判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律
平成25年6月26日 改正
第1条
【目的】
この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、司法に対する多様かつ広範な国民の要請にこたえることのできる広くかつ高い識見を備えた裁判官及び検察官が求められていることにかんがみ、判事補及び検事(司法修習生の修習を終えた者であって、その最初に検事に任命された日から十年を経過していないものに限る。第7条第5項、第11条第4項及び第12条を除き、以下同じ。)について、その経験多様化(裁判官又は検察官としての能力及び資質の向上並びにその職務の充実に資する他の職務経験その他の多様な経験をすることをいう。次条第1項及び第4項において同じ。)のための方策の一環として、一定期間その官を離れ、弁護士となってその職務を経験するために必要な措置を講ずることにより、判事補及び検事が弁護士としての職務を経験することを通じて、裁判官及び検察官としての能力及び資質の一層の向上並びにその職務の一層の充実を図ることを目的とする。
第2条
【弁護士職務経験】
7
第1項又は第4項の取決めにおいては、第3項又は前項の規定により裁判所事務官又は法務省に属する官職に任命されて第1項又は第4項の規定により弁護士となってその職務を行う者(以下「弁護士職務従事職員」という。)と弁護士職務従事職員を雇用する弁護士法人又は弁護士(以下「受入先弁護士法人等」という。)との間の雇用契約(第4条第2項ただし書に規定する承認に係る事項の定めを含む。)の締結、当該受入先弁護士法人等における勤務条件、第1項又は第4項の規定により弁護士となってその職務を行う期間(以下「弁護士職務従事期間」という。)、これらの規定により弁護士となってその職務を経験すること(以下「弁護士職務経験」という。)の終了に関する事項その他これらの規定により弁護士となってその職務を行うものとし又は行わせるに当たって合意しておくべきものとして判事補については最高裁判所規則で、検事については法務省令で定める事項を定めるものとする。
第3条
【弁護士職務従事期間】
弁護士職務従事期間は、二年を超えることができない。ただし、特に必要があると認めるときは、最高裁判所又は法務大臣は、当該弁護士職務従事職員及び当該受入先弁護士法人等の同意を得て、当該弁護士職務経験を開始した日から引き続き三年を超えない範囲内で、これを延長することができる。
第6条
【弁護士職務従事職員の服務等】
1
弁護士職務従事職員は、第4条の規定により弁護士の業務を行うに当たっては、裁判所事務官若しくは法務省職員たる地位を利用し、又はその弁護士職務経験の前において判事補若しくは検事であったことによる影響力を利用してはならない。
4
弁護士職務従事職員に関する国家公務員倫理法(裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、当該弁護士職務従事職員(第2条第3項又は第6項の規定により裁判所事務官又は法務省に属する官職に任命された日の前日において裁判官の報酬等に関する法律別表判事補の項八号の報酬月額以上の報酬又は検察官の俸給等に関する法律別表検事の項十六号の俸給月額以上の俸給を受けていた者に限る。)は、国家公務員倫理法第2条第2項に規定する本省課長補佐級以上の職員とみなす。
5
弁護士職務従事職員に関する国家公務員法第82条(裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、同条第1項第1号中「若しくは国家公務員倫理法」とあるのは、「、国家公務員倫理法(判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律第6条第4項の規定によりみなして適用される場合を含む。)若しくは判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」とする。
⊟
参照条文
第8条
【国家公務員共済組合法の特例】
1
国家公務員共済組合法第41条第2項の規定及び同法の短期給付に関する規定(同法第68条の3の規定を除く。以下この項において同じ。)は、弁護士職務従事職員には、適用しない。この場合において、同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員(同法第2条第1項第1号に規定する職員をいう。以下この項において同じ。)が弁護士職務従事職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(同法第2条第1項第4号に規定する退職をいう。)をしたものとみなし、弁護士職務従事職員が同法の短期給付に関する規定の適用を受ける職員となったときは、同法の短期給付に関する規定の適用については、そのなった日に職員となったものとみなす。
4
弁護士職務従事職員に関する国家公務員共済組合法の規定の適用については、同法第2条第1項第5号及び第6号中「準ずる給与として政令で定めるもの」とあるのは「相当するものとして次条第1項に規定する組合の運営規則で定めるもの」と、同法第99条第2項中「次の各号」とあるのは「次の各号(第1号、第1号の2及び第4号を除く。)」と、「及び国の負担金」とあるのは「及び判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律第2条第7項に規定する受入先弁護士法人等(以下「受入先弁護士法人等」という。)の負担金」と、同項第2号及び第3号中「国の負担金」とあるのは「受入先弁護士法人等の負担金」と、同法第102条第1項中「各省各庁の長(環境大臣を含む。)、特定独立行政法人又は職員団体」とあり、及び「国、特定独立行政法人又は職員団体」とあるのは「受入先弁護士法人等及び国」と、「第99条第2項(同条第5項から第7項までの規定により読み替えて適用する場合を含む。)及び第4項(同条第6項及び第7項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「第99条第2項及び第4項」と、同条第4項中「から第4号まで」とあるのは「及び第3号」と、「及び同条第4項(同条第6項及び第7項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)」とあるのは「並びに同条第4項」と、「(同条第4項」とあるのは「(同項」と、「国、特定独立行政法人又は職員団体」とあるのは「受入先弁護士法人等及び国」とする。
第10条
【一般職の職員の給与に関する法律の特例】
1
弁護士職務従事職員であった者に関する一般職の職員の給与に関する法律第23条第1項及び附則第6項の規定の適用については、第4条第1項に規定する弁護士の業務(当該弁護士の業務に係る労働者災害補償保険法第7条第2項に規定する通勤(当該弁護士の業務に係る就業の場所を国家公務員災害補償法第1条の2第1項第1号及び第2号に規定する勤務場所とみなした場合に同条に規定する通勤に該当するものに限る。次条第1項において同じ。)を含む。)を公務とみなす。
2
弁護士職務従事職員であった者に関する一般職の職員の給与に関する法律第11条の7第3項、第11条の8第3項、第12条第4項、第12条の2第3項及び第14条第2項の規定の適用については、弁護士職務従事職員は、同法第11条の7第3項に規定する特定独立行政法人職員等とみなす。
⊟
参照条文
第11条
【国家公務員退職手当法の特例】
1
弁護士職務従事職員又は弁護士職務従事職員であった者が退職した場合における国家公務員退職手当法の規定の適用については、第4条第1項に規定する弁護士の業務に係る業務上の傷病又は死亡は同法第4条第2項、第5条第1項及び第6条の4第1項に規定する公務上の傷病又は死亡と、当該弁護士の業務に係る労働者災害補償保険法第7条第2項に規定する通勤による傷病は国家公務員退職手当法第4条第2項、第5条第2項及び第6条の4第1項に規定する通勤による傷病とみなす。
2
弁護士職務従事職員又は弁護士職務従事職員であった者に関する国家公務員退職手当法第6条の4第1項及び第7条第4項の規定の適用については、弁護士職務従事期間は、同法第6条の4第1項に規定する現実に職務をとることを要しない期間には該当しないものとみなす。
3
前項の規定は、弁護士職務従事職員又は弁護士職務従事職員であった者が当該受入先弁護士法人等から所得税法第30条第1項に規定する退職手当等(同法第31条の規定により退職手当等とみなされるものを含む。)の支払を受けた場合には、適用しない。
4
弁護士職務従事職員がその弁護士職務従事期間中に退職した場合に支給する国家公務員退職手当法の規定による退職手当の算定の基礎となる俸給若しくは扶養手当又はこれらに対する地域手当若しくは広域異動手当(以下この項において「俸給等」という。)の月額については、当該弁護士職務従事職員が第2条第3項又は第6項の規定により裁判所事務官又は法務省に属する官職に任命された日の前日において受けていた俸給等の月額をもって、当該弁護士職務従事職員の俸給等の月額とする。ただし、必要があると認められるときは、他の判事補若しくは判事又は検事との均衡を考慮し、必要な措置を講ずることができる。
5
弁護士職務従事職員又は弁護士職務従事職員であった者が退職した場合における国家公務員退職手当法第6条の4の規定の適用については、これらの者は、その弁護士職務従事期間中、第2条第3項又は第6項の規定により裁判所事務官又は法務省に属する官職に任命された日の前日において従事していた職務に従事していたものとみなす。
第12条
【判事補等又は検事への復帰時における処遇】
裁判所事務官である弁護士職務従事職員がその弁護士職務経験の終了後に判事補又は判事に任命された場合及び法務省職員である弁護士職務従事職員がその弁護士職務経験の終了後に検事に任命された場合における処遇については、他の判事補若しくは判事又は検事との権衡上必要と認められる範囲内において、適切な配慮が加えられなければならない。
⊟
参照条文
附則
2
最高裁判所又は法務大臣は、この法律の施行の日前においても、第二条第七項に規定する雇用契約を締結しようとする弁護士法人又は弁護士との間で同条第一項又は第四項の取決めをし、判事補又は検事からこれらの規定の同意を得、その他この法律の実施のために必要な準備行為をすることができる。
4
この法律の施行の日が健康増進法附則第十条の規定の施行の日前である場合には、同条の規定の施行の日の前日までの間における第八条第三項の規定の適用については、同項中「第九十八条第一項各号」とあるのは、「第九十八条各号」とする。
5
この法律の施行の日が国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律第二条の規定の施行の日前である場合には、同条の規定の施行の日の前日までの間における第八条第一項及び第四項の規定の適用については、同条第一項中「第六十八条の二第一項ただし書、第二項及び第三項並びに」とあるのは「第六十八条の二第一項ただし書及び」と、同条第四項中「特定独立行政法人」とあるのは「独立行政法人、国立大学法人等」とする。
附則
平成17年10月21日
第117条
(罰則に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為、この附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為、この法律の施行後附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便為替法第三十八条の八(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替法第七十条(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第二十七条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧郵便振替預り金寄附委託法第八条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第三十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十条(第二号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為、この法律の施行後附則第四十二条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧公社法第七十一条及び第七十二条(第十五号に係る部分に限る。)の規定の失効前にした行為並びに附則第二条第二項の規定の適用がある場合における郵政民営化法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。