民事保全法
平成23年6月24日 改正
第4条
【担保の提供】
1
この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律第278条第1項に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
第12条
2
本案の訴えが民事訴訟法第6条第1項に規定する特許権等に関する訴えである場合には、保全命令事件は、前項の規定にかかわらず、本案の管轄裁判所が管轄する。ただし、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所が同条第1項各号に定める裁判所であるときは、その裁判所もこれを管轄する。
4
仮に差し押さえるべき物又は係争物が債権(民事執行法第143条に規定する債権をいう。以下この条において同じ。)であるときは、その債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶(同法第112条に規定する船舶をいう。以下同じ。)又は動産(同法第122条に規定する動産をいう。以下同じ。)の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
5
前項本文の規定は、仮に差し押さえるべき物又は係争物が民事執行法第167条第1項に規定する財産権(以下「その他の財産権」という。)で第三債務者又はこれに準ずる者があるものである場合(次項に規定する場合を除く。)について準用する。
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参照条文
第23条
【仮処分命令の必要性等】
4
第2項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
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参照条文
第25条
【仮処分解放金】
1
裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。
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参照条文
第25条の2
【債務者を特定しないで発する占有移転禁止の仮処分命令】
3
第1項の規定による占有移転禁止の仮処分命令は、第43条第2項の期間内にその執行がされなかったときは、債務者に対して送達することを要しない。この場合において、第4条第2項において準用する民事訴訟法第79条第1項の規定による担保の取消しの決定で第14条第1項の規定により立てさせた担保に係るものは、裁判所が相当と認める方法で申立人に告知することによって、その効力を生ずる。
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参照条文
第27条
【保全執行の停止の裁判等】
1
保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第3項の規定による裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。
第28条
【事件の移送】
第31条
【審理の終結】
第33条
【原状回復の裁判】
仮処分命令に基づき、債権者が物の引渡し若しくは明渡し若しくは金銭の支払を受け、又は物の使用若しくは保管をしているときは、裁判所は、債務者の申立てにより、前条第1項の規定により仮処分命令を取り消す決定において、債権者に対し、債務者が引き渡し、若しくは明け渡した物の返還、債務者が支払った金銭の返還又は債権者が使用若しくは保管をしている物の返還を命ずることができる。
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参照条文
第34条
【保全命令を取り消す決定の効力】
裁判所は、第32条第1項の規定により保全命令を取り消す決定において、その送達を受けた日から二週間を超えない範囲内で相当と認める一定の期間を経過しなければその決定の効力が生じない旨を宣言することができる。ただし、その決定に対して保全抗告をすることができないときは、この限りでない。
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参照条文
第37条
【本案の訴えの不提起等による保全取消し】
1
保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、相当と認める一定の期間内に、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出し、既に本案の訴えを提起しているときはその係属を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
5
第1項及び第3項の規定の適用については、本案が家事事件手続法第257条第1項に規定する事件であるときは家庭裁判所に対する調停の申立てを、本案が労働審判法第1条に規定する事件であるときは地方裁判所に対する労働審判手続の申立てを、本案に関し仲裁合意があるときは仲裁手続の開始の手続を、本案が公害紛争処理法第2条に規定する公害に係る被害についての損害賠償の請求に関する事件であるときは同法第42条の12第1項に規定する損害賠償の責任に関する裁定(次項において「責任裁定」という。)の申請を本案の訴えの提起とみなす。
6
前項の調停の事件、同項の労働審判手続、同項の仲裁手続又は同項の責任裁定の手続が調停の成立、労働審判(労働審判法第29条第2項において準用する民事調停法第16条の規定による調停の成立及び労働審判法第24条第1項の規定による労働審判事件の終了を含む。)、仲裁判断又は責任裁定(公害紛争処理法第42条の24第2項の当事者間の合意の成立を含む。)によらないで終了したときは、債権者は、その終了の日から第1項の規定により定められた期間と同一の期間内に本案の訴えを提起しなければならない。
第39条
【特別の事情による保全取消し】
1
仮処分命令により償うことができない損害を生ずるおそれがあるときその他の特別の事情があるときは、仮処分命令を発した裁判所又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、担保を立てることを条件として仮処分命令を取り消すことができる。
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参照条文
第42条
【保全命令を取り消す決定の効力の停止の裁判】
第47条
【不動産に対する仮差押えの執行】
1
民事執行法第43条第1項に規定する不動産(同条第2項の規定により不動産とみなされるものを含む。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
4
強制管理の方法による仮差押えの執行においては、管理人は、次項において準用する民事執行法第107条第1項の規定により計算した配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を保全執行裁判所に届け出なければならない。
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参照条文
第48条
【船舶に対する仮差押えの執行】
1
船舶に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は執行官に対し船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下この条において「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて保全執行裁判所に提出すべきことを命ずる方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
2
仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行は仮差押命令を発した裁判所が、船舶国籍証書等の取上げを命ずる方法による仮差押えの執行は船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、保全執行裁判所として管轄する。
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参照条文
第49条
【動産に対する仮差押えの執行】
2
執行官は、仮差押えの執行に係る金銭を供託しなければならない。仮差押えの執行に係る手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求を要するものについて執行官が支払を受けた金銭についても、同様とする。
3
仮差押えの執行に係る動産について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、民事執行法の規定による動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。
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参照条文
第50条
【債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行】
3
第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭の支払を目的とする債権の額に相当する金銭を供託した場合には、債務者が第22条第1項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし、その金銭の額を超える部分については、この限りでない。
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参照条文
第53条
【不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行】
2
不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。
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参照条文
第54条 第58条 第60条 回路配置利用権等の登録に関する省令第12条 回路配置利用権等の登録に関する政令第5条 第52条の2 第52条の3 漁業登録令第34条の2 第34条の3 公共施設等運営権登録令第63条 公共施設等運営権登録令施行規則第19条 鉱業登録令第5条の2 第31条の2 第31条の3 航空機登録令第24条の2 第24条の3 小型船舶登録令第22条 国債規則第40条の9 第40条の10 国税徴収法第133条 国税徴収法施行令第50条 自動車登録令第32条の2 第32条の3 ダム使用権登録令第32条の2 第32条の3 著作権法施行規則第13条 第18条の3 著作権法施行令第34条の2 第34条の3 第34条の4 特許登録令第8条の2 第55条の2 第55条の3 特許登録令施行規則第14条 品種登録規則第7条 第39条 第40条 不動産登記法第111条 不動産登記令第7条 民事執行法第87条 第91条 第107条 民事保全規則第22条 第48条
第54条
【不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行】
前条の規定は、不動産に関する権利以外の権利で、その処分の制限につき登記又は登録を対抗要件又は効力発生要件とするものについての登記(仮登記を除く。)又は登録(仮登録を除く。)を請求する権利を保全するための処分禁止の仮処分の執行について準用する。
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参照条文
第61条 回路配置利用権等の登録に関する省令第12条 回路配置利用権等の登録に関する政令第5条 第52条の2 第52条の3 漁業登録令第34条の2 第34条の3 公共施設等運営権登録令第63条 公共施設等運営権登録令施行規則第19条 鉱業登録令第5条の2 第31条の2 第31条の3 航空機登録令第24条の2 第24条の3 小型船舶登録令第22条 国債規則第40条の9 第40条の10 国税徴収法第133条 国税徴収法施行令第50条 自動車登録令第32条の2 第32条の3 ダム使用権登録令第32条の2 第32条の3 著作権法施行規則第13条 第18条の3 著作権法施行令第34条の2 第34条の3 第34条の4 特許登録令第8条の2 第55条の2 第55条の3 特許登録令施行規則第14条 品種登録規則第7条 第39条 第40条 民事保全規則第22条 第48条
第54条の2
【債務者を特定しないで発された占有移転禁止の仮処分命令の執行】
第25条の2第1項の規定による占有移転禁止の仮処分命令の執行は、係争物である不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができない場合は、することができない。
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参照条文
第56条
【法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託】
法人を代表する者その他法人の役員として登記された者について、その職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされた場合には、裁判所書記官は、法人の本店又は主たる事務所の所在地(外国法人にあっては、各事務所の所在地)を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。ただし、これらの事項が登記すべきものでないときは、この限りでない。
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参照条文
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第80条 第214条 第334条 第342条 会社法第352条 第420条 第483条 第603条 第655条 第960条 第964条 第966条 第976条 金融機関の合併及び転換に関する法律第76条 公益信託ニ関スル法律第12条 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法第83条の2 資産の流動化に関する法律第302条 第307条 第316条 信託計算規則第30条 信託法第247条 第267条 第270条 投資信託及び投資法人に関する法律第228条 第232条 第249条 投資事業有限責任組合契約に関する法律第33条 日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律第2条 農業協同組合法第100条の5 保険業法第180条の9 第322条 第324条 第325条 第333条 第334条 保険業法施行令第18条の4 有限責任事業組合契約に関する法律第73条 民事保全規則第43条
第60条
【仮処分命令の更正等】
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保全仮登記に係る権利の表示がその保全仮登記に基づく本登記をすべき旨の本案の債務名義における権利の表示と符合しないときは、第53条第2項の処分禁止の仮処分の命令を発した裁判所は、債権者の申立てにより、その命令を更正しなければならない。
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参照条文
第64条
【建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力】
第55条第1項の処分禁止の登記がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その登記がされた後に建物を譲り受けた者に対し、建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行をすることができる。
第65条
【詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使】
民法第424条第1項の規定による詐害行為取消権を保全するための仮処分命令において定められた第25条第1項の金銭の額に相当する金銭が供託されたときは、同法第424条第1項の債務者は、供託金の還付を請求する権利(以下「還付請求権」という。)を取得する。この場合において、その還付請求権は、その仮処分の執行が第57条第1項の規定により取り消され、かつ、保全すべき権利についての本案の判決が確定した後に、その仮処分の債権者が同法第424条第1項の債務者に対する債務名義によりその還付請求権に対し強制執行をするときに限り、これを行使することができる。
第66条
【公示書等損壊罪】
第52条第1項の規定によりその例によることとされる民事執行法第168条の2第3項又は第4項の規定により執行官が公示するために施した公示書その他の標識を損壊した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第67条
【陳述等拒絶の罪】
第52条第1項の規定によりその例によることとされる民事執行法第168条第2項の規定による執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由なく、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示した債務者又は同項に規定する不動産等を占有する第三者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。