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  • 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

平成25年6月14日 改正
第1編
総則
第1章
通則
第1条
【目的】
この法律は、刑事収容施設(刑事施設、留置施設及び海上保安留置施設をいう。)の適正な管理運営を図るとともに、被収容者、被留置者及び海上保安被留置者の人権を尊重しつつ、これらの者の状況に応じた適切な処遇を行うことを目的とする。
第2条
【定義】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
被収容者 刑事施設に収容されている者をいう。
被留置者 留置施設に留置されている者をいう。
海上保安被留置者 海上保安留置施設に留置されている者をいう。
受刑者 懲役受刑者、禁錮受刑者又は拘留受刑者をいう。
懲役受刑者 懲役の刑(国際受刑者移送法第16条第1項第1号の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
禁錮受刑者 禁錮の刑(国際受刑者移送法第16条第1項第2号の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
拘留受刑者 拘留の刑の執行のため拘置されている者をいう。
未決拘禁者 被逮捕者、被勾留者その他未決の者として拘禁されている者をいう。
被逮捕者刑事訴訟法の規定により逮捕されて留置されている者をいう。
被勾留者刑事訴訟法の規定により勾留されている者をいう。
死刑確定者 死刑の言渡しを受けて拘置されている者をいう。
各種被収容者 被収容者であって、受刑者、未決拘禁者及び死刑確定者以外のものをいう。
第2章
刑事施設
第3条
【刑事施設】
刑事施設は、次に掲げる者を収容し、これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。
懲役、禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者
刑事訴訟法の規定により、逮捕された者であって、留置されるもの
刑事訴訟法の規定により勾留される者
死刑の言渡しを受けて拘置される者
前各号に掲げる者のほか、法令の規定により刑事施設に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者
第4条
【被収容者の分離】
被収容者は、次に掲げる別に従い、それぞれ互いに分離するものとする。
性別
受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)、未決拘禁者(受刑者又は死刑確定者としての地位を有するものを除く。)、未決拘禁者としての地位を有する受刑者、死刑確定者及び各種被収容者の別
懲役受刑者、禁錮受刑者及び拘留受刑者の別
前項の規定にかかわらず、受刑者に第92条又は第93条に規定する作業として他の被収容者に接して食事の配給その他の作業を行わせるため必要があるときは、同項第2号及び第3号に掲げる別による分離をしないことができる。
第1項の規定にかかわらず、適当と認めるときは、居室(被収容者が主として休息及び就寝のために使用する場所として刑事施設の長が指定する室をいう。次編第2章において同じ。)外に限り、同項第3号に掲げる別による分離をしないことができる。
参照条文
第5条
【実地監査】
法務大臣は、この法律の適正な施行を期するため、その職員のうちから監査官を指名し、各刑事施設について、毎年一回以上、これに実地監査を行わせなければならない。
参照条文
第6条
【意見聴取】
刑事施設の長は、その刑事施設の適正な運営に資するため必要な意見を関係する公務所及び公私の団体の職員並びに学識経験のある者から聴くことに努めなければならない。
参照条文
第7条
【刑事施設視察委員会】
刑事施設に、刑事施設視察委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
委員会は、その置かれた刑事施設を視察し、その運営に関し、刑事施設の長に対して意見を述べるものとする。
参照条文
第8条
【組織等】
委員会は、委員十人以内で組織する。
委員は、人格識見が高く、かつ、刑事施設の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから、法務大臣が任命する。
委員の任期は、一年とする。ただし、再任を妨げない。
委員は、非常勤とする。
前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、法務省令で定める。
第9条
【委員会に対する情報の提供及び委員の視察等】
刑事施設の長は、刑事施設の運営の状況について、法務省令で定めるところにより、定期的に、又は必要に応じて、委員会に対し、情報を提供するものとする。
委員会は、刑事施設の運営の状況を把握するため、委員による刑事施設の視察をすることができる。この場合において、委員会は、必要があると認めるときは、刑事施設の長に対し、委員による被収容者との面接の実施について協力を求めることができる。
刑事施設の長は、前項の視察及び被収容者との面接について、必要な協力をしなければならない。
第127条第144条において準用する場合を含む。)、第135条第138条及び第142条において準用する場合を含む。)及び第140条の規定にかかわらず、被収容者が委員会に対して提出する書面は、検査をしてはならない。
参照条文
第10条
【委員会の意見等の公表】
法務大臣は、毎年、委員会が刑事施設の長に対して述べた意見及びこれを受けて刑事施設の長が講じた措置の内容を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
参照条文
第11条
【裁判官及び検察官の巡視】
裁判官及び検察官は、刑事施設を巡視することができる。
参照条文
第12条
【参観】
刑事施設の長は、その刑事施設の参観を申し出る者がある場合において相当と認めるときは、これを許すことができる。
参照条文
第13条
【刑務官】
刑務官は、法務省令で定めるところにより、法務大臣が刑事施設の職員のうちから指定する。
刑務官の階級は、法務省令でこれを定める。
刑務官には、被収容者の人権に関する理解を深めさせ、並びに被収容者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとする。
第3章
留置施設
第14条
【留置施設】
都道府県警察に、留置施設を設置する。
留置施設は、次に掲げる者を留置し、これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。
警察法及び刑事訴訟法の規定により、都道府県警察の警察官が逮捕する者又は受け取る逮捕された者であって、留置されるもの
前号に掲げる者で、次条第1項の規定の適用を受けて刑事訴訟法の規定により勾留されるもの
前二号に掲げる者のほか、法令の規定により留置施設に留置することができることとされる者
第15条
第3条各号に掲げる者は、次に掲げる者を除き、刑事施設に収容することに代えて、留置施設に留置することができる。
懲役、禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者(これらの刑の執行以外の逮捕、勾留その他の事由により刑事訴訟法その他の法令の規定に基づいて拘禁される者としての地位を有するものを除く。)
死刑の言渡しを受けて拘置される者
少年法第17条の4第1項又は少年院法第17条の2同法第14条第4項同法第17条第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により仮に収容される者
法務大臣は、国家公安委員会に対し、前項の規定による留置に関する留置施設の運営の状況について説明を求め、又は同項の規定により留置された者の処遇について意見を述べることができる。
第16条
【留置業務管理者等】
留置施設に係る留置業務を管理する者(以下「留置業務管理者」という。)は、警視庁、道府県警察本部又は方面本部(第20条において「警察本部」という。)に置かれる留置施設にあっては警視以上の階級にある警察官のうちから警視総監、道府県警察本部長又は方面本部長(以下「警察本部長」という。)が指名する者とし、警察署に置かれる留置施設にあっては警察署長とする。
留置施設に係る留置業務に従事する警察官(以下「留置担当官」という。)には、被留置者の人権に関する理解を深めさせ、並びに被留置者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとする。
留置担当官は、その留置施設に留置されている被留置者に係る犯罪の捜査に従事してはならない。
第17条
【被留置者の分離】
被留置者は、次に掲げる別に従い、それぞれ互いに分離するものとする。
性別
受刑者としての地位を有する者か否かの別
前項の規定にかかわらず、留置施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要がある場合において、被留置者の処遇上支障を生ずるおそれがないと認めるときは、同項第2号に掲げる別による分離をしないことができる。
第18条
【実地監査】
警察本部長は、都道府県公安委員会(道警察本部の所在地を包括する方面以外の方面にあっては、方面公安委員会。以下「公安委員会」という。)の定めるところにより、この法律の適正な施行を期するため、その職員のうちから監査官を指名し、各留置施設について、毎年一回以上、これに実地監査を行わせなければならない。
参照条文
第19条
【巡察】
警察庁長官は、国家公安委員会の定めるところにより、被留置者の処遇の斉一を図り、この法律の適正な施行を期するため、その指名する職員に留置施設を巡察させるものとする。
第20条
【留置施設視察委員会】
警察本部に、留置施設視察委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
委員会は、その置かれた警察本部に係る都道府県警察の管轄区域内にある留置施設(道警察本部にあってはその所在地を包括する方面の区域内にある留置施設、方面本部にあっては当該方面の区域内にある留置施設)を視察し、その運営に関し、留置業務管理者に対して意見を述べるものとする。
参照条文
第21条
【組織等】
委員会は、委員十人以内で組織する。
委員は、人格識見が高く、かつ、留置施設の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから、公安委員会が任命する。
委員の任期は、一年とする。ただし、再任を妨げない。
委員は、非常勤とする。
委員又は委員であった者は、職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。
参照条文
第22条
【委員会に対する情報の提供及び委員の視察等】
留置業務管理者は、留置施設の運営の状況(第190条第1項又は第208条第1項の規定による措置に関する事項を含む。)について、公安委員会の定めるところにより、定期的に、又は必要に応じて、委員会に対し、情報を提供するものとする。
委員会は、留置施設の運営の状況を把握するため、委員による留置施設の視察をすることができる。この場合において、委員会は、必要があると認めるときは、留置業務管理者に対し、委員による被留置者との面接の実施について協力を求めることができる。
留置業務管理者は、前項の視察及び被留置者との面接について、必要な協力をしなければならない。
第222条の規定にかかわらず、被留置者が委員会に対して提出する書面は、検査をしてはならない。
第23条
【委員会の意見等の公表】
警察本部長は、毎年、委員会が留置業務管理者に対して述べた意見及びこれを受けて留置業務管理者が講じた措置の内容を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
第24条
【刑事施設に関する規定の準用】
第6条第11条及び第12条の規定は、留置施設について準用する。この場合において、第6条及び第12条中「刑事施設の長」とあるのは、「留置業務管理者」と読み替えるものとする。
第4章
海上保安留置施設
第25条
【海上保安留置施設】
管区海上保安本部、管区海上保安本部の事務所又は海上保安庁の船舶に、海上保安留置施設を設置する。
海上保安留置施設は、次に掲げる者を留置し、これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。ただし、海上保安庁の船舶に置かれる海上保安留置施設には、やむを得ない事由により、管区海上保安本部又は管区海上保安本部の事務所に置かれる海上保安留置施設に速やかに留置することができない場合に限り、留置することができる。
海上保安庁法及び刑事訴訟法の規定により、海上保安官又は海上保安官補が逮捕する者又は受け取る逮捕された者であって、留置されるもの
前号に掲げる者のほか、法令の規定により海上保安留置施設に留置することができることとされる者
第26条
【海上保安留置業務管理者等】
海上保安留置施設に係る留置業務を管理する者(以下「海上保安留置業務管理者」という。)は、管区海上保安本部に置かれる海上保安留置施設にあっては管区海上保安本部長が指名する海上保安官とし、管区海上保安本部の事務所に置かれる海上保安留置施設にあっては当該事務所の長とし、海上保安庁の船舶に置かれる海上保安留置施設にあっては当該船舶の船長とする。
海上保安留置施設に係る留置業務に従事する海上保安官及び海上保安官補(以下「海上保安留置担当官」という。)には、海上保安被留置者の人権に関する理解を深めさせ、並びに海上保安被留置者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとする。
海上保安留置担当官は、その海上保安留置施設に留置されている海上保安被留置者に係る犯罪の捜査に従事してはならない。
第27条
【海上保安被留置者の分離】
海上保安被留置者は、性別に従い、互いに分離するものとする。
参照条文
第28条
【実地監査】
海上保安庁長官は、この法律の適正な施行を期するため、その職員のうちから監査官を指名し、各海上保安留置施設について、毎年一回以上、これに実地監査を行わせなければならない。
参照条文
第29条
【刑事施設に関する規定の準用】
第6条第11条及び第12条の規定は、海上保安留置施設について準用する。この場合において、第6条及び第12条中「刑事施設の長」とあるのは、「海上保安留置業務管理者」と読み替えるものとする。
第2編
被収容者等の処遇
第1章
処遇の原則
第30条
【受刑者の処遇の原則】
受刑者の処遇は、その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。
第31条
【未決拘禁者の処遇の原則】
未決拘禁者の処遇に当たっては、未決の者としての地位を考慮し、その逃走及び罪証の隠滅の防止並びにその防御権の尊重に特に留意しなければならない。
第32条
【死刑確定者の処遇の原則】
死刑確定者の処遇に当たっては、その者が心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする。
死刑確定者に対しては、必要に応じ、民間の篤志家の協力を求め、その心情の安定に資すると認められる助言、講話その他の措置を執るものとする。
参照条文
第2章
刑事施設における被収容者の処遇
第1節
収容の開始
第33条
【収容開始時の告知】
刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始に際し、被収容者としての地位に応じ、次に掲げる事項を告知しなければならない。その刑事施設に収容されている被収容者がその地位を異にするに至ったときも、同様とする。
物品の貸与及び支給並びに自弁に関する事項
第48条第1項に規定する保管私物その他の金品の取扱いに関する事項
保健衛生及び医療に関する事項
宗教上の行為、儀式行事及び教誨に関する事項
書籍等(書籍、雑誌、新聞紙その他の文書図画(信書を除く。)をいう。以下同じ。)の閲覧に関する事項
第74条第1項に規定する遵守事項
面会及び信書の発受に関する事項
懲罰に関する事項
審査の申請を行うことができる措置、審査庁及び審査の申請期間その他の審査の申請に関する事項
第163条第1項の規定による申告を行うことができる行為、申告先及び申告期間その他の同項の規定による申告に関する事項
苦情の申出に関する事項
前項の規定による告知は、法務省令で定めるところにより、書面で行う。
第34条
【識別のための身体検査】
刑務官は、被収容者について、その刑事施設における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。その後必要が生じたときも、同様とする。
女子の被収容者について前項の規定により検査を行う場合には、女子の刑務官がこれを行わなければならない。ただし、女子の刑務官がその検査を行うことができない場合には、男子の刑務官が刑事施設の長の指名する女子の職員を指揮して、これを行うことができる。
第2節
処遇の態様
第35条
【未決拘禁者の処遇の態様】
未決拘禁者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇(運動、入浴又は面会の場合その他の法務省令で定める場合における処遇を除く。次条第1項及び第37条第1項において同じ。)は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
未決拘禁者(死刑確定者としての地位を有するものを除く。)の居室は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、単独室とし、それ以外の場合にあっても、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。
未決拘禁者は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、居室外においても相互に接触させてはならない。
第36条
【死刑確定者の処遇の態様】
死刑確定者の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
死刑確定者の居室は、単独室とする。
死刑確定者は、居室外においても、第32条第1項に定める処遇の原則に照らして有益と認められる場合を除き、相互に接触させてはならない。
参照条文
第37条
【各種被収容者の処遇の態様】
各種被収容者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
各種被収容者の居室は、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。
参照条文
第3節
起居動作の時間帯等
第38条
【起居動作の時間帯等】
刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる時間帯を定め、これを被収容者に告知するものとする。
食事、就寝その他の起居動作をすべき時間帯
受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)については、第86条第1項に規定する矯正処遇等の時間帯及び余暇に充てられるべき時間帯
第39条
【余暇活動の援助等】
刑事施設の長は、被収容者に対し、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがない限り、余暇時間帯等(受刑者にあっては余暇に充てられるべき時間帯をいい、その他の被収容者にあっては食事、就寝その他の起居動作をすべき時間帯以外の時間帯をいう。次項において同じ。)において自己契約作業(その者が刑事施設の外部の者との請負契約により行う物品の製作その他の作業をいう。以下同じ。)を行うことを許すものとする。
刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者に対し、自己契約作業、知的、教育的及び娯楽的活動、運動競技その他の余暇時間帯等における活動について、援助を与えるものとする。
第4節
物品の貸与等及び自弁
第40条
【物品の貸与等】
被収容者には、次に掲げる物品(書籍等を除く。以下この節において同じ。)であって、刑事施設における日常生活に必要なもの(第42条第1項各号に掲げる物品を除く。)を貸与し、又は支給する。
衣類及び寝具
食事及び湯茶
日用品、筆記具その他の物品
被収容者には、前項に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、必要に応じ、室内装飾品その他の刑事施設における日常生活に用いる物品(第42条第1項各号に掲げる物品を除く。)を貸与し、又は嗜好品(酒類を除く。以下同じ。)を支給することができる。
第41条
【自弁の物品の使用等】
刑事施設の長は、受刑者が、次に掲げる物品(次条第1項各号に掲げる物品を除く。次項において同じ。)について、自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを許すことができる。
衣類
食料品及び飲料
室内装飾品
嗜好品
日用品、文房具その他の刑事施設における日常生活に用いる物品
刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が、前項各号に掲げる物品及び寝具について自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合並びに第12節の規定により禁止される場合を除き、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。
第42条
【補正器具等の自弁等】
被収容者には、次に掲げる物品については、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合を除き、自弁のものを使用させるものとする。
眼鏡その他の補正器具
自己契約作業を行うのに必要な物品
信書を発するのに必要な封筒その他の物品
第106条第1項の規定による外出又は外泊の際に使用する衣類その他の物品
その他法務省令で定める物品
前項各号に掲げる物品について、被収容者が自弁のものを使用することができない場合であって、必要と認めるときは、その者にこれを貸与し、又は支給するものとする。
第43条
【物品の貸与等の基準】
第40条又は前条第2項の規定により貸与し、又は支給する物品は、被収容者の健康を保持するに足り、かつ、国民生活の実情等を勘案し、被収容者としての地位に照らして、適正と認められるものでなければならない。
第5節
金品の取扱い
第44条
【金品の検査】
刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。
被収容者が収容される際に所持する現金及び物品
被収容者が収容中に取得した現金及び物品(信書を除く。次号において同じ。)であって、同号に掲げる現金及び物品以外のもの(刑事施設の長から支給された物品を除く。)
被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金及び物品
第45条
【収容時の所持物品等の処分】
刑事施設の長は、前条第1号又は第2号に掲げる物品が次の各号のいずれかに該当するときは、被収容者に対し、その物品について、親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
保管に不便なものであるとき。
腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。
危険を生ずるおそれがあるものであるとき。
前項の規定により物品の処分を求めた場合において、被収容者が相当の期間内にその処分をしないときは、刑事施設の長は、これを売却してその代金を領置する。ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。
第46条
【差入物の引取り等】
刑事施設の長は、第44条第3号に掲げる現金又は物品が次の各号のいずれかに該当するときは、その現金又は物品を持参し、又は送付した者(以下「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。
被収容者に交付することにより、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものであるとき。
交付の相手方が受刑者であり、かつ、差入人が親族以外の者である場合において、その受刑者に交付することにより、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるものであるとき。
交付の相手方が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところによりその者が交付を受けることが許されない物品であるとき。
差入人の氏名が明らかでないものであるとき。
自弁により使用し、若しくは摂取することができることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品(以下「自弁物品等」という。)以外の物品であるとき。
前条第1項各号のいずれかに該当する物品であるとき。
第44条第3号に掲げる現金又は物品であって、前項第1号から第4号までのいずれかに該当するものについて、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
前項に規定する現金又は物品について、第1項の規定による引取りを求め、又は前項の規定により公告した日から起算して六月を経過する日までに差入人がその現金又は物品の引取りをしないときは、その現金又は物品は、国庫に帰属する。
第2項に規定する物品であって、第1項第6号に該当するものについては、刑事施設の長は、前項の期間内でも、これを売却してその代金を保管することができる。ただし、売却できないものは、廃棄することができる。
第44条第3号に掲げる現金又は物品であって、第1項第5号又は第6号に該当するもの(同項第1号から第4号までのいずれかに該当するものを除く。)について、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないとき、若しくはその引取りを求めることが相当でないとき、又は差入人がその引取りを拒んだときは、刑事施設の長は、被収容者に対し、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
前条第2項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
第44条第3号に掲げる現金又は物品であって、第1項各号のいずれにも該当しないものについて、被収容者がその交付を受けることを拒んだ場合には、刑事施設の長は、差入人に対し、その引取りを求めるものとする。この場合においては、第2項及び第3項の規定を準用する。
第47条
【物品の引渡し及び領置】
次に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるものは、被収容者に引き渡す。
第44条第1号又は第2号に掲げる物品であって、第45条第1項各号のいずれにも該当しないもの
第44条第3号に掲げる物品であって、前条第1項各号のいずれにも該当しないもの(被収容者が交付を受けることを拒んだ物品を除く。)
次に掲げる金品は、刑事施設の長が領置する。
前項各号に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるもの以外のもの
第44条各号に掲げる現金であって、前条第1項第1号第2号又は第4号のいずれにも該当しないもの
第48条
【保管私物等】
刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、保管私物(被収容者が前条第1項の規定により引渡しを受けて保管する物品(第5項の規定により引渡しを受けて保管する物品を含む。)及び被収容者が受けた信書でその保管するものをいう。以下この章において同じ。)の保管方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
刑事施設の長は、被収容者の保管私物(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この節において「保管総量」という。)が保管限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて保管することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるとき、又は被収容者について領置している物品(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この節において「領置総量」という。)が領置限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて領置することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるときは、当該被収容者に対し、その超過量に相当する量の物品について、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めることができる。腐敗し、又は滅失するおそれが生じた物品についても、同様とする。
第45条第2項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
刑事施設の長は、被収容者が保管私物について領置することを求めた場合において、相当と認めるときは、これを領置することができる。ただし、領置総量が領置限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
刑事施設の長は、前項の規定により領置している物品について、被収容者がその引渡しを求めた場合には、これを引き渡すものとする。ただし、保管総量が保管限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
第49条
【領置金の使用】
刑事施設の長は、被収容者が、自弁物品等を購入し、又は刑事施設における日常生活上自ら負担すべき費用に充てるため、領置されている現金を使用することを申請した場合には、必要な金額の現金の使用を許すものとする。ただし、自弁物品等を購入するための現金の使用については、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
購入により、保管総量が保管限度量を超え、又は領置総量が領置限度量を超えることとなるとき。
被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより購入する自弁物品等の交付を受けることが許されないとき。
参照条文
第50条
【保管私物又は領置金品の交付】
刑事施設の長は、被収容者が、保管私物又は領置されている金品(第133条第136条第138条第141条第142条及び第144条において準用する場合を含む。)に規定する文書図画に該当するものを除く。)について、他の者(当該刑事施設に収容されている者を除く。)への交付(信書の発信に該当するものを除く。)を申請した場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを許すものとする。
交付(その相手方が親族であるものを除く。次号において同じ。)により、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるとき。
被収容者が受刑者である場合において、交付により、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより交付が許されない物品であるとき。
参照条文
第51条
【差入れ等に関する制限】
刑事施設の長は、この節に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、差入人による被収容者に対する金品の交付及び被収容者による自弁物品等の購入について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
第52条
【領置物の引渡し】
刑事施設の長は、被収容者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。
第53条
【釈放者の遺留物】
釈放された被収容者の遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下この章において同じ。)は、その釈放の日から起算して六月を経過する日までに、その者からその引渡しを求める申出がなく、又はその引渡しに要する費用の提供がないときは、国庫に帰属する。
前項の期間内でも、刑事施設の長は、腐敗し、又は滅失するおそれが生じた遺留物は、廃棄することができる。
第54条
【逃走者等の遺留物】
被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに、その者から引渡しを求める申出がなく、又は引渡しに要する費用の提供がないときは、その遺留物は、国庫に帰属する。
逃走したとき 逃走した日
第83条第2項の規定により解放された場合において、同条第3項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき 避難を必要とする状況がなくなった日
第96条第1項の規定による作業又は第106条第1項の規定による外出若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき その日
前条第2項の規定は、前項の遺留物について準用する。
第55条
【死亡者の遺留物】
死亡した被収容者の遺留物は、法務省令で定めるところにより、その遺族等(法務省令で定める遺族その他の者をいう。以下この章において同じ。)に対し、その申請に基づき、引き渡すものとする。
死亡した被収容者の遺留物がある場合において、その遺族等の所在が明らかでないため第176条の規定による通知をすることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
第1項の遺留物は、第176条の規定による通知をし、又は前項の規定により公告をした日から起算して六月を経過する日までに第1項の申請がないときは、国庫に帰属する。
第53条第2項の規定は、第1項の遺留物について準用する。
第6節
保健衛生及び医療
第56条
【保健衛生及び医療の原則】
刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。
第57条
【運動】
被収容者には、日曜日その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。ただし、公判期日への出頭その他の事情により刑事施設の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。
第58条
【被収容者の清潔義務】
被収容者は、身体、着衣及び所持品並びに居室その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
参照条文
第59条
【入浴】
被収容者には、法務省令で定めるところにより、刑事施設における保健衛生上適切な入浴を行わせる。
第60条
【調髪及びひげそり】
受刑者には、法務省令で定めるところにより、調髪及びひげそりを行わせる。
刑事施設の長は、受刑者が自弁により調髪を行いたい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、これを許すことができる。
刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が調髪又はひげそりを行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。
第61条
【健康診断】
刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始後速やかに、及び毎年一回以上定期的に、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。刑事施設における保健衛生上必要があるときも、同様とする。
被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影その他の医学的処置を拒むことはできない。
第62条
【診療等】
刑事施設の長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。ただし、第1号に該当する場合において、その者の生命に危険が及び、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。
負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。
飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき。
刑事施設の長は、前項に規定する場合において、傷病の種類又は程度等に応じ必要と認めるときは、刑事施設の職員でない医師等による診療を行うことができる。
刑事施設の長は、前二項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に通院させ、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に入院させることができる。
参照条文
第63条
【指名医による診療】
刑事施設の長は、負傷し、又は疾病にかかっている被収容者が、刑事施設の職員でない医師等を指名して、その診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類及び程度、刑事施設に収容される前にその医師等による診療を受けていたことその他の事情に照らして、その被収容者の医療上適当であると認めるときは、刑事施設内において、自弁によりその診療を受けることを許すことができる。
刑事施設の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその被収容者に対して刑事施設において診療を行うため必要があるときは、刑事施設の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写しその他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。
指名医は、その診療に際し、刑事施設の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。
刑事施設の長は、第1項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第2項の規定により刑事施設の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により刑事施設の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。
第64条
【感染症予防上の措置】
刑事施設の長は、刑事施設内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、被収容者に対し、第61条の規定による健康診断又は第62条の規定による診療その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離その他法務省令で定める措置を執るものとする。
第65条
【養護のための措置等】
刑事施設の長は、老人、妊産婦、身体虚弱者その他の養護を必要とする被収容者について、その養護を必要とする事情に応じ、傷病者のための措置に準じた措置を執るものとする。
刑事施設の長は、被収容者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、刑事施設の外の病院、診療所又は助産所に入院させるものとする。
参照条文
第66条
【子の養育】
刑事施設の長は、女子の被収容者がその子を刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。
刑事施設の長は、被収容者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、その被収容者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。
被収容者が前二項の規定により子を養育している場合には、その子の養育に必要な物品を貸与し、又は支給する。
前項に規定する場合において、被収容者が、その子の養育に必要な物品について、自弁のものを使用し、若しくは摂取し、又はその子に使用させ、若しくは摂取させたい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
被収容者が第1項又は第2項の規定により養育している子については、被収容者の例により、健康診断、診療その他の必要な措置を執るものとする。
第7節
宗教上の行為等
第67条
【一人で行う宗教上の行為】
被収容者が一人で行う礼拝その他の宗教上の行為は、これを禁止し、又は制限してはならない。ただし、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合は、この限りでない。
参照条文
第68条
【宗教上の儀式行事及び教誨】
刑事施設の長は、被収容者が宗教家(民間の篤志家に限る。以下この項において同じ。)の行う宗教上の儀式行事に参加し、又は宗教家の行う宗教上の教誨を受けることができる機会を設けるように努めなければならない。
刑事施設の長は、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合には、被収容者に前項に規定する儀式行事に参加させず、又は同項に規定する教誨を受けさせないことができる。
第8節
書籍等の閲覧
第69条
【自弁の書籍等の閲覧】
被収容者が自弁の書籍等を閲覧することは、この節及び第12節の規定による場合のほか、これを禁止し、又は制限してはならない。
第70条
刑事施設の長は、被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、その閲覧を禁止することができる。
刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
被収容者が受刑者である場合において、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
被収容者が未決拘禁者である場合において、罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。
前項の規定により閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するため自弁の書籍等の翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、被収容者にその費用を負担させることができる。この場合において、被収容者が負担すべき費用を負担しないときは、その閲覧を禁止する。
第71条
【新聞紙に関する制限】
刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者が取得することができる新聞紙の範囲及び取得方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
第72条
【時事の報道に接する機会の付与等】
刑事施設の長は、被収容者に対し、日刊新聞紙の備付け、報道番組の放送その他の方法により、できる限り、主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。
刑事施設の長は、第39条第2項の規定による援助の措置として、刑事施設に書籍等を備え付けるものとする。この場合において、備え付けた書籍等の閲覧の方法は、刑事施設の長が定める。
参照条文
第9節
規律及び秩序の維持
第73条
【刑事施設の規律及び秩序】
刑事施設の規律及び秩序は、適正に維持されなければならない。
前項の目的を達成するため執る措置は、被収容者の収容を確保し、並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。
第74条
【遵守事項等】
刑事施設の長は、被収容者が遵守すべき事項(以下この章において「遵守事項」という。)を定める。
遵守事項は、被収容者としての地位に応じ、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。
犯罪行為をしてはならないこと。
他人に対し、粗野若しくは乱暴な言動をし、又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。
自身を傷つける行為をしてはならないこと。
刑事施設の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。
自己又は他の被収容者の収容の確保を妨げるおそれのある行為をしてはならないこと。
刑事施設の安全を害するおそれのある行為をしてはならないこと。
刑事施設内の衛生又は風紀を害する行為をしてはならないこと。
金品について、不正な使用、所持、授受その他の行為をしてはならないこと。
正当な理由なく、第92条若しくは第93条に規定する作業を怠り、又は第85条第1項各号、第103条若しくは第104条に規定する指導を拒んではならないこと。
前各号に掲げるもののほか、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要な事項
前各号に掲げる事項について定めた遵守事項又は第96条第4項第106条第2項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項に違反する行為を企て、あおり、唆し、又は援助してはならないこと。
前二項のほか、刑事施設の長又はその指定する職員は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者に対し、その生活及び行動について指示することができる。
参照条文
第75条
【身体の検査等】
刑務官は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者について、その身体、着衣、所持品及び居室を検査し、並びにその所持品を取り上げて一時保管することができる。
第34条第2項の規定は、前項の規定による女子の被収容者の身体及び着衣の検査について準用する。
刑務官は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には、刑事施設内において、被収容者以外の者(弁護人又は刑事訴訟法第39条第1項に規定する弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)を除く。)の着衣及び携帯品を検査し、並びにその者の携帯品を取り上げて一時保管することができる。
前項の検査は、文書図画の内容の検査に及んではならない。
第76条
【受刑者の隔離】
刑事施設の長は、受刑者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者を他の被収容者から隔離することができる。この場合においては、その者の処遇は、運動、入浴又は面会の場合その他の法務省令で定める場合を除き、昼夜、居室において行う。
他の被収容者と接触することにより刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるとき。
他の被収容者から危害を加えられるおそれがあり、これを避けるために他に方法がないとき。
前項の規定による隔離の期間は、三月とする。ただし、特に継続の必要がある場合には、刑事施設の長は、一月ごとにこれを更新することができる。
刑事施設の長は、前項の期間中であっても、隔離の必要がなくなったときは、直ちにその隔離を中止しなければならない。
第1項の規定により受刑者を隔離している場合には、刑事施設の長は、三月に一回以上定期的に、その受刑者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。
第77条
【制止等の措置】
刑務官は、被収容者が自身を傷つけ若しくは他人に危害を加え、逃走し、刑事施設の職員の職務の執行を妨げ、その他刑事施設の規律及び秩序を著しく害する行為をし、又はこれらの行為をしようとする場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その被収容者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。
刑務官は、被収容者以外の者が次の各号のいずれかに該当する場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その行為をする者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。
刑事施設に侵入し、その設備を損壊し、刑事施設の職員の職務執行を妨げ、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。
刑務官の要求を受けたのに刑事施設から退去しないとき。
被収容者の逃走又は刑事施設の職員の職務執行の妨害を、現場で、援助し、あおり、又は唆すとき。
被収容者に危害を加え、又はまさに加えようとするとき。
前二項の措置に必要な警備用具については、法務省令で定める。
第78条
【捕縄、手錠及び拘束衣の使用】
刑務官は、被収容者を護送する場合又は被収容者が次の各号のいずれかの行為をするおそれがある場合には、法務省令で定めるところにより、捕縄又は手錠を使用することができる。
逃走すること。
自身を傷つけ、又は他人に危害を加えること。
刑事施設の設備、器具その他の物を損壊すること。
刑務官は、被収容者が自身を傷つけるおそれがある場合において、他にこれを防止する手段がないときは、刑事施設の長の命令により、拘束衣を使用することができる。ただし、捕縄又は手錠と同時に使用することはできない。
前項に規定する場合において、刑事施設の長の命令を待ついとまがないときは、刑務官は、その命令を待たないで、拘束衣を使用することができる。この場合には、速やかに、その旨を刑事施設の長に報告しなければならない。
拘束衣の使用の期間は、三時間とする。ただし、刑事施設の長は、特に継続の必要があると認めるときは、通じて十二時間を超えない範囲内で、三時間ごとにその期間を更新することができる。
刑事施設の長は、前項の期間中であっても、拘束衣の使用の必要がなくなったときは、直ちにその使用を中止させなければならない。
被収容者に拘束衣を使用し、又はその使用の期間を更新した場合には、刑事施設の長は、速やかに、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。
捕縄、手錠及び拘束衣の制式は、法務省令で定める。
第79条
【保護室への収容】
刑務官は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、刑事施設の長の命令により、その者を保護室に収容することができる。
自身を傷つけるおそれがあるとき。
次のイからハまでのいずれかに該当する場合において、刑事施設の規律及び秩序を維持するため特に必要があるとき。
刑務官の制止に従わず、大声又は騒音を発するとき。
他人に危害を加えるおそれがあるとき。
刑事施設の設備、器具その他の物を損壊し、又は汚損するおそれがあるとき。
前項に規定する場合において、刑事施設の長の命令を待ついとまがないときは、刑務官は、その命令を待たないで、その被収容者を保護室に収容することができる。この場合には、速やかに、その旨を刑事施設の長に報告しなければならない。
保護室への収容の期間は、七十二時間以内とする。ただし、特に継続の必要がある場合には、刑事施設の長は、四十八時間ごとにこれを更新することができる。
刑事施設の長は、前項の期間中であっても、保護室への収容の必要がなくなったときは、直ちにその収容を中止させなければならない。
被収容者を保護室に収容し、又はその収容の期間を更新した場合には、刑事施設の長は、速やかに、その被収容者の健康状態について、刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。
保護室の構造及び設備の基準は、法務省令で定める。
第80条
【武器の携帯及び使用】
刑務官は、法務省令で定める場合に限り、小型武器を携帯することができる。
刑務官は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができる。
暴動を起こし、又はまさに起こそうとするとき。
他人に重大な危害を加え、又はまさに加えようとするとき。
刑務官が携帯し、又は刑事施設に保管されている武器を奪取し、又はまさに奪取しようとするとき。
凶器を携帯し、刑務官が放棄を命じたのに、これに従わないとき。
刑務官の制止に従わず、又は刑務官に対し暴行若しくは集団による威力を用いて、逃走し、若しくは逃走しようとし、又は他の被収容者の逃走を助けるとき。
刑務官は、被収容者以外の者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができる。
被収容者が暴動を起こし、又はまさに起こそうとする場合において、その現場で、これらに参加し、又はこれらを援助するとき。
被収容者に重大な危害を加え、又はまさに加えようとするとき。
刑務官が携帯し、又は刑事施設に保管されている武器を奪取し、又はまさに奪取しようとするとき。
銃器、爆発物その他の凶器を携帯し、又は使用して、刑事施設に侵入し、若しくはその設備を損壊し、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。
暴行又は脅迫を用いて、被収容者を奪取し、若しくは解放し、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。
前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法第36条若しくは第37条に該当する場合又は次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、人に危害を加えてはならない。
刑務官において他に被収容者の第2項各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由があるとき。
刑務官において他に被収容者以外の者の前項各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由があるとき。ただし、同項第2号に掲げる場合以外の場合にあっては、その者が刑務官の制止に従わないで当該行為を行うときに限る。
第81条
【収容のための連戻し】
刑務官は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に定める時から四十八時間以内に着手したときに限り、これを連れ戻すことができる。
逃走したとき 逃走の時
第96条第1項の規定による作業又は第106条第1項の規定による外出若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき その日時
第82条
【災害時の応急用務】
刑事施設の長は、地震、火災その他の災害に際し、刑事施設内にある者の生命又は身体の保護のため必要があると認める場合には、被収容者を刑事施設内又はこれに近接する区域における消火、人命の救助その他の応急の用務に就かせることができる。
第100条から第102条までの規定は、被収容者が前項の規定により応急の用務に就いて死亡し、負傷し、又は疾病にかかった場合について準用する。
第83条
【災害時の避難及び解放】
刑事施設の長は、地震、火災その他の災害に際し、刑事施設内において避難の方法がないときは、被収容者を適当な場所に護送しなければならない。
前項の場合において、被収容者を護送することができないときは、刑事施設の長は、その者を刑事施設から解放することができる。地震、火災その他の災害に際し、刑事施設の外にある被収容者を避難させるため適当な場所に護送することができない場合も、同様とする。
前項の規定により解放された者は、避難を必要とする状況がなくなった後速やかに、刑事施設又は刑事施設の長が指定した場所に出頭しなければならない。
附則
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三十三条の規定、附則第三十八条中国際受刑者移送法第二十一条の改正規定(「、犯罪者予防更生法」を「並びに犯罪者予防更生法」に改め、「並びに構造改革特別区域法第十一条及び第十一条の二」を削る部分に限る。)及び附則第三十九条の規定は、構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
第2条
(巡閲に関する経過措置)
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の属する年に行われた附則第十五条の規定による改正前の監獄法(以下「旧監獄法」という。)第四条第一項の規定による巡閲は、第五条の規定の適用については、同条の規定による実地監査とみなす。
第3条
(収容開始時の告知に関する特例)
第十五条第一項前段及び第二項の規定は、この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者についても、適用する。この場合において、同条第一項前段中「その刑事施設における収容の開始に際し」とあるのは、「この法律の施行後速やかに」とする。
第4条
(金品の取扱いに関する経過措置)
この法律の施行の際現に旧監獄法又はこれに基づく命令の規定により領置されている受刑者の金品は、第二十一条第二号に掲げる金品とみなして、第二十四条の規定を適用する。
第5条
(遺留物の措置に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に存する死亡者及び逃走者の遺留物(受刑者及び労役場留置の言渡しを受けた者に係るものに限る。)の措置については、なお従前の例による。
第6条
(作業報奨金に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者については、この法律の施行の際に、旧監獄法第二十七条第二項の規定による未支給の作業賞与金があるときは、その額を報奨金計算額に加算する。
第七十七条第二項の規定は、受刑者が施行日前に行った作業については、適用しない。
第7条
(手当金に関する経過措置)
第七十九条(第五十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前に受刑者が負傷し、又は疾病にかかった場合において、施行日以後に手当金の支給事由が生じたときについても、適用する。
受刑者について施行日前に支給事由が生じた旧監獄法第二十八条第一項(旧監獄法第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による未支給の手当金(死亡に係るものを除く。)の支給は、旧監獄法第二十八条第二項の規定にかかわらず、この法律の施行後速やかに行うものとする。
第8条
(発受を禁止した信書等の取扱いに関する経過措置)
旧監獄法第四十七条第一項の規定により発受を許されなかった受刑者に係る信書であって、この法律の施行の際現に旧監獄法に基づく命令の規定により保管されているものは、第九十九条第一項の規定により保管されている信書とみなす。
第9条
(懲罰に関する経過措置)
第百五条から第百十一条までの規定は、施行日前に受刑者がした旧監獄法第五十九条の規定により懲罰を科されるべき行為であって、この法律の施行の際まだ懲罰が科されていないものについても、適用する。この場合において、第百六条第二項中「同項第五号」とあるのは「同項第四号及び第五号」と、第百七条第一項中「次に」とあるのは「第一号、第二号及び第四号から第六号までに」とする。
施行日前に受刑者に科され、この法律の施行の際まだその執行が終わっていない懲罰は、次の各号に掲げるものに限り、当該各号に定める懲罰とみなして、施行日以後も執行するものとする。ただし、その執行の期間は、第一号に掲げる懲罰にあっては三十日から施行日前に執行した期間を除いた期間、第三号に掲げる懲罰にあっては六十日(懲罰を科した時に二十歳未満の者については、三十日)から施行日前に執行した期間を除いた期間を超えてはならない。
前項の規定により同項第三号に掲げる懲罰の執行をする場合には、これに旧監獄法第六十条第一項第四号の懲罰が併科されていた場合を除き、第百七条第一項第三号に掲げる行為を停止してはならない。
第10条
(審査の申請等に関する規定の準用)
第二編第十二章第一節及び第四節の規定は、前条第二項の規定により執行する懲罰に係る不服について準用する。この場合において、第百十三条第一項中「措置の告知があった日」とあるのは、「この法律の施行の日」と読み替えるものとする。
第11条
(事実の申告に関する経過措置)
第二編第十二章第二節の規定は、受刑者に対し施行日前にされた刑事施設の職員による行為については、適用しない。
第12条
(情願に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者が施行日前に旧監獄法第七条の規定により行った情願であって、この法律の施行の際まだその処理がされていないものは、法務大臣に係るものにあっては第百二十一条第一項の規定により行った苦情の申出と、巡閲官吏に係るものにあっては第百二十二条第一項の規定により行った苦情の申出とみなす。
第13条
(労役場等への準用)
附則第二条の規定は、労役場及び監置場について準用する。この場合において、同条中「第四条第一項」とあるのは「第八条第三項において準用する旧監獄法第四条第一項」と、「第五条」とあるのは「第百四十二条第三項において準用する第五条」と読み替えるものとする。
第14条
(罰則の適用に関する経過措置)
施行日前にした行為並びに附則第十六条及び第二十五条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第41条
(検討)
政府は、施行日から五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則
平成18年6月8日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条
(収容開始時の告知に関する特例)
この法律による改正後の刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「新法」という。)第三十三条の規定は、この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者以外の被収容者についても、適用する。この場合において、同条第一項前段中「その刑事施設における収容の開始に際し」とあるのは、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行後速やかに」とする。
新法第百八十条の規定は、この法律の施行の際現に留置施設に留置されている受刑者以外の被留置者についても、適用する。この場合において、同条第一項前段中「その留置施設における留置の開始に際し」とあるのは、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行後速やかに」とする。
新法第二百四十一条の規定は、この法律の施行の際現に海上保安留置施設に留置されている海上保安被留置者についても、適用する。この場合において、同条第一項中「その海上保安留置施設における留置の開始に際し」とあるのは、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行後速やかに」とする。
第3条
(金品の取扱いに関する経過措置)
この法律の施行の際現に附則第十四条の規定による廃止前の刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律(以下「旧収容等法」という。)又はこれに基づく命令の規定により領置されている受刑者以外の被収容者の金品は、新法第四十四条第二号に掲げる金品とみなして、新法第四十七条の規定を適用する。
この法律の施行の際現に旧収容等法又はこれに基づく命令の規定により領置され、又は留置施設において保管されている受刑者以外の被留置者の金品(信書を除く。)は、新法第百九十一条第二号に掲げる金品とみなして、新法第百九十四条の規定を適用する。
この法律の施行の際現に海上保安留置施設において保管されている海上保安被留置者の金品(信書を除く。)は、新法第二百四十六条第二号に掲げる金品とみなして、新法第二百四十九条の規定を適用する。
第4条
(遺留物の措置に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に存する死亡者及び逃走者の遺留物(受刑者以外の被収容者に係るものに限る。)の措置については、なお従前の例による。
この法律の施行の際現に留置施設又は海上保安留置施設に存する死亡者及び逃走者の遺留物(受刑者以外の被留置者又は海上保安被留置者に係るものに限る。)の措置については、なお従前の例による。
第5条
(作業報奨金に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者以外の被収容者について、この法律の施行の際に、旧収容等法第二十七条第二項の作業賞与金で未支給のものがあるときは、この法律の施行後速やかに、これを支給するものとする。
第6条
(手当金に関する経過措置)
新法第八十二条第二項において準用する新法第百条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に受刑者以外の被収容者が負傷し、又は疾病にかかった場合において、施行日以後に手当金の支給事由が生じたときについても、適用する。
受刑者以外の被収容者について施行日前に支給事由が生じた旧収容等法第二十八条第一項(旧収容等法第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の手当金(死亡に係るものを除く。)で未支給のものの支給は、旧収容等法第二十八条第二項(旧収容等法第二十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、この法律の施行後速やかに行うものとする。
第7条
(発受を禁止した信書の取扱いに関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に存する発受を許されなかった受刑者以外の被収容者に係る信書は、新法第百三十六条、第百四十一条、第百四十二条又は第百四十四条において準用する新法第百三十二条第一項の規定により保管されている信書とみなす。
この法律の施行の際現に留置施設に存する発受を許されなかった受刑者以外の被留置者に係る信書は、新法第二百二十六条第一項の規定により保管されている信書とみなす。
この法律の施行の際現に海上保安留置施設に存する発受を許されなかった海上保安被留置者に係る信書は、新法第二百七十二条第一項の規定により保管されている信書とみなす。
第8条
(懲罰に関する経過措置)
新法第百五十条から第百五十六条までの規定は、次に掲げる行為であって、この法律の施行の際まだ懲罰が科されていないものについても、適用する。この場合において、新法第百五十一条第二項中「同項第五号」とあるのは「同項第三号から第五号まで」と、同条第四項中「及び第三号」とあるのは「から第四号まで」と、新法第百五十二条第一項中「次に」とあるのは「第二号及び第四号から第六号までに」とする。
次に掲げる懲罰の執行については、なお従前の例による。
旧法第百三十七条第四項の規定により適用される旧収容等法第五十九条の規定により科され、この法律の施行の際まだその執行が終わっていない懲罰は、施行日以後も執行するものとする。
新法第百五十二条第一項(第一号及び第三号を除く。)、第二項及び第三項並びに第百五十六条第一項ただし書及び第二項の規定は、前項の規定により執行する旧収容等法第六十条第一項第八号の懲罰について準用する。
旧収容等法第五十九条の規定により科され、この法律の施行の際まだその執行が終わっていない懲罰(第二項第二号に掲げる懲罰及び第三項に規定する懲罰を除く。)は、次に掲げるものに限り、施行日以後も執行するものとする。ただし、その執行の期間は、第一号に掲げる懲罰にあっては三十日から施行日前に執行した期間を除いた期間、第四号に掲げる懲罰にあっては六十日(懲罰を科した時に二十歳未満の者については、三十日)から施行日前に執行した期間を除いた期間を超えてはならない。
新法第百五十二条第一項(第一号及び第三号を除く。)、第二項及び第三項並びに第百五十六条第一項ただし書及び第二項の規定は、前項の規定により執行する旧収容等法第六十条第一項第八号の懲罰について準用する。
第9条
(審査の申請等に関する規定の準用)
新法第二編第二章第十三節第一款及び第四款の規定は、前条第三項又は第五項の規定により執行される懲罰に係る不服について準用する。この場合において、新法第百五十八条第一項中「措置の告知があった日」とあるのは、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日」と読み替えるものとする。
旧法第百三十七条第二項の規定により執行された懲罰(前条第二項第二号に掲げる懲罰を含む。)に係る不服については、なお従前の例による。
第10条
(事実の申告に関する経過措置)
新法第二編第二章第十三節第二款の規定は、受刑者以外の被収容者に対し施行日前にされた刑事施設の職員による行為については、適用しない。
新法第二編第三章第十一節第二款の規定は、受刑者以外の被留置者に対し施行日前にされた留置業務に従事する職員による行為については、適用しない。
新法第二編第四章第十一節第二款の規定は、海上保安被留置者に対し施行日前にされた海上保安留置担当官による行為については、適用しない。
第11条
(情願に関する経過措置)
この法律の施行の際現に刑事施設に収容されている受刑者以外の被収容者が旧収容等法第七条の規定により行った情願であって、この法律の施行の際まだその処理がされていないものは、法務大臣に係るものにあっては新法第百六十六条第一項の規定により行った苦情の申出と、それ以外のものにあっては新法第百六十七条第一項の規定により行った苦情の申出とみなす。
第12条
(監置場留置者への準用)
附則第二条第一項、第三条第一項、第四条第一項、第五条、第六条、第七条第一項、第八条、第九条、第十条第一項及び前条の規定は、監置場に留置されている者について準用する。この場合において、附則第二条第一項中「第三十三条」とあるのは「第二百八十九条第一項において準用する新法第三十三条」と、附則第三条第一項、第六条第一項、第八条第一項、第四項及び第六項、第九条第一項、第十条第一項並びに前条中「新法」とあるのは「新法第二百八十九条第一項において準用する新法」と、附則第五条、第六条第二項、第八条第一項第三号、第五項及び第六項並びに前条中「旧収容等法」とあるのは「旧収容等法第九条において準用する旧収容等法」と、附則第七条第一項中「第百三十六条、第百四十一条、第百四十二条又は第百四十四条」とあるのは「第二百八十九条第三項において準用する新法第百三十二条第一項の規定又は新法第二百八十九条第四項において準用する新法第百三十八条」と、附則第八条第一項第一号及び第二項第一号中「第百三十七条第一項」とあるのは「第百四十四条第二項において準用する旧法第百三十七条第一項」と、同条第一項第二号、第二項第二号及び第三号並びに第三項並びに附則第九条第二項中「旧法」とあるのは「旧法第百四十四条第二項において準用する旧法」と読み替えるものとする。
第13条
(罰則の適用に関する経過措置)
施行日前にした行為及び附則第十五条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則
平成19年5月11日
第1条
(施行期日)
この法律は、規程が日本国について効力を生ずる日から施行する。
附則
平成19年6月15日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則
平成25年6月14日
第1条
(施行期日)
この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
第10条
(罰則に関する経過措置)
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第11条
(政令への委任)
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

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