• 児童虐待の防止等に関する法律
    • 第1条 [目的]
    • 第2条 [児童虐待の定義]
    • 第3条 [児童に対する虐待の禁止]
    • 第4条 [国及び地方公共団体の責務等]
    • 第5条 [児童虐待の早期発見等]
    • 第6条 [児童虐待に係る通告]
    • 第7条
    • 第8条 [通告又は送致を受けた場合の措置]
    • 第8条の2 [出頭要求等]
    • 第9条 [立入調査等]
    • 第9条の2 [再出頭要求等]
    • 第9条の3 [臨検、捜索等]
    • 第9条の4 [臨検又は捜索の夜間執行の制限]
    • 第9条の5 [許可状の提示]
    • 第9条の6 [身分の証明]
    • 第9条の7 [臨検又は捜索に際しての必要な処分]
    • 第9条の8 [臨検等をする間の出入りの禁止]
    • 第9条の9 [責任者等の立会い]
    • 第10条 [警察署長に対する援助要請等]
    • 第10条の2 [調書]
    • 第10条の3 [都道府県知事への報告]
    • 第10条の4 [行政手続法の適用除外]
    • 第10条の5 [不服申立ての制限]
    • 第10条の6 [行政事件訴訟の制限]
    • 第11条 [児童虐待を行った保護者に対する指導等]
    • 第12条 [面会等の制限等]
    • 第12条の2
    • 第12条の3
    • 第12条の4
    • 第13条 [施設入所等の措置の解除]
    • 第13条の2 [児童虐待を受けた児童等に対する支援]
    • 第13条の3 [資料又は情報の提供]
    • 第13条の4 [都道府県児童福祉審議会等への報告]
    • 第14条 [親権の行使に関する配慮等]
    • 第15条 [親権の喪失の制度の適切な運用]
    • 第16条 [大都市等の特例]
    • 第17条 [罰則]

児童虐待の防止等に関する法律

平成24年8月22日 改正
第1条
【目的】
この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする。
第2条
【児童虐待の定義】
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
第3条
【児童に対する虐待の禁止】
何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
第4条
【国及び地方公共団体の責務等】
国及び地方公共団体は、児童虐待の予防及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援(児童虐待を受けた後十八歳となった者に対する自立の支援を含む。第3項及び次条第2項において同じ。)並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援、医療の提供体制の整備その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。
国及び地方公共団体は、児童相談所等関係機関の職員及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。
国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所等関係機関の職員、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。
国及び地方公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童の人権、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待に係る通告義務等について必要な広報その他の啓発活動に努めなければならない。
国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた児童のケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。
児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。
何人も、児童の健全な成長のために、良好な家庭的環境及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。
第5条
【児童虐待の早期発見等】
学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。
前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。
学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。
参照条文
第6条
【児童虐待に係る通告】
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
前項の規定による通告は、児童福祉法第25条の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。
刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第1項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。
第7条
市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所が前条第1項の規定による通告を受けた場合においては、当該通告を受けた市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所の所長、所員その他の職員及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。
第8条
【通告又は送致を受けた場合の措置】
市町村又は都道府県の設置する福祉事務所が第6条第1項の規定による通告を受けたときは、市町村又は福祉事務所の長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。
児童福祉法第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号又は第25条の8第1号の規定により当該児童を児童相談所に送致すること。
当該児童のうち次条第1項の規定による出頭の求め及び調査若しくは質問、第9条第1項の規定による立入り及び調査若しくは質問又は児童福祉法第33条第1項若しくは第2項の規定による一時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事又は児童相談所長へ通知すること。
児童相談所が第6条第1項の規定による通告又は児童福祉法第25条の7第1項第1号若しくは第2項第1号又は第25条の8第1号の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ同法第33条第1項の規定による一時保護を行うものとする。
前二項の児童の安全の確認を行うための措置、児童相談所への送致又は一時保護を行う者は、速やかにこれを行うものとする。
第8条の2
【出頭要求等】
都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により当該児童の保護者の出頭を求めようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時及び場所、同伴すべき児童の氏名その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。
都道府県知事は、第1項の保護者が同項の規定による出頭の求めに応じない場合は、次条第1項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問その他の必要な措置を講ずるものとする。
第9条
【立入調査等】
都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。
前項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問は、児童福祉法第29条の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問とみなして、同法第61条の5の規定を適用する。
第9条の2
【再出頭要求等】
都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者又は前条第1項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。
第8条の2第2項の規定は、前項の規定による出頭の求めについて準用する。
第9条の3
【臨検、捜索等】
都道府県知事は、第8条の2第1項の保護者又は第9条第1項の児童の保護者が前条第1項の規定による出頭の求めに応じない場合において、児童虐待が行われている疑いがあるときは、当該児童の安全の確認を行い又はその安全を確保するため、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、当該児童の住所若しくは居所に臨検させ、又は当該児童を捜索させることができる。
都道府県知事は、前項の規定による臨検又は捜索をさせるときは、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。
都道府県知事は、第1項の許可状(以下「許可状」という。)を請求する場合においては、児童虐待が行われている疑いがあると認められる資料、臨検させようとする住所又は居所に当該児童が現在すると認められる資料並びに当該児童の保護者が第9条第1項の規定による立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避したこと及び前条第1項の規定による出頭の求めに応じなかったことを証する資料を提出しなければならない。
前項の請求があった場合においては、地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所又は捜索すべき児童の氏名並びに有効期間、その期間経過後は執行に着手することができずこれを返還しなければならない旨、交付の年月日及び裁判所名を記載し、自己の記名押印した許可状を都道府県知事に交付しなければならない。
都道府県知事は、許可状を児童の福祉に関する事務に従事する職員に交付して、第1項の規定による臨検又は捜索をさせるものとする。
第1項の規定による臨検又は捜索に係る制度は、児童虐待が保護者がその監護する児童に対して行うものであるために他人から認知されること及び児童がその被害から自ら逃れることが困難である等の特別の事情から児童の生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあることにかんがみ特に設けられたものであることを十分に踏まえた上で、適切に運用されなければならない。
第9条の4
【臨検又は捜索の夜間執行の制限】
前条第1項の規定による臨検又は捜索は、許可状に夜間でもすることができる旨の記載がなければ、日没から日の出までの間には、してはならない。
日没前に開始した前条第1項の規定による臨検又は捜索は、必要があると認めるときは、日没後まで継続することができる。
第9条の5
【許可状の提示】
第9条の3第1項の規定による臨検又は捜索の許可状は、これらの処分を受ける者に提示しなければならない。
第9条の6
【身分の証明】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第9条の3第1項の規定による臨検若しくは捜索又は同条第2項の規定による調査若しくは質問(以下「臨検等」という。)をするときは、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第9条の7
【臨検又は捜索に際しての必要な処分】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第9条の3第1項の規定による臨検又は捜索をするに当たって必要があるときは、錠をはずし、その他必要な処分をすることができる。
第9条の8
【臨検等をする間の出入りの禁止】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、臨検等をする間は、何人に対しても、許可を受けないでその場所に出入りすることを禁止することができる。
第9条の9
【責任者等の立会い】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第9条の3第1項の規定による臨検又は捜索をするときは、当該児童の住所若しくは居所の所有者若しくは管理者(これらの者の代表者、代理人その他これらの者に代わるべき者を含む。)又は同居の親族で成年に達した者を立ち会わせなければならない。
前項の場合において、同項に規定する者を立ち会わせることができないときは、その隣人で成年に達した者又はその地の地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。
第10条
【警察署長に対する援助要請等】
児童相談所長は、第8条第2項の児童の安全の確認又は一時保護を行おうとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。都道府県知事が、第9条第1項の規定による立入り及び調査若しくは質問をさせ、又は臨検等をさせようとする場合についても、同様とする。
児童相談所長又は都道府県知事は、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ迅速かつ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。
警察署長は、第1項の規定による援助の求めを受けた場合において、児童の生命又は身体の安全を確認し、又は確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。
第10条の2
【調書】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、第9条の3第1項の規定による臨検又は捜索をしたときは、これらの処分をした年月日及びその結果を記載した調書を作成し、立会人に示し、当該立会人とともにこれに署名押印しなければならない。ただし、立会人が署名押印をせず、又は署名押印することができないときは、その旨を付記すれば足りる。
第10条の3
【都道府県知事への報告】
児童の福祉に関する事務に従事する職員は、臨検等を終えたときは、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
第10条の4
【行政手続法の適用除外】
臨検等に係る処分については、行政手続法第3章の規定は、適用しない。
第10条の5
【不服申立ての制限】
臨検等に係る処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
第10条の6
【行政事件訴訟の制限】
臨検等に係る処分については、行政事件訴訟法第37条の4の規定による差止めの訴えを提起することができない。
第11条
【児童虐待を行った保護者に対する指導等】
児童虐待を行った保護者について児童福祉法第27条第1項第2号の規定により行われる指導は、親子の再統合への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮の下に適切に行われなければならない。
児童虐待を行った保護者について児童福祉法第27条第1項第2号の措置が採られた場合においては、当該保護者は、同号の指導を受けなければならない。
前項の場合において保護者が同項の指導を受けないときは、都道府県知事は、当該保護者に対し、同項の指導を受けるよう勧告することができる。
都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、児童福祉法第33条第2項の規定により児童相談所長をして児童虐待を受けた児童に一時保護を加えさせ又は適当な者に一時保護を加えることを委託させ、同法第27条第1項第3号又は第28条第1項の規定による措置を採る等の必要な措置を講ずるものとする。
児童相談所長は、第3項の規定による勧告を受けた保護者が当該勧告に従わず、その監護する児童に対し親権を行わせることが著しく当該児童の福祉を害する場合には、必要に応じて、適切に、児童福祉法第33条の7の規定による請求を行うものとする。
第12条
【面会等の制限等】
児童虐待を受けた児童について児童福祉法第27条第1項第3号の措置(以下「施設入所等の措置」という。)が採られ、又は同法第33条第1項若しくは第2項の規定による一時保護が行われた場合において、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため必要があると認めるときは、児童相談所長及び当該児童について施設入所等の措置が採られている場合における当該施設入所等の措置に係る同号に規定する施設の長は、厚生労働省令で定めるところにより、当該児童虐待を行った保護者について、次に掲げる行為の全部又は一部を制限することができる。
当該児童との面会
当該児童との通信
前項の施設の長は、同項の規定による制限を行った場合又は行わなくなった場合は、その旨を児童相談所長に通知するものとする。
児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第28条の規定によるものに限る。)が採られ、又は同法第33条第1項若しくは第2項の規定による一時保護が行われた場合において、当該児童虐待を行った保護者に対し当該児童の住所又は居所を明らかにしたとすれば、当該保護者が当該児童を連れ戻すおそれがある等再び児童虐待が行われるおそれがあり、又は当該児童の保護に支障をきたすと認めるときは、児童相談所長は、当該保護者に対し、当該児童の住所又は居所を明らかにしないものとする。
第12条の2
児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第28条の規定によるものを除く。以下この項において同じ。)が採られた場合において、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者が前条第1項の規定による制限に従わないことその他の事情から当該児童について当該施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反し、これを継続することが困難であると認めるときは、児童相談所長は、次項の報告を行うに至るまで、同法第33条第1項の規定により当該児童に一時保護を行うことができる。
児童相談所長は、前項の一時保護を行った場合には、速やかに、児童福祉法第26条第1項第1号の規定に基づき、同法第28条の規定による施設入所等の措置を要する旨を都道府県知事に報告しなければならない。
参照条文
第12条の3
児童相談所長は、児童福祉法第33条第1項の規定により児童虐待を受けた児童について一時保護を行っている場合(前条第1項の1時保護を行っている場合を除く。)において、当該児童について施設入所等の措置を要すると認めるときであって、当該児童虐待を行った保護者に当該児童を引き渡した場合には再び児童虐待が行われるおそれがあると認められるにもかかわらず、当該保護者が当該児童の引渡しを求めること、当該保護者が第12条第1項の規定による制限に従わないことその他の事情から当該児童について施設入所等の措置を採ることが当該保護者の意に反すると認めるときは、速やかに、同法第26条第1項第1号の規定に基づき、同法第28条の規定による施設入所等の措置を要する旨を都道府県知事に報告しなければならない。
第12条の4
都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置(児童福祉法第28条の規定によるものに限る。)が採られ、かつ、第12条第1項の規定により、当該児童虐待を行った保護者について、同項各号に掲げる行為の全部が制限されている場合において、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、六月を超えない期間を定めて、当該保護者に対し、当該児童の住所若しくは居所、就学する学校その他の場所において当該児童の身辺につきまとい、又は当該児童の住所若しくは居所、就学する学校その他その通常所在する場所(通学路その他の当該児童が日常生活又は社会生活を営むために通常移動する経路を含む。)の付近をはいかいしてはならないことを命ずることができる。
都道府県知事は、前項に規定する場合において、引き続き児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため特に必要があると認めるときは、六月を超えない期間を定めて、同項の規定による命令に係る期間を更新することができる。
都道府県知事は、第1項の規定による命令をしようとするとき(前項の規定により第1項の規定による命令に係る期間を更新しようとするときを含む。)は、行政手続法第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第1項の規定による命令をするとき(第2項の規定により第1項の規定による命令に係る期間を更新するときを含む。)は、厚生労働省令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。
第1項の規定による命令が発せられた後に児童福祉法第28条の規定による施設入所等の措置が解除され、停止され、若しくは他の措置に変更された場合又は第12条第1項の規定による制限の全部又は一部が行われなくなった場合は、当該命令は、その効力を失う。同法第28条第3項の規定により引き続き施設入所等の措置が採られている場合において、第1項の規定による命令が発せられたときであって、当該命令に係る期間が経過する前に同条第2項の規定による当該施設入所等の措置の期間の更新に係る承認の申立てに対する審判が確定したときも、同様とする。
都道府県知事は、第1項の規定による命令をした場合において、その必要がなくなったと認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、その命令を取り消さなければならない。
第13条
【施設入所等の措置の解除】
都道府県知事は、児童虐待を受けた児童について施設入所等の措置が採られ、及び当該児童の保護者について児童福祉法第27条第1項第2号の措置が採られた場合において、当該児童について採られた施設入所等の措置を解除しようとするときは、当該児童の保護者について同号の指導を行うこととされた児童福祉司等の意見を聴くとともに、当該児童の保護者に対し採られた当該指導の効果、当該児童に対し再び児童虐待が行われることを予防するために採られる措置について見込まれる効果その他厚生労働省令で定める事項を勘案しなければならない。
第13条の2
【児童虐待を受けた児童等に対する支援】
市町村は、児童福祉法第24条第3項の規定により保育所に入所する児童を選考する場合には、児童虐待の防止に寄与するため、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。
国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその年齢及び能力に応じ充分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。
国及び地方公共団体は、居住の場所の確保、進学又は就業の支援その他の児童虐待を受けた者の自立の支援のための施策を講じなければならない。
第13条の3
【資料又は情報の提供】
地方公共団体の機関は、市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長又は児童相談所長から児童虐待に係る児童又はその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他児童虐待の防止等に係る当該児童、その保護者その他の関係者に関する資料又は情報の提供を求められたときは、当該資料又は情報について、当該市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長又は児童相談所長が児童虐待の防止等に関する事務又は業務の遂行に必要な限度で利用し、かつ、利用することに相当の理由があるときは、これを提供することができる。ただし、当該資料又は情報を提供することによって、当該資料又は情報に係る児童、その保護者その他の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
第13条の4
【都道府県児童福祉審議会等への報告】
都道府県知事は、児童福祉法第8条第2項に規定する都道府県児童福祉審議会(同条第1項ただし書に規定する都道府県にあっては、地方社会福祉審議会)に、第9条第1項の規定による立入り及び調査又は質問、臨検等並びに児童虐待を受けた児童に行われた同法第33条第1項又は第2項の規定による一時保護の実施状況、児童の心身に著しく重大な被害を及ぼした児童虐待の事例その他の厚生労働省令で定める事項を報告しなければならない。
第14条
【親権の行使に関する配慮等】
児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。
児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。
第15条
【親権の喪失の制度の適切な運用】
民法に規定する親権の喪失の制度は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護の観点からも、適切に運用されなければならない。
第16条
【大都市等の特例】
この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)並びに児童福祉法第59条の4第1項に規定する児童相談所設置市においては、政令で定めるところにより、指定都市若しくは中核市又は児童相談所設置市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。
第17条
【罰則】
第12条の4第1項の規定による命令(同条第2項の規定により同条第1項の規定による命令に係る期間が更新された場合における当該命令を含む。)に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条中児童福祉法第十一条第一項第五号の改正規定及び同法第十六条の二第二項第四号の改正規定並びに附則第四条の規定は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条
(検討)
児童虐待の防止等のための制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
附則
平成13年12月12日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第42条
(処分、手続等に関する経過措置)
この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
第43条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第44条
(経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成15年7月16日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十七年四月一日から施行する。
附則
平成16年4月14日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十六年十月一日から施行する。ただし、第二条の規定は児童福祉法の一部を改正する法律附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から、附則第三条の規定は同法の施行の日から施行する。
第2条
(検討)
児童虐待の防止等に関する制度に関しては、この法律の施行後三年以内に、児童の住所又は居所における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、親権の喪失等の制度のあり方その他必要な事項について、この法律による改正後の児童虐待の防止等に関する法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
附則
平成16年12月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十七年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則
平成17年11月7日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十八年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第121条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第122条
(その他の経過措置の政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附則
平成18年6月7日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則
平成19年6月1日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成二十年四月一日から施行する。
第2条
(検討)
政府は、この法律の施行後三年以内に、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附則
平成20年12月3日
第1条
(施行期日)
この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。
附則
平成23年5月25日
この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。
附則
平成24年8月22日
この法律は、子ども・子育て支援法の施行の日から施行する。

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