行政事件訴訟法
平成23年8月10日 改正
第3条
【抗告訴訟】
3
この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
5
この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
7
この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
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参照条文
第37条の2 第37条の3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第21条 漁業法第135条の3 国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律第5条 警察法第80条 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第36条 国税通則法第116条 昭和二十二年法律第五十四号(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第78条 第85条 第88条 政治資金規正法第19条の16 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第56条 地方公務員法第8条の2 地方自治法第96条 地方税法第19条の14 第434条の2 逃亡犯罪人引渡法第35条 土地収用法第58条の2 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第21条 農業委員会等に関する法律第32条 郵政民営化法施行令第25条 労働委員会規則第46条 労働組合法第27条の23
第8条
【処分の取消しの訴えと審査請求との関係】
1
処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
3
第1項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
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参照条文
第9条
【原告適格】
1
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2
裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
第12条
【管轄】
4
国又は独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。
第13条
【関連請求に係る訴訟の移送】
第14条
【出訴期間】
第16条
【請求の客観的併合】
2
前項の規定により訴えを併合する場合において、取消訴訟の第一審裁判所が高等裁判所であるときは、関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならない。被告が異議を述べないで、本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、同意したものとみなす。
第18条
【第三者による請求の追加的併合】
第三者は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、その訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。
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参照条文
第19条
【原告による請求の追加的併合】
1
原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。
第21条
【国又は公共団体に対する請求への訴えの変更】
1
裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる。
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参照条文
第23条
【行政庁の訴訟参加】
第25条
【執行停止】
第31条
【特別の事情による請求の棄却】
第33条
2
申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
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参照条文
第34条
【第三者の再審の訴え】
第36条
【無効等確認の訴えの原告適格】
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
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参照条文
第37条の2
【義務付けの訴えの要件等】
1
第3条第6項第1号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
第37条の3
7
第1項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
第37条の5
【仮の義務付け及び仮の差止め】
1
義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
第39条
【出訴の通知】
第45条
【処分の効力等を争点とする訴訟】
2
前項の規定により行政庁が訴訟に参加した場合には、民事訴訟法第45条第1項及び第2項の規定を準用する。ただし、攻撃又は防御の方法は、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関するものに限り、提出することができる。
第46条
【取消訴訟等の提起に関する事項の教示】
2
行政庁は、法律に処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる旨の定めがある場合において、当該処分をするときは、当該処分の相手方に対し、法律にその定めがある旨を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
別表
【第十二条関係】
名称 | 根拠法 |
沖縄科学技術大学院大学学園 | 沖縄科学技術大学院大学学園法 |
沖縄振興開発金融公庫 | 沖縄振興開発金融公庫法 |
株式会社国際協力銀行 | 株式会社国際協力銀行法 |
株式会社日本政策金融公庫 | 株式会社日本政策金融公庫法 |
原子力損害賠償支援機構 | 原子力損害賠償支援機構法 |
国立大学法人 | 国立大学法人法 |
新関西国際空港株式会社 | 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律 |
大学共同利用機関法人 | 国立大学法人法 |
日本銀行 | 日本銀行法 |
日本司法支援センター | 総合法律支援法 |
日本私立学校振興・共済事業団 | 日本私立学校振興・共済事業団法 |
日本中央競馬会 | 日本中央競馬会法 |
日本年金機構 | 日本年金機構法 |
農水産業協同組合貯金保険機構 | 農水産業協同組合貯金保険法 |
放送大学学園 | 放送大学学園法 |
預金保険機構 | 預金保険法 |
附則
平成16年6月9日
第2条
(経過措置に関する原則)
第3条
(被告適格に関する経過措置)
この法律の施行の際現に係属している抗告訴訟(この法律による改正後の行政事件訴訟法(以下「新法」という。)第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。)並びに民衆訴訟(新法第五条に規定する民衆訴訟をいう。)及び機関訴訟(新法第六条に規定する機関訴訟をいう。)のうち処分(新法第三条第二項に規定する処分をいう。以下同じ。)又は裁決(同条第三項に規定する裁決をいう。以下同じ。)の取消し又は無効の確認を求めるものの被告適格に関しては、新法第十一条、第二十三条第一項及び第三十三条第一項(これらの規定を新法第三十八条第一項(新法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)又は新法第四十三条第一項において準用する場合を含む。)並びに附則第十八条の規定による改正後の地方税法第十九条の十四第一項、附則第三十六条の規定による改正後の国税通則法第百十六条第一項、附則第四十三条の規定による改正後のたばこ事業法附則第二十三条及び附則第四十四条の規定による改正後の塩事業法附則第三十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則
平成17年10月21日
第61条
(行政事件訴訟法の一部改正に伴う経過措置)
第117条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為、この附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為、この法律の施行後附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便為替法第三十八条の八(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替法第七十条(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第二十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替預り金寄附委託法第八条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第三十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第四十二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十一条及び第七十二条(第十五号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為並びに附則第二条第二項の規定の適用がある場合における郵政民営化法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成19年6月13日
第43条
(行政事件訴訟法の一部改正に伴う経過措置)
第66条
(検討)
政府は、附則第一条第三号に定める日までに、電気事業会社の日本政策投資銀行からの借入金の担保に関する法律、石油の備蓄の確保等に関する法律、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律、民間都市開発の推進に関する特別措置法、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律その他の法律(法律に基づく命令を含む。)の規定により政投銀の投融資機能が活用されている制度について、当該制度の利用者の利便にも配慮しつつ、他の事業者との対等な競争条件を確保するための措置を検討し、その検討の結果を踏まえ、所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成19年7月6日
第73条
(処分、申請等に関する経過措置)
1
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下同じ。)の施行前に法令の規定により社会保険庁長官、地方社会保険事務局長又は社会保険事務所長(以下「社会保険庁長官等」という。)がした裁定、承認、指定、認可その他の処分又は通知その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律の施行後の法令の相当規定に基づいて、厚生労働大臣、地方厚生局長若しくは地方厚生支局長又は機構(以下「厚生労働大臣等」という。)がした裁定、承認、指定、認可その他の処分又は通知その他の行為とみなす。
2
この法律の施行の際現に法令の規定により社会保険庁長官等に対してされている申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律の施行後の法令の相当規定に基づいて、厚生労働大臣等に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。
第74条
(罰則に関する経過措置)