第1条
【目的】
1
この法律は、工賃の最低額、安全及び衛生その他家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とする。
2
この法律で定める家内労働者の労働条件の基準は最低のものであるから、委託者及び家内労働者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
第2条
【定義】
1
この法律で「委託」とは、次に掲げる行為をいう。
①
他人に物品を提供して、その物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品の製造又はその物品の加工、改造、修理、浄洗、選別、包装若しくは解体(以下「加工等」という。)を委託すること。
②
他人に物品を売り渡して、その者がその物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品を製造した場合又はその物品の加工等をした場合にその製造又は加工等に係る物品を買い受けることを約すること。
2
この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。
3
この法律で「委託者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他
前項の厚生労働省令で定める者であつて、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について家内労働者に委託をするものをいう。
4
この法律で「補助者」とは、家内労働者の同居の親族であつて、当該家内労働者の従事する業務を補助する者をいう。
5
この法律で「工賃」とは、次に掲げるものをいう。
①
第1項第1号に掲げる行為に係る委託をする場合において物品の製造又は加工等の対償として委託者が家内労働者に支払うもの
②
第1項第2号に掲げる行為に係る委託をする場合において
同号の物品の買受けについて委託者が家内労働者に支払うものの価額と
同号の物品の売渡しについて家内労働者が委託者に支払うものの価額との差額
6
この法律で「労働者」とは、
労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
第3条
【家内労働手帳】
1
委託者は、委託をするにあたつては、家内労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、家内労働手帳を交付しなければならない。
2
委託者は、委託をするつど委託をした業務の内容、工賃の単価、工賃の支払期日その他厚生労働省令で定める事項を、製造又は加工等に係る物品を受領するつど受領した物品の数量その他厚生労働省令で定める事項を、工賃を支払うつど支払つた工賃の額その他厚生労働省令で定める事項を、それぞれ家内労働手帳に記入しなければならない。
3
前二項に規定するもののほか、家内労働手帳に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第4条
【就業時間】
1
委託者又は家内労働者は、当該家内労働者が業務に従事する場所の周辺地域において同一又は類似の業務に従事する労働者の通常の労働時間をこえて当該家内労働者及び補助者が業務に従事することとなるような委託をし、又は委託を受けることがないように努めなければならない。
2
都道府県労働局長は、必要があると認めるときは、都道府県労働局に置かれる政令で定める審議会の意見を聴いて、一定の地域内において一定の業務に従事する家内労働者及びこれに委託をする委託者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、当該家内労働者及び補助者が業務に従事する時間の適正化を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
第5条
【委託の打切りの予告】
六月をこえて継続的に同一の家内労働者に委託をしている委託者は、当該家内労働者に引き続いて継続的に委託をすることを打ち切ろうとするときは、遅滞なく、その旨を当該家内労働者に予告するように努めなければならない。
第6条
【工賃の支払】
1
工賃は、厚生労働省令で定める場合を除き、家内労働者に、通貨でその全額を支払わなければならない。
2
工賃は、厚生労働省令で定める場合を除き、委託者が家内労働者の製造又は加工等に係る物品についての検査(以下「検査」という。)をするかどうかを問わず、委託者が家内労働者から当該物品を受領した日から起算して一月以内に支払わなければならない。ただし、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合は、この限りでない。この場合においては、委託者が検査をするかどうかを問わず、当該工賃締切日までに受領した当該物品に係る工賃を、その日から一月以内に支払わなければならない。
第7条
【工賃の支払場所等】
委託者は、家内労働者から申出のあつた場合その他特別の事情がある場合を除き、工賃の支払及び物品の受渡しを家内労働者が業務に従事する場所において行なうように努めなければならない。
第8条
【最低工賃】
1
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域内において一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認めるときは、労働政策審議会又は都道府県労働局に置かれる政令で定める審議会(以下「審議会」と総称する。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、当該業務に従事する家内労働者及びこれに委託をする委託者に適用される最低工賃を決定することができる。
2
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
前項の審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、審議会に再審議を求めなければならない。
第9条
【審議会の意見に関する異議の申出】
1
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
前条第1項の審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
2
前条第1項の審議会の意見に係る家内労働者又は委託者は、
前項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。
3
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
前項の規定による申出があつたときは、その申出について、審議会に意見を求めなければならない。
4
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
第1項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日を経過する日までの間は、
前条第1項の規定による決定をすることができない。
第2項の規定による申出があつた場合において、
前項の審議会の意見が提出されるまでの間についても、同様とする。
5
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
前条第1項の規定による決定をする場合において、
第2項の規定による申出があつたときは、
第3項の審議会の意見に基づき、当該最低工賃において、一定の範囲の業務について、その適用を一定の期間を限つて猶予し、又は最低工賃額(最低工賃において定める工賃の額をいう。以下同じ。)について別段の定めをすることができる。
第10条
【最低工賃の改正等】
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低工賃について必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をすることができる。
第11条
【最低工賃の決定等に関する関係家内労働者又は関係委託者の意見の聴取等】
1
審議会は、最低工賃の決定又はその改正若しくは廃止の決定について調査審議を行なう場合には、厚生労働省令で定めるところにより、関係家内労働者及び関係委託者の意見をきくものとする。
2
家内労働者又は委託者の全部又は一部を代表する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、当該家内労働者若しくは委託者に適用される最低工賃の決定又は当該家内労働者若しくは委託者に現に適用されている最低工賃の改正若しくは廃止の決定をするよう申し出ることができる。
3
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、
前項の規定による申出があつた場合において必要があると認めるときは、その申出について審議会に意見を求めるものとする。
第12条
【公示及び発効】
1
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低工賃に関する決定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、決定した事項を公示しなければならない。
2
最低工賃の決定及びその改正の決定は、
前項の規定による公示の日から起算して三十日を経過した日(公示の日から起算して三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、最低工賃の廃止の決定は、
同項の規定による公示の日(公示の日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、その効力を生ずる。
第13条
【最低工賃額等】
1
最低工賃は、当該最低工賃に係る一定の地域と同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金(
最低賃金法の規定による最低賃金をいう。以下同じ。)(当該同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金が決定されていない場合には、当該労働者の賃金(
労働基準法第11条に規定する賃金をいう。))との均衡を考慮して定められなければならない。
2
最低工賃額は、家内労働者の製造又は加工等に係る物品の一定の単位によつて定めるものとする。
第14条
【最低工賃の効力】
委託者は、最低工賃の適用を受ける家内労働者に対し、その最低工賃額以上の工賃を支払わなければならない。
第15条
【最低工賃に関する職権等】
1
第8条第1項及び
第10条に規定する厚生労働大臣又は都道府県労働局長の職権は、二以上の都道府県労働局の管轄区域にわたる事案及び一の都道府県労働局の管轄区域内のみに係る事案であつて厚生労働大臣が全国的に関連があると認めて指定するものについては、厚生労働大臣が行い、一の都道府県労働局の管轄区域内のみに係る事案(厚生労働大臣の職権に属する事案を除く。)については、当該都道府県労働局長が行う。
2
厚生労働大臣は、都道府県労働局長が決定した最低工賃が著しく不適当となつたと認めるときは、労働政策審議会の調査審議を求め、その意見を聴いて、当該最低工賃の改正又は廃止の決定をすべきことを都道府県労働局長に命ずることができる。
3
第8条第2項の規定は、
前項の労働政策審議会の意見の提出があつた場合について準用する。
第16条
【工賃及び最低工賃に関する規定の効力】
第6条又は
第14条の規定に違反する工賃の支払を定める委託に関する契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、これらの規定に定める基準による。
第17条
【安全及び衛生に関する措置】
1
委託者は、委託に係る業務に関し、機械、器具その他の設備又は原材料その他の物品を家内労働者に譲渡し、貸与し、又は提供するときは、これらによる危害を防止するため、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
2
家内労働者は、機械、器具その他の設備若しくは原材料その他の物品又はガス、蒸気、粉じん等による危害を防止するため、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
3
補助者は、
前項に規定する危害を防止するため、厚生労働省令で定める事項を守らなければならない。
第18条
【安全及び衛生に関する行政措置】
都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、委託者又は家内労働者が
前条第1項又は
第2項の措置を講じない場合には、委託者又は家内労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、委託をし、若しくは委託を受けることを禁止し、又は機械、器具その他の設備若しくは原材料その他の物品の全部若しくは一部の使用の停止その他必要な措置を執ることを命ずることができる。
第21条
【専門部会等】
1
審議会は、最低工賃の決定又はその改正の決定について調査審議を求められたときは、専門部会を置かなければならない。
2
前項の専門部会は、政令で定めるところにより、関係家内労働者を代表する委員、関係委託者を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもつて組織する。
第23条
【関係家内労働者及び関係委託者等の意見聴取】
審議会は、この法律に別段の定めがある場合のほか、審議に際し必要と認める場合には、関係家内労働者、関係委託者その他の関係者の意見を聴くものとする。
第24条
【政令への委任】
この法律に規定するもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
第25条
【援助】
国又は地方公共団体は、家内労働者及び委託者に対し、資料の提供、技術の指導、施設に関する便宜の供与その他この法律の目的を達成するために必要な援助を行なうように努めなければならない。
第26条
【届出】
委託者は、厚生労働省令で定めるところにより、委託に係る家内労働者の数及び業務の内容その他必要な事項を都道府県労働局長に届け出なければならない。
第27条
【帳簿の備付け】
委託者は、厚生労働省令で定めるところにより、委託に係る家内労働者の氏名、当該家内労働者に支払う工賃の額その他の事項を記入した帳簿をその営業所に備え付けて置かなければならない。
第28条
【報告等】
厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、委託者又は家内労働者に対し、工賃に関する事項その他必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
第29条
【労働基準監督署長及び労働基準監督官】
労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。
第30条
【労働基準監督官の権限】
1
労働基準監督官は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、委託者の営業所又は家内労働者が業務に従事する場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは関係者に質問し、又は試験のため必要な最少限度の分量に限り、家内労働者及び補助者に危害を与える物若しくはその疑いのある物であつて厚生労働省令で定めるものを収去することができる。
2
前項の規定による立入検査等をする労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3
第1項の規定による立入検査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第31条
労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、
刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行なう。
第32条
【申告】
1
委託者に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実がある場合には、家内労働者又は補助者は、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告することができる。
2
委託者は、
前項の規定による申告をしたことを理由として、家内労働者に対して工賃の引下げその他不利益な取扱いをしてはならない。
3
委託者が家内労働者に対して
前項の規定に違反する取扱いをした場合には、都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、当該委託者に対し、その取扱いの是正を命ずることができる。
第33条
第18条の規定による委託をすることを禁止する命令に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第34条
第14条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。
第35条
次の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
③
第18条の規定による命令(委託をすることを禁止する命令を除く。)又は
第32条第3項の規定による命令に違反した者
④
第26条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
⑤
第27条の規定による帳簿の備付けをせず、又は
同条の帳簿に虚偽の記入をした者
⑥
第28条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
⑦
第30条第1項の規定による立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第36条
【両罰規定】
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附則
第1条
(施行期日)
この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において、各規定につき、政令で定める。
第2条
(工賃の支払に関する経過措置)
1
厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、厚生労働省令で定めるところにより、一定の地域内において一定の業務に従事する家内労働者に委託をする委託者のうち、第六条の規定による工賃の支払をすることが著しく困難であると認められる者であつて厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を代表する者から申請があつた場合には、審議会の意見を聴いて、当該申請に係る委託者につき、当分の間、工賃の支払に関し守るべき事項について、別段の定めをすることができる。この場合においては、当該委託者は、同条の規定にかかわらず、当該別段の定めにより工賃を支払うことができる。
2
第十五条第一項の規定は、前項に規定する厚生労働大臣又は都道府県労働局長の職権について準用する。
3
第一項の申請があつた場合における当該申請に係る委託者については、次に掲げる日までの間は、第六条の規定は、適用しない。
第3条
前条第一項の別段の定めに係る委託者に関する第十六条の規定の適用については、同条中「第六条」とあるのは「附則第二条第一項の別段の定め」と、「これらの規定」とあるのは「当該別段の定め又は同条の規定」とする。
附則
昭和60年6月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、昭和六十一年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則
平成11年7月16日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第122条
(新地方自治法第百五十六条第四項の適用の特例)
第三百七十五条の規定による改正後の労働省設置法の規定による都道府県労働局(以下「都道府県労働局」という。)であって、この法律の施行の際第三百七十五条の規定による改正前の労働省設置法の規定による都道府県労働基準局の位置と同一の位置に設けられているものについては、新地方自治法第百五十六条第四項の規定は、適用しない。
第123条
(職業安定関係地方事務官に関する経過措置)
この法律の施行の際現に旧地方自治法附則第八条に規定する職員(労働大臣又はその委任を受けた者により任命された者に限る。附則第百五十八条において「職業安定関係地方事務官」という。)である者は、別に辞令が発せられない限り、相当の都道府県労働局の職員となるものとする。
第124条
(地方労働基準審議会等に関する経過措置)
この法律による改正前のそれぞれの法律の規定による地方労働基準審議会、地方職業安定審議会、地区職業安定審議会、地方最低賃金審議会、地方家内労働審議会及び機会均等調停委員会並びにその会長、委員その他の職員は、相当の都道府県労働局の相当の機関及び職員となり、同一性をもって存続するものとする。
第159条
(国等の事務)
この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
第160条
(処分、申請等に関する経過措置)
1
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2
この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
第161条
(不服申立てに関する経過措置)
1
施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2
前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第162条
(手数料に関する経過措置)
施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
第163条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第164条
(その他の経過措置の政令への委任)
1
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2
附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
第250条
(検討)
新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第251条
政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第252条
政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成11年7月16日
第1条
(施行期日)
この法律は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第3条
(職員の身分引継ぎ)
この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。
第30条
(別に定める経過措置)
第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。
附則
平成11年12月22日
第1条
(施行期日)
この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。
附則
平成13年4月25日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十三年十月一日から施行する。ただし、第一条及び第六条の規定並びに次条(第二項後段を除く。)及び附則第六条の規定、附則第十一条の規定(社会保険労務士法別表第一第二十号の十三の改正規定を除く。)並びに附則第十二条の規定は、同年六月三十日から施行する。
第5条
(政令への委任)
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
第6条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下同じ。)の施行前にした行為並びに附則第二条第三項及び第四条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。