沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法
平成24年3月31日 改正
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
①
駐留軍用地 沖縄県の区域内において、駐留軍(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下同じ。)が日米安保条約第6条の規定に基づき使用することを許されている施設及び区域に係る土地をいう。
②
駐留軍用地跡地 日本国との平和条約の効力発生の日から琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日の前日までの間においてアメリカ合衆国が沖縄県の区域内において使用していた土地で当該土地の所有者等(所有者又は賃借権その他政令で定める権利を有する者をいう。以下同じ。)に返還されているもの又は同協定の効力発生の日以後沖縄県の区域内において駐留軍が日米安保条約第6条の規定に基づき使用することを許されていた施設及び区域に係る土地で当該土地の所有者等に返還されているものをいう。
第3条
【基本理念】
1
駐留軍用地跡地は、戦後長期間にわたって駐留軍によって使用された後にようやく返還される沖縄県の貴重な土地資源であることに鑑み、二十一世紀における沖縄県の自然、経済、社会等に係る新たな展望の下に、沖縄県の自立的な発展及び潤いのある豊かな生活環境の創造のための基盤として、その有効かつ適切な利用が推進されなければならない。
2
国は、駐留軍用地が日米安保条約により我が国が駐留軍に提供してきたものであること及びその返還を機とする沖縄県の発展が我が国の発展に寄与するものであることに鑑み、沖縄県及び関係市町村との密接な連携を確保しつつ、国の責任を踏まえ、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を主体的に推進しなければならない。
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参照条文
第5条
【地方公共団体の責務】
沖縄県及び関係市町村は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえ、当該地域の状況に応じた駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を推進するため必要な駐留軍用地跡地の利用に関する整備計画の策定その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
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参照条文
第8条
【返還実施計画】
1
国は、合同委員会(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(第31条第2項において「日米地位協定」という。)第25条に規定する合同委員会をいう。以下同じ。)において返還が合意された駐留軍用地の区域の全部について、返還後において当該土地を利用する上での支障の除去に関する措置を当該土地の所有者等に当該土地を引き渡す前に講ずることにより、その有効かつ適切な利用が図られるようにするため、速やかに、当該駐留軍用地の返還に関する実施計画(以下この条及び第11条第1項「返還実施計画」という。)を定めなければならない。ただし、駐留軍用地の所有者等が、自ら当該土地を使用する目的で行った申請に係る返還については、この限りでない。
2
返還実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
第9条
【駐留軍用地についての調査及び測量の実施に関するあっせん】
1
沖縄県知事又は関係市町村の長は、総合整備計画の策定その他この法律に基づく施策を実施するため日米安全保障協議委員会(日米安保条約に基づき、日本国政府とアメリカ合衆国政府の間の相互理解を促進することに役立つとともに安全保障の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような問題であって安全保障問題の基盤をなすもののうち、安全保障問題に関するものを検討するために設置された特別の委員会をいう。第12条第1項において同じ。)又は合同委員会において返還が合意された駐留軍用地において調査及び測量を行う必要があると認めるときは、国に対し、当該駐留軍用地についての調査及び測量の実施に関してあっせんを申請することができる。
第10条
【給付金の支給】
1
国は、駐留軍用地の返還に伴う駐留軍用地跡地の所有者等の負担の軽減を図り、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に資するため、アメリカ合衆国から駐留軍用地(琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日の前日においてアメリカ合衆国が使用していたもので、引き続き駐留軍の使用に供されているものに限り、国有地を除く。第29条第1項において同じ。)の返還を受けた場合において、当該土地の所有者等が、当該土地が引き渡された日(以下この条において「引渡日」という。)以後引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、当該所有者等に対し、引渡日の翌日から起算して三年を超えない期間内で、当該所有者等の申請に基づき、政令で定めるところにより、給付金を支給するものとする。
2
前項の給付金の額は、当該土地の返還を受けた日の属する年度に国が当該土地について支払った賃借料(当該土地が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下この項、次条第2項及び第29条第3項において「駐留軍用地使用等特別措置法」という。)により使用されたものであるときは、駐留軍用地使用等特別措置法第14条の規定により適用する土地収用法第72条に規定する補償金)の一日当たりの額に、引渡日の翌日から当該土地の所有者等が当該土地を使用し、収益し、又は処分した日の前日までの期間(引渡日の翌日から起算して三年以上、当該土地を使用し、収益し、又は処分しなかった場合にあっては、三年間)の日数を乗じて得た額とする。
第11条
【支障除去措置の実施期間中の補償金】
1
国は、アメリカ合衆国から駐留軍用地(国有地を除く。)の返還を受けた場合において、その返還を受けた日(次項において「返還日」という。)後に返還実施計画に基づく支障の除去に関する措置が実施されることにより当該土地の所有者等が当該土地を使用することができないときは、当該所有者等に対し、補償金を支払うものとする。
2
前項の補償金の額は、返還日の属する年度に国が当該土地について支払った賃借料(当該土地が駐留軍用地使用等特別措置法により使用されたものであるときは、駐留軍用地使用等特別措置法第14条の規定により適用する土地収用法第72条に規定する補償金。)の一日当たりの額に当該土地を使用することができない期間の日数を乗じて得た額とする。
第12条
【特定駐留軍用地の指定】
1
内閣総理大臣は、日米安全保障協議委員会又は合同委員会において返還が合意された駐留軍用地であって、返還後の計画的な開発整備を行うことが必要と認められ、かつ、その区域内における公有地(沖縄県及び関係市町村の所有する土地をいう。以下この項において同じ。)及び土地開発公社(公有地の拡大の推進に関する法律第10条の規定による土地開発公社をいう。第14条第2項第1号において同じ。)の所有する公有地となるべき土地の割合が著しく低いことからその跡地の利用の推進に必要な公共用地を確保するためその区域内における公有地の計画的な拡大が必要と認められるもの(その面積が政令で定める規模以上であることその他政令で定める要件に該当するものに限る。)を特定駐留軍用地として指定するものとする。
第13条
【特定事業の見通し】
1
沖縄県知事又は関係市町村の長は、沖縄県知事にあっては関係市町村の長に、関係市町村の長にあっては沖縄県知事に協議して、特定駐留軍用地について、都市計画法第11条第1項各号に掲げる施設又は土地収用法第3条各号に掲げるものに関する事業であって、当該特定駐留軍用地の返還後の跡地においてその実施を予定し、かつ、その実施に必要な当該特定駐留軍用地内の土地の先行取得を早期に行うことがその跡地の有効かつ適切な利用の推進に資するもの(以下「特定事業」という。)の見通し(以下単に「特定事業の見通し」という。)を定めることができる。
第14条
【土地を譲渡しようとする場合の届出義務等】
1
特定駐留軍用地(特定事業の見通しが定められていないものを除く。次条第1項において同じ。)内の土地を所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、当該土地の所在及び面積、当該土地の譲渡予定価額、当該土地を譲り渡そうとする相手方その他内閣府令で定める事項を、内閣府令で定めるところにより、当該土地が所在する関係市町村の長に届け出なければならない。
2
前項の規定は、同項に規定する土地が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該土地を有償で譲り渡そうとする者については、適用しない。
①
国若しくは地方公共団体等(沖縄県、関係市町村及び沖縄県又は関係市町村が単独で、又は共同して設立した土地開発公社をいう。以下この章において同じ。)に譲り渡されるものであるとき、又はこれらの者が譲り渡すものであるとき。
⑤
国土利用計画法第27条の4第1項又は第27条の7第1項に規定する土地売買等の契約を締結する場合に同法第27条の4第1項(同法第27条の7第1項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による届出を要するものであるとき。
3
国土利用計画法第27条の4第1項の規定による届出は、第16条、第17条(同法第27条の5第1項若しくは第27条の8第1項の規定による勧告又は同法第27条の5第3項(同法第27条の8第2項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知を受けないで土地を有償で譲り渡す場合を除く。)、第18条及び第33条第3号(同法第27条の5第1項若しくは第27条の8第1項の規定による勧告又は同法第27条の5第3項の規定による通知を受けないで土地を有償で譲り渡した者を除く。)の規定の適用については、第1項の規定による届出とみなす。
第15条
【地方公共団体等に対する土地の買取り希望の申出等】
1
特定駐留軍用地内の土地(その面積が政令で定める規模以上のものに限る。)を所有する者は、当該土地の地方公共団体等による買取りを希望するときは、内閣府令で定めるところにより、当該土地が所在する関係市町村の長に対し、その旨を申し出ることができる。
第21条
【県総合整備計画】
2
沖縄県知事は、前項の県総合整備計画(以下単に「県総合整備計画」という。)を定めようとするときは、あらかじめ、関係市町村の長の意見を聴かなければならない。この場合において、関係市町村の長は、意見を述べようとするときは、あらかじめ、県総合整備計画に係る土地の所有者等の意見を聴かなければならない。
第22条
【総合整備計画と他の計画との関係】
総合整備計画は、沖縄振興特別措置法による沖縄振興計画その他法令の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれるとともに、沖縄県における国土の利用に関する計画及び土地利用に関する計画に適合するように定められなければならない。
第23条
【都市計画法等による処分についての配慮】
国の行政機関の長又は沖縄県知事は、総合整備計画に基づく事業の実施のため都市計画法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地において当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をするものとする。
第25条
【国有財産の譲与等】
国は、沖縄県及び関係市町村その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者(以下この条において「関係地方公共団体等」という。)が総合整備計画に基づく事業で公共の用に供する施設に関するものを実施するため必要があるときは、政令で定めるところにより、国有財産(国有財産法第2条に規定する国有財産をいう。)を関係地方公共団体等に対して、無償又は時価より低い価額で譲渡し、又は貸し付けることができる。
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参照条文
第26条
【拠点返還地の指定】
1
内閣総理大臣は、合同委員会において返還が合意された駐留軍用地について、当該駐留軍用地の区域内のうち次に掲げる土地の区域を拠点返還地として指定するものとする。この場合において、当該指定は、アメリカ合衆国から当該土地の返還を受けた日の翌日から起算して一年を経過する日までに行うものとする。
①
返還後において各市町村の区域を超えた広域的な見地から大規模な公共施設その他の公益的施設(次号において「公共公益施設」という。)の整備を含む市街地の計画的な開発整備を行うことにより沖縄県の自立的な発展及び潤いのある豊かな生活環境の創造の拠点となると認められる土地の区域
②
返還後において前号に掲げる土地との相互の関係を特に考慮して公共公益施設の整備を行うことにより当該土地の区域における拠点としての機能がより高度に発揮されると認められる土地(その面積が五ヘクタール以上である一団の土地に限る。)の区域
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参照条文
第29条
1
国は、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を推進し、当該駐留軍用地跡地における土地区画整理事業に相当の期間を要することに伴う跡地所有者等(当該駐留軍用地跡地の所有者等をいう。以下この条において同じ。)の負担の軽減を図るため、アメリカ合衆国から駐留軍用地の返還を受け、当該駐留軍用地跡地において土地区画整理事業が施行される場合(当該土地が引き渡された日(以下この項において「引渡日」という。)の翌日から起算して三年を経過した日(以下この項及び第3項において「基準日」という。)の前日までに、当該駐留軍用地跡地において土地区画整理法第9条第3項、第21条第3項、第51条の9第3項、第55条第9項、第69条第7項又は第71条の3第11項の公告がなされた場合に限る。)において、跡地所有者等が、引渡日の翌日から起算して引き続き三年を超えて、当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、当該跡地所有者等に対し、当該跡地所有者等の申請に基づき、基準日から特定給付金を支給するものとする。
3
第1項の特定給付金の額は、当該土地の返還を受けた日の属する年度に国が当該土地について支払った賃借料(当該土地が駐留軍用地使用等特別措置法により使用されたものであるときは、駐留軍用地使用等特別措置法第14条の規定により適用する土地収用法第72条に規定する補償金)の一日当たりの額に、基準日から当該跡地所有者等が当該土地を使用し、収益し、又は処分した日の前日までの期間(当該期間が前項の政令で定める期間を超える場合には、当該政令で定める期間)の日数を乗じて得た額とする。
第30条
【駐留軍用地跡地利用推進協議会】
1
内閣府設置法第10条の特命担当大臣、当該特命担当大臣以外の国務大臣のうちから内閣総理大臣の指定する者、沖縄県知事及び関係市町村の長は、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する施策に関し必要な協議を行うため、駐留軍用地跡地利用推進協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
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参照条文