特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法
平成25年6月21日 改正
第2条
【定義】
1
この法律において「特定水道利水障害」とは、水道水(水道法第3条第1項に規定する水道により供給される水をいう。以下同じ。)が、同法第4条第1項第3号の物質のうち第4項の水道原水の浄水処理に伴い副次的に生成する物質であって人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものに係る同号に掲げる要件を満たさないことをいう。
4
この法律において「水道水源水域」とは、水質汚濁防止法第2条第1項に規定する公共用水域(以下「公共用水域」という。)であってその水が前項の水道事業又は水道法第3条第4項に規定する水道用水供給事業のための原水(以下「水道原水」という。)として取水施設により取り入れられるもの及びその公共用水域にその水が流入する公共用水域をいう。
5
この法律において「水道水源特定施設」とは、水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定施設(以下「特定施設」という。)以外の施設であって、特定水道利水障害を生じさせるおそれがある程度の汚水又は廃液を排出するものとして政令で定めるものをいう。
7
この法律において「構造等基準に係る施設」とは、水道水源特定事業場に設置されている特定施設以外の特定施設であって、第4条第1項の指定水域の水質の保全上その構造及び使用の方法に係る規制を行う必要があるものとして政令で定めるものをいう。
第4条
【指定水域及び指定地域】
1
環境大臣は、都道府県知事の申出に基づき、水道水源水域のうち、その水質の汚濁の状況、その水を水道原水として利用する水道水の水質の状況、水道事業者が講ずる特定水道利水障害を防止するための措置その他の事情からみてその水を水道原水として利用する水道水において特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められるものであって、水道事業者がその水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難であり、かつ、特定水道利水障害を防止するため水質の保全に関する施策を総合的かつ計画的に講ずる必要があると認められるものを指定水域として指定し、及び指定水域の水質の汚濁に関係があると認められる地域を指定地域として指定することができる。
2
水道事業者は、水道水源水域の水質の汚濁によりその供給する水道水において特定水道利水障害が生ずるおそれがあると認められる場合において、その水質の汚濁の状況に応じた措置を講ずることにより特定水道利水障害を防止することが困難であるときは、環境省令で定めるところにより、その水道水源水域に係る水道原水の取水地点をその区域に含む都道府県の知事に対し、前項の申出をするよう要請することができる。
3
水道事業者が特定水道利水障害に関し水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律第4条第1項の規定による要請をしたときは、その水道事業者は、前項の規定による要請をしたものとみなす。この場合において、同条第1項の規定による要請を受けた都府県が前項の都府県と異なるときは、その要請を受けた都府県の知事は、その旨を同項の都府県の知事に対し通知しなければならない。
第5条
【水質保全計画】
1
都道府県知事は、指定水域の水質の保全のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本方針に基づき、指定地域において特定水道利水障害を防止するため指定水域の水質の保全に関し実施すべき施策に関する計画(以下「水質保全計画」という。)を定めなければならない。
5
指定地域において水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律第5条第1項の規定により都道府県計画が定められ、又は同法第7条第1項の規定により河川管理者事業計画が定められるときは、水質保全計画は、その都道府県計画又は河川管理者事業計画と一体のものとして作成することができる。
8
都道府県知事は、水質保全計画を定めようとするときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。この場合において、環境大臣は、協議を受けた水質保全計画の案を公害対策会議に報告するとともに、その水質保全計画の案について公害対策会議の議を経て決定した方針に基づきその協議に応じなければならない。
9
都道府県知事は、前項の規定による協議と併せて、指定水域の水質の保全に関する普及啓発並びに指定水域及び水道水の水質の測定に関する事項であってその協議に係る水質保全計画の達成に必要なものについて、環境省令で定めるところにより、環境大臣に報告しなければならない。
11
水質汚濁防止法第21条第2項の規定は、第7項の規定により環境基本法第43条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関の意見を聴く場合について準用する。この場合において、水質汚濁防止法第21条第2項中「前項の事務を行う」とあるのは、「特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法第5条第7項の規定により意見を述べる」と読み替えるものとする。
第9条
【基準の設定】
1
都道府県知事は、指定地域にあっては、水質保全計画に基づき、水道水源特定事業場から排出される排出水の特定項目で示される汚染状態について、環境省令で定めるところにより、指定水域の水質の汚濁を防止するための排水基準(以下「特定排水基準」という。)を定めなければならない。
第11条
【特定施設等の設置の届出】
2
工場又は事業場から排出水を排出する者は、特定施設を設置し、又は水質汚濁防止法第2条第3項に規定する指定地域特定施設(瀬戸内海環境保全特別措置法第12条の2の政令で定める施設及び湖沼水質保全特別措置法第14条の政令で定める施設を含む。)であって水道水源特定施設であるものを設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
第12条
【経過措置】
1
一の施設が水道水源特定施設となった際現に指定地域においてその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この条において同じ。)又は一の地域が指定地域となった際現にその地域において水道水源特定施設を設置している者であって、その水道水源特定施設を設置する工場又は事業場から排出水を排出するものは、その施設が水道水源特定施設となった日又はその地域が指定地域となった日から六十日以内に、環境省令で定めるところにより、前条第1項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
第13条
【特定施設等の構造の変更等の届出】
1
第11条又は前条の規定による届出をした者は、その届出に係る第11条第1項第4号から第8号までに掲げる事項又は同条第2項各号に掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2
第11条第1項又は前条第1項の規定による届出をした者は、その届出に係る第11条第1項第1号若しくは第2号に掲げる事項に変更があったとき、又はその届出に係る水道水源特定施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第15条
【勧告及び命令】
2
都道府県知事は、水道水源特定事業場から排出水を排出する者が、その水道水源特定事業場の排水口において汚染状態が特定排水基準に適合しない排出水を排出していると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その水道水源特定事業場に係る特定施設等の構造若しくは使用の方法又は汚水等の処理の方法を改善し、その水道水源特定事業場からの排出水の排出を一時停止し、その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3
都道府県知事は、指定地域において構造等基準に係る施設を設置している者がその施設に係る構造等基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その施設の構造又は使用の方法を改善すべきことを勧告することができる。
4
都道府県知事は、第1項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで特定施設等を使用しているとき、又は前二項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、これらの者に対し、期限を定めて、これらの勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
5
前三項の規定は、特定排水基準の適用の際現に特定施設等を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)に係る水道水源特定事業場及び構造等基準の適用の際現に構造等基準に係る施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)に係る構造等基準に係る施設については、これらの基準の適用の日から六月間(その水道水源特定事業場に係る特定施設等又はその構造等基準に係る施設(以下この項において「適用除外に係る特定施設等」という。)が政令で定める施設である場合にあっては、一年間)は、適用しない。ただし、これらの基準の適用の際現に水道水源特定事業場又は構造等基準に係る施設について地方公共団体の条例の規定で第1項から第3項までの規定に相当するものが適用されているとき、これらの基準の適用の日以降適用除外に係る特定施設等について第11条第1項第4号から第8号までに掲げる事項又は同条第2項各号若しくは水質汚濁防止法第5条第1項第4号、第6号若しくは第7号に掲げる事項の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)があったとき、及びこれらの基準の適用の日以降その水道水源特定事業場に適用除外に係る特定施設等以外の特定施設等が設置されたときは、この限りでない。
第16条
【適用除外等】
1
鉱山保安法第13条第1項の経済産業省令で定める施設である特定施設等を設置する同法第2条第2項本文に規定する鉱山から排出水を排出する者及び当該鉱山に当該特定施設等を設置する者に関しては当該鉱山について、電気事業法第2条第1項第16号に規定する電気工作物である特定施設等を設置する工場又は事業場から排出水を排出する者及び当該特定施設等を設置する者に関しては当該特定施設等について、第11条から第14条まで及び前条第1項の規定並びに同条第4項及び第6項の規定(同条第1項に係る部分に限る。)を適用せず、これらの法律の相当規定の定めるところによる。
⊟
参照条文
第17条
【指導等】
都道府県知事は、水質保全計画に基づき、水道水源特定事業場から排出水を排出する者及び構造等基準に係る施設を設置する者以外の者であって、指定地域において汚水、廃液その他の物で指定水域における第2条第1項の政令で定める物質の生成の原因となる物質による水質の汚濁の原因となるものを水道水源水域に排出するものに対し、指定水域の水質の保全のために必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
⊟
参照条文
第18条
【報告及び検査】
第22条
【資料の提出の要求等】
2
都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の送付その他の協力を求め、又は指定水域の水質の保全に関して意見を述べることができる。
第23条
【水道事業者の水道水の水質記録の提出の要求】
都道府県知事は、水質保全計画の達成に資するため必要があると認めるときは、第5条第2項第2号に規定する水道事業者に対し、指定水域の水を水道原水として利用する水道水について水道法第20条第2項の規定により作成した記録の提出を求めることができる。
⊟
参照条文
附則
平成11年7月16日
第159条
(国等の事務)
第160条
(処分、申請等に関する経過措置)
1
この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
第161条
(不服申立てに関する経過措置)
第162条
(手数料に関する経過措置)
第164条
(その他の経過措置の政令への委任)
第250条
(検討)
第251条