公文書等の管理に関する法律
平成24年11月26日 改正
第1条
【目的】
この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
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参照条文
第2条
【定義】
4
この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第19条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
5
この法律において「法人文書」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
第4条
行政機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
第5条
【整理】
1
行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
2
行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
第6条
【保存】
1
行政機関の長は、行政文書ファイル等について、当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
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参照条文
第7条
【行政文書ファイル管理簿】
1
行政機関の長は、行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「行政機関情報公開法」という。)第5条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「行政文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された行政文書ファイル等については、この限りでない。
第8条
【移管又は廃棄】
3
行政機関の長は、第1項の規定により国立公文書館等に移管する行政文書ファイル等について、第16条第1項第1号に掲げる場合に該当するものとして国立公文書館等において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
第9条
【管理状況の報告等】
3
内閣総理大臣は、第1項に定めるもののほか、行政文書の適正な管理を確保するために必要があると認める場合には、行政機関の長に対し、行政文書の管理について、その状況に関する報告若しくは資料の提出を求め、又は当該職員に実地調査をさせることができる。
第11条
【法人文書の管理に関する原則】
2
独立行政法人等は、法人文書ファイル等(能率的な事務又は事業の処理及び法人文書の適切な保存に資するよう、相互に密接な関連を有する法人文書を一の集合物にまとめたもの並びに単独で管理している法人文書をいう。以下同じ。)の管理を適切に行うため、政令で定めるところにより、法人文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第5条に規定する不開示情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「法人文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。ただし、政令で定める期間未満の保存期間が設定された法人文書ファイル等については、この限りでない。
3
独立行政法人等は、法人文書ファイル管理簿について、政令で定めるところにより、当該独立行政法人等の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない。
4
独立行政法人等は、保存期間が満了した法人文書ファイル等について、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等に移管し、それ以外のものにあっては廃棄しなければならない。
5
独立行政法人等は、前項の規定により国立公文書館等に移管する法人文書ファイル等について、第16条第1項第2号に掲げる場合に該当するものとして国立公文書館等において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
第13条
【法人文書管理規則】
1
独立行政法人等は、法人文書の管理が前二条の規定に基づき適正に行われることを確保するため、第10条第2項の規定を参酌して、法人文書の管理に関する定め(以下「法人文書管理規則」という。)を設けなければならない。
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参照条文
第14条
【行政機関以外の国の機関が保有する歴史公文書等の保存及び移管】
2
内閣総理大臣は、前項の協議による定めに基づき、歴史公文書等について、国立公文書館において保存する必要があると認める場合には、当該歴史公文書等を保有する国の機関との合意により、その移管を受けることができる。
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参照条文
第15条
【特定歴史公文書等の保存等】
1
国立公文書館等の長(国立公文書館等が行政機関の施設である場合にあってはその属する行政機関の長、国立公文書館等が独立行政法人等の施設である場合にあってはその施設を設置した独立行政法人等をいう。以下同じ。)は、特定歴史公文書等について、第25条の規定により廃棄されるに至る場合を除き、永久に保存しなければならない。
2
国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
3
国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等に個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。)が記録されている場合には、当該個人情報の漏えいの防止のために必要な措置を講じなければならない。
4
国立公文書館等の長は、政令で定めるところにより、特定歴史公文書等の分類、名称、移管又は寄贈若しくは寄託をした者の名称又は氏名、移管又は寄贈若しくは寄託を受けた時期及び保存場所その他の特定歴史公文書等の適切な保存を行い、及び適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。
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参照条文
第16条
【特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱い】
1
国立公文書館等の長は、当該国立公文書館等において保存されている特定歴史公文書等について前条第4項の目録の記載に従い利用の請求があった場合には、次に掲げる場合を除き、これを利用させなければならない。
①
第18条
【第三者に対する意見書提出の機会の付与等】
1
利用請求に係る特定歴史公文書等に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び利用請求をした者以外の者(以下この条において「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合には、国立公文書館等の長は、当該特定歴史公文書等を利用させるか否かについての決定をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2
国立公文書館等の長は、第三者に関する情報が記録されている特定歴史公文書等の利用をさせようとする場合であって、当該情報が行政機関情報公開法第5条第1号ロ若しくは第2号ただし書に規定する情報又は独立行政法人等情報公開法第5条第1号ロ若しくは第2号ただし書に規定する情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
3
国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等であって第16条第1項第1号ハ又はニに該当するものとして第8条第3項の規定により意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
4
国立公文書館等の長は、第1項又は第2項の規定により意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定歴史公文書等を利用させることに反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、当該特定歴史公文書等を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、国立公文書館等の長は、その決定後直ちに、当該意見書(第21条第2項第2号において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。
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参照条文
第19条
【利用の方法】
国立公文書館等の長が特定歴史公文書等を利用させる場合には、文書又は図画については閲覧又は写しの交付の方法により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法により特定歴史公文書等を利用させる場合にあっては、当該特定歴史公文書等の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときに限り、その写しを閲覧させる方法により、これを利用させることができる。
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参照条文
第21条
【異議申立て及び公文書管理委員会への諮問】
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参照条文
第22条
【独立行政法人等情報公開法及び情報公開・個人情報保護審査会設置法の準用】
独立行政法人等情報公開法第19条及び第20条並びに情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条から第16条までの規定は、前条の規定による異議申立てについて準用する。この場合において、独立行政法人等情報公開法第19条中「前条第2項」とあるのは「公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第21条第2項」と、「独立行政法人等」とあるのは「公文書管理法第15条第1項に規定する国立公文書館等の長」と、同条第2号中「開示請求者(開示請求者が」とあるのは「利用請求(公文書管理法第16条第2項に規定する利用請求をいう。以下同じ。)をした者(利用請求をした者が」と、同条第3号中「開示決定等について反対意見書」とあるのは「利用請求に対する処分について公文書管理法第18条第4項に規定する反対意見書」と、独立行政法人等情報公開法第20条中「第14条第3項」とあるのは「公文書管理法第18条第4項」と、同条第1号中「開示決定」とあるのは「利用させる旨の決定」と、同条第2号中「開示決定等」とあるのは「利用請求に対する処分」と、「法人文書を開示する」とあるのは「特定歴史公文書等(公文書管理法第2条第7項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下この号において同じ。)を利用させる」と、「法人文書の開示」とあるのは「特定歴史公文書等を利用させること」と、情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条から第16条までの規定中「審査会」とあるのは「公文書管理委員会」と、同法第9条第1項中「諮問庁」とあるのは「諮問庁(公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第21条第2項の規定により諮問をした公文書管理法第15条第1項に規定する国立公文書館等の長をいう。以下この条において同じ。)」と、「行政文書等又は保有個人情報の提示」とあるのは「特定歴史公文書等(公文書管理法第2条第7項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下同じ。)の提示」と、「行政文書等又は保有個人情報の開示」とあるのは「特定歴史公文書等の開示」と、同条第3項中「行政文書等に記録されている情報又は保有個人情報に含まれている情報」とあるのは「特定歴史公文書等に記録されている情報」と、同条第4項中「不服申立て」とあるのは「異議申立て」と、「、不服申立人」とあるのは「、異議申立人」と、「不服申立人等」とあるのは「異議申立人等」と、同法第10条から第13条までの規定中「不服申立人等」とあるのは「異議申立人等」と、同法第10条第2項及び第16条中「不服申立人」とあるのは「異議申立人」と、同法第12条中「行政文書等又は保有個人情報」とあるのは「特定歴史公文書等」と読み替えるものとする。
第23条
【利用の促進】
国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等(第16条の規定により利用させることができるものに限る。)について、展示その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。
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参照条文
第24条
【移管元行政機関等による利用の特例】
特定歴史公文書等を移管した行政機関の長又は独立行政法人等が国立公文書館等の長に対してそれぞれその所掌事務又は業務を遂行するために必要であるとして当該特定歴史公文書等について利用請求をした場合には、第16条第1項第1号又は第2号の規定は、適用しない。
第32条
【研修】
第33条
【組織の見直しに伴う行政文書等の適正な管理のための措置】
別表第一
【第二条関係】
名称 | 根拠法 |
沖縄科学技術大学院大学学園 | 沖縄科学技術大学院大学学園法 |
沖縄振興開発金融公庫 | 沖縄振興開発金融公庫法 |
株式会社国際協力銀行 | 株式会社国際協力銀行法 |
株式会社日本政策金融公庫 | 株式会社日本政策金融公庫法 |
原子力損害賠償支援機構 | 原子力損害賠償支援機構法 |
国立大学法人 | 国立大学法人法 |
新関西国際空港株式会社 | 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律 |
大学共同利用機関法人 | 国立大学法人法 |
日本銀行 | 日本銀行法 |
日本司法支援センター | 総合法律支援法 |
日本私立学校振興・共済事業団 | 日本私立学校振興・共済事業団法 |
日本中央競馬会 | 日本中央競馬会法 |
日本年金機構 | 日本年金機構法 |
農水産業協同組合貯金保険機構 | 農水産業協同組合貯金保険法 |
放送大学学園 | 放送大学学園法 |
預金保険機構 | 預金保険法 |
別表第二
【第二条関係】
新関西国際空港株式会社 | 一 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(以下この項において「設置管理法」という。)第九条第一項の事業に係る業務のうち関西国際空港に係るものであって、次のいずれかに該当するもの イ 関西国際空港及び設置管理法第九条第一項第二号に規定する施設の設置(これらの建設に係るものを除く。)及び管理の事業に係る業務 ロ 設置管理法第九条第一項第三号の政令で定める施設及び同項第六号に規定する施設の管理の事業に係る業務 ハ イ又はロに規定する事業に附帯する事業に係る業務 二 設置管理法第九条第一項の事業に係る業務のうち大阪国際空港に係るもの 三 設置管理法第九条第二項に規定する事業に係る業務 |
日本私立学校振興・共済事業団 | 一 日本私立学校振興・共済事業団法(以下この項において「事業団法」という。)第二十三条第一項第六号から第八号までに掲げる業務 二 事業団法第二十三条第二項に規定する業務 三 事業団法第二十三条第三項第一号及び第二号に掲げる業務 |