武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律
平成18年12月22日 改正
第1条
【目的】
この法律は、武力攻撃事態(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第2条第2号に規定する武力攻撃事態をいう。以下同じ。)に際して、我が国領海又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)における外国軍用品等の海上輸送を規制するため、自衛隊法第76条第1項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の部隊が実施する停船検査及び回航措置の手続並びに防衛省に設置する外国軍用品審判所における審判の手続等を定め、もって我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
①
外国軍隊等 武力攻撃事態において、武力攻撃(武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第2条第1号に規定する武力攻撃をいう。第16条において同じ。)を行っている外国の軍隊その他これに類する組織をいう。
第4条
【海上自衛隊の部隊による措置】
1
防衛大臣は、自衛隊法第76条第1項の規定により海上自衛隊の全部又は一部に出動が命ぜられた場合において、我が国領海又は我が国周辺の公海において外国軍用品等の海上輸送を規制する必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、同項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の部隊に、第4章の規定による措置を命ずることができる。
第16条
【停船検査】
艦長等は、武力攻撃が発生した事態において、実施区域を航行している船舶が外国軍用品等を輸送していることを疑うに足りる相当な理由があるときは、この節の定めるところにより、当該実施区域において、当該船舶について停船検査を行うことができる。ただし、当該船舶が軍艦等に警護されている場合は、この限りでない。
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参照条文
第19条
【船長等に対する告知】
前条の自衛官(以下「船上検査官」という。)は、船上検査を行う船舶に乗船したときは、その船長等に対し、船上検査を行う旨及び船上検査の手続に関し苦情があるときは艦長等に対し理由を記載した文書を提出して苦情の申出をすることができる旨を告知するものとする。
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参照条文
第29条
【監視措置】
艦長等は、前条第1項の規定による命令をしたときは、船上検査官に、当該船舶の船舶書類及びその積荷のうち外国軍用品であるもの(外国軍用品の疑いがあるものを含む。)の移動を監視するために必要な封印をさせ、又は装置を取り付けさせることができる。
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参照条文
第30条
【回航監督官の派遣】
艦長等は、第28条第1項の規定による命令をしたときは、当該命令の履行の確保に必要な監督をさせるため、海上自衛隊の三等海尉以上の自衛官を当該命令に係る船舶(以下「回航船舶」という。)に乗り込ませるものとする。
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参照条文
第32条
【回航監督官の権限】
1
回航監督官は、第28条第1項の規定による命令の履行の確保又は航行の安全若しくは船内の秩序維持のため必要があると認めるときは、回航船舶の船長等に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
第33条
【回航船舶への自衛艦旗の掲揚】
回航監督官は、回航船舶に、当該船舶の旗国(海洋法に関する国際連合条約第91条に規定するその旗を掲げる権利を有する国をいう。)の国旗及び自衛艦旗を掲げさせるものとする。
第37条
【武器の使用】
2
前項において準用する警察官職務執行法第7条の規定により武器を使用する場合のほか、同項に規定する自衛官は、艦長等が第17条第2項の規定に基づき当該船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお当該自衛官の職務の執行に抵抗し、又は逃亡しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由があるときは、艦長等の命令により、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。
第38条
【抑留対象者の取扱い】
停船検査を行う船舶又は回航船舶内に抑留対象者(武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律第3条第4号に規定する抑留対象者をいう。)がある場合におけるその取扱いについては、同法の定めるところによる。
第42条
【留置物件の保管等】
1
外国軍用品審判所は、前条第1項第3号の規定により留置した物件(以下「留置物件」という。)のうち運搬又は保管に不便なものについては、看守者を置き、又は適当と認める者に、その承諾を得て、これを保管させることができる。
第43条
【留置物件の返還】
2
外国軍用品審判所は、前項の留置物件の返還を受けるべき者の住所若しくは居所がわからないため、又はその他の事由によりこれを還付することができない場合においては、政令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
第50条
【証拠の取調べ】
2
刑事訴訟法第143条から第147条まで、第149条、第154条から第156条まで、第165条及び第166条の規定は、外国軍用品審判所が、審判に際して、参考人を審問し、又は鑑定人に鑑定を命ずる手続について準用する。この場合において、同法第143条及び第165条中「裁判所」とあるのは「外国軍用品審判所」と、同法第143条、第144条、第145条第1項、第154条及び第156条第1項中「証人」とあるのは「参考人」と、同法第143条、第144条及び第145条第1項中「尋問する」とあるのは「審問する」と、同法第149条ただし書中「、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で」とあるのは「その他外国軍用品審判所が」と、同法第155条第1項中「尋問しなければ」とあるのは「審問しなければ」と読み替えるものとする。
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参照条文
第51条
【利害関係者の意見の陳述等】
2
外国軍用品審判所は、前項の申出があるときは、審判の期日において、その意見を陳述させるものとする。ただし、審判の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代えて意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。
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参照条文
第52条
【審決】
3
外国軍用品審判所は、審判手続を経た後、積荷が第2条第2号リからヲまでのいずれかに該当する外国軍用品であると認める場合において、必要があると認めるときは、当該積荷について輸送停止の審決をしなければならない。
第63条
【輸送停止の審決の執行】
3
審決執行官は、第1項の積荷のうち、人の生命若しくは財産を害する急迫した危険を生ずるおそれがあるもの又は腐敗、変質その他やむを得ない理由により著しく価値が減少したもので買受人がないものを廃棄することができる。
第69条
【乗組員等への便宜供与】
外国軍用品審判所は、第40条第1項又は第64条の規定により出航を禁止された船舶の乗組員等の本邦への上陸又は本邦からの出国に際して、これらの者が出入国管理及び難民認定法等の法令による手続を行う場合においてその手続を円滑に行うことができるようにするため、必要な便宜を供与するものとする。
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参照条文