全国新幹線鉄道整備法
平成23年6月15日 改正
第1条
【目的】
この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。
⊟
参照条文
第4条
【基本計画】
1
国土交通大臣は、鉄道輸送の需要の動向、国土開発の重点的な方向その他新幹線鉄道の効果的な整備を図るため必要な事項を考慮し、政令で定めるところにより、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線(以下「建設線」という。)を定める基本計画(以下「基本計画」という。)を決定しなければならない。
⊟
参照条文
第5条
【建設線の調査の指示】
1
国土交通大臣は、前条の規定により基本計画を決定したときは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)その他の法人であつて国土交通大臣の指名するものに対し、建設線の建設に関し必要な調査を行うべきことを指示することができる。基本計画を変更したときも、同様とする。
⊟
参照条文
第7条
【整備計画】
2
国土交通大臣は、前項の規定により整備計画を決定しようとするときは、あらかじめ、営業主体及び建設主体(機構を除く。)に協議し、それぞれの同意を得なければならない。整備計画を変更しようとするときも、同様とする。
⊟
参照条文
第8条
【建設線の建設の指示】
国土交通大臣は、前条の規定により整備計画を決定したときは、建設主体に対し、整備計画に基づいて当該建設線の建設を行うべきことを指示しなければならない。整備計画を変更したときも、同様とする。
第9条
【工事実施計画】
1
建設主体は、前条の規定による指示により建設線の建設を行おうとするときは、整備計画に基づいて、路線名、工事の区間、工事方法その他国土交通省令で定める事項を記載した建設線の工事実施計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第10条
【行為制限区域の指定及びその解除】
5
国土交通大臣は、第1項の規定により指定した行為制限区域に係る新幹線鉄道の建設の工事が完了したときは、すみやかに、当該行為制限区域の指定を解除し、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。工事の完了前において当該行為制限区域を存続させる必要がなくなつたと認めるときも、同様とする。
第11条
【行為の制限】
1
前条第1項の規定により指定された行為制限区域内においては、何人も、土地の形質を変更し、又は工作物を新設し、改築し、若しくは増築してはならない。ただし、非常災害のため必要な応急措置として行なう行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。
⊟
参照条文
第12条
【他人の土地の立入り又は一時使用】
1
第5条第1項の規定による国土交通大臣の指名を受けた法人若しくは建設主体又はその委任を受けた者は、新幹線鉄道の建設に関する調査、測量又は工事のためやむを得ない必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。
3
第1項の規定により建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
第13条
【建設費用の負担等】
1
機構が行う新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用(営業主体から支払を受ける新幹線鉄道に係る鉄道施設の貸付料その他の機構の新幹線鉄道に係る業務に係る収入をもつて充てるものとして政令で定めるところにより算定される額に相当する部分を除く。)は、政令で定めるところにより、国及び当該新幹線鉄道の存する都道府県が負担する。
⊟
参照条文
第14条
【鉄道事業法の適用の特例】
1
営業主体と建設主体が同一の法人である場合において建設主体に対する第8条の規定による建設の指示が行われたときは、当該指示に係る建設線の区間について、当該法人は、鉄道事業法第3条第1項の規定による第一種鉄道事業の許可を受けたものとみなす。
2
営業主体と建設主体が異なる法人である場合において建設主体に対する第8条の規定による建設の指示が行われたときは、当該指示に係る建設線の区間について、建設主体が機構以外の法人である場合にあつては、営業主体は鉄道事業法第3条第1項の規定による第一種鉄道事業(建設主体が当該建設線を営業主体に使用させようとするときは、第二種鉄道事業)の許可を受け、建設主体は同項の規定による第三種鉄道事業の許可を受けたものとみなし、建設主体が機構である場合にあつては、営業主体は同項の規定による第一種鉄道事業の許可を受けたものとみなす。
6
建設線については、鉄道事業法第10条第1項中「工事の施行の認可の際国土交通大臣の指定する工事の完成の期限までに、鉄道施設の工事を完成し、かつ」とあるのは「鉄道施設の工事が完成したときは」と、同条第2項中「工事計画」とあるのは「全国新幹線鉄道整備法第9条第1項の認可を受けた工事実施計画」とする。
7
営業主体及び第2項の規定により第三種鉄道事業の許可を受けたものとみなされる建設主体は、当該建設線の営業が開始される前に、国土交通省令で定めるところにより、鉄道事業法第4条第1項第6号に規定する事業基本計画に相当する計画を定め、国土交通大臣に届け出なければならない。この場合において、当該建設線の営業が開始されたときは、当該届出に係る計画は、当該建設線に係る同号に規定する事業基本計画とみなす。
⊟
参照条文
第15条
【所有営業主体の指定】
1
国土交通大臣は、新幹線鉄道を所有し、かつ、その営業を行う法人(以下「所有営業主体」という。)であつて、当該新幹線鉄道の一の路線のうち当該所有営業主体が所有し、かつ、営業を行う区間の営業の開始の日から経過した期間及び当該区間における車両の走行の実績並びに当該所有営業主体の財務の状況その他の事情を勘案して当該区間の大規模改修の実施に要する費用の支出に備えるため第17条第1項に規定する新幹線鉄道大規模改修引当金を積み立てることが必要かつ適当であると認めるものを、当該区間を明らかにして指定することができる。
2
前項の「大規模改修」とは、新幹線鉄道に係る鉄道施設であつて車両の走行が直接その機能の低下をもたらすもののうち国土交通省令で定めるものの取替え又はこれと同等の効果を有すると認められる方法による改修に関する工事であつて、当該新幹線鉄道の一の路線のうち所有営業主体が所有し、かつ、営業を行う区間の全部にわたり行われ、着手から完了までの期間がおおむね十年以内であるものをいう。
第18条
【大規模改修実施計画の認定】
1
所有営業主体は、大規模改修を実施しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、路線名、工事の区間、工事方法その他国土交通省令で定める事項を記載した新幹線鉄道大規模改修実施計画(以下「大規模改修実施計画」という。)を作成し、これを国土交通大臣に提出して、その認定を受けることができる。
⊟
参照条文
第19条
【大規模改修実施計画の変更】
1
前条第1項の規定による認定を受けた所有営業主体(以下「認定所有営業主体」という。)は、当該認定を受けた大規模改修実施計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認定を受けなければならない。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
⊟
参照条文
第21条
【鉄道事業法の適用の特例】
1
認定所有営業主体が大規模改修を実施するに当たり鉄道事業法第12条第1項の認可を受け、又は同条第2項の規定による届出をしなければならない場合においては、当該認定所有営業主体は、これらの規定による認可を受け、又は届出をしたものとみなす。
第22条
【大規模改修実施計画の認定の取消し】
国土交通大臣は、認定所有営業主体が正当な理由なく大規模改修実施計画(第19条の規定により大規模改修実施計画を変更したときは、その変更後のもの)に記載された大規模改修を当該大規模改修実施計画に従つて実施していないと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。
⊟
参照条文
附則
1
この法律は、公布の日から起算して一箇月を経過した日から施行する。ただし、附則第五項の規定による改正後の新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法の規定は、この法律の施行の際現に日本国有鉄道が営業を行つている東京都と大阪府とを連絡する新幹線鉄道以外の新幹線鉄道については、それぞれ、営業を開始する政令で定める区間ごとに、政令で定める日から適用する。
2
この法律の施行の際現に日本国有鉄道が営業を行なつている東京都と大阪府とを連絡する新幹線鉄道及びこの法律の施行の際現に日本国有鉄道が建設を行なつている大阪市と福岡市とを連絡する新幹線鉄道は、この法律による新幹線鉄道とする。
4
この法律の施行の際現に日本国有鉄道が建設を行なつている大阪市と福岡市とを連絡する新幹線鉄道については、第十条第一項中「前条第一項の規定による認可」とあるのは「日本国有鉄道法第五十三条の規定による認可」と、同条第二項中「当該新幹線鉄道の建設を行なう日本国有鉄道又は日本鉄道建設公団」とあるのは「当該新幹線鉄道の建設を行なう日本国有鉄道」と読み替えて、同条の規定を適用する。
6
国土交通大臣は、新幹線鉄道の整備に関する諸事情を踏まえ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の一部を暫定的に構成する新幹線鉄道に準ずる高速鉄道を整備することにより高速輸送体系の形成に資するため、当分の間、第八条の規定による建設の指示を行つた建設線の全部又は一部の区間について、政令で定めるところにより、次に掲げる新幹線鉄道規格新線及び新幹線鉄道直通線(以下「新幹線鉄道規格新線等」という。)の建設に関する整備計画(以下「暫定整備計画」という。)を決定することができる。
7
暫定整備計画に係る新幹線鉄道規格新線等の営業及び建設は、それぞれ、当該暫定整備計画に係る建設線の営業主体である法人(前項第二号の新幹線鉄道直通線にあつては、当該既設の鉄道の路線について鉄道事業法第三条第一項の規定による第一種鉄道事業の許可を受けている者)及びその建設主体である機構が行うものとする。
8
第七条第二項及び第三項の規定は、暫定整備計画について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「附則第六項」と、「営業主体及び建設主体(機構を除く。)に協議し、それぞれの」とあるのは「附則第七項の規定により附則第六項に規定する新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者(以下単に「新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者」という。)に協議し、その」と、同条第三項中「営業主体又は建設主体」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者又は機構」と読み替えるものとする。
9
国土交通大臣は、附則第六項の規定により暫定整備計画を決定したときは、機構に対し、暫定整備計画に基づいて当該新幹線鉄道規格新線等の建設を行うべきことを指示しなければならない。暫定整備計画を変更したときも、同様とする。
10
前項の規定により国土交通大臣が新幹線鉄道規格新線等の建設の指示を行つたときは、当該指示に係る新幹線鉄道規格新線等の区間について建設線の建設を行うことが必要かつ適切であると認めて国土交通大臣がその建設の開始を決定するまでの間は、当該区間に係る第八条の規定による建設の指示は、その効力を停止する。
11
機構は、附則第九項の規定による指示により新幹線鉄道規格新線等の建設を行おうとするときは、暫定整備計画に基づいて、工事の区間、工事方法その他国土交通省令で定める事項を記載した新幹線鉄道規格新線等の工事実施計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
12
第九条第二項から第五項までの規定は、前項の工事実施計画について準用する。この場合において、同条第三項中「建設主体(営業主体である建設主体を除く。第五項において同じ。)」とあり、及び同条第五項中「建設主体」とあるのは「機構」と、同条第三項及び第五項中「第一項」とあり、並びに同条第四項中「建設主体が機構である場合において第一項」とあるのは「附則第十一項」と、同条第三項及び第五項中「営業主体に」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者に」と、同条第四項中「第十三条第一項」とあるのは「附則第十三項において準用する第十三条第一項」と、「新幹線鉄道」とあるのは「附則第六項に規定する新幹線鉄道規格新線等(以下単に「新幹線鉄道規格新線等」という。)」と読み替えるものとする。
13
第十条及び第十一条の規定は附則第十一項の規定による認可に係る新幹線鉄道規格新線等の建設に要する土地に係る行為制限区域の指定及びその解除並びに当該行為制限区域内における行為の制限について、第十二条の規定は当該新幹線鉄道規格新線等の建設のため必要となる他人の土地への立入り又はその一時使用について、第十三条及び第十三条の二の規定は当該新幹線鉄道規格新線等の建設に関する工事に要する費用の負担その他必要な措置について準用する。この場合において、第十条第一項及び第五項、第十二条第一項、第十三条第二項及び第四項並びに第十三条の二中「新幹線鉄道」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等」と、第十条第二項中「当該新幹線鉄道の建設主体」とあり、並びに同条第三項、第十一条第二項から第四項まで及び第十二条第一項中「建設主体」とあるのは「機構」と、第十三条第一項中「新幹線鉄道の」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等の」と、「新幹線鉄道に係る業務」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等に係る業務」と、第十三条の二中「前条第一項」とあるのは「附則第十三項において準用する第十三条第一項」と読み替えるものとする。
14
第十四条第五項から第七項までの規定は、暫定整備計画に係る附則第六項第一号の新幹線鉄道規格新線について準用する。この場合において、同条第六項中「第九条第一項」とあるのは「附則第十一項」と、同条第七項中「営業主体」とあるのは「新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者」と読み替えるものとする。
17
附則第七項の規定により附則第十五項の新幹線鉄道直通線の営業を行う者は、その営業が開始される前に、国土交通省令で定めるところにより、当該新幹線鉄道直通線に係る既設の鉄道の路線について受けている鉄道事業法第三条第一項の規定による第一種鉄道事業の許可に係る同法第四条第一項第六号に規定する事業基本計画を変更し、国土交通大臣に届け出なければならない。この場合において、当該新幹線鉄道直通線の営業が開始されたときは、当該届出に係る事業基本計画の変更は、同法第七条第一項の認可を受けたものとみなす。
20
国土交通大臣は、附則第九項の規定により新幹線鉄道規格新線等の建設の指示を行つた区間について建設線の建設を行うことが必要かつ適切であると認めてその建設の開始を決定しようとするときは、あらかじめ、当該区間に係る建設線の営業主体及び附則第七項の規定により当該新幹線鉄道規格新線等の営業を行う者に協議し、それぞれの同意を得なければならない。
附則
昭和61年12月4日
第32条
(全国新幹線鉄道整備法の一部改正に伴う経過措置)
1
この法律の施行前に第百三十二条の規定による改正前の全国新幹線鉄道整備法(以下この条において「旧法」という。)の規定により決定され、又は変更された基本計画及び整備計画は、第百三十二条の規定による改正後の全国新幹線鉄道整備法(以下この条において「新法」という。)の規定により決定され、又は変更された基本計画及び整備計画とみなす。
2
前項の規定にかかわらず、改革法第二十四条第一項第二号に掲げる鉄道施設に係る建設線については、旧法の規定により決定され、又は変更された基本計画及び整備計画は、この法律の施行の時において、その効力を失う。
4
この法律の施行前に旧法の規定により決定され、又は変更された整備計画に係る建設線(第二項に規定するもの及びこの法律の施行の際現に営業を行つている区間に係るものを除く。)については、それぞれ、承継計画において定めるところにより、旅客会社に対し新法第六条第一項の規定による営業主体の指名が行われたものとみなす。
5
前項に規定する建設線のうち旧法第八条の規定により日本国有鉄道に対し建設の指示が行われたものについては、それぞれ、同項の旅客会社に対し新法第六条第一項の規定による建設主体の指名及び新法第八条の規定による建設の指示が行われたものとみなす。
6
第四項に規定する建設線のうち旧法第八条の規定により日本鉄道建設公団に対し建設の指示が行われたものについては、それぞれ、日本鉄道建設公団に対し新法第六条第一項の規定による建設主体の指名及び新法第八条の規定による建設の指示が行われたものとみなす。
第41条
(罰則の適用に関する経過措置)
附則
平成14年12月18日
第21条
(全国新幹線鉄道整備法の一部改正に伴う経過措置)
1
前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の全国新幹線鉄道整備法(以下この条において「旧法」という。)第五条第一項の規定により日本鉄道建設公団が指名及び指示を受けて行っている基本計画に係る建設線に関する調査は、前条の規定による改正後の全国新幹線鉄道整備法(以下この条において「新法」という。)第五条第一項の規定により機構が指名及び指示を受けて行っている基本計画に係る建設線に関する調査とみなす。
2
整備計画に係る建設線のうち旧法第六条第一項の規定により日本鉄道建設公団に対し建設主体の指名が行われたもの及び旧法第八条の規定により日本鉄道建設公団に対し建設の指示が行われたものについては、それぞれ、新法第六条第一項の規定により機構に対し建設主体の指名が行われ、及び新法第八条の規定により機構に対し建設の指示が行われたものとみなす。