘禁されている引渡犯罪人の申立てにより又は職権で、拘禁によって著しく引渡犯罪人の健康を害するおそれがあるときその他拘禁を継続することが困難であると認めるときは、当該引渡犯罪人の拘禁の停止をすることができる。
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参照条文
第31条
【引渡犯罪人の引渡しに関する措置】
1
逃亡犯罪人引渡法第16条第1項から第3項まで、第17条第1項、第18条及び第19条の規定は、第25条第1項の規定による引渡しの命令に係る引渡犯罪人の引渡しについて準用する。この場合において、同法第18条中「前条第5項又は第22条第6項の規定による報告」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第25条第8項、第26条第6項又は第27条第8項において準用する第22条第6項の規定による報告(同法第27条第8項において準用する場合にあっては、同法第25条第1項の規定による引渡しの命令があった後に拘禁の停止の取消しがされた場合における報告に限る。)」と、同法第19条中「請求国」とあるのは「国際刑事裁判所」と読み替えるものとする。
2
前項において準用する逃亡犯罪人引渡法第16条第1項の引渡状及び同条第3項の受領許可状には、引渡犯罪人の氏名、引渡犯罪名、引渡しの場所、引渡しの期限及び発付の年月日並びに国際刑事裁判所の言い渡した拘禁刑の執行中に逃亡した引渡犯罪人の引渡しにあっては国際刑事裁判所が引渡先として指定する外国の名称を記載し、法務大臣が記名押印しなければならない。
第32条
前条第1項において準用する逃亡犯罪人引渡法第17条第1項の規定による指揮を受けた刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員は、引渡犯罪人を、引渡状に記載された引渡しの場所に護送し、国際刑事裁判所の指定する者であって受領許可状を有するものに引き渡さなければならない。
第34条
【仮拘禁の命令】
法務大臣は、外務大臣から第4条の規定により仮拘禁に係る協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、第20条第1項各号(第1号については、第19条第1項第3号に係る部分を除く。)のいずれかに該当すると認める場合を除き、東京高等検察庁検事長に対し、仮拘禁をすべき旨を命じなければならない。
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参照条文
第35条
【仮拘禁に関する措置】
2
逃亡犯罪人引渡法第5条第2項及び第3項、第6条並びに第7条の規定は前項の仮拘禁許可状による仮拘禁犯罪人の拘禁について、同法第26条の規定は仮拘禁許可状により拘禁されている仮拘禁犯罪人の釈放について、同法第27条の規定は仮拘禁許可状が発せられている仮拘禁犯罪人について第20条第1項の規定による命令があった場合について、同法第28条の規定は前条に規定する書面の送付があった後に国際刑事裁判所から仮拘禁犯罪人の引渡しの請求をしない旨の通知があった場合について、同法第29条の規定は仮拘禁許可状により拘禁されている仮拘禁犯罪人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第5条第3項中「請求国の名称、有効期間」とあるのは「有効期間」と、同法第26条第1項中「第3条の規定による引渡しの請求に関する」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第20条第1項に規定する」と、「第4条第1項各号」とあるのは「同項各号」と、同法第27条第3項中「第8条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第22条第2項において準用する第8条第1項後段」と、同法第29条中「拘束された日から二箇月(引渡条約に二箇月より短い期間の定めがあるときは、その期間)」とあるのは「拘束された日の翌日から六十日」と読み替えるものとする。
3
東京高等検察庁の検察官は、仮拘禁許可状により拘禁されている仮拘禁犯罪人の申立てにより又は職権で、拘禁によって著しく仮拘禁犯罪人の健康を害するおそれがあるときその他拘禁の継続が困難であると認めるときは、当該仮拘禁犯罪人の拘禁の停止をすることができる。
5
第3項の規定により仮拘禁許可状による拘禁の停止があった場合において、仮拘禁犯罪人に対し第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第27条第1項の規定による告知がされたときは、当該仮拘禁許可状による拘禁の停止は、第27条第1項の規定による拘禁の停止とみなす。
第38条
【執行協力の要件】
1
執行協力は、請求犯罪が重大犯罪である場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを行うことができる。
①
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき。ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第17条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は公判手続を開始しているときは、この限りでない。
②
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪に係る事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。ただし、当該事件について、国際刑事裁判所において、規程第17条1の規定により事件を受理する旨の決定をし、又は有罪の判決の言渡しをしているときは、この限りでない。
③
没収刑のための保全に係る執行協力については、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき(当該請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産である場合には、その者又はその一般承継人に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないときを除く。)。
第39条
【法務大臣の措置】
1
法務大臣は、外務大臣から第4条の規定により執行協力の請求に関する書面の送付を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、相当と認める地方検察庁の検事正に対し、関係書類を送付して、執行協力に必要な措置をとるよう命ずるものとする。
②
執行協力の請求が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第59条第1項の規定による共助、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律第21条の規定による共助又は捜査共助の要請と競合し、かつ、規程の定めるところによりその要請を優先させることができる場合において、当該要請に係る措置をとることが相当であると認めるとき。
第40条
【検事正の措置及び審査の請求】
2
前項の検察官は、執行協力の請求が罰金刑、没収刑又は被害回復命令の確定裁判の執行に係るものであるときは、裁判所に対し、執行協力をすることができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。この場合において、当該請求が被害回復命令の確定裁判の執行に係るものであるときは、当該被害回復命令の内容及び性質を考慮し、これが日本国の法令によれば没収又は追徴の確定裁判のいずれに相当するかについて、意見を付さなければならない。
第41条
【裁判所の審査等】
2
裁判所は、被害回復命令の確定裁判に係る執行協力の請求について、前項第2号に定める決定をするときは、当該被害回復命令の内容及び性質に応じ、当該確定裁判が日本国の法令によれば没収又は追徴の確定裁判のいずれに相当するかを示さなければならない。
4
裁判所は、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、第1項第2号に定める決定をする場合において、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば当該請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるとき(当該請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産である場合には、その者又はその一般承継人に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるときを除く。)は、その旨及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
5
裁判所は、被害回復命令の確定裁判に係る執行協力の請求について、第1項第2号に定める決定をする場合(第2項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときに限る。)において、請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば当該請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるとき(当該請求に係る財産が、重大犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であって、被害回復命令によりその者又はその一般承継人に返還すべきものである場合には、それらの者に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるときを除く。)は、その旨及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。
6
裁判所は、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、第1項第2号に定める決定をする場合において、当該確定裁判に係る目的とされている財産を有し又はその財産の上に地上権、抵当権その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該確定裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認めるときは、その旨及び当該確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、同号に定める決定をする場合(第2項の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨を示すべきときに限る。)においても、同様とする。
7
前条第2項の規定による審査に関しては、没収刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、当該請求に係る財産を有し若しくはその財産の上に地上権、抵当権その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者又はこれらの財産若しくは権利について没収刑のための保全がされる前に強制競売の開始決定、強制執行による差押え若しくは仮差押えの執行がされている場合における差押債権者若しくは仮差押債権者が、当該審査請求事件の手続への参加を許されていないときは、第1項第2号に定める決定をすることができない。被害回復命令の確定裁判であってその内容及び性質を考慮して日本国の法令によれば没収の確定裁判に相当すると認めるものに係る同号に定める決定についても、同様とする。
⊟
参照条文
第42条
【執行協力の実施に関する決定の効力等】
1
次の各号に掲げる確定裁判の執行に係る執行協力の請求について、前条第1項第2号に定める決定が確定したときは、当該確定裁判は、執行協力の実施に関しては、それぞれ、当該各号に定める日本国の裁判所が言い渡した確定裁判とみなす。
3
検察官は、第1項第2号に掲げる確定裁判についての執行協力の実施に係る財産で、国際刑事裁判所への送付に適さないものについては、これを売却することができる。この場合において、その代価は、当該確定裁判についての執行協力の実施に係る財産とみなす。
5
組織的犯罪処罰法第65条の規定は、第1項に規定する執行協力の請求に係る前条第1項第2号に定める決定の取消しについて準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第65条第2項中「没収」とあるのは「罰金、没収」と、同条第3項中「第63条」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第41条第8項において準用する第63条」と読み替えるものとする。
⊟
参照条文
第43条
【没収保全の請求】
第44条
【没収保全命令】
2
裁判所又は裁判官は、地上権、抵当権その他の権利がその上に存在する財産について没収保全命令を発した場合又は発しようとする場合において、当該権利が没収刑の執行によって消滅すると思料するに足りる相当な理由がある場合であってその執行のため必要があると認めるとき、又は当該権利が仮装のものであると思料するに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官の請求により、附帯保全命令を別に発して、当該権利の処分を禁止することができる。
3
組織的犯罪処罰法第22条第3項、第4項及び第6項並びに第23条第6項の規定は、第1項の没収保全命令又は前項の附帯保全命令について準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第22条第3項中「被告人」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第2条第10号に規定する没収刑又は被害回復命令の裁判を受けるべき者」と、「公訴事実」とあるのは「同条第12号に規定する請求犯罪」と、同条第4項中「第1項若しくは第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第44条第1項若しくは第2項」と、組織的犯罪処罰法第23条第6項中「第1項又は第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第43条第1項」と読み替えるものとする。
5
組織的犯罪処罰法第23条第7項及び第68条の規定は、前項の場合における没収保全命令について準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第23条第7項中「公訴の提起があった」とあるのは「国際刑事裁判所に関するローマ規程第61条1に規定する審理が開始された」と、「被告人」とあるのは「当該審理の対象とされる者」と、組織的犯罪処罰法第68条第1項中「没収又は追徴のための保全の共助の要請が公訴の提起されていない」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第2条第10号に規定する没収刑又は被害回復命令のための保全に係る同号に規定する執行協力の請求が国際刑事裁判所に関するローマ規程第61条1に規定する審理が開始されていない」と、「要請国」とあるのは「国際刑事裁判所」と、「公訴が提起された」とあるのは「当該審理が開始された」と、同条第2項中「要請国」とあるのは「国際刑事裁判所」と、「公訴を提起できない」とあるのは「国際刑事裁判所に関するローマ規程第61条1に規定する審理を行うことができない」と読み替えるものとする。
⊟
参照条文
第45条
【追徴保全の請求】
1
検察官は、執行協力の請求が、被害回復命令のための保全に係るものであってその内容及び性質を考慮して日本国の法令によれば追徴の保全に相当するものであると認めるときは、裁判官に、追徴保全命令を発して被害回復命令の裁判を受けるべき者に対しその財産の処分を禁止することを請求しなければならない。
⊟
参照条文
第46条
【追徴保全命令】
2
組織的犯罪処罰法第22条第4項、第23条第6項及び第42条第2項から第4項までの規定は、前項の追徴保全命令について準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第22条第4項中「第1項若しくは第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第46条第1項」と、組織的犯罪処罰法第23条第6項中「第1項又は第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第45条第1項」と、組織的犯罪処罰法第42条第3項及び第4項中「被告人」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第2条第10号に規定する被害回復命令の裁判を受けるべき者」と、同項中「公訴事実」とあるのは「同条第12号に規定する請求犯罪」と読み替えるものとする。
第47条
【準用】
この節に特別の定めがあるもののほか、裁判所若しくは裁判官のする審査、処分若しくは令状の発付、検察官若しくは検察事務官のする処分又は裁判所の審査への利害関係人の参加については組織的犯罪処罰法第3章、第4章(第22条、第23条、第32条、第33条、第42条、第43条、第47条及び第48条を除く。)及び第69条から第72条まで、刑事訴訟法(第1編第2章及び第5章から第13章まで、第2編第1章、第3編第1章及び第4章並びに第7編に限る。)、刑事訴訟費用に関する法令並びに刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法の規定を、執行協力の請求を受理した場合における措置については逃亡犯罪人引渡法第8条第2項並びに第11条第1項及び第2項の規定を、それぞれその性質に反しない限り、準用する。
第50条
【護送中の着陸があった場合の措置】
1
警察官又は入国警備官は、外国官憲等が護送(前条の規定による承認を受けた通過護送を除く。)中の引渡対象者が搭乗する航空機が天候その他やむを得ない理由により日本国内に着陸した場合において、当該引渡対象者を発見したときは、外国官憲等に引き渡すため、これを拘束することができる。
第52条
2
国際捜査共助等に関する法律第18条第3項から第8項までの規定は、前項に規定する請求に係る措置について準用する。この場合において、同条第4項中「同項第2号」とあり、及び同条第7項中「第1項第2号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第52条第1項第2号」と、同条第6項中「第1項第1号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第52条第1項第1号」と読み替えるものとする。
第54条
【証人等威迫】
自己若しくは他人の管轄刑事事件の捜査若しくは裁判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、その事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
⊟
参照条文
第58条
【収賄、受託収賄及び事前収賄】
1
国際刑事裁判所の裁判官、検察官その他の職員(以下「国際刑事裁判所職員」という。)が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
⊟
参照条文
第60条
【加重収賄及び事後収賄】
2
国際刑事裁判所職員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
第61条
【あっせん収賄】