非訟事件手続法
平成23年5月25日 制定
第5条
【管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所】
1
非訟事件は、管轄が人の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときはその居所地を管轄する裁判所の管轄に属し、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときはその最後の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2
非訟事件は、管轄が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)の住所地により定まる場合において、日本国内に住所がないとき、又は住所が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する裁判所の管轄に属する。
第6条
【優先管轄等】
第11条
【裁判官の除斥】
1
裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。ただし、第6号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。
第12条
【裁判官の忌避】
2
当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
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参照条文
第13条
【除斥又は忌避の裁判及び手続の停止】
1
合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。
第14条
【裁判所書記官の除斥及び忌避】
3
裁判所書記官の除斥又は忌避についての裁判は、裁判所書記官の所属する裁判所がする。ただし、前項ただし書の裁判は、受命裁判官等(受命裁判官又は受託裁判官にあっては、当該裁判官の手続に立ち会う裁判所書記官が忌避の申立てを受けたときに限る。)がすることができる。
第16条
【当事者能力及び手続行為能力の原則等】
2
被保佐人、被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が他の者がした非訟事件の申立て又は抗告について手続行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。職権により手続が開始された場合についても、同様とする。
第17条
【特別代理人】
第22条
【手続代理人の資格】
1
法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。
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参照条文
第28条
【手続費用に関する民事訴訟法の準用等】
1
民事訴訟法第67条から第74条までの規定(裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについての決定に対する即時抗告に関する部分を除く。)は、手続費用の負担について準用する。この場合において、同法第73条第1項中「補助参加の申出の取下げ又は補助参加についての異議の取下げ」とあるのは「非訟事件手続法第20条第1項若しくは第21条第1項の規定による参加の申出の取下げ又は同条第2項の規定による参加の許可の申立ての取下げ」と、同条第2項中「第61条から第66条まで及び」とあるのは「非訟事件手続法第28条第1項において準用する」と読み替えるものとする。
第29条
1
非訟事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。ただし、救助を求める者が不当な目的で非訟事件の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。
2
民事訴訟法第82条第2項及び第83条から第86条まで(同法第83条第1項第3号を除く。)の規定は、手続上の救助について準用する。この場合において、同法第84条中「第82条第1項本文」とあるのは、「非訟事件手続法第29条第1項本文」と読み替えるものとする。
第31条
【調書の作成等】
裁判所書記官は、非訟事件の手続の期日について、調書を作成しなければならない。ただし、証拠調べの期日以外の期日については、裁判長においてその必要がないと認めるときは、その経過の要領を記録上明らかにすることをもって、これに代えることができる。
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参照条文
第32条
【記録の閲覧等】
1
当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は非訟事件に関する事項の証明書の交付(第112条において「記録の閲覧等」という。)を請求することができる。
2
前項の規定は、非訟事件の記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
5
裁判書の正本、謄本若しくは抄本又は非訟事件に関する事項の証明書については、当事者は、第1項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得ないで、裁判所書記官に対し、その交付を請求することができる。裁判を受ける者が当該裁判があった後に請求する場合も、同様とする。
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参照条文
第33条
【専門委員】
1
裁判所は、的確かつ円滑な審理の実現のため、又は和解を試みるに当たり、必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、専門的な知見に基づく意見を聴くために専門委員を非訟事件の手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の意見は、裁判長が書面により又は当事者が立ち会うことができる非訟事件の手続の期日において口頭で述べさせなければならない。
3
裁判所は、必要があると認めるときは、専門委員を非訟事件の手続の期日に立ち会わせることができる。この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
4
裁判所は、専門委員が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に第1項の意見を述べさせることができる。この場合において、裁判長は、専門委員が当事者、証人、鑑定人その他非訟事件の手続の期日に出頭した者に対し直接に問いを発することを許すことができる。
5
民事訴訟法第92条の5の規定は、第1項の規定により非訟事件の手続に関与させる専門委員の指定及び任免等について準用する。この場合において、同条第2項中「第92条の2」とあるのは、「非訟事件手続法第33条第1項」と読み替えるものとする。
6
受命裁判官又は受託裁判官が第1項の手続を行う場合には、同項から第4項までの規定及び前項において準用する民事訴訟法第92条の5第2項の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、証拠調べの期日における手続を行う場合には、専門委員を手続に関与させる裁判、その裁判の取消し及び専門委員の指定は、非訟事件が係属している裁判所がする。
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参照条文
第37条
【他の申立権者による受継】
1
非訟事件の申立人が死亡、資格の喪失その他の事由によってその手続を続行することができない場合において、法令により手続を続行する資格のある者がないときは、当該非訟事件の申立てをすることができる者は、その手続を受け継ぐことができる。
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参照条文
第38条
【送達及び手続の中止】
送達及び非訟事件の手続の中止については、民事訴訟法第1編第5章第4節及び第130条から第132条まで(同条第1項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第113条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判を求める事項」と読み替えるものとする。
第42条
2
前項において準用する民事訴訟法第132条の10第1項本文の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による非訟事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、同条第5項の書面をもってするものとする。当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。
第43条
【申立ての方式等】
3
申立人は、二以上の事項について裁判を求める場合において、これらの事項についての非訟事件の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。
4
非訟事件の申立書が第2項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い非訟事件の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
第46条
【受命裁判官による手続】
1
裁判所は、受命裁判官に非訟事件の手続の期日における手続を行わせることができる。ただし、事実の調査及び証拠調べについては、第51条第3項の規定又は第53条第1項において準用する民事訴訟法第2編第4章第1節から第6節までの規定により受命裁判官が事実の調査又は証拠調べをすることができる場合に限る。
第47条
【音声の送受信による通話の方法による手続】
第48条
【通訳人の立会い等その他の措置】
非訟事件の手続の期日における通訳人の立会い等については民事訴訟法第154条の規定を、非訟事件の手続関係を明瞭にするために必要な陳述をすることができない当事者、利害関係参加人、代理人及び補佐人に対する措置については同法第155条の規定を準用する。
第53条
【証拠調べ】
3
当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。
①
第1項において準用する民事訴訟法第223条第1項(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定による提出の命令に従わないとき、又は正当な理由なく第1項において準用する同法第232条第1項において準用する同法第223条第1項の規定による提示の命令に従わないとき。
②
書証を妨げる目的で第1項において準用する民事訴訟法第220条(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定により提出の義務がある文書(同法第231条に規定する文書に準ずる物件を含む。)を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき、又は検証を妨げる目的で検証の目的を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたとき。
4
当事者が次の各号のいずれかに該当するときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。
③
第1項において準用する民事訴訟法第229条第3項(同法第231条において準用する場合を含む。)の規定による決定に正当な理由なく従わないとき、又は当該決定に係る対照の用に供すべき文字を書体を変えて筆記したとき。
6
民事訴訟法第192条から第194条までの規定は前項の規定により出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合について、同法第209条第1項及び第2項の規定は出頭した当事者が正当な理由なく宣誓又は陳述を拒んだ場合について準用する。
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参照条文
第60条
【終局決定に関する民事訴訟法の準用】
民事訴訟法第247条、第256条第1項及び第258条(第2項後段を除く。)の規定は、終局決定について準用する。この場合において、同法第256条第1項中「言渡し後」とあるのは、「終局決定が告知を受ける者に最初に告知された日から」と読み替えるものとする。
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参照条文
第63条
【非訟事件の申立ての取下げ】
2
民事訴訟法第261条第3項及び第262条第1項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。この場合において、同法第261条第3項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「非訟事件の手続の期日」と読み替えるものとする。
第64条
【非訟事件の申立ての取下げの擬制】
非訟事件の申立人が、連続して二回、呼出しを受けた非訟事件の手続の期日に出頭せず、又は呼出しを受けた非訟事件の手続の期日において陳述をしないで退席をしたときは、裁判所は、申立ての取下げがあったものとみなすことができる。
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参照条文
第67条
【即時抗告期間】
3
前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
第69条
【抗告状の写しの送付等】
第72条
【原裁判の執行停止】
1
終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。ただし、抗告裁判所又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止その他必要な処分を命ずることができる。
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参照条文
第73条
【第一審の手続の規定及び民事訴訟法の準用】
1
終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第57条第1項ただし書及び第64条の規定を除く。)を準用する。この場合において、第59条第1項第2号中「即時抗告」とあるのは、「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と読み替えるものとする。
2
民事訴訟法第283条、第284条、第292条、第298条第1項、第299条第1項、第302条、第303条及び第305条から第309条までの規定は、終局決定に対する即時抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、同法第292条第2項中「第261条第3項、第262条第1項及び第263条」とあるのは「非訟事件手続法第63条第2項及び第64条」と、同法第303条第5項中「第189条」とあるのは「非訟事件手続法第121条」と読み替えるものとする。
第74条
【再抗告】
1
抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。ただし、第5号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。
3
民事訴訟法第314条第2項、第315条、第316条(第1項第1号を除く。)、第321条第1項、第322条、第324条、第325条第1項前段、第3項後段及び第4項並びに第326条の規定は、再抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、同法第314条第2項中「前条において準用する第288条及び第289条第2項」とあるのは「非訟事件手続法第68条第6項」と、同法第316条第2項中「対しては」とあるのは「対しては、一週間の不変期間内に」と、同法第322条中「前二条」とあるのは「非訟事件手続法第74条第2項の規定及び同条第3項において準用する第321条第1項」と、同法第325条第1項前段中「第312条第1項又は第2項」とあるのは「非訟事件手続法第74条第1項」と、同条第3項後段中「この場合」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、同条第4項中「前項」とあるのは「差戻し又は移送を受けた裁判所」と読み替えるものとする。
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参照条文
第75条
【特別抗告をすることができる裁判等】
1
地方裁判所及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
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参照条文