第1条
【定義等】
1
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
②
有機溶剤等 有機溶剤又は有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するものをいう。
第6号において同じ。)をいう。
③
第一種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
ハ
イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの
④
第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。
ハ
イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物又は
前号イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの(
前号ハに掲げる物を除く。)
⑤
第三種有機溶剤等 有機溶剤等のうち第一種有機溶剤等及び第二種有機溶剤等以外の物をいう。
⑥
有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。
イ
有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱又は容器若しくは設備への注入の業務
ロ
染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴム若しくは可塑剤又はこれらのものの中間体を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌又は加熱の業務
ニ
有機溶剤含有物を用いて行う文字の書込み又は描画の業務
ホ
有機溶剤等を用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務
ト
接着のために有機溶剤等を塗布された物の接着の業務
チ
有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務
リ
有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)
ヲ
有機溶剤等を入れたことのあるタンク(有機溶剤の蒸気の発散するおそれがないものを除く。以下同じ。)の内部における業務
第2条
【適用の除外】
1
第2章、
第3章、
第4章中
第19条、
第19条の2及び
第24条から
第26条まで、
第7章並びに
第9章の規定は、事業者が
前条第1項第6号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。
①
屋内作業場等(屋内作業場又は
前条第2項各号に掲げる場所をいう。以下同じ。)のうちタンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は
前条第2項第3号から
第11号までに掲げる場所をいう。以下同じ。)以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算した量(以下「有機溶剤等の許容消費量」という。)を超えないとき。
消費する有機溶剤等の区分 | 有機溶剤等の許容消費量 |
第一種有機溶剤等 | W=(1÷15)×A |
第二種有機溶剤等 | W=(2÷5)×A |
第三種有機溶剤等 | W=(3÷2)×A |
備考 この表において、W及びAは、それぞれ次の数値を表わすものとする。 W 有機溶剤等の許容消費量(単位 グラム) A 作業場の気積(床面から四メートルを超える高さにある空間を除く。単位 立方メートル)。ただし、気積が百五十立方メートルを超える場合は、百五十立方メートルとする。 | |
②
タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を超えないとき。
2
前項第1号の作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量及び
同項第2号の1日に消費する有機溶剤等の量は、次の各号に掲げる有機溶剤業務に応じて、それぞれ当該各号に掲げるものとする。この場合において、
前条第1項第6号トに掲げる業務が
同号へに掲げる業務に引き続いて同一の作業場において行われるとき、又は
同号ヌに掲げる業務が乾燥しようとする物に有機溶剤等を付着させる業務に引き続いて同一の作業場において行われるときは、
同号ト又はヌに掲げる業務において消費する有機溶剤等の量は、除外して計算するものとする。
①
前条第1項第6号ハからヘまで、チ、リ又はルのいずれかに掲げる業務
前項第1号の場合にあつては作業時間一時間に、
同項第2号の場合にあつては一日に、それぞれ消費する有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
②
前条第1項第6号ト又はヌに掲げる業務
前項第1号の場合にあつては作業時間一時間に、
同項第2号の場合にあつては一日に、それぞれ接着し、又は乾燥する物に塗布され、又は付着している有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
第3条
1
この省令(
第4章中
第27条及び
第8章を除く。)は、事業者が
第1条第1項第6号ハからルまでのいずれかに掲げる業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該業務については、適用しない。この場合において、事業者は、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)の認定を受けなければならない。
①
屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において当該業務に労働者を従事させる場合で、作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常態として超えないとき。
②
タンク等の内部において当該業務に労働者を従事させる場合で、一日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量を常に超えないとき。
第4条
【認定の申請手続等】
1
前条第1項の認定(以下この条において「認定」という。)を受けようとする事業者は、
有機溶剤中毒予防規則一部適用除外認定申請書(様式
第1号)に作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2
所轄労働基準監督署長は、
前項の申請書の提出を受けた場合において、認定をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書でその旨を当該事業者に通知しなければならない。
3
認定を受けた事業者は、当該認定に係る業務が
前条第1項各号のいずれかに該当しなくなつたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
4
所轄労働基準監督署長は、認定を受けた業務が
前条第1項各号のいずれかに該当しなくなつたとき、及び
前項の報告を受けたときは、遅滞なく、当該認定を取り消すものとする。
第5条
【第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備】
事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(
第1条第1項第6号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び
第13条の2第1項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
第6条
【第三種有機溶剤等に係る設備】
1
事業者は、タンク等の内部において、第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(
第1条第1項第6号ヲに掲げる業務及び吹付けによる有機溶剤業務を除く。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けなければならない。
2
事業者は、タンク等の内部において、吹付けによる第三種有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
第7条
【屋内作業場の周壁が開放されている場合の適用除外】
次の各号に該当する屋内作業場において、事業者が有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、
第5条の規定は、適用しない。
①
周壁の二側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向つて開放されていること。
②
当該屋内作業場に通風を阻害する壁、つい立その他の物がないこと。
第8条
【臨時に有機溶剤業務を行う場合の適用除外等】
1
臨時に有機溶剤業務を行う事業者が屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における当該有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、
第5条の規定は、適用しない。
2
臨時に有機溶剤業務を行う事業者がタンク等の内部における当該有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、全体換気装置を設けたときは、
第5条又は
第6条第2項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
第9条
【短時間有機溶剤業務を行う場合の設備の特例】
1
事業者は、屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、全体換気装置を設けたときは、
第5条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
2
事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該場所における有機溶剤業務に要する時間が短時間であり、かつ、送気マスクを備えたときは、
第5条又は
第6条の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。
第10条
【局所排気装置等の設置が困難な場合における設備の特例】
事業者は、屋内作業場等の壁、床又は天井について行う有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、有機溶剤の蒸気の発散面が広いため
第5条又は
第6条第2項の規定による設備の設置が困難であり、かつ、全体換気装置を設けたときは、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
第11条
【他の屋内作業場から隔離されている屋内作業場における設備の特例】
事業者は、反応槽その他の有機溶剤業務を行うための設備が常置されており、他の屋内作業場から隔離され、かつ、労働者が常時立ち入る必要がない屋内作業場において当該設備による有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、全体換気装置を設けたときは、
第5条又は
第6条第2項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
第12条
【代替設備の設置に伴う設備の特例】
事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、
第5条又は
第6条第1項の規定にかかわらず、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないことができる。
①
赤外線乾燥炉その他温熱を伴う設備を使用する有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、当該設備から作業場へ有機溶剤の蒸気が拡散しないように、発散する有機溶剤の蒸気を温熱により生ずる上昇気流を利用して作業場外に排出する排気管等を設けたとき。
②
有機溶剤等が入つている開放槽について、有機溶剤の蒸気が作業場へ拡散しないよう、有機溶剤等の表面を水等で覆い、又は槽の開口部に逆流凝縮機等を設けたとき。
第13条
【労働基準監督署長の許可に係る設備の特例】
1
事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、有機溶剤の蒸気の発散面が広いため
第5条又は
第6条第2項の規定による設備の設置が困難なときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
2
前項の許可を受けようとする事業者は、局所排気装置等特例許可申請書(様式
第2号)に作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
3
所轄労働基準監督署長は、
前項の申請書の提出を受けた場合において、
第1項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
第13条の2
1
事業者は、
第5条の規定にかかわらず、
次条第1項の発散防止抑制措置(有機溶剤の蒸気の発散を防止し、又は抑制する設備又は装置を設置することその他の措置をいう。以下この条及び
次条において同じ。)に係る許可を受けるために
同項に規定する有機溶剤の濃度の測定を行うときは、次の措置を講じた上で、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
①
次の事項を確認するのに必要な能力を有すると認められる者のうちから確認者を選任し、その者に、あらかじめ、次の事項を確認させること。
イ
当該発散防止抑制措置により有機溶剤の蒸気が作業場へ拡散しないこと。
ロ
当該発散防止抑制措置が有機溶剤業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害を当該措置により生ずるおそれのないものであること。
②
当該発散防止抑制装置に係る有機溶剤業務に従事する労働者に送気マスク又は有機ガス用防毒マスクを使用させること。
2
事業者は、
前項第2号の規定により労働者に送気マスクを使用させたときは、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置しなければならない。
第13条の3
1
事業者は、
第5条の規定にかかわらず、発散防止抑制措置を講じた場合であつて、当該発散防止抑制措置に係る作業場の有機溶剤の濃度の測定(当該作業場の通常の状態において、
労働安全衛生法(以下「法」という。)
第65条第2項及び
作業環境測定法施行規則第3条の規定に準じて行われるものに限る。以下この条及び
第18条の3において同じ。)の結果を
第28条の2第1項の規定に準じて評価した結果、第一管理区分に区分されたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、当該発散防止抑制措置を講ずることにより、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないことができる。
2
前項の許可を受けようとする事業者は、発散防止抑制措置特例実施許可申請書(様式
第5号)に申請に係る発散防止抑制措置に関する次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
②
当該発散防止抑制措置を講じた場合の当該作業場の有機溶剤の濃度の測定の結果及び
第28条の2第1項の規定に準じて当該測定の結果の評価を記載した書面
④
当該発散防止抑制措置の内容及び当該措置が有機溶剤の蒸気の発散の防止又は抑制について有効である理由を記載した書面
3
所轄労働基準監督署長は、
前項の申請書の提出を受けた場合において、
第1項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
4
第1項の許可を受けた事業者は、
第2項の申請書及び書類に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
5
第1項の許可を受けた事業者は、当該許可に係る作業場についての
第28条第2項の測定の結果の評価が
第28条の2第1項の第一管理区分でなかつたとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるときは、直ちに、次の措置を講じなければならない。
①
当該評価の結果について、文書で、所轄労働基準監督署長に報告すること。
②
当該許可に係る作業場について、当該作業場の管理区分が第一管理区分となるよう、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講ずること。
③
前二号に定めるもののほか、事業者は、当該許可に係る作業場については、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること。
6
第1項の許可を受けた事業者は、
前項第2号の規定による措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該許可に係る作業場について当該有機溶剤の濃度を測定し、及びその結果の評価を行い、並びに当該評価の結果について、直ちに、文書で、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
7
所轄労働基準監督署長は、
第1項の許可を受けた事業者が
第5項第1号及び
前項の報告を行わなかつたとき、
前項の評価が第一管理区分でなかつたとき並びに
第1項の許可に係る作業場についての
第28条第2項の測定の結果の評価が
第28条の2第1項の第一管理区分を維持できないおそれがあると認めたときは、遅滞なく、当該許可を取り消すものとする。
第14条
【局所排気装置のフード等】
1
事業者は、局所排気装置(
第2章の規定により設ける局所排気装置をいう。以下この章及び
第19条の2第2号において同じ。)のフードについては、次に定めるところに適合するものとしなければならない。
①
有機溶剤の蒸気の発散源ごとに設けられていること。
②
外付け式のフードは、有機溶剤の蒸気の発散源にできるだけ近い位置に設けられていること。
③
作業方法、有機溶剤の蒸気の発散状況及び有機溶剤の蒸気の比重等からみて、当該有機溶剤の蒸気を吸引するのに適した型式及び大きさのものであること。
2
事業者は、局所排気装置のダクトについては、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少ないものとしなければならない。
第15条
【排風機等】
1
事業者は、局所排気装置の排風機については、当該局所排気装置に空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設けなければならない。ただし、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつ、フアンの腐食のおそれがないときは、この限りでない。
2
事業者は、全体換気装置(
第2章の規定により設ける全体換気装置をいう。以下この章及び
第19条の2第2号において同じ。)の送風機又は排風機(ダクトを使用する全体換気装置については、当該ダクトの開口部)については、できるだけ有機溶剤の蒸気の発散源に近い位置に設けなければならない。
第15条の2
【排気口】
1
事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置(
第2章の規定により設けるプッシュプル型換気装置をいう。以下この章、
第19条の2及び
第33条第1項第6号において同じ。)、全体換気装置又は
第12条第1号の排気管等の排気口を直接外気に向かつて開放しなければならない。
2
事業者は、空気清浄装置を設けていない局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置(屋内作業場に設けるものに限る。)又は
第12条第1号の排気管等の排気口の高さを屋根から一・五メートル以上としなければならない。ただし、当該排気口から排出される有機溶剤の濃度が厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りでない。
第16条
【局所排気装置の性能】
1
局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
型式 | | 制御風速(メートル/秒) |
囲い式フード | | 〇・四 |
外付け式フード | 側方吸引型 | 〇・五 |
下方吸引型 | 〇・五 |
上方吸引型 | 一・〇 |
備考 一 この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。 二 この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。 イ 囲い式フードにあつては、フードの開口面における最小風速 ロ 外付け式フードにあつては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 | | |
2
前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該局所排気装置は、その換気量を、発散する有機溶剤等の区分に応じて、それぞれ
第17条に規定する全体換気装置の換気量に等しくなるまで下げた場合の制御風速を出し得る能力を有すれば足りる。
②
第8条第2項、
第9条第1項又は
第11条の規定に該当し、全体換気装置を設けることにより有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備及び局所排気装置を設けることを要しないとされる場合で、局所排気装置を設けたとき。
第16条の2
【プッシュプル型換気装置の性能等】
プッシュプル型換気装置は、厚生労働大臣が定める構造及び性能を有するものでなければならない。
第17条
【全体換気装置の性能】
1
全体換気装置は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる式により計算した一分間当りの換気量(区分の異なる有機溶剤等を同時に消費するときは、それぞれの区分ごとに計算した一分間当りの換気量を合算した量)を出し得る能力を有するものでなければならない。
消費する有機溶剤等の区分 | 一分間当りの換気量 |
第一種有機溶剤等 | Q=0.3W |
第二種有機溶剤等 | Q=0.04W |
第三種有機溶剤等 | Q=0.01W |
この表において、Q及びWは、それぞれ次の数値を表わすものとする。 Q 一分間当りの換気量(単位 立方メートル) W 作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量(単位 グラム) | |
2
前項の作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量は、次の各号に掲げる業務に応じて、それぞれ当該各号に掲げるものとする。
②
第1条第1項第6号ハからヘまで、チ、リ又はルのいずれかに掲げる業務 作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
③
第1条第1項第6号ト又はヌのいずれかに掲げる業務 作業時間一時間に接着し、又は乾燥する物に、それぞれ塗布され、又は付着している有機溶剤等の量に厚生労働大臣が別に定める数値を乗じて得た量
3
第2条第2項本文後段の規定は、
前項に規定する作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量について準用する。
第18条
【換気装置の稼働】
1
事業者は、局所排気装置を設けたときは、労働者が有機溶剤業務に従事する間、当該局所排気装置を
第16条第1項の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速以上の制御風速で稼働させなければならない。
2
前項の規定にかかわらず、
第16条第2項各号のいずれかに該当する場合においては、当該局所排気装置は、
同項に規定する制御風速以上の制御風速で稼働させれば足りる。
3
事業者は、プッシュプル型換気装置を設けたときは、労働者が有機溶剤業務に従事する間、当該プッシュプル型換気装置を厚生労働大臣が定める要件を満たすように稼働させなければならない。
4
事業者は、全体換気装置を設けたときは、労働者が有機溶剤業務に従事する間、当該全体換気装置を
前条第1項の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる一分間当たりの換気量以上の換気量で稼働させなければならない。
5
事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を設けたときは、バッフルを設けて換気を妨害する気流を排除する等当該装置を有効に稼働させるために必要な措置を講じなければならない。
第18条の2
【局所排気装置の稼働の特例】
1
前条第1項の規定にかかわらず、過去一年六月間、当該局所排気装置に係る作業場に係る
第28条第2項及び
法第65条第5項の規定による測定並びに
第28条の2第1項の規定による当該測定の結果の評価が行われ、当該評価の結果、当該一年六月間、第一管理区分に区分されることが継続した場合であつて、
次条第1項の許可を受けるために、
同項に規定する有機溶剤の濃度の測定を行うときは、次の措置を講じた上で、当該局所排気装置を
第16条第1項の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速未満の制御風速で稼働させることができる。
①
次の事項を確認するのに必要な能力を有すると認められる者のうちから確認者を選任し、その者に、あらかじめ、次の事項を確認させること。
イ
当該制御風速で当該局所排気装置を稼働させた場合に、制御風速が安定していること。
ロ
当該制御風速で当該局所排気装置を稼働させた場合に、当該局所排気装置のフードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置において、有機溶剤の蒸気を吸引できること。
②
当該局所排気装置に係る有機溶剤業務に従事する労働者に送気マスク又は有機ガス用防毒マスクを使用させること。
第18条の3
1
第18条第1項の規定にかかわらず、
前条の規定により、
第16条第1項の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速未満の制御風速で局所排気装置を稼働させた場合であつても、当該局所排気装置に係る作業場の有機溶剤の濃度の測定の結果を
第28条の2第1項の規定に準じて評価した結果、第一管理区分に区分されたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、当該局所排気装置を当該制御風速(以下「特例制御風速」という。)で稼働させることができる。
2
前項の許可を受けようとする事業者は、局所排気装置特例稼働許可申請書(様式
第2号の2)に申請に係る局所排気装置に関する次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
③
特例制御風速で当該局所排気装置を稼働させた場合の当該作業場の有機溶剤の濃度の測定の結果及び
第28条の2第1項の規定に準じて当該測定の結果の評価を記載した書面
④
法第88条第1項本文(
同条第2項において準用する場合を含む。)に規定する届出(以下この号において「届出」という。)を行つたことを証明する書面(
同条第1項ただし書(
同条第2項において準用する場合を含む。)の規定による認定を受けたことにより届出を行つていない事業者にあつては、当該認定を受けていることを証明する書面)
⑤
申請前二年間に行つた
第20条第2項に規定する自主検査の結果を記載した書面
3
所轄労働基準監督署長は、
前項の申請書の提出を受けた場合において、
第1項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
5
第1項の許可を受けた事業者は、
第2項の申請書及び書類に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
6
所轄労働基準監督署長は、
第4項の評価が第一管理区分でなかつたとき及び
第1項の許可に係る作業場についての
第28条第2項の測定の結果の評価が
第28条の2第1項の第一管理区分を維持できないおそれがあると認めたときは、遅滞なく、当該許可を取り消すものとする。
第19条
【有機溶剤作業主任者の選任】
2
事業者は、
令第6条第22号の作業については、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。
第19条の2
【有機溶剤作業主任者の職務】
事業者は、有機溶剤作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
①
作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
②
局所排気装置、プッシユプル型換気装置又は全体換気装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
④
タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、
第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
第20条
【局所排気装置の定期自主検査】
2
事業者は、
前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない
同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
①
フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度
⑦
前各号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項
3
事業者は、
前項ただし書の装置については、その使用を再び開始する際に、
同項各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
第20条の2
【プッシュプル型換気装置の定期自主検査】
第21条
【記録】
事業者は、前二条の自主検査を行なつたときは、次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
⑥
検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
第22条
【点検】
1
事業者は、
第20条第1項の局所排気装置をはじめて使用するとき、又は分解して改造若しくは修理を行つたときは、次の事項について点検を行わなければならない。
④
前三号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項
2
前項の規定は、
第20条の2第1項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、
前項第3号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。
第24条
【掲示】
1
事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の事項を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。
2
前項各号に掲げる事項の内容及び掲示方法は、厚生労働大臣が別に定める。
第25条
【有機溶剤等の区分の表示】
1
事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
2
前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。
第26条
【タンク内作業】
事業者は、タンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
①
作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部をすべて開放すること。
②
労働者の身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに労働者に身体を洗浄させ、汚染を除去させること。
③
事故が発生したときにタンクの内部の労働者を直ちに退避させることができる設備又は器具等を整備しておくこと。
④
前各号に掲げる措置のほか、有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、作業開始前に、次の措置を講ずること。
イ
有機溶剤等をタンクから排出し、かつ、タンクに接続するすべての配管から有機溶剤等がタンクの内部へ流入しないようにすること。
ロ
水又は水蒸気等を用いてタンクの内壁を洗浄し、かつ、洗浄に用いた水又は水蒸気等をタンクから排出すること。
ハ
タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出すること。
第27条
【事故の場合の退避等】
1
事業者は、タンク等の内部において有機溶剤業務に労働者を従事させる場合において、次の各号のいずれかに該当する事故が発生し、有機溶剤による中毒の発生のおそれのあるときは、直ちに作業を中止し、労働者を当該事故現場から退避させなければならない。
①
当該有機溶剤業務を行う場所を換気するために設置した局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置の機能が故障等により低下し、又は失われたとき。
②
当該有機溶剤業務を行う場所の内部が有機溶剤等により汚染される事態が生じたとき。
2
事業者は、
前項の事故が発生し、作業を中止したときは、当該事故現場の有機溶剤等による汚染が除去されるまで、労働者を当該事故現場に立ち入らせてはならない。ただし、安全な方法によつて、人命救助又は危害防止に関する作業をさせるときは、この限りでない。
第28条
【測定】
2
事業者は、
前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
3
事業者は、
前項の規定により測定を行なつたときは、そのつど次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
⑦
測定結果に基づいて当該有機溶剤による労働者の健康障害の予防措置を講じたときは、当該措置の概要
第28条の2
【測定結果の評価】
1
事業者は、
前条第2項の屋内作業場について、
同項又は
法第65条第5項の規定による測定を行つたときは、その都度、速やかに、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従つて、作業環境の管理の状態に応じ、第一管理区分、第二管理区分又は第三管理区分に区分することにより当該測定の結果の評価を行わなければならない。
2
事業者は、
前項の規定による評価を行つたときは、その都度次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
第28条の3
【評価の結果に基づく措置】
1
事業者は、
前条第1項の規定による評価の結果、第三管理区分に区分された場所については、直ちに、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講じ、当該場所の管理区分が第一管理区分又は第二管理区分となるようにしなければならない。
2
事業者は、
前項の規定による措置を講じたときは、その効果を確認するため、
同項の場所について当該有機溶剤の濃度を測定し、及びその結果の評価を行わなければならない。
3
前二項に定めるもののほか、事業者は、
第1項の場所については、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるとともに、
前条第2項の規定による評価の記録、
第1項の規定に基づき講ずる措置及び
前項の規定に基づく評価の結果を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知しなければならない。
①
常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
③
磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
第28条の4
1
事業者は、
第28条の2第1項の規定による評価の結果、第二管理区分に区分された場所については、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2
前項に定めるもののほか、事業者は、
前項の場所については、
第28条の2第2項の規定による評価の記録及び
前項の規定に基づき講ずる措置を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知しなければならない。
①
常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
③
磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
第29条
【健康診断】
1
令第22条第1項第6号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、
第3条第1項の場合における
同項の業務以外の業務とする。
2
事業者は、
前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務ヘの配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
②
有機溶剤による健康障害の既往歴並びに自覚症状及び他覚症状の既往歴の調査、
別表の下欄に掲げる項目(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)についての既往の検査結果の調査並びに
第4号、
別表の下欄(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査を除く。)及び
第5項第2号から
第5号までに掲げる項目についての既往の異常所見の有無の調査
③
有機溶剤による自覚症状又は他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
3
事業者は、
前項に規定するもののほか、
第1項の業務で
別表の上欄に掲げる有機溶剤等に係るものに常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、
別表の上欄に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、同表の下欄に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。
4
前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において
別表の下欄に掲げる項目(尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査に限る。)について健康診断を受けた者については、医師が必要でないと認めるときは、
同項の規定にかかわらず、当該項目を省略することができる。
5
事業者は、
第2項の労働者で医師が必要と認めるものについては、
第2項及び
第3項の規定により健康診断を行わなければならない項目のほか、次の項目の全部又は一部について医師による健康診断を行わなければならない。
第30条
【健康診断の結果】
事業者は、
前条第2項、
第3項又は
第5項の健康診断(
法第66条第5項ただし書の場合における当該労働者が受けた健康診断を含む。
次条において「有機溶剤等健康診断」という。)の結果に基づき、有機溶剤等健康診断個人票(様式
第3号)を作成し、これを五年間保存しなければならない。
第30条の2
【健康診断の結果についての医師からの意見聴取】
有機溶剤等健康診断の結果に基づく
法第66条の4の規定による医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
①
有機溶剤等健康診断が行われた日(
法第66条第5項ただし書の場合にあつては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。
②
聴取した医師の意見を有機溶剤等健康診断個人票に記載すること。
第30条の3
【健康診断結果報告】
事業者は、
第29条第2項、
第3項又は
第5項の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、有機溶剤等健康診断結果報告書(様式
第3号の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
第30条の4
【緊急診断】
事業者は、労働者が有機溶剤により著しく汚染され、又はこれを多量に吸入したときは、速やかに、当該労働者に医師による診察又は処置を受けさせなければならない。
第31条
【健康診断の特例】
1
事業者は、
第29条第2項、
第3項又は
第5項の健康診断を三年以上行い、その間、当該健康診断の結果、新たに有機溶剤による異常所見があると認められる労働者が発見されなかつたときは、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、その後における
第29条第2項、
第3項又は
第5項の健康診断、
第30条の有機溶剤等健康診断個人票の作成及び保存並びに
第30条の2の医師からの意見聴取を行わないことができる。
2
前項の許可を受けようとする事業者は、有機溶剤等健康診断特例許可申請書(様式
第4号)に申請に係る有機溶剤業務に関する次の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
②
作業場に換気装置その他有機溶剤の蒸気の発散を防止する設備が設けられているときは、当該設備等を示す図面及びその性能を記載した書面
3
所轄労働基準監督署長は、
前項の申請書の提出を受けた場合において、
第1項の許可をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知しなければならない。
4
第1項の許可を受けた事業者は、
第2項の申請書及び書類に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
5
所轄労働基準監督署長は、
前項の規定による報告を受けた場合及び事業場を臨検した場合において、
第1項の許可に係る有機溶剤業務に従事する労働者について新たに有機溶剤による異常所見を生ずるおそれがあると認めたときは、遅滞なく、当該許可を取り消すものとする。
第32条
【送気マスクの使用】
1
事業者は、次の各号のいずれかに掲げる業務に労働者を従事させるときは、当該業務に従事する労働者に送気マスクを使用させなければならない。
②
第9条第2項の規定により有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び全体換気装置を設けないで行うタンク等の内部における業務
第33条
【送気マスク又は有機ガス用防毒マスクの使用】
1
事業者は、次の各号のいずれかに掲げる業務に労働者を従事させるときは、当該業務に従事する労働者に送気マスク又は有機ガス用防毒マスクを使用させなければならない。
①
第6条第1項の規定により全体換気装置を設けたタンク等の内部における業務
②
第8条第2項の規定により有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないで行うタンク等の内部における業務
③
第9条第1項の規定により有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備及び局所排気装置を設けないで吹付けによる有機溶剤業務を行う屋内作業場等のうちタンク等の内部以外の場所における業務
④
第10条の規定により有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないで行う屋内作業場等における業務
⑤
第11条の規定により有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置を設けないで行う屋内作業場における業務
⑥
プッシュプル型換気装置を設け、荷台にあおりのある貨物自動車等当該プッシュプル型換気装置のブース内の気流を乱すおそれのある形状を有する物について有機溶剤業務を行う屋内作業場等における業務
⑦
屋内作業場等において有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備(当該設備中の有機溶剤等が清掃等により除去されているものを除く。)を開く業務
第35条
【有機溶剤等の貯蔵】
事業者は、有機溶剤等を屋内に貯蔵するときは、有機溶剤等がこぼれ、漏えいし、しみ出し、又は発散するおそれのないふた又は栓をした堅固な容器を用いるとともに、その貯蔵場所に、次の設備を設けなければならない。
①
関係労働者以外の労働者がその貯蔵場所に立ち入ることを防ぐ設備
第36条
【空容器の処理】
事業者は、有機溶剤等を入れてあつた空容器で有機溶剤の蒸気が発散するおそれのあるものについては、当該容器を密閉するか、又は当該容器を屋外の一定の場所に集積しておかなければならない。
第37条
1
有機溶剤作業主任者技能講習は、学科講習によつて行う。
別表
【第二十九条関係】
有機溶剤等 | | 項目 |
| 一 エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ) 二 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート) 三 エチレングリコールモノーノルマルーブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ) 四 エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ) 五 前各号に掲げる有機溶剤のいずれかをその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 血色素量及び赤血球数の検査 |
| 一 オルトージクロルベンゼン 二 クレゾール 三 クロルベンゼン 四 クロロホルム 五 四塩化炭素 六 一・四—ジオキサン 七 一・二—ジクロルエタン(別名二塩化エチレン) 八 一・二—ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン) 九 一・一・二・二—テトラクロルエタン(別名四塩化アセチレン) 十 前各号に掲げる有機溶剤のいずれかをその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ—グルタミルトランスペプチダーゼ(γ—GTP)の検査(以下「肝機能検査」という。) |
| 一 キシレン 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 尿中のメチル馬尿酸の量の検査 |
| 一 N・N—ジメチルホルムアミド 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 一 肝機能検査 二 尿中のN—メチルホルムアミドの量の検査 |
| 一 スチレン 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 尿中のマンデル酸の量の検査 |
| 一 テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン) 二 トリクロルエチレン 三 前二号に掲げる有機溶剤のいずれかをその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 一 肝機能検査 二 尿中のトリクロル酢酸又は総三塩化物の量の検査 |
| 一 一・一・一—トリクロルエタン 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 尿中のトリクロル酢酸又は総三塩化物の量の検査 |
| 一 トルエン 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 尿中の馬尿酸の量の検査 |
| 一 二硫化炭素 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 眼底検査 |
| 一 ノルマルヘキサン 二 前号に掲げる有機溶剤をその重量の五パーセントを超えて含有する物 | 尿中の二・五—ヘキサンジオンの量の検査 |
様式第2号の2(第18条の3関係)
様式第3号 (第30条関係)
様式第3号の2 (第30条の3関係)
様式第4号 (第31条関係)
様式第5号 (第13条の3関係)
附則
昭和53年8月7日
第1条
(施行期日)
この省令は、昭和五十三年九月一日から施行する。ただし、第一条中第十六条第一項の改正規定、第二十九条第二項各号の改正規定、同条に一項を加える改正規定、第三十条の改正規定、同条の次に二条を加える改正規定(第三十条の二に係る部分に限る。)、第三十一条の改正規定(「前条」を「第三十条」に改める部分を除く。)、別表の改正規定、同表の次に一表を加える改正規定、様式第三号の改正規定及び同様式の次に一様式を加える改正規定は、同年十二月一日から施行する。
第2条
(経過措置)
1
第一条の規定による改正後の有機溶剤中毒予防規則(以下「新規則」という。)第二章、第三章及び第七章の規定の適用(第三十七条の規定の適用に係る場合を除く。)については、昭和五十四年二月二十八日までの間は、次の表の上欄に掲げる物は、新規則第一条第一項第二号から第五号までの規定にかかわらず、それぞれ、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令による労働安全衛生法施行令の改正がなかつたものとして第一条の規定による改正前の有機溶剤中毒予防規則(以下「旧規則」という。)第一条(第三号を除く。)の規定を適用することとした場合に同条の規定により定められ、又は区分される同表の下欄に掲げる物をいうものとする。有機溶剤等有機溶剤又は有機溶剤含有物第一種有機溶剤等第一種有機溶剤又は第一種有機溶剤含有物第二種有機溶剤等第二種有機溶剤又は第二種有機溶剤含有物第三種有機溶剤等第三種有機溶剤又は第三種有機溶剤含有物
2
旧規則第十九条及び第二十六条(第二号から第五号までを除く。)の規定は、昭和五十五年八月三十一日までの間(新規則第十九条第二項の規定により事業者が有機溶剤作業主任者を選任している期間を除く。)は、なおその効力を有する。
3
新規則第二条又は第三条の規定による新規則第二章、第三章及び第七章の規定の適用除外に係る有機溶剤等の許容消費量については、昭和五十四年二月二十八日までの間は、なお従前の例による。
附則
昭和53年10月9日
第2条
(経過措置)
1
この省令の施行の際現に改正前の有機溶剤中毒予防規則(以下「旧規則」という。)第六条又は第七条の規定により全体換気装置を設けて行われている有機溶剤業務については、昭和五十五年二月二十九日までの間は、旧規則は、この省令の施行後も、なおその効力を有する。
2
旧規則第十三条第一項第二号に該当することにより所轄労働基準監督署長が行つた同項の許可は、改正後の有機溶剤中毒予防規則(以下「新規則」という。)第十三条第一項の規定により所轄労働基準監督署長が行つた許可とみなす。
3
この省令の施行の際現に存する局所排気装置(旧規則第二章の規定により設けたものに限る。)の性能については、新規則第十六条の規定にかかわらず、昭和五十五年二月二十九日までの間は、なお従前の例による。
4
この省令の施行前にした旧規則の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
昭和59年1月31日
2
この省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
昭和63年9月1日
第1条
(施行期日)
この省令は、昭和六十三年十月一日から施行する。ただし、第一条中第二十八条第一項の改正規定及び第四条の規定は、昭和六十五年四月一日から施行する。
第2条
(経過措置)
この省令の施行前に行われた改正前の有機溶剤中毒予防規則第二十八条第二項の屋内作業場に係る労働安全衛生法第六十五条第一項又は第五項の規定による測定については、改正後の有機溶剤中毒予防規則第二十八条の二から第二十八条の四までの規定は、適用しない。
附則
2
この省令の施行前にした行為についての罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成6年3月30日
第2条
(計画の届出に関する経過措置)
1
この省令による改正前の有機溶剤中毒予防規則(以下「旧有機則」という。)第三十七条第一項、この省令による改正前の鉛中毒予防規則(以下「旧鉛則」という。)第六十一条第一項、この省令による改正前の四アルキル鉛中毒予防規則(以下「旧四アルキル則」という。)第二十八条第一項、この省令による改正前の特定化学物質等障害予防規則(以下「旧特化則」という。)第五十二条第一項、この省令による改正前の電離放射線障害防止規則(以下「旧電離則」という。)第六十一条第一項、この省令による改正前の事務所衛生基準規則(以下「旧事務所則」という。)第二十四条第一項又はこの省令による改正前の粉じん障害防止規則(以下「旧粉じん則」という。)第二十八条第一項の規定に基づく届出であって、この省令の施行の日(以下「施行日」という。)後に開始される工事に係るものは、この省令の施行後もなお労働安全衛生法(以下「法」という。)第八十八条第一項の届出としての効力を有するものとする。
2
旧有機則第三十七条第三項、旧鉛則第六十一条第三項、旧四アルキル則第二十八条第三項、旧特化則第五十二条第三項、旧電離則第六十一条第三項、旧事務所則第二十五条又は旧粉じん則第二十八条第三項の規定に基づく届出であって、施行日後に開始される工事に係るものは、この省令の施行後もなお法第八十八条第二項において準用する同条第一項の届出としての効力を有するものとする。
第5条
(罰則に関する経過措置)
この省令の施行前にした行為及び附則第三条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの省令の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成9年3月25日
第1条
(施行期日)
この省令は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第2条
(経過措置)
この省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成11年1月11日
2
この省令の施行の際現にある改正前の様式による用紙は、当分の間、これを取り繕って使用することができる。
附則
平成12年3月24日
2
この省令の施行の際現にある改正前の様式による用紙は、当分の間、これを取り繕って使用することができる。
附則
平成12年10月31日
第1条
(施行期日)
この省令は、内閣法の一部を改正する法律の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。
附則
平成13年7月16日
2
この省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成15年12月19日
第11条
(様式に関する経過措置)
この省令の施行の際現に提出され又は交付されているこの省令による改正前のそれぞれの省令に定める様式による申請書等は、この省令による改正後のそれぞれの省令に定める相当様式による申請書等とみなす。
第12条
この省令の施行の際現に存するこの省令による改正前のそれぞれの省令に定める様式による申請書等の用紙は、当分の間、必要な改定をした上、使用することができる。
附則
平成18年1月5日
第11条
(様式に関する経過措置)
この省令の施行の際現に提出され又は交付されているこの省令による改正前のそれぞれの省令に定める様式による申請書等は、この省令による改正後のそれぞれの省令に定める相当様式による申請書等とみなす。
第12条
この省令の施行の際現に存するこの省令による改正前のそれぞれの省令に定める様式による申請書等の用紙は、当分の間、必要な改定をした上、使用することができる。
第13条
(罰則の適用に関する経過措置)
施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。