特定都市河川浸水被害対策法
平成23年12月14日 改正
第2条
【定義】
2
この法律において「特定都市河川流域」とは、当該特定都市河川の流域(当該特定都市河川に係る区間が河口を含まない場合にあってはその区間の最も下流の地点から河口までの区間に係る流域を除き、当該特定都市河川の流域内において河川に雨水を放流する下水道(以下「特定都市下水道」という。)がある場合にあってはその排水区域(下水道法第2条第7号に規定する排水区域をいう。以下同じ。)を含む。)として国土交通大臣又は都道府県知事が次条の規定により指定するものをいう。
3
この法律において「浸水被害」とは、特定都市河川流域において、洪水による浸水(以下「都市洪水」という。)又は一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道その他の排水施設若しくは河川その他の公共の水域に当該雨水を排水できないことによる浸水(以下「都市浸水」という。)により、国民の生命、身体又は財産に被害を生ずることをいう。
7
この法律において「防災調整池」とは、雨水貯留浸透施設のうち、雨水を一時的に貯留する機能を有する施設であって、河川管理者及び下水道管理者以外の者が設置するもの(第9条の許可を受けて行う第10条第1項第3号に規定する対策工事により設置されるものを除く。)をいう。
第3条
【特定都市河川等の指定】
2
前項の規定により指定する河川の区間は、一級河川の連続する区間でなければならない。この場合において、二以上の一級河川を併せて指定するときは、そのうち一の一級河川の連続する区間が、他の一級河川の連続する区間と直接に又は他の一級河川の連続する区間を通じて間接に接続していなければならない。
6
前二項の場合において、指定しようとする特定都市河川流域が二以上の都府県にわたるときのこれらの規定の適用については、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは、「都道府県知事(当該特定都市河川流域が二以上の都府県にわたる場合にあっては、都府県知事及び当該特定都市河川流域の区域の一部をその区域に含む他の都府県知事)」とする。
第4条
【流域水害対策計画の策定】
3
河川管理者等は、第1項の規定により流域水害対策計画を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。ただし、当該流域水害対策計画に係る特定都市河川の河川管理者が国土交通大臣である場合は、この限りでない。
7
河川管理者等は、流域水害対策計画のうち第2項第5号に掲げる事項については、当該特定都市下水道の下水道管理者及び当該下水道管理者の管理する下水道の排水区域の全部又は一部をその区域に含む都道府県の知事が共同して作成する案に基づいて定めるものとする。ただし、当該排水区域の全部が一の市町村の区域内にある場合においては、当該下水道管理者が作成する案に基づいて定めるものとする。
第5条
【流域水害対策計画の実施等】
1
河川管理者等は、流域水害対策計画を共同して作成した他の河川管理者等と連携を図りながら、当該流域水害対策計画に定められた浸水被害対策の基本方針に従い、雨水貯留浸透施設の整備、浸水被害対策に係る啓発その他浸水被害対策の実施に必要な措置を講ずるように努めなければならない。
2
特定都市河川流域内において居住し、又は事業を営む者は、当該特定都市河川流域における浸水被害の防止を図るための雨水の一時的な貯留又は地下への浸透に自ら努めるとともに、河川管理者等がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力しなければならない。
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参照条文
第7条
【他の地方公共団体の負担金】
2
地方公共団体は、前項の規定により当該利益を受ける他の地方公共団体に当該事業に要する費用の全部又は一部を負担させようとするときは、あらかじめ、当該利益を受ける他の地方公共団体に協議しなければならない。
第8条
【排水設備の技術上の基準に関する特例】
下水道法第4条第1項に規定する公共下水道管理者は、特定都市河川流域において流域水害対策計画に基づき浸水被害の防止を図るためには、同法第10条第1項に規定する排水設備(雨水を排除するためのものに限る。)が、同条第3項の政令で定める技術上の基準を満たすのみでは十分でなく、雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能を備えることが必要であると認められるときは、政令で定める基準に従い、条例で、同項の技術上の基準に代えて排水設備に適用すべき排水及び雨水の一時的な貯留又は地下への浸透に関する技術上の基準を定めることができる。
第9条
【雨水浸透阻害行為の許可】
特定都市河川流域内の宅地等以外の土地において、次に掲げる行為(流域水害対策計画に基づいて行われる行為を除く。以下「雨水浸透阻害行為」という。)であって雨水の浸透を著しく妨げるおそれのあるものとして政令で定める規模以上のものをしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(指定都市、地方自治法第252条の22第1項の中核市又は同法第252条の26の3第1項の特例市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあっては、当該指定都市等の長。以下この章及び第38条において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
第12条
【条例による技術的基準の強化】
1
地方公共団体は、その地方の浸水被害の発生の状況又は自然的条件の特殊性を勘案し、前条の政令で定める技術的基準のみによっては特定都市河川流域における浸水被害の防止を図ることが困難であると認められる場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、当該技術的基準を強化することができる。
第13条
【許可の条件】
都道府県知事は、第9条の許可に、行為区域における雨水浸透阻害行為による流出雨水量の増加を抑制するために必要な条件を付することができる。この場合において、その条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。
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参照条文
第14条
【許可の特例】
国又は地方公共団体が行う雨水浸透阻害行為については、国又は地方公共団体と都道府県知事との協議が成立することをもって第9条の許可を受けたものとみなす。
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参照条文
第18条 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律施行令第15条 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令第16条 公有地の拡大の推進に関する法律施行令第9条 国立大学法人法施行令第22条 地方住宅供給公社法施行令第2条 地方道路公社法施行令第10条 地方独立行政法人法施行令第13条 特定都市河川浸水被害対策法施行規則第6条 第19条 独立行政法人国立高等専門学校機構法施行令第2条 独立行政法人国立病院機構法施行令第16条 独立行政法人森林総合研究所が行う特例業務に関する政令第27条 独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令第19条 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令第28条 独立行政法人都市再生機構法施行令第34条 独立行政法人水資源機構法施行令第57条 独立行政法人労働者健康福祉機構法施行令第14条 日本下水道事業団法施行令第5条
第16条
【変更の許可等】
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参照条文
第20条 第21条 第22条 第39条 第42条 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律施行令第15条 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令第16条 公有地の拡大の推進に関する法律施行令第9条 国立大学法人法施行令第22条 宅地建物取引業法施行令第2条の5 第3条 地方住宅供給公社法施行令第2条 地方道路公社法施行令第10条 地方独立行政法人法施行令第13条 特定都市河川浸水被害対策法施行規則第14条 第15条 特定都市河川浸水被害対策法施行令第8条 独立行政法人国立高等専門学校機構法施行令第2条 独立行政法人国立病院機構法施行令第16条 独立行政法人森林総合研究所が行う特例業務に関する政令第27条 独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令第19条 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令第28条 独立行政法人都市再生機構法施行令第34条 独立行政法人水資源機構法施行令第57条 独立行政法人労働者健康福祉機構法施行令第14条 日本下水道事業団法施行令第5条 不動産特定共同事業法施行令第6条
第17条
【工事完了の検査等】
第18条
【雨水貯留浸透施設の機能を阻害するおそれのある行為の許可】
1
2
前項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
3
都道府県知事は、第1項の許可の申請があったときは、その申請に係る行為が雨水貯留浸透施設が有する雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能の保全上支障がなく、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。
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参照条文
第11条 第20条 第21条 第22条 第39条 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律施行令第15条 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律施行令第16条 公有地の拡大の推進に関する法律施行令第9条 国立大学法人法施行令第22条 宅地建物取引業法施行令第2条の5 第3条 地方住宅供給公社法施行令第2条 地方道路公社法施行令第10条 地方独立行政法人法施行令第13条 特定都市河川浸水被害対策法施行規則第19条 第20条 特定都市河川浸水被害対策法施行令第11条 第12条 独立行政法人国立高等専門学校機構法施行令第2条 独立行政法人国立病院機構法施行令第16条 独立行政法人森林総合研究所が行う特例業務に関する政令第27条 独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令第19条 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令第28条 独立行政法人都市再生機構法施行令第34条 独立行政法人水資源機構法施行令第57条 独立行政法人労働者健康福祉機構法施行令第14条 日本下水道事業団法施行令第5条 不動産特定共同事業法施行令第6条
第19条
【雨水の流出の増加の抑制】
特定都市河川流域内の宅地等以外の土地において、雨水浸透阻害行為であって第9条の政令で定める規模未満のものをしようとする者は、行為区域における当該雨水浸透阻害行為による流出雨水量の増加を抑制するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第20条
【監督処分】
1
都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、特定都市河川流域における浸水被害の防止を図るために必要な限度において、第9条、第16条第1項若しくは第18条第1項の許可を取り消し、若しくはその許可に付した条件を変更し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて必要な措置をとることを命ずることができる。
④
特定都市河川流域内における雨水浸透阻害行為(当該特定都市河川流域の指定の際当該特定都市河川流域内において既に着手している行為を除く。)であって、行為区域における流出雨水量の増加を抑制するために必要な措置を第11条の政令で定める技術的基準に従って講じていないものに関する工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
2
前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨及びその期限までに当該措置を行わないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ、公告しなければならない。
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参照条文
第22条
【報告の徴収等】
2
都道府県知事は、第18条第1項の許可を受けた者に対し、当該許可に係る雨水貯留浸透施設又は当該許可に係る行為の状況について報告若しくは資料の提出を求め、又は当該雨水貯留浸透施設が有する雨水を一時的に貯留し、若しくは地下に浸透させる機能を保全するために必要な助言若しくは勧告をすることができる。
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参照条文
第23条
【保全調整池の指定等】
1
都道府県知事は、特定都市河川流域内に存する政令で定める規模以上の防災調整池の雨水を一時的に貯留する機能が当該特定都市河川流域における浸水被害の防止を図るために有用であると認めるときは、当該防災調整池を保全調整池として指定することができる。
3
都道府県知事は、第1項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該保全調整池を公示するとともに、その旨を当該保全調整池が存する市町村の長(指定都市等の長を除く。)及び当該保全調整池の所有者に通知しなければならない。
第25条
【行為の届出等】
1
保全調整池について、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
3
指定都市等の長は、第1項の規定による届出を受けたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該届出の内容を当該指定都市等を包括する都道府県の知事、関係河川管理者及び関係下水道管理者に通知しなければならない。
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都道府県知事は、第1項の規定による届出があった場合において、当該保全調整池が有する雨水を一時的に貯留する機能の保全のため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。
第27条
【管理協定の締結等】
1
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参照条文
第32条
【都市洪水想定区域及び都市浸水想定区域】
1
国土交通大臣は特定都市河川のうち一級河川の区間(河川法第9条第2項に規定する指定区間を除く。)について、都道府県知事は特定都市河川のうちその他の区間について、都市洪水が発生した時の円滑かつ迅速な避難を確保し、及び都市洪水による被害の軽減を図るため、国土交通省令で定めるところにより、それぞれ、流域水害対策計画において定められた都市洪水の発生を防ぐべき目標となる降雨が生じた場合にその特定都市河川のはん濫による都市洪水が想定される区域を、都市洪水想定区域として指定するものとする。ただし、その特定都市河川について、水防法第10条第2項、第11条第1項又は第13条第1項若しくは第2項の規定による指定があるときは、この限りでない。
2
前項本文に定めるもののほか、特定都市河川流域の全部又は一部をその区域に含む市町村の長、当該市町村を包括する都道府県の知事及び特定都市下水道の下水道管理者(特定都市河川流域の全部が一の市町村の区域内にある場合にあっては、市町村の長及び特定都市下水道の下水道管理者)は、共同して、当該特定都市河川流域について、都市浸水が発生した時の円滑かつ迅速な避難を確保し、及び都市浸水による被害の軽減を図るため、国土交通省令で定めるところにより、流域水害対策計画において定められた都市浸水の発生を防ぐべき目標となる降雨が生じた場合に都市浸水が想定される区域を、都市浸水想定区域として指定するものとする。
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参照条文
第33条
【都市洪水想定区域及び都市浸水想定区域における円滑かつ迅速な避難を確保するための措置】
1
市町村防災会議(災害対策基本法第16条第1項に規定する市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。次項において同じ。)は、前条第1項本文の規定による都市洪水想定区域の指定又は同条第2項の規定による都市浸水想定区域の指定があったときは、市町村地域防災計画(同法第42条第1項に規定する市町村地域防災計画をいう。第3項において同じ。)において、都市洪水及び都市浸水が相互に影響を及ぼすものであることを考慮して、都市洪水又は都市浸水の発生又は発生のおそれに関する情報(以下「洪水等情報」という。)の伝達方法、避難場所その他都市洪水又は都市浸水が生じた時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項について定めるものとする。
2
市町村防災会議は、都市洪水想定区域内又は都市浸水想定区域内に地下街その他不特定かつ多数の者が利用する地下に設けられた施設がある場合には、都市洪水又は都市浸水が生じた時における当該施設の利用者の円滑かつ迅速な避難の確保が図られるように、前項に規定する洪水等情報の伝達方法を定めるものとする。
3
都市洪水想定区域又は都市浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、市町村地域防災計画において定められた洪水等情報の伝達方法、避難場所その他都市洪水又は都市浸水が生じた時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項について、住民に周知させるように努めるものとする。
4
都市洪水想定区域(当該特定都市河川が水防法第10条第2項、第11条第1項又は第13条第1項若しくは第2項の規定による指定を受けている場合にあっては、同法第14条第1項に規定する浸水想定区域を含む。)内又は都市浸水想定区域内の地下街その他不特定かつ多数の者が利用する地下に設けられた施設の所有者又は管理者は、単独に又は共同して、都市洪水又は都市浸水が生じた時における当該施設の利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画を作成し、これを公表するように努めなければならない。
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第1項から第3項までの規定は、災害対策基本法第17条第1項の規定により浸水被害の軽減を図るため市町村防災会議の協議会が設置されている場合について準用する。この場合において、第1項中「市町村防災会議(災害対策基本法第16条第1項に規定する市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。」とあるのは「市町村防災会議の協議会(災害対策基本法第17条第1項に規定する市町村防災会議の協議会をいう。」と、「市町村地域防災計画(同法第42条第1項に規定する市町村地域防災計画をいう。」とあるのは「市町村相互間地域防災計画(同法第44条第1項に規定する市町村相互間地域防災計画をいう。」と、第2項中「市町村防災会議」とあるのは「市町村防災会議の協議会」と、第3項中「市町村地域防災計画」とあるのは「市町村相互間地域防災計画」と読み替えるものとする。
第34条
【測量又は調査のための土地の立入り等】
3
第1項の規定により宅地又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
10
前項の規定による協議が成立しない場合においては、国、都道府県又は指定都市等は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第94条第2項の規定による裁決を申請することができる。
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参照条文