中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
平成23年5月25日 改正
第1条
【目的】
この法律は、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供すること等により我が国の経済の基盤を形成している中小企業について、代表者の死亡等に起因する経営の承継がその事業活動の継続に影響を及ぼすことにかんがみ、遺留分に関し民法の特例を定めるとともに、中小企業者が必要とする資金の供給の円滑化等の支援措置を講ずることにより、中小企業における経営の承継の円滑化を図り、もって中小企業の事業活動の継続に資することを目的とする。
第3条
【定義】
1
この章において「特例中小企業者」とは、中小企業者のうち、一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する会社(金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式又は同法第67条の11第1項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している株式会社を除く。)をいう。
2
この章において「旧代表者」とは、特例中小企業者の代表者であった者(代表者である者を含む。)であって、その推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者のうち被相続人の兄弟姉妹及びこれらの者の子以外のものに限る。以下同じ。)のうち少なくとも一人に対して当該特例中小企業者の株式等(株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除く。)又は持分をいう。以下同じ。)の贈与をしたものをいう。
第4条
【後継者が取得した株式等に関する遺留分の算定に係る合意等】
1
旧代表者の推定相続人は、そのうちの一人が後継者である場合には、その全員の合意をもって、書面により、次に掲げる内容の定めをすることができる。ただし、当該後継者が所有する当該特例中小企業者の株式等のうち当該定めに係るものを除いたものに係る議決権の数が総株主又は総社員の議決権の百分の五十を超える数となる場合は、この限りでない。
①
当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した当該特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。
②
前号に規定する株式等の全部又は一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額(弁護士、弁護士法人、公認会計士(公認会計士法第16条の2第5項に規定する外国公認会計士を含む。)、監査法人、税理士又は税理士法人がその時における相当な価額として証明をしたものに限る。)とすること。
第5条
【後継者が取得した株式等以外の財産に関する遺留分の算定に係る合意等】
旧代表者の推定相続人は、前条第1項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した財産(当該特例中小企業者の株式等を除く。)の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。
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参照条文
第6条
1
旧代表者の推定相続人が、第4条第1項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、当該推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定めをする場合においては、当該定めは、書面によってしなければならない。
2
旧代表者の推定相続人は、前項の規定による合意として、後継者以外の推定相続人が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した財産の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。
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参照条文
第7条
【経済産業大臣の確認】
1
第9条
【合意の効力】
1
前条第1項の許可があった場合には、民法第1029条第1項の規定及び同法第1044条において準用する同法第903条第1項の規定にかかわらず、第4条第1項第1号に掲げる内容の定めに係る株式等並びに第5条及び第6条第2項の規定による合意に係る財産の価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないものとする。
3
前二項の規定にかかわらず、前条第1項に規定する合意は、旧代表者がした遺贈及び贈与について、当該合意の当事者(民法第887条第2項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により当該旧代表者の相続人となる者(次条第4号において「代襲者」という。)を含む。次条第3号において同じ。)以外の者に対してする減殺に影響を及ぼさない。
第12条
【経済産業大臣の認定】
1
次の各号に掲げる者は、当該各号に該当することについて、経済産業大臣の認定を受けることができる。
①
会社である中小企業者(金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式又は同法第67条の11第1項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している株式会社を除く。) 当該中小企業者における代表者の死亡等に起因する経営の承継に伴い、死亡したその代表者(代表者であった者を含む。)又は退任したその代表者の資産のうち当該中小企業者の事業の実施に不可欠なものを取得するために多額の費用を要することその他経済産業省令で定める事由が生じているため、当該中小企業者の事業活動の継続に支障が生じていると認められること。
第13条
【中小企業信用保険法の特例】
中小企業信用保険法第3条第1項に規定する普通保険、同法第3条の2第1項に規定する無担保保険又は同法第3条の3第1項に規定する特別小口保険の保険関係であって、経営承継関連保証(同法第3条第1項、第3条の2第1項又は第3条の3第1項に規定する債務の保証であって、前条第1項の認定を受けた中小企業者(以下「認定中小企業者」という。)の事業に必要な資金に係るものをいう。)を受けた認定中小企業者に係るものについての次の表の上欄に掲げる同法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
第3条第1項 | 保険価額の合計額が | 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第13条に規定する経営承継関連保証(以下「経営承継関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ |
第3条の2第1項及び第3条の3第1項 | 保険価額の合計額が | 経営承継関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ |
第3条の2第3項 | 当該借入金の額のうち | 経営承継関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該借入金の額のうち |
当該債務者 | 経営承継関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者 | |
第3条の3第2項 | 当該保証をした | 経営承継関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした |
当該債務者 | 経営承継関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者 |
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参照条文
第14条
【株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の特例】
1
株式会社日本政策金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法第11条又は沖縄振興開発金融公庫法第19条の規定にかかわらず、認定中小企業者(第12条第1項第1号に掲げる中小企業者に限る。)の代表者に対し、当該代表者が相続により承継した債務であって当該認定中小企業者の事業の実施に不可欠な資産を担保とする借入れに係るものの弁済資金その他の当該代表者が必要とする資金であって当該認定中小企業者の事業活動の継続に必要なものとして経済産業省令で定めるもののうち別表の上欄に掲げる資金を貸し付けることができる。
第15条
【指導及び助言】